夏から秋にかけて旬を迎えるいちじくは栄養価が高く、その独特の味が大好きな方も多いのではないでしょうか。
アラビア半島が原産とされるいちじくは、その葉をアダムとイヴが身につけていたと聖書にも書かれてように、とても古くから栽培されていた果物です。 いちじくには、血圧の上昇を抑える効果のあるカリウムや食物繊維のペクチン、タンパク分解酵素が含まれており、他の果物よりも栄養価が高く「不老不死の果物」とも言われています。いちじくは生でも食べられますが、ドライいちじくの方が馴染みがあるのではないでしょうか?ヨーグルトなどのトッピングとしてドライのいちじくを入れたり、海外では赤ワインやブランデーなどのアルコールに漬け込むドライいちじくの洋酒漬けといった食べ方も人気です。
そんな栄養価も高く昔から愛される果物、いちじくは愛犬にも食べさせて大丈夫なのでしょうか?
ANSWER いちじくは犬に食べさせてはいけない果物です
基本的に「いちじく」は犬に食べさせてはいけない果物です。
いちじくには「ソラレン」「フィシン」といった犬の中毒を引き起こす成分が含まれているため、与えないようにしましょう。ソラレンは、果物や野菜などに含まれる光毒性を持つ成分で、犬がソラレンを大量に摂取すると、下痢や嘔吐などのほか、重篤になると脱水症状を起こし、命の危険を伴うことがあります。フィシンは、タンパク質のンパク質分解酵素で、犬がフィシンを舐めたり食べたりすると大量のよだれを垂らし、粘膜のただれや口内炎を引き起こします。重度の場合、口腔内や食道の粘膜がただれ合、水や食事が食べられず脱水症状を起こしてしまうことも。もちろん、生のいちじくだけでなく、ドライフルーツや料理、スイーツに含まれるドライいちじくにも同様の成分が含まれているので、犬に食べさせないようにしましょう。
このページではそんないちじくについて、愛犬のために一緒に勉強していきましょう。
いちじくの主な栄養素・成分
ソラレン
ソラレンは紫外線の吸収率を高め、メラニン色素を生成する光毒性のある成分。犬がソラレンを摂取すると、下痢や嘔吐といった中毒症状を引き起こす場合があります。
クエン酸
クエン酸は体内に入ってきた糖分をエネルギーに代えて、カルシウムやミネラルを吸収しやすくする働きをもつ栄養素です。ゆずにはクエン酸やエッセンシャルオイルが多く含まれています。犬が少量のクエン酸摂取は問題ないですが、多く摂取すると犬の体に悪影響があります。
フィシン
いちじくの実や葉、茎に含まれるタンパク質分解酵素。整腸作用を持ちますが、犬にとっては毒性が強い成分となってしまいます。
ペクチン
水溶性の食物繊維です。食物繊維は腸内で善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える働きをします。
いちじくを犬が食べた際の犬への効果・影響
- 口の中の炎症
- 嘔吐 など
いちじくを犬に食べさせる際の注意点!
いちじくは絶対に与えないでください!
犬はいちじくを食べられません。いちじくに含まれる「フィシン」や「ソラレン」が犬に悪影響を与える可能性があるのです。フィシンはタンパク質分解酵素であり、口の中などを荒らす可能性があります。
人間でも、いちじくに触れた指先が痛む場合がありますが、これはフィシンによるものです。ソラレンという成分も食べると中毒になったり、触れると皮膚に炎症を起こしたりします。
いちじくはゴム科の植物なので「ラテックスアレルギー」の犬が触らないように注意が必要です。誤って食べた場合は、動物病院を受診しましょう。
Adviser
伊藤 悦子さん
麻布大学獣医学部環境畜産学科(現・動物応用科学科)出身。ペット栄養管理士・家畜人工授精師(牛)資格所持。動物医療発明研究会会員。NPO法人「NEWSつくば」記者。犬は5匹、猫は6匹の他にモルモットやセキセイインコ、文鳥たちと暮らしてきました。現在は17歳になる茶トラの猫「りんごちゃん」がいます。人とペットの幸せを願って執筆しています。