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犬がスイカを食べても大丈夫です。スイカを与える場合の注意点や与える量、そして腎臓や結石などへの影響について解説します。
夏の果物といえば、スイカを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?果物と思われがちなスイカですが、実は春に種をまき、夏に収穫するウリ科1年生の草本植物で栽培方法が野菜ため、スイカは果実的野菜に分類されます。そんなスイカには、カリウムやアミノ酸の一種であるシトルリンが多く含まれていて、むくみの解消や利尿作用、老廃物の排出を促すため、高血圧の予防にも効果的だといわれています。 またシトルリンには、疲労回復、動脈硬化の予防効果もあるとされています。
ところで、甘いスイカの見分け方をご存知でしょうか?昔おばあちゃんに習ったという方も多いかもしれません。甘いスイカは、皮にツヤがあり、特徴的な黒の縦縞がはっきりとしており、表面を手のひらで触った際に、ぼこぼこしているものが甘いと言われています。是非スイカを選ぶ際は参考にしてみてください。
夏の代名詞とも言えるスイカは、甘みがあるだけでなく水分量も多いため、夏の水分摂取にも効果が期待できる食材です。「愛犬にも与えたい」と思っている飼い主さんも多いのではないでしょうか?
そんなスイカを犬に食べさせても大丈夫か、スイカの栄養素や成分、愛犬に与える際の注意点や与える場合の量について、犬の管理栄養士マスターが解説しますので一緒に勉強していきましょう。
ANSWER
スイカは犬に与えても大丈夫!
スイカは犬が食べても大丈夫な野菜です。
基本的にスイカは愛犬に食べさせても大丈夫な野菜です。しかし、、食べられるのは実の部分のみです。硬い皮と種は消化が難しいため与えないようにしてください。その他にも水分量が多かったり、身体を冷やす効果のある成分が含まれているため、与えすぎには注意が必要です。
「腎臓の悪い犬にはスイカを与えない方が良い」という話を聞いたことがある方もいるにではないでしょうか。スイカの約90%は水分で、カリウムも非常に多く含まれています。腎臓が弱っている犬にとっては、スイカの水分とカリウムが負担になります。 腎臓の力が落ちているために、水分やカリウムが尿へきちんと排泄できず、むくみや高カリウム血症を引き起こしてしまうこともあるので、腎臓病などの病気を持つ犬の場合は、特にあげる量に注意が必要です。病気がある子の場合はかかりつけの先生に必ず相談するようにしてください。
また、スイカは、メロンやきゅうりなどと同じウリ科の植物です。 ウリ科の果物や野菜にアレルギーがあるワンコにが注意が必要です。
漢方に見る薬膳食材「スイカ」のチカラ
夏の果物といえば、真っ先に浮かぶのがスイカですね。
スイカは、その90%が水分で、残りは果糖、ブドウ糖、数種類のアミノ酸やミネラル、少量のビタミン類などが含まれます。なかでもβカロテンの含有量は緑黄色野菜にも匹敵するほどです。赤い色はリコピンの色で、強い抗酸化作用があり、老化防止やがん予防にも効果が期待できます。また、腎機能を補い、利尿作用のあるシトルリンや肝機能強化が期待できるアントシアニンなども含まれます。
薬膳的には、暑さが原因の体の不調(体に熱がこもる、ほてり、のどの渇きなど)を取り除く働きや利尿作用があります。漢方では、体のほてりやのどの渇きを和らげ、むくみもとる『白虎湯』という漢方薬がありますが、スイカは『天然の白虎湯』といわれるほどに、夏バテ対策や熱中症予防に大きな効果があります。体がほてって、のどが渇いて仕方ない時に、水を飲むよりもスイカを食べる方が、のどの渇きは早く収まり、ほてりが取れます。
ただし、記載した通り、体の熱をとる働きが非常に強い為、注意したい点がいくつかあります。まず、冷え性の人やわんこにはおすすめできません。また、冷え性でなくとも、たくさん食べると胃腸が冷えて体調不良や多尿を引きおこすこともある為、胃腸の弱い子やシニアさんも食べ過ぎには十分に注意しましょう。
そして、体の熱を取り、カリウムによる利尿作用が強い為、初期の腎炎によいと昔から言われていますが、すでに腎不全になっている場合や進行している場合は、腎臓への負担が大きいので、食べない方がよいと考えられていますのでご注意ください。
漢方では皮も種も使われ、捨てるところがないと言われるほどに、体の熱をとり、むくみをとる効果が強いスイカ。夏バテ予防、熱中症予防にはもってこいですが、効果が強い分、与える量には注意が必要です。
暑い日であっても、冷蔵庫から出したての冷たい状態ではなく、少し常温に戻してから与える方がおすすめです。普段何気なく食べている食べ物でも、体を温めたり冷やしたり、様々なチカラを持っています。その食材のチカラを借りて、体を調整しながら元気に猛暑を乗り越えたいですね。
スイカの主な成分や栄養素について解説
βカロテン
βカロテンは抗酸化作用を持っており、心臓病やガンの予防、老化防止などに効果があると言われている栄養素です。またβカロテンは犬の体内でビタミンAに変換される特徴があり、視力や皮膚の健康維持にも効果が期待できます。
カリウム
カリウムは体内の細胞を正常に機能させる作用があるミネラルです。他にも疲労回復や利尿作用などの効果もあります。カリウムは足りなくなってしまうと「低カリウム血症」、多く摂りすぎてしまうと「高カリウム血症」を引き起こすので、カリウムの摂取量には気を付けましょう。
ビタミンK
ビタミンKは血液を固めたり、骨にカルシウムが沈着させる作用があります。犬の身体の中でも作り出すことができるビタミンですが、一般的には必要な量を作り出せないため、食事から摂取しなければいけません。
スイカを犬が食べた際の犬への効果・影響
スイカの約9割は水分なので、愛犬の水分補給にピッタリです。暑さが厳しい時期の夏バテ予防にも効果が期待できるため、スイカで暑い夏を乗り越えましょう。あまり水を飲みたがらない犬でも、スイカ本来の甘みがあるので美味しく水分補給してくれると思います。更に、犬の健康をサポートするビタミンやミネラルが豊富に含まれているため、夏バテ予防にはピッタリの食材です。愛犬の食欲が落ちている場合は、いつもご飯にスイカをトッピングしてあげると食いつきUP効果も期待できます。
犬に与えてよいスイカの量は?
小型犬の場合 | 20g〜90g程度 |
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中型犬の場合 | 100g〜150g程度 |
大型犬の場合 | 150g〜250g程度 |
子犬の場合 | 月齢や成長度合いによっては消化器官が発達しきっていない可能性もあるため、基本的には与えない方が良いでしょう。どうしても与えたい場合は少量にしておきましょう。 |
老犬の場合 | 老犬と一括りに言っても、健康状態は様々ですので愛犬の体調によって与える量を決めましょう。ただ、成犬の頃よりも消化器官が弱っているケースが多いため、子犬と同様に少量だけ与えるようにしてください。 |
犬にスイカを与える際の注意点
スイカのおすすめの与え方
犬にスイカを与える際は必ず皮を剥いて種を取り除く!
スイカの皮と種は硬いため犬では消化しきれません。与えてしまうと胃や腸などにダメージを与える恐れがあるだけでなく、皮や種が詰まって「腸閉塞」などを引き起こす危険性もあります。皮と種を取り除いて愛犬が食べやすいように小さくカットして与えてください。大きいと喉を詰まらせる可能性があるため、喉に詰まらない大きさになるように意識しましょう。また、キンキンに冷えているスイカを与えると健康な犬でもお腹を壊す可能性もあるので、少し常温に戻してから与えるのがオススメです。
犬のスイカアレルギーには注意が必要です。
人間と同じように犬にもスイカアレルギーが発症するケースがあります。スイカを初めて与える場合は少量だけ与えて体調に変化がないかを注意深くチェックしてください。また、症状を発症するまでの時間や症状の程度、アレルギーを引き起こす量などは犬によってそれぞれ異なります。少量のスイカを与えて問題がなかったからといって急に量を増やすと、アレルギーを引き起こす場合もあるので、たまに与えるご褒美という気持ちで少し与えるのが良いでしょう。
犬のスイカアレルギー症状の一例
- 身体を異常に痒がる
- 下痢や嘔吐
- 皮膚の赤みなど
上記のアレルギー症状以外にも、愛犬に何かしらの違和感を感じた場合は出来るだけ早く獣医師に相談してください。
与えすぎない!
スイカに限りませんが、与えすぎは健康トラブルの原因です。特にスイカは水分量が多いため、下痢などを引き起こす可能性があります。
加工したスイカ・味付けはNG!
人間用に加工されたスイカの食べ物は、塩分や糖分が多く含まれているため与えないようにしてください。同じ理由で、愛犬にスイカを与える時は味付けをせずに与えてあげましょう。
犬の尿管結石にスイカを与えてはダメ?それとも予防になる?
犬の尿管結石の飼い主さんがよく気にされるのが、犬の尿管結石にスイカを与えて良いのか、ダメなのか。
スイカに含まれている「マグネシウム」は、筋肉の伸縮に必要な成分のため、適量であれば良い働きをしてくれるため、積極的にとりいれていきたい成分なのですが、これまではマグネシウムを大量に摂取すると「ストルバイト結石(尿管に詰まる結石)」が作られやすくなると言われてきました。
そのため、尿管結石の持病がある犬にはスイカを与えない方がよいという情報をご存知の飼い主さんも多いかとおもいます。
ところが、最近の研究ではスイカのエキスを摂取することで尿路結石を予防する可能性があるといけ論文も(出典:https://plaza.umin.ac.jp/j-jabs/39/39.282.pdf)。この研究では水分やカリウム、シトルリンを多量に含んでいるスイカを摂取することで、尿量が増加し結石の形成を予防できるのでないかということが述べられています。
実際は、与えない方が良い、予防できるので与えた方が良いというどちらの説もあるというのが現状です。現在愛犬が尿管結石で心配な方は、かかりつけ動物病院に相談してからスイカを与えるようにしましょう。
腎臓が悪い犬にスイカは与えないこと
腎臓に何かしらの健康トラブルがある場合(腎臓病など)は、スイカなどのカリウムが多く含まれる食材を与えないように注意する必要があります。
腎臓が弱っている犬にとっては、スイカの水分とカリウムが負担になります。
腎臓の力が落ちているために、水分やカリウムが尿へきちんと排泄できず、むくみや高カリウム血症を引き起こしてしまうこともあるので、腎臓病などの病気を持つ犬の場合は、獣医師にスイカを与えても問題ないか、どの程度なら与えても良いのかを確認してください。
スイカを使った夏バテ予防レシピのご紹介!「すいかとトマトのジュース」
こちらは犬のおやつのレシピです。作りやすい分量でご紹介しています。食べ過ぎはおなかを壊す原因にもなります。特に夏に旬を迎える食材は体を冷やすものが多い為、与えすぎには注意しましょう。
準備する材料
すいかとトマトのジュース | |
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すいか | 30g |
ミニトマト | 1個 |
ミントの葉 (あれば) |
1~2枚 |
完成品全体で約15kcalです。
作り方
- 【STEP 1】すいかの種を取り、ミニトマトと一緒にミキサーに入れます。
- 【STEP 2】ミキサーでジュースにします。
- 【STEP 3】なめらかになるまで、しっかりと混ぜたら容器に注ぎ入れます。
- 【STEP 4】あればミントの葉を飾って完成です。
ミキサーをお持ちでない場合や使うのが面倒な場合は、すいかとミニトマトを小さな角切りにして、和えてお皿に盛り付けるだけでもOK!
ジュースも角切りバージョンも、レシピとは言えないほどの簡単なものですが、すいかとトマトのチカラで夏の暑い日にぴったりのおやつです。食材自体に体の余計な熱を取ってくれる働きがありますので、常温でOK。キンキンに冷たい食べ物は胃腸を冷やし、夏バテの原因になることもあります。ただし、常温であっても食べすぎには十分に注意しましょう。
漢方では皮も種も使われ、捨てるところがないと言われるほどに、体の熱をとり、むくみをとる効果が強いすいか。夏バテ予防、熱中症予防にはもってこいですが、効果が強い分、注意も必要です。今回のレシピでの完成量は、健康であれば、体重5キロ程度の小型犬でも一度に摂って問題ないかと思います。
まとめ
スイカを食べて愛犬と共に季節を感じられるのは、飼い主としても嬉しいですよね。与える方法と量をきちんと守って、愛犬の夏バテ防止にも役立ててください。
Adviser
星野 崇希(ホシノ タカキ)
「Petime.Plus」代表。愛犬2匹と暮らすペットの専門家。犬の管理栄養士や愛玩動物救命士、ペット防災アドバイザーなどペットに関する資格を多数保有。ペットフードやペット商品の監修、ペット事業のコンサルティング等を通じて、「飼い主さんとペットの幸せが1%でも増えるお手伝いをしたい」という想いで活動しております。
犬に食材を与える際の注意点
その食材が犬に与えて良いものかどうかを調べましょう。
食材には以下の4つのパターンがあります。食材を与える際にはそれがどれにあたるかを把握する必要があります。
01.中毒・アレルギーを起こす絶対に与えてはいけない食べ物。
犬に与えると「テオブロミン」という成分が、嘔吐や下痢などの中毒症状を引き起こすチョコレート、「アリルプロピルジスルフィド」という成分が、貧血症状や下痢、嘔吐を引き起こすねぎや玉ねぎ。それ以外にもぶどう・レーズンや、アボカド、マカダミアナッツ・クルミ、キシリトールなど、食材の中には犬に与えると重篤な症状を引き起こすものがあります。
犬に手作りご飯や食材トッピングなどをする際は必ずこの犬に与えてはいけない食材を把握しておくようにしましょう。下記の記事でも詳しく解説しておりますので、参考にしてみてください。
02.与える際に注意が必要な食べ物
食材の中には基本的には与えても大丈夫ですが、与え方によっては注意が必要なものがあります。例えばじゃがいも。じゃがいもは犬に与えても大丈夫ですが、じゃがいもの芽や皮には「ソラニン」「チャコニン」という毒素が含まれていますので、与える際には芽や皮をしっかり取り除く必要があります。また、豚肉や刺身なども犬に与えて良い食材ですが、生の豚肉を食べると細菌やウイルスに感染してしまうリスクがありますし、人間用として処理された刺身は犬に与えても大丈夫ですが、食中毒などの危険性があるため、なるべく加熱してから与える方が良いでしょう。
それ以外にも、魚を与える際は骨をとる、野菜・果物を与える際は種やヘタを取り除くなど、食べられる食材の中にも与え方によって注意が必要な食べ物もあります。
03.人用に加工された食べ物
たとえば、その食材自体は食べさせられるものであったとしても、ジュースや缶詰、ドライフルーツ、ジャーキーなど人用に加工されたものは、油や調味料、糖分などが多く含まれており、犬に与えない方が良いものがほとんどです。食材は与えて大丈夫なものでも、与える前には人用に加工されたものではないか確かめるようにしましょう。
04.健康な成犬に与えても大丈夫な食べ物
犬に与えても大丈夫な食べ物もあります。ただし、子犬や老犬に与える際には小さく刻んだり、茹でて柔らかくして与えてあげましょう。また持病のある犬については特に注意が必要です。新しい食材を与える前にはかかりつけの獣医師さんに相談してから与えるようにしましょう。また、元気な成犬でも与える量については注意が必要です。どんな食べ物も食べ過ぎには注意しましょう。適度な量を愛犬に合わせて少しずつ与えてあげるようにしましょう。
フードに食材をトッピングする際の注意点
いつものフードに食材をトッピングしている飼い主さんも多いのではないでしょうか?トッピングがうまく活用することで足りない栄養素を補えたり、愛犬のフードの食いつきを高めることができます。ただし、与える際には下記のことに注意が必要です。注意すべき食材や栄養バランス、摂取量に十分注意しながら、上手にバランスの良い食事を心がけましょう!
処理やサイズなど与え方に注意を。
特にトッピングする際には、愛犬が喉に詰まらせないよう食べやすい大きさにカットして与えるようにしましょう。固い野菜などは茹でて柔らかくしてかけてあげたり、すりおろしてあげるのもおすすめです。また果物や野菜をトッピングする際には、皮や芯、種やヘタをしっかり取り除いてからあげましょう。特に種や芯には、犬が中毒を引き起こす成分が含まれる場合があるのでしっかりした下処理が大切です。
フードと合わせたカロリーバランスを考える。
フードに混ぜて、トッピングする場合のトッピングの適正量は多くても1日の摂取カロリーの10%までといわれています。
愛犬に与えているフードのカロリーや栄養素を調べ、愛犬の体重と年齢などに合わせ1日の栄養・カロリーがトッピングと合わせてバランスよくなるように調整することが大切です。心配な場合は与えている量とトッピングの内容をかかりつけ動物病院の先生に相談してみましょう。
初めて与える食材は少しずつ
どんな食材でも犬によってはアレルギーを起こす可能性があります。初めて与える食材の場合は少量を与え体調の変化がないかを見るようにしましょう。特に持病のある犬については特に注意が必要です。新しい食材を与える前にはかかりつけの獣医師さんに与えて大丈夫か相談してから与えるようにしましょう。