本記事はペット管理栄養士が執筆・監修を行っております。
犬は梨を食べても大丈夫です。犬に梨を与える場合の注意点や与える量、そして犬の梨アレルギー、腎臓への影響などについてペット栄養管理士が解説します。
梨は犬に食べさせても大丈夫。
基本的に「梨」は愛犬に食べさせても大丈夫な果物です。梨には犬の健康に有益な栄養成分も含まれており、食べても問題はありません。
特に夏場などの暑い季節には良い水分の補給にもなり、犬の夏バテや脱水症状の予防にもおすすめです。
梨が市場に出回り始めるのは、7月ごろからになるため、ちょうど夏バテ気味の犬には役立つでしょう。
梨はそのほとんどが水分を占めているので、犬に食べさせても問題ありません。ただし、もちろん与えすぎは禁物です。梨はカリウムを多く含む果物です。 カリウムには利尿作用があるため、梨を食べた犬は普段よりおしっこの量が多くなる可能性があります。また梨の皮や芯は与えずに、取り除いてあげましょう。
また梨でアレルギーを起こす犬も稀にいますので、初めて愛犬に与える際には少しの量を与えて様子を見てからにしましょう。万が一アレルギーが出た場合にはすぐにかかりつけ動物病院に相談しましょう。
梨に限らずですが、もちろん与えすぎは禁物です、食べすぎは体に悪影響を及ぼします。愛犬のサイズに合わせながら、愛犬とコミュニケーションを取りつつあげるのもよいでしょう。
犬に梨を与えた際の効果
梨は犬にとっても利尿作用、水分補給、整腸作用 などの効果があります。
また梨には下記の栄養成分が含まれています。
食物繊維
梨は水に溶ける食物繊維を含みます。この水溶性食物繊維は、腸内環境を改善させ、正常な腸の機能を保ちます。
アスパラギン酸
アミノ酸の一種で利尿作用があります。
クエン酸
クエン酸は体内に入ってきた糖分をエネルギーに代えて、カルシウムやミネラルを吸収しやすくする働きをもつ栄養素です。
リンゴ酸
有機酸であるリンゴ酸は、疲労回復をサポートする働きや、炎症を鎮める作用が認められています。
犬に与えてもよい梨の量は?
小型犬の場合 | 60g(1/5) |
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中型犬の場合 | 75g(1/4) |
大型犬の場合 | 100g(1/3) |
子犬の場合 |
30g (1/10) 愛犬の様子を見ながら少しずつから与えてみましょう。 |
老犬の場合 |
30g (1/10) 愛犬の様子を見ながら少しずつから与えてみましょう。 |
犬に梨を与える際の注意点
犬に梨を与える際は必ず皮や芯、種を取り除き小さくカットして果肉のみを与えましょう!
梨は犬が食べても大丈夫な果物です。
ただし、皮や芯は消化しにくい上に、丸ごと食べると、喉に詰まって窒息する恐れがあります。
特に小型犬やシニア犬には皮と芯を取り除いて、小さくカットしたものを与えてください。する潰して与えるのもおすすめです。
また、梨の種には、わずかですがアミグダリンという犬の中毒を引き起こす成分が含まれていますので与えないように注意してあげてください。万が一、種を食べてしまい、様子がおかしい場合はすぐにかかりつけの動物病院に相談しましょう。
犬の梨アレルギーに注意しましょう!
稀にですが梨でアレルギーを起こす犬もいます。食べた後に、下痢・嘔吐・食欲不振、また口周りなどのかゆみや違和感が出た場合は、アレルギーの可能性もあります。
また、症状を発症するまでの時間や症状の程度、アレルギーを引き起こす量などは犬によってそれぞれ異なります。少量の梨を与えて問題がなかったからといって急に量を増やすと、アレルギーを引き起こす場合もあるので、たまに与えるご褒美という気持ちで少し与えるのが良いでしょう。
初めて犬に梨をあげる際には様子を見ながら与え、もしも上記の症状があった場合は、それ以上与えないようにしてすぐにかかりつけ動物病院に相談するようにしましょう。アレルギー症状以外にも、愛犬に何かしらの違和感を感じた場合は出来るだけ早く獣医師に相談してください。
腎臓など持病のある犬の場合は事前に獣医師に相談しましょう
梨はカリウムを多く含む果物です。 カリウムには利尿作用があるため、梨を食べた犬は普段よりおしっこの量が多くなる可能性があります。また、シニア犬や腎臓や心臓に持病を持つ犬がカリウムを多く摂取した場合、「高カリウム血症」になってしまう場合もあります。持病のある犬は、与える前に獣医師に相談しましょう。
子犬や老犬にはすりおろした梨を与えましょう
丸ごと食べると、喉に詰まって窒息する恐れがありますので、子犬やシニア犬には、すりおろした梨を与えるのがおすすめです。
便通改善や夏バテの水分補給に!ただし与えすぎには注意を!
梨には食物繊維が多く含まれています。シャリシャリした食感は、「石細胞」とよばれる食物繊維の一種によるものです。これを便秘気味の犬が食べると、便通の改善が期待できます。しかし食べ過ぎるとお腹を壊すので注意しましょう。
また、夏バテの犬の水分補給にもおすすめですが、同様に与える量には注意が必要です。
犬に梨の缶詰やゼリー、ジュースなど加工品を与えないようにしましょう。
生の梨は愛犬に与えても問題ありませんが、梨のジャム、ジュース、ゼリーなど梨の加工品には注意が必要です。人間用に加工された缶詰やゼリーなどには加工品には砂糖やシロップが多量に使用されているため、糖分が多く、カロリーオーバーで肥満の原因にもなるので犬に与えるのはやめましょう。
また、梨のグミやガムなどの加工品には、犬が中毒を起こす成分であるキシリトールが配合されていることもありますので与えないよう注意しましょう。
まとめ
梨シャリシャリとした食感は、リグニンやペントザンという成分からできた石細胞によるもので、体内に入ると食物繊維と同じ働きをし、整腸作用もあるソルビートも含まれているため便通改善にも役立ちます。
漢方的視点から見ても、薬膳食材として梨は水分がとても多く体を潤す作用があるため、喉の乾燥・口内炎・空咳・痰が出る方にも有効とされていますので、空気が乾燥して空咳が出そうだなという時に、梨を食べるのがおすすめです。また、胃の弱い子などには梨を温めると、冷やす効果を和らげることができるので焼いたり、煮たりし柔らかくして与えるのもよいですね。
是非、愛犬のおやつやトッピングに上手に梨を活用していきましょう!
Adviser
伊藤 悦子さん
麻布大学獣医学部環境畜産学科(現・動物応用科学科)出身。ペット栄養管理士・家畜人工授精師(牛)資格所持。動物医療発明研究会会員。NPO法人「NEWSつくば」記者。犬は5匹、猫は6匹の他にモルモットやセキセイインコ、文鳥たちと暮らしてきました。現在は17歳になる茶トラの猫「りんごちゃん」がいます。人とペットの幸せを願って執筆しています。