犬がメロンを食べても大丈夫です。また犬へメロンを与える場合の注意点や与える量、そして犬のメロンアレルギーなどについて解説します。
マスクメロンや夕張メロンなど種類も多く、甘くて美味しいメロンは、大好きな方も多いのではないでしょうか。そんなメロンは、野菜か果物、どちらかご存知ですか?
1年生の草本植物で、栽培方法が野菜と同じメロンは、農林水産省では野菜に分類されているんです。メロン以外にも、スイカやいちごもなど野菜に分類されるものがあり、このようなものを「果実的野菜」といいます。
アフリカ大陸が原産のメロンは紀元前2000年ごろから栽培されていて、西に広がった品種群をメロン、東に広がった品種を昔は瓜と呼んでいました。日本では大正末期に温室栽培が成功してからメロンが市場に流通し始めました。カリウムがスイカの3倍も多く含まれているため、利尿作用が高く余分な塩分を排出し、高血圧予防やむくみ解消にも効果があると、特に夏には日本でもお馴染みの野菜です。
メロンは、果肉の色から「青肉」「赤肉」「白肉」の3種類に分類され、とても香り高く、ジューシーで品のある甘さが特徴で、旬は春~夏になります。メロンの見た目の特徴である皮の網目は、果肉が肥大するときに皮がはじけてヒビができ、そのヒビがかさぶた状になったものです。この網目(ネット)があるものとないもので、ネット系、ノーネット系と分けられています。有名な「夕張メロン」はネット系メロンで、濃厚な甘味で香りが強くとても人気ですよね。
メロンの栄養素や成分、愛犬に与える際の注意点や与える場合の量について、犬の管理栄養士マスターが解説しますので一緒に勉強していきましょう。
ANSWER メロンは愛犬に食べさせても大丈夫な果物です
基本的に「メロン」は愛犬に食べさせても大丈夫な果物です。成分的にも犬にとって中毒症状を引き起こすものは含まれていないため、メロンアレルギーを持つ犬でなければ食べても問題はありません。また、メロンは体内の水分調整を行うカリウムや、疲労回復効果のあるビタミンCが含む他、水分が非常に多く約90%を占めるため、暑い夏など犬の食欲がない際にもおすすめの果物です。
ただし、メロンはスイカやきゅうりなどと同じウリ科の植物でもありますので、ウリ科の果物や野菜にアレルギーがあるワンコにが注意が必要です。
またメロンに限らずですが、もちろん与えすぎは禁物です。愛犬のサイズに合わせながら、愛犬とコミュニケーションを取りつつあげるのもよいでしょう。
メロンの主な栄養素・成分
カリウム
体内の水分調整を行い、ナトリウム(塩分)を体外に排出する働きがある成分。血圧を下げる効果や、腎臓病の予防効果が期待できます。
ビタミンC
ビタミンCは疲労回復効果や肌の健康を維持する効果だけではなく、抗酸化作用、抗ストレス効果、免疫力アップなどの効果もあると言われています。皮膚疾患に悩んでいる愛犬や、老犬に補ってあげると良い栄養素です。
クエン酸
クエン酸は体内に入ってきた糖分をエネルギーに代えて、カルシウムやミネラルを吸収しやすくする働きをもつ栄養素です。
ペクチン
水溶性の食物繊維です。食物繊維は腸内で善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える働きをします。
メロンを犬が食べた際の犬への効果・影響
- 利尿作用
- 水分補給
- 整腸作用 など
メロンを犬に食べさせる際の注意点
犬にメロンを与える際は皮、種をのぞいて果肉のみ与えましょう
メロンの皮や種は意外と固く消化されにくいため、皮は厚めに剥き、種もていねいに取り除き、果肉部分のみを食べやすい大きさにカットして与えましょう。子犬や老犬の場合は特に小さめにカットしてあげるとよいでしょう。
愛犬がメロンを吐いた場合はすぐ病院に相談を
「愛犬にメロンを与えたら嘔吐してしまった!」という飼い主さんの声をよく聞くことがありますが、これはメロンに含まれる「ククルビタシン」という成分が嘔吐や下痢と胃いった中毒を引き起こすためと言われています。万が一、愛犬がメロンを食べた後に嘔吐や下痢をした場合は速やかにかかりつけ動物病院に相談しましょう!
持病のある犬には与えない
カリウムは、人間にとっても犬にとっても、バランスが大切なミネラルです。腎臓病などで腎臓の働きが低下すると、それによってカリウムを正常に排出できず、高カリウム血症などを引き起こすこともあります。腎臓病や高カリウム血症など、持病のある犬の場合は、必ず与える前に獣医師に相談しましょう。
与える量は適度に!
メロンのおよそ90%が水分で、水分補給に向いていますが食べ過ぎるとお腹を壊してしまいます。
メロンの量は、1日に必要とする摂取するエネルギー量の約10%に収まる程度にしてください。
犬のメロンアレルギーに注意しましょう!
メロンには少量ですが、タンパク質が含まれているため、食物アレルギーを起こしてしまう可能性もあります。メロンを初めて与える場合は少量だけ与えて体調に変化がないかを注意深くチェックしてください。また、症状を発症するまでの時間や症状の程度、アレルギーを引き起こす量などは犬によってそれぞれ異なります。少量のメロンを与えて問題がなかったからといって急に量を増やすと、アレルギーを引き起こす場合もあるので、たまに与えるご褒美という気持ちで少し与えるのが良いでしょう。
犬のアレルギー症状の一例
- メロンを食べたあと、口の周囲をかゆがる。
- メロンを食べたあと、嘔吐する。
上記のアレルギー症状以外にも、愛犬に何かしらの違和感を感じた場合は出来るだけ早く獣医師に相談してください。
犬にメロンパンは与えてもいいの?
犬が間違って飼い主さんのメロンパンを食べてしまった!そんな相談が動物病院にもたまにあるそうです。メロンパン自体には、犬が食べて中毒を起こすような成分は含まれていないので、食べても実は問題ありません。
ただし、ご存知の通り「人間用のメロンパン」には人用の食べ物のため、表面に砂糖が付いていたり、生地に大量の砂糖や塩分、バターなどが使用されています。少しであれば大丈夫ですが、大量に与えるのは控えましょう。間違って大量に食べてしまった場合はすぐにかかりつけの動物病院に相談しましょう。
Adviser
伊藤 悦子さん
麻布大学獣医学部環境畜産学科(現・動物応用科学科)出身。ペット栄養管理士・家畜人工授精師(牛)資格所持。動物医療発明研究会会員。NPO法人「NEWSつくば」記者。犬は5匹、猫は6匹の他にモルモットやセキセイインコ、文鳥たちと暮らしてきました。現在は17歳になる茶トラの猫「りんごちゃん」がいます。人とペットの幸せを願って執筆しています。
犬に食材を与える際の注意点
その食材が犬に与えて良いものかどうかを調べましょう。
食材には以下の4つのパターンがあります。食材を与える際にはそれがどれにあたるかを把握する必要があります。
01.中毒・アレルギーを起こす絶対に与えてはいけない食べ物。
犬に与えると「テオブロミン」という成分が、嘔吐や下痢などの中毒症状を引き起こすチョコレート、「アリルプロピルジスルフィド」という成分が、貧血症状や下痢、嘔吐を引き起こすねぎや玉ねぎ。それ以外にもぶどう・レーズンや、アボカド、マカダミアナッツ・クルミ、キシリトールなど、食材の中には犬に与えると重篤な症状を引き起こすものがあります。
犬に手作りご飯や食材トッピングなどをする際は必ずこの犬に与えてはいけない食材を把握しておくようにしましょう。下記の記事でも詳しく解説しておりますので、参考にしてみてください。
02.与える際に注意が必要な食べ物
食材の中には基本的には与えても大丈夫ですが、与え方によっては注意が必要なものがあります。例えばじゃがいも。じゃがいもは犬に与えても大丈夫ですが、じゃがいもの芽や皮には「ソラニン」「チャコニン」という毒素が含まれていますので、与える際には芽や皮をしっかり取り除く必要があります。また、豚肉や刺身なども犬に与えて良い食材ですが、生の豚肉を食べると細菌やウイルスに感染してしまうリスクがありますし、人間用として処理された刺身は犬に与えても大丈夫ですが、食中毒などの危険性があるため、なるべく加熱してから与える方が良いでしょう。
それ以外にも、魚を与える際は骨をとる、野菜・果物を与える際は種やヘタを取り除くなど、食べられる食材の中にも与え方によって注意が必要な食べ物もあります。
03.人用に加工された食べ物
たとえば、その食材自体は食べさせられるものであったとしても、ジュースや缶詰、ドライフルーツ、ジャーキーなど人用に加工されたものは、油や調味料、糖分などが多く含まれており、犬に与えない方が良いものがほとんどです。食材は与えて大丈夫なものでも、与える前には人用に加工されたものではないか確かめるようにしましょう。
04.健康な成犬に与えても大丈夫な食べ物
犬に与えても大丈夫な食べ物もあります。ただし、子犬や老犬に与える際には小さく刻んだり、茹でて柔らかくして与えてあげましょう。また持病のある犬については特に注意が必要です。新しい食材を与える前にはかかりつけの獣医師さんに相談してから与えるようにしましょう。また、元気な成犬でも与える量については注意が必要です。どんな食べ物も食べ過ぎには注意しましょう。適度な量を愛犬に合わせて少しずつ与えてあげるようにしましょう。
フードに食材をトッピングする際の注意点
いつものフードに食材をトッピングしている飼い主さんも多いのではないでしょうか?トッピングがうまく活用することで足りない栄養素を補えたり、愛犬のフードの食いつきを高めることができます。ただし、与える際には下記のことに注意が必要です。注意すべき食材や栄養バランス、摂取量に十分注意しながら、上手にバランスの良い食事を心がけましょう!
処理やサイズなど与え方に注意を。
特にトッピングする際には、愛犬が喉に詰まらせないよう食べやすい大きさにカットして与えるようにしましょう。固い野菜などは茹でて柔らかくしてかけてあげたり、すりおろしてあげるのもおすすめです。また果物や野菜をトッピングする際には、皮や芯、種やヘタをしっかり取り除いてからあげましょう。特に種や芯には、犬が中毒を引き起こす成分が含まれる場合があるのでしっかりした下処理が大切です。
フードと合わせたカロリーバランスを考える。
フードに混ぜて、トッピングする場合のトッピングの適正量は多くても1日の摂取カロリーの10%までといわれています。
愛犬に与えているフードのカロリーや栄養素を調べ、愛犬の体重と年齢などに合わせ1日の栄養・カロリーがトッピングと合わせてバランスよくなるように調整することが大切です。心配な場合は与えている量とトッピングの内容をかかりつけ動物病院の先生に相談してみましょう。
初めて与える食材は少しずつ
どんな食材でも犬によってはアレルギーを起こす可能性があります。初めて与える食材の場合は少量を与え体調の変化がないかを見るようにしましょう。特に持病のある犬については特に注意が必要です。新しい食材を与える前にはかかりつけの獣医師さんに与えて大丈夫か相談してから与えるようにしましょう。