本記事は獣医師やペット栄養管理士が執筆・監修を行っております。
私たちが普段から口にしているさまざまな食材。この果物を愛犬にあげたいな、この野菜は犬が食べても平気なのかな?そんなことを思ったことのある飼い主さんも多くいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事ではそんな疑問を解決する愛犬に食べさせることのできる食材の中から、「熱を下げる性質の食材」をご紹介します。東洋医学の分類では、食材を「陽性」「陰性」「平性」に分類しますが、「体温を下げる食材」はこの中の「陰性」にあたります。陰性の食材には、カリウムと水分が多いものがほとんど。カリウムと水分が多く含まれると利尿作用があがり、 尿と共に熱を一緒に排出してくれるため、体温を下げる効果が期待できます。
真夏を乗り切るために、いつものトッピングに陰性の食材を入れて、気持ちよく夏を乗り越えていきましょう!
犬に食材を与える際の注意点

その食材が犬に与えて良いものかどうかを調べましょう。
食材には以下の4つのパターンがあります。食材を与える際にはそれがどれにあたるかを把握する必要があります。
01.中毒・アレルギーを起こす絶対に与えてはいけない食べ物
犬に与えると「テオブロミン」という成分が、嘔吐や下痢などの中毒症状を引き起こすチョコレート、「アリルプロピルジスルフィド」という成分が、貧血症状や下痢、嘔吐を引き起こすねぎや玉ねぎ。それ以外にもぶどう・レーズンや、アボカド、マカダミアナッツ・クルミ、キシリトールなど、食材の中には犬に与えると重篤な症状を引き起こすものがあります。
犬に手作りご飯や食材トッピングなどをする際は必ずこの犬に与えてはいけない食材を把握しておくようにしましょう。下記の記事でも詳しく解説しておりますので、参考にしてみてください。
02.与える際に注意が必要な食べ物
食材の中には基本的には与えても大丈夫ですが、与え方によっては注意が必要なものがあります。例えばじゃがいも。じゃがいもは犬に与えても大丈夫ですが、じゃがいもの芽や皮には「ソラニン」「チャコニン」という毒素が含まれていますので、与える際には芽や皮をしっかり取り除く必要があります。また、豚肉や刺身なども犬に与えて良い食材ですが、生の豚肉を食べると細菌やウイルスに感染してしまうリスクがありますし、人間用として処理された刺身は犬に与えても大丈夫ですが、食中毒などの危険性があるため、なるべく加熱してから与える方が良いでしょう。
それ以外にも、魚を与える際は骨をとる、野菜・果物を与える際は種やヘタを取り除くなど、食べられる食材の中にも与え方によって注意が必要な食べ物もあります。
03.人用に加工された食べ物
たとえば、その食材自体は食べさせられるものであったとしても、ジュースや缶詰、ドライフルーツ、ジャーキーなど人用に加工されたものは、油や調味料、糖分などが多く含まれており、犬に与えない方が良いものがほとんどです。食材は与えて大丈夫なものでも、与える前には人用に加工されたものではないか確かめるようにしましょう。
04.健康な成犬に与えても大丈夫な食べ物
犬に与えても大丈夫な食べ物もあります。ただし、子犬や老犬に与える際には小さく刻んだり、茹でて柔らかくして与えてあげましょう。また持病のある犬については特に注意が必要です。新しい食材を与える前にはかかりつけの獣医師さんに相談してから与えるようにしましょう。また、元気な成犬でも与える量については注意が必要です。どんな食べ物も食べ過ぎには注意しましょう。適度な量を愛犬に合わせて少しずつ与えてあげるようにしましょう。
フードに食材をトッピングする際の注意点
いつものフードに食材をトッピングしている飼い主さんも多いのではないでしょうか?トッピングがうまく活用することで足りない栄養素を補えたり、愛犬のフードの食いつきを高めることができます。ただし、与える際には下記のことに注意が必要です。注意すべき食材や栄養バランス、摂取量に十分注意しながら、上手にバランスの良い食事を心がけましょう!
処理やサイズなど与え方に注意を。
特にトッピングする際には、愛犬が喉に詰まらせないよう食べやすい大きさにカットして与えるようにしましょう。固い野菜などは茹でて柔らかくしてかけてあげたり、すりおろしてあげるのもおすすめです。また果物や野菜をトッピングする際には、皮や芯、種やヘタをしっかり取り除いてからあげましょう。特に種や芯には、犬が中毒を引き起こす成分が含まれる場合があるのでしっかりした下処理が大切です。
フードと合わせたカロリーバランスを考える。
フードに混ぜて、トッピングする場合のトッピングの適正量は多くても1日の摂取カロリーの10%までといわれています。
愛犬に与えているフードのカロリーや栄養素を調べ、愛犬の体重と年齢などに合わせ1日の栄養・カロリーがトッピングと合わせてバランスよくなるように調整することが大切です。心配な場合は与えている量とトッピングの内容をかかりつけ動物病院の先生に相談してみましょう。
初めて与える食材は少しずつ
どんな食材でも犬によってはアレルギーを起こす可能性があります。初めて与える食材の場合は少量を与え体調の変化がないかを見るようにしましょう。特に持病のある犬については特に注意が必要です。新しい食材を与える前にはかかりつけの獣医師さんに与えて大丈夫か相談してから与えるようにしましょう。
愛犬が食べられる熱を下げる陰性の食材
きゅうり

きゅうりは犬の健康に害を及ぼす成分が含まれていないため、与えても大丈夫な野菜です。特に水分が多いため、きゅうりを与えたことが直接太る原因にはならず、きゅうりに含まれるさまざまな成分が犬の健康維持に役立つといわれています。
ただし、人間と違って食物繊維の消化が苦手な犬は、食物繊維を大量に摂取すると消化不良を引き起こす可能性があります。一度下痢になるとその食材に拒否反応を示す犬もいるため、一気にご飯皿にのせるのではなく、まずは様子を見ながら少しずつ与えていきましょう。
また、きゅうりの皮は食べても問題ありませんが、中の部分よりも消化しにくく、食べ過ぎると消化不良を引き起こすため取り除くようにしましょう。ミキサーにかけるのもおすすめです。
梨

夏場などの暑い季節には良い水分の補給にもなり、犬の夏バテや脱水症状の予防にもおすすめの食材です。梨はそのほとんどが水分を占めているので、犬に食べさせても問題ありません。ただし、もちろん与えすぎは禁物です。梨はカリウムを多く含む果物です。 カリウムには利尿作用があるため、梨を食べた犬は普段よりおしっこの量が多くなる可能性があります。
また、皮や芯は消化しにくい上に、丸ごと食べると、喉に詰まって窒息する恐れがあります。 特に小型犬やシニア犬には皮と芯を取り除いて、小さくカットしたものを与えてください。する潰して与えるのもおすすめです。梨の種には、わずかですがアミグダリンという犬の中毒を引き起こす成分が含まれていますので与えないように注意してあげてください。万が一、種を食べてしまい、様子がおかしい場合はすぐにかかりつけの動物病院に相談しましょう。
トマト

トマトは非常に栄養が豊かで、抗酸化ビタミンであるビタミンC、βカロテン、ビタミンEをそれぞれ豊富に含み、これらによる強い抗酸化力は老化防止や免疫力UPにも期待できます。また、トマトの色は赤い色素のリコピンの色で、リコピンはトマトやスイカなどの限られた野菜にしか含まれていません。このリコピンも非常に強い抗酸化力を持ち、がんや心疾患、血管疾患など生活習慣病の予防効果や、脂肪肝や高脂血症を改善する効果もあると考えられています。薬膳的には、体の余計な熱をとりほてりを改善し、夏バテ防止にも役立ちます。
またトマトは加熱することで、リコピンの吸収率がアップします。さらに火を通すことでやわらかくなるため、犬にとっても食べやすくなるでしょう。温めた場合にはしっかりと冷まして与えてあげましょう。
茄子

犬の健康に役立つ栄養素が豊富に含まれているナスは、犬に与えても大丈夫な野菜です。カリウムやナスニンなどの栄養素が豊富に含まれているので、犬の健康を促進する効果が期待できます。また、ナスに含まれる成分のうち約93%は水分です。夏バテ気味で水を飲もうとしない愛犬や、一日の飲水量が減ってきたシニア犬の水分補給としても役立つでしょう。
ただし、ナスの葉や茎にはアルカロイドと呼ばれる自然毒が含まれているため、与えてはいけません。また、犬が生のナスを食べると胃や腸に負担をける危険性があります。必ず、加熱してから与えてください。
馬肉

ドックフードやジャーキーなどといったおやつとしても人気の馬肉。100gあたり110kcalで高タンパク、低脂質といった特徴があります。ダイエットが必要な場合や代謝の低下した高齢犬の肥満予防にも適しているといわれています。馬肉は摂取することで体温を下げる効果があると言われているので、夏に与えるのにぴったり。
ただし、馬の生肉には「ザルコシスティス・フェアリー」という、犬と馬に寄生する寄生虫が存在している可能性があり、馬刺しを食べた人が下痢や嘔吐などの症状を訴えたという事例が報告されています。寄生虫は冷凍処理をすることで死滅するため、愛犬に馬肉を与える際は冷凍処理されている商品を選び、念のため加熱して与えるようにしましょう。
ゴーヤ

ゴーヤは、犬にとって胃の働きを助け、夏場の食欲減退を解消することが期待できる食材です。
与える際には、消化しやすいよう加熱してから与えましょう。また、油で炒めると脂質を取り過ぎるおそれがあるため、茹でるか電子レンジで温めるのがおすすめです。繊維が多く、そのまま与えると消化されないおそれがあります。みじん切りや薄切りよりも、すりおろしたものや絞り汁を与えるほうが、愛犬にも負担がかからないのでおすすめです。
ゴーヤ中には、種とワタが入っています。これらは犬にとって消化しにくいものなので、必ず取り除いてから与えましょう。苦みのあるゴーヤは、香りも独特です。この香りを嫌う犬もいるため、愛犬が香りを嫌がるようであれば、無理に与える必要はありません。
スイカ

果物と思われがちなスイカですが、実は果実的野菜に分類されます。そんなスイカには、カリウムやアミノ酸の一種であるシトルリンが多く含まれていて、むくみの解消や利尿作用、老廃物の排出を促すため、高血圧の予防にも効果的だといわれています。 またシトルリンには、疲労回復、動脈硬化の予防効果もあるとされています。
ただしカリウムが非常に多く含まれているため、腎臓が弱っている犬にとっては、水分とカリウムが負担になることも。また、メロンやきゅうりなどと同じウリ科の植物なので、ウリ科の果物や野菜にアレルギーがあるワンコには注意が必要です。
バナナ

バナナを犬が食べると、整腸効果や疲労回復効果が期待できます。犬のエネルギー補充にも向いている果物です。
運動やストレスなどで消費してしまった犬のエネルギーを補給してくれるブドウ糖、腸内細菌を助け、腸内環境を整えるオリゴ糖、体内の水分調整を行い、ナトリウム(塩分)を体外に排出する働きがあるカリウムなどが含まれています。
与える際、超小型犬や子犬やシニア犬の場合は、食道に詰まったり、消化が追い付かずに嘔吐や下痢を起こしたりしかねませんので、バナナを小さくカットしたり、食べやすいようにつぶしてから与えてあげましょう。またバナナの皮は、消化が悪く腸に詰まって腸閉塞を引き起こす可能性があります。必ず皮を剥いて与えましょう。
バナナはカロリーは低めですが、糖分は高めです。口当たりがいいので食べ過ぎに注意してください。
メロン

果肉の色から「青肉」「赤肉」「白肉」の3種類に分類され、とても香り高く、ジューシーで品のある甘さが特徴の野菜です。旬は春から夏にかけてで、中毒症状を引き起こすものは含まれていないため愛犬にも与えることができます。メロンは体内の水分調整を行うカリウムや、疲労回復効果のあるビタミンCが含む他、水分が非常に多く約90%を占めるため、暑い夏など犬の食欲がない際にもおすすめです。
皮や種は固く消化されにくいためしっかりと剥き、果肉部分のみを食べやすい大きさにカットして与えてあげましょう。
稀にメロンに含まれる「ククルビタシン」という成分が嘔吐や下痢と胃いった中毒を引き起こすと言われています。万が一、愛犬がメロンを食べた後に嘔吐や下痢をした場合は速やかにかかりつけ動物病院に相談しましょう!
柿

柿は犬にとって抗酸化作用、皮膚の健康維持、整腸作用などの効果があります。他にも粘膜の強化、体内組織の修復、ストレスの軽減、免疫力のアップ、コラーゲン生成の補助など多くの機能や効果があるビタミンC、ビタミンAを合成する元となる成分で、ビタミンC同様、抗酸化作用など、犬の体に数多くの有益な効果野あるβ-カロテン、体内の水分調整を行い、ナトリウム(塩分)を体外に排出する働きがあるカリウムなどが含まれています。
犬に柿を与える際には、必ず皮と種は取り除き小さくカットしてあげましょう。食べ過ぎは体調不良や肥満の原因です。犬が1日に必要とするカロリーの10%を目安に与えてください。
レタス

レタスは玉レタスやサニーレタスなどさまざまな種類があり、どれも生で食べられる野菜です。日本では1年を通して販売されていますが、主な収穫期は春と秋です。
レタスは約96%が水分で、その他にも栄養素がたくさん含まれています。身体が錆びるのを防ぐ抗酸化作用を持ち、骨や腱のコラーゲンの生成をサポートするビタミンCや、体内に溜まった余分な塩分を尿と一緒に排出し、ナトリウムとのバランスを調節することで、細胞内液の浸透圧の調整や血圧の安定・維持に効果的に働くカリウムなどを摂取できます。
しかし、レタスには微量のキシリトールが含まれています。体重1kg当たり100mg以上の摂取で中毒症状が出る恐れがあり、実際に犬で低血糖などの症状が確認されています。中毒症状が出ると危険視されているキシリトール量はレタス約5個以上摂取しなければ出ないと考えられていますが、愛犬の様子を見ながら与えましょう。
アスパラガス

犬がアスパラガスを食べることによって、抗酸化作用や血圧の安定、免疫力アップが期待できます。
生のアスパラガスは硬く消化に悪いので、必ず加熱してから与えましょう。また、わずかですがアルカロイドという中毒性物質がアスパラガスに含まれています。このアルカロイドは熱に弱く、加熱したアスパラガスであれば、犬の健康に影響を与えることはほとんどないと考えられています。
ただ、猫は犬よりもアルカロイドに敏感です。犬と猫を一緒に飼っている飼い主さんは、生のアスパラガスを与えないよう特に気をつけてあげましょう。 また、根元の固い部分は皮をむいてから与えるのがおすすめです。
パイナップル

パイナップルには肉や魚のタンパク質を分解する「ブロメライン」という酵素が果実と茎に含まれています。この「ブロメライン」は、食物繊維とともに胃や腸の調子を整えてくれるため消化不良や便秘の子にオススメです。
ただし、パイナップルで嘔吐や下痢といった症状の食物アレルギーを起こす犬もいます。また、パイナップルには食物繊維が豊富なため便秘の解消に役立ちますが、食べすぎると下痢や消化不良を起こしてしまう犬もいますので与える量には注意が必要です。
パイナップルは愛犬に与えても問題ありませんが、パイナップルの缶詰やパイナップルジュース、パイナップルゼリーやドライフルーツなどパイナップルの加工品には注意が必要です。人間用に加工された缶詰やゼリーなどには加工品には砂糖やシロップが多量に使用されているため、糖分が多く、カロリーオーバーで肥満の原因にもなるので犬に与えるのはやめましょう。