犬はトマトを食べても大丈夫。与える際の注意点やアレルギー、生のトマトやトマトジュースについても解説。

犬はトマトを食べても大丈夫。与える際の注意点やアレルギー、生のトマトやトマトジュースについても解説。

犬がトマトを食べても大丈夫です。また犬へトマトを与える場合の注意点や与える量、そして犬のアレルギーや肝臓への影響などについて解説します。

トマトは15世紀の新大陸発見の頃、メキシコからヨーロッパに渡り、17世紀半ばに日本に渡来したと言われています。当初は毒のあるベラドンナに似ているために有毒と恐れられ観賞用として扱われていました。食用として日本で食べられるようになったのは明治時代、そして品種改良が盛んになったのは昭和になってからです。日本では皮が薄く生食に向いているピンク色の桃太郎系の品種が主流ですが、海外では加熱調理用の赤系品種が主流となっています。

栄養分も満点のトマトですが、トマトの赤い色素成分のリコピンはカロテノイドの一種で、その抗酸化力はβカロテンよりも高く、ビタミンEの100倍もあると言われています。血糖値降下、動脈硬化の予防、免疫力をアップさせて発癌を抑える降下などを期待されています。

現在、食用のトマトには数え切れないほどの品種があり、色やサイズもさまざま。春から初夏にかけて旬を迎えますが、ハウス栽培の発展により年中食べられるようになり、そのまま食べたり炒めたりするなど、もはや日本食に欠かせない食材です。そんなトマトは犬に与えて食べさせても大丈夫なのでしょうか?

ANSWER 基本的に赤く熟したトマトは愛犬に食べさせても大丈夫です。
ヘタ部分には犬に害のある成分が含まれるので与えないようにしましょう。

トマトは犬に与えても大丈夫な食べ物です。
しかし、未熟な青いトマトやヘタには犬に害のある成分が含まれているため、青い未熟なトマトは犬には与えないでください。そして、トマトを与える際には必ずヘタを取って与えるようにしましょう。

また、ミニトマトは丸飲みして犬の喉に詰まらせてしまう可能性があるため必ずヘタをとって小さくと喉や食道に詰まるリスクが高いため、そのまま与えるのは避け、細かく刻んで与えるようにしましょう。 トマトジュースも無塩・無添加のものであれば、最適な量であれば与えても大丈夫です。ただし、有塩タイプや糖分が含まれているタイプの人用のトマトジュースは、犬にとって塩分過多・糖分過多になってしまう可能性がありますので与えないようにしましょう。

「愛犬がトマトを欲しがるけれど正しい与え方が分からない」という飼い主さんは、ぜひこの記事を参考にしてくださいね。

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漢方に見る薬膳食材「トマト」のチカラ

非常に栄養が豊かで、抗酸化ビタミンであるビタミンC、βカロテン、ビタミンEをそれぞれ豊富に含み、これらによる強い抗酸化力は老化防止や免疫力UPにも期待できます。また、トマトの色は赤い色素のリコピンの色で、リコピンはトマトやスイカなどの限られた野菜にしか含まれていません。このリコピンも非常に強い抗酸化力を持ち、がんや心疾患、血管疾患など生活習慣病の予防効果や、脂肪肝や高脂血症を改善する効果もあると考えられています。

薬膳的には、体の余計な熱をとりほてりを改善し、夏バテ防止にも役立ちます。また、水分を補って口や体を潤す作用や、肝気の流れを正常にする作用、機能低下した胃の働きを改善して消化を促し、食欲を高める作用などもあります。これらの作用から、暑い夏はもちろんですが、実は春の薬膳としても非常におすすめの食材です。

このように栄養豊富で人もワンコも積極的に食べたいトマトですが、酸味が強いトマトは苦手なワンコも多いです。特に初めて与える際には甘みが強いものをあげましょう。また体を冷やす力が強いので、冷えが強く、おなかが弱い子には生ではなくお料理に入れて加熱して与えるのがおすすめです。皮や種が消化できずに便とともに出てくることもあります。特に大きな問題はありませんが、気になる場合は皮をむいて与えましょう。ただし皮をむくと栄養価は下がってしまいます。

同じ量で比較すると普通のトマトよりもミニトマトの方が栄養は豊富な為、ワンコたちには少量しか与えないので、できればミニトマトを選んであげるとよいですね。

トマトの主な成分や栄養素

水分

水分は生命維持に欠かせない成分で、トマトには90~94%の水分が含まれています。水分補給を目的としてトマトを与えてもいいでしょう。

リコピン

ほとんどの植物に存在する色素成分ポリフェノールの一種であるリコピン。野菜の中でも、特にトマトに多く含まれていることで有名です。リコピンは強力な抗酸化作用を持ちます。アンチエイジング効果や血管の老化を防ぐなど、さまざまな働きが期待されている栄養素です。

ビタミンC

ビタミンCは、身体が錆びるのを防ぐ抗酸化作用を持ち、骨や腱のコラーゲンの生成をサポートします。私たち人間は体内でビタミンCを作り出せませんが、犬は体内合成が可能です。しかし、ストレスや加齢、肝機能の低下によって合成が追い付かないこともあります。食べ物からも継続的に摂取する必要があります。

βカロテン

βカロテンは、必要量のみ犬の体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康維持や視力維持をサポートします。また、ビタミンAとして働くだけではなく、βカロテン自身も活性酸素の発生を抑えたり免疫を強くしたりするなど、アンチエイジング効果も期待されています。

トマトを犬が食べた際の犬への効果・影響

トマトを摂取すると、リコピンやビタミンC、βカロテンなどを効率よく摂取することができます。特にトマトには水分が豊富に含まれているため、夏の熱い時期の水分補給として役立ちます。水分を欲しがらない老犬に、水分補給目的で与えるのもいいでしょう。

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犬に与えてよいトマトの量は?

小型犬の場合 7~15g
中型犬の場合 15~36g
大型犬の場合 36~78g
子犬の場合 少量ずつ与える
老犬の場合 少量ずつ与える

犬にトマトを与える際の注意点
トマトのおすすめの与え方

犬には完熟した赤いトマトを与え、青いトマトは与えないようにしましょう。

「ジャガイモの芽には有害物質であるソラニンが含まれているから食べてはいけない」と聞いたことのある人は多いでしょう。未熟なトマトには、このソラニンと似た構造を持つ成分「トマチン」が多く含まれています。

微量摂取であれば問題ありませんが、過剰に摂取すると嘔吐や下痢になる可能性があります。必ず完熟したトマトを与えるようにしましょう。また、トマトのヘタや花にもトマチンは含まれているため、必ずヘタを取って洗ってから与えてくださいね。

トマトは生で犬に与えてもOKですが、加熱することで吸収率アップします!

トマトを加熱することで、リコピンの吸収率がアップします。さらに火を通すことでやわらかくなるため、犬にとっても食べやすくなるでしょう。お湯で茹でれば、消化しにくい皮を簡単に剝けますよ。

ただ、トマトは水分が多いため、温かい状態で食べると火傷する危険性があります。一度食べ物で嫌な思いをすると、他の食べ物にも拒否反応を示す可能性があるため、注意してくださいね。

犬にトマトジュースやケチャップを与えるのは控えましょう。

トマトジュースは無塩・無添加のものであれば、最適な量であれば与えても大丈夫です。ただし、有塩タイプや糖分が含まれているタイプの人用のトマトジュースは、犬にとって塩分過多・糖分過多になってしまう可能性がありますので与えないようにしましょう。

ケチャップやトマトソースなどの加工品も、トマト以外の調味料が含まれています。糖分の過剰摂取になる危険性もあるため、ドッグフードのトッピング目的でも与えないほうが良いでしょう。

トマトに含まれる栄養素を効率よく与えたいのであれば、トマトをそのまま食べさせましょう。

ミニトマトをそのまま与えると危険

「ミニトマトは小さいからそのまま与えても大丈夫」と思っている人は多いのではないでしょうか。しかし、ミニトマトをそのまま与えると丸呑みしようとしてのどに詰まらせる危険性があります。また、丸呑みしてしまうとなかなか消化できず胃や腸に負担をかけることもあるため、サイズに関係なくカットして与えましょう。

こんな時は犬にトマトを食べさせないこと

アレルギー持ちや腎臓の弱い愛犬には、トマトを与えてはいけません。トマトに含まれるカリウムを過剰に摂取すると、正常に排出できず高カリウム血症を引き起こしてしまう可能性があります。

また、何かしらのアレルギーを持っているからといって、トマトにも反応するとは限りませんが、食物アレルギーは命に関わる問題なので、なるべく与えないようにしてくださいね。

トマトを食べて下痢や嘔吐、ふらつきなどの症状が見られた、すぐに獣医師の診察を受けることをおすすめします。

トマトを使ったレシピのご紹介!「すいかとトマトのジュース」

こちらは犬のおやつのレシピです。作りやすい分量でご紹介しています。食べ過ぎはおなかを壊す原因にもなります。特に夏に旬を迎える食材は体を冷やすものが多い為、与えすぎには注意しましょう。

準備する材料

すいかとトマトのジュース
すいか 30g
ミニトマト 1個
ミントの葉
(あれば)
1~2枚

完成品全体で約15kcalです。

作り方

  • 【STEP 1】すいかの種を取り、ミニトマトと一緒にミキサーに入れます。
  • 【STEP 2】ミキサーでジュースにします。
  • 【STEP 3】なめらかになるまで、しっかりと混ぜたら容器に注ぎ入れます。
  • 【STEP 4】あればミントの葉を飾って完成です。

ミキサーをお持ちでない場合や使うのが面倒な場合は、すいかとミニトマトを小さな角切りにして、和えてお皿に盛り付けるだけでもOK!

ジュースも角切りバージョンも、レシピとは言えないほどの簡単なものですが、すいかとトマトのチカラで夏の暑い日にぴったりのおやつです。食材自体に体の余計な熱を取ってくれる働きがありますので、常温でOK。キンキンに冷たい食べ物は胃腸を冷やし、夏バテの原因になることもあります。ただし、常温であっても食べすぎには十分に注意しましょう。

漢方では皮も種も使われ、捨てるところがないと言われるほどに、体の熱をとり、むくみをとる効果が強いすいか。夏バテ予防、熱中症予防にはもってこいですが、効果が強い分、注意も必要です。今回のレシピでの完成量は、健康であれば、体重5キロ程度の小型犬でも一度に摂って問題ないかと思います。

まとめ

トマトは犬に与えても良い食べ物です。しかし、完熟していないトマトやヘタにはトマチンと呼ばれる有害物質が含まれているため、与え方に注意が必要です。

トマトは、加熱することで栄養成分リコピンを効率よく摂取できます。愛犬がトマトを気に入ったのであれば、温めたトマトを小さくカットして与えてみてくださいね。


犬に食材を与える際の注意点

その食材が犬に与えて良いものかどうかを調べましょう。

食材には以下の4つのパターンがあります。食材を与える際にはそれがどれにあたるかを把握する必要があります。

01.中毒・アレルギーを起こす絶対に与えてはいけない食べ物。

犬に与えると「テオブロミン」という成分が、嘔吐や下痢などの中毒症状を引き起こすチョコレート、「アリルプロピルジスルフィド」という成分が、貧血症状や下痢、嘔吐を引き起こすねぎや玉ねぎ。それ以外にもぶどう・レーズンや、アボカド、マカダミアナッツ・クルミ、キシリトールなど、食材の中には犬に与えると重篤な症状を引き起こすものがあります。

犬に手作りご飯や食材トッピングなどをする際は必ずこの犬に与えてはいけない食材を把握しておくようにしましょう。下記の記事でも詳しく解説しておりますので、参考にしてみてください。

02.与える際に注意が必要な食べ物

食材の中には基本的には与えても大丈夫ですが、与え方によっては注意が必要なものがあります。例えばじゃがいも。じゃがいもは犬に与えても大丈夫ですが、じゃがいもの芽や皮には「ソラニン」「チャコニン」という毒素が含まれていますので、与える際には芽や皮をしっかり取り除く必要があります。また、豚肉や刺身なども犬に与えて良い食材ですが、生の豚肉を食べると細菌やウイルスに感染してしまうリスクがありますし、人間用として処理された刺身は犬に与えても大丈夫ですが、食中毒などの危険性があるため、なるべく加熱してから与える方が良いでしょう。

それ以外にも、魚を与える際は骨をとる、野菜・果物を与える際は種やヘタを取り除くなど、食べられる食材の中にも与え方によって注意が必要な食べ物もあります。

03.人用に加工された食べ物

たとえば、その食材自体は食べさせられるものであったとしても、ジュースや缶詰、ドライフルーツ、ジャーキーなど人用に加工されたものは、油や調味料、糖分などが多く含まれており、犬に与えない方が良いものがほとんどです。食材は与えて大丈夫なものでも、与える前には人用に加工されたものではないか確かめるようにしましょう。

04.健康な成犬に与えても大丈夫な食べ物

犬に与えても大丈夫な食べ物もあります。ただし、子犬や老犬に与える際には小さく刻んだり、茹でて柔らかくして与えてあげましょう。また持病のある犬については特に注意が必要です。新しい食材を与える前にはかかりつけの獣医師さんに相談してから与えるようにしましょう。また、元気な成犬でも与える量については注意が必要です。どんな食べ物も食べ過ぎには注意しましょう。適度な量を愛犬に合わせて少しずつ与えてあげるようにしましょう。

フードに食材をトッピングする際の注意点

いつものフードに食材をトッピングしている飼い主さんも多いのではないでしょうか?トッピングがうまく活用することで足りない栄養素を補えたり、愛犬のフードの食いつきを高めることができます。ただし、与える際には下記のことに注意が必要です。注意すべき食材や栄養バランス、摂取量に十分注意しながら、上手にバランスの良い食事を心がけましょう!

処理やサイズなど与え方に注意を。

特にトッピングする際には、愛犬が喉に詰まらせないよう食べやすい大きさにカットして与えるようにしましょう。固い野菜などは茹でて柔らかくしてかけてあげたり、すりおろしてあげるのもおすすめです。また果物や野菜をトッピングする際には、皮や芯、種やヘタをしっかり取り除いてからあげましょう。特に種や芯には、犬が中毒を引き起こす成分が含まれる場合があるのでしっかりした下処理が大切です。

フードと合わせたカロリーバランスを考える。

フードに混ぜて、トッピングする場合のトッピングの適正量は多くても1日の摂取カロリーの10%までといわれています。

愛犬に与えているフードのカロリーや栄養素を調べ、愛犬の体重と年齢などに合わせ1日の栄養・カロリーがトッピングと合わせてバランスよくなるように調整することが大切です。心配な場合は与えている量とトッピングの内容をかかりつけ動物病院の先生に相談してみましょう。

初めて与える食材は少しずつ

どんな食材でも犬によってはアレルギーを起こす可能性があります。初めて与える食材の場合は少量を与え体調の変化がないかを見るようにしましょう。特に持病のある犬については特に注意が必要です。新しい食材を与える前にはかかりつけの獣医師さんに与えて大丈夫か相談してから与えるようにしましょう。

Adviser

ペットフーディスト 佐々木なるみ

愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。

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