
黒川 栄子さん
ペット栄養管理士、ペット薬膳管理士、APNAペット食育士1級の資格を持つワンコの手作りごはんの専門家。2017年に「わんこのための手作りごはん教室Nerine’s Kitchen」をスタートし、ワンコのごはんに関する情報や手作りごはんのレシピを発信。“頑張らない、気張らない、無理しない”をモットーに、愛犬の健康を考えつつ、飼い主さんが楽しみながら続けられるごはん作りを伝えている。
秋の愛犬体調管理シニアにおすすめのレシピをご紹介!
ワンコも歳を重ねると持病があったり、食べムラが出たりして、飼い主さんにとってはワンコのごはんタイムが悩みの種になることもありますね。今回はシニア期以降のワンコごはんについてお伝えしたいと思います。

しっかり摂りたい5大栄養素 シニアワンコへのおすすめ食材
シニアさんだからこそ、栄養やバランスはしっかり摂りたいですね。ただし、どんなに体によいものでも摂りすぎには気を付けましょう。
01たんぱく質・脂質
筋肉維持や気力を補うためにも良質のたんぱく質をしっかり摂ります。しかし年齢と共に脂質の代謝が落ちてきますので、脂質の摂りすぎには気を付けましょう。魚の脂質はシニアワンコが積極的に摂りたいオメガ3系脂肪酸であるDHAやEPAが豊富です。シニアになったら週に数回でも、お魚の日を設けることをおすすめしています。
【低脂質でたんぱく質を含むおすすめ食材】
鶏ささみ、鶏むね、豚ヒレ、白身魚(タラ・カレイ・スズキ・タイなど)、青魚、卵、豆腐 など
02炭水化物
雑穀は、栄養価は高いですが消化をしにくい為、時にシニアワンコにとっては負担になってしまうこともあります。適度に食物繊維があり、消化のよいものを選びましょう。
【炭水化物を含むおすすめ食材】
白米、オートミール、無塩うどん、さつまいも、じゃがいも、かぼちゃ など
03ビタミン・ミネラル
免疫力維持や臓器の健康維持、関節や脳のサポートなどに、ビタミンやミネラルの働きは大きく影響します。加熱によって壊れてしまうものも多い為、心配な場合はサプリメントで補うのもよいでしょう。
【ビタミン・ミネラルを含むおすすめ食材】
にんじん、かぼちゃ、小松菜、ブロッコリー、白菜、さつまいも、きのこ類、煮干し粉末、卵殻粉末、卵、納豆、ヨーグルト など
愛犬薬膳ご飯の材料とレシピ水分補給も忘れず、体を潤す食材で脱水予防を
人と同じく、ワンコも歳をとると脱水しやすくなるため、こまめな水分摂取がとても大切です。特に、秋冬は乾燥が激しく、脱水には気を付けたい季節。しかし、加齢による体の保水力低下により、飲んでも飲んでもおしっこで出てしまうことも。そんなときは体を潤す食材を摂ることで水分を補いましょう。食材や食事からとる水分の方が、お水そのものを飲むよりも保水力は高いと言われています。
体を潤す働きのあるおすすめ食材
- かぼちゃ
- さつまいも
- 山芋
- れんこん
- にんじん
- 冬瓜
- 大根(加熱したもの)
- 梨
- りんご
- 桃
- 豆腐
- 豚肉
- ごま など

今回は、これらの食材の中から、かぼちゃと梨を使ってハイシニアのワンコでも食べられる、とっても簡単に作れるおやつを紹介いたします。もちろんパピーでも成犬でも、みんな美味しく食べられます。
梨とかぼちゃのあったかおやつの作り方

梨 | 30g |
---|---|
かぼちゃ | 30g |
クコの実(なくてもOK) | 1~2コ |
- 完成品全体で約35kcal、量は小型犬がおやつ2~3回で食べられる量です。
注意
- 今回はおやつのレシピです。作りやすい分量でご紹介しています。どんなものでも食べ過ぎはカロリー過剰による肥満や、下痢や嘔吐の原因にもなり得ます。与えすぎには注意しましょう。
STEP 1
クコの実がある場合は大さじ1/2ほどの水に浸しておきます。

STEP 2
火が通りやすい大きさにかぼちゃをカットしてボウルに入れ、大さじ1/2~1の水を加えてラップをして電子レンジで柔らかくなるまで加熱します。(今回は600Wで30秒~40秒ほど)

STEP 3
柔らかくなったらフォークやスプーンでつぶします。この時 まだ固いようでしたら再度レンジで加熱してください。

STEP 4
梨をすりおろします。

STEP 5
かぼちゃの入ったボウルに、すりおろした梨を加え、
軽く混ぜて、再度ラップをして電子レンジで20秒温めます。


STEP 6
器に盛り付けて、クコの実をトッピングしたら完成です。



あまり水を飲まない子には水を多めに入れてスープ状にして水分補給に役立てたり、ハイシニアさんで流動食を好む子にはブレンダーでつぶしてポタージュのようにしたり。ぜひ、おうちのワンコの状態に合わせて、食べやすいようにアレンジしてあげてください。
愛犬薬膳・PICKUP食材梨のチカラ

梨は、その85%以上が水分で構成されている果物です。その他、食物繊維やカリウム、亜鉛、銅、ビタミンC、抗酸化作用のあるポリフェノールなどを含みます。食べた時のざらざら感の原因であるリグニンという成分は便通に効果があると言われています。また、たんぱく質を分解する酵素を含むため、お肉やお魚と一緒に食べるのもおすすめです。
薬膳的には、秋が旬の梨は、体の熱を冷まして渇きやほてりをしずめ、夏の暑さで疲れた体を癒してくれると言われています。また、肺を潤すはたらきが強く、のどの痛みを取り、咳をしずめる効果も期待できます。
体への吸収性のよい水分をたっぷり含むため、人にもワンコにも水分補給として非常におすすめの果物です。しかし食物繊維も多いので食べ過ぎるとおなかを壊すこともあります。また、体を冷やしますので、消化器系に冷えがある場合には注意しましょう。
黒川さんのメッセージシニア犬になっても美味しいを楽しんでもらえるように!

歳を重ねると、嚙む力が弱ってそれまで好きだったおやつが食べられなくなったり、お水をがぶがぶ飲むとむせてしまったり、飼い主が切なく感じることも増えてきます。ハイシニアになっても、『今』のその子に合わせて美味しく、そして安心して食べられるものを簡単に作れたらと思い、今回のレシピを考えました。パピーからハイシニアまで、みんなで美味しく食べられるのも嬉しいですね。かぼちゃをさつまいもにかえたり、梨をりんごにかえたり、どうぞアレンジも楽しんでいただけると嬉しいです。見た目はかぼちゃが強いですが、食べてみると意外にも、梨の味もしっかり感じられて美味しいです。飼い主さんも召し上がる場合、甘さが足りなければ蜂蜜を少し入れてお試しください。