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ワンコも飼い主さんもうれしい手作りごはん
考えすぎずに楽しく作れることを伝えたい

黒川さんとnowa

nowa編集部のメンバーがワンコのごはんについて調べている時、たまたまInstagramで見つけたのが「Nerine’s Kitchen」のアカウント。
投稿されているワンコのごはんは、カラフルで華やかなだけでなく、ワンコの健康を考えたものでした。
レシピに加えて、使用している食材の栄養素や効能なども書かれていて、勉強になるとともに「ワンコnowaでも紹介したい!」という共感の気持ちが芽生えたのです。
「Nerine’s Kitchen」で投稿していたのが、ペット栄養管理士の黒川栄子さんでした。
いざ黒川さんに連絡を取ってみると、「ワンコごはんはハードルが高いと感じている飼い主さんに、気軽に楽しみながら始めてもらえるようなレシピ連載ができる場所を探していました!」とのお返事をいただき、すぐにnowaチームへの参加が決まりました。
ワンコのごはんを作り始めたきっかけや、愛犬ショコラちゃんとの暮らしのこと、いろいろお聞きしました。

Interview

#01きっかけ

黒川さんは、どのようなきっかけから、ペット栄養管理士やペット薬膳管理士の資格を取ったのですか?

愛犬のショコラが小さい頃からお水を飲んでくれない子で、一滴も飲まない日もあったんです。獣医師さんからは「喉が渇いたら飲むよ」と言われたんですが、なかなか飲まないから心配で。
「手作りごはんだと自然と水分が摂れる」と聞いたことがあったので、私が仕事を辞めたタイミングでショコラのごはんを作ってみようと思い、我流で始めたのが最初です。

どんなごはんから始めたのですか?

本やインターネットで情報を集めながら作ったのは、ねこまんまの塩分を抜いたバージョンでしたね。人が食べるお味噌汁を作っている隣のコンロで、同じような食材を使ってショコラのごはんを煮たり。
ありがたいことにショコラはなんでも食べる子なので、食べない心配はなかったんです。むしろ、手作りごはんだとドッグフードよりテンションが上がったので、私も調子に乗って手作りを続けたところがあります(笑)。

喜んで食べてくれたということは、水分もしっかり摂れました?

摂れましたね。ショコラは、手作りごはんにしてから代謝が良くなって、毛にツヤが出るようになったし、何より元気になりました。成犬になると体の約7割は水分で、水分不足は様々な病気や老化にも繋がるといわれているので、今も意識して飲ませています。

ワンコにとっても水分は大切なんですね。ところで、黒川さんはInstagramにも素敵なごはんをたくさん掲載されていますが、もともとお料理は好きだったんですか?

いえいえ、もともと全然得意じゃなくて、今でも得意とは言えません(苦笑)。ただ、ワンちゃんは「おいしくない」とか文句を言わないので、人のごはんよりも気楽で楽しく続けられているのかなと(笑)。

てっきりお料理が得意なのかと思っていました。

料理が得意ではない私でもワンちゃんのごはんは作れるので、皆さんにもトライしてみてほしいと思います。人のごはんと一緒に同じような食材で作ると、どちらも色とりどりで栄養バランスの取れた食事になるので、いいことばかりですよ。

#02ワンコのごはんのこと

人とワンコのごはんでは、必要な栄養素は変わったりするのですか?

同じ哺乳類なので、ほとんど同じですね。ワンちゃんのほうが、お肉やお魚などのたんぱく質がやや多めというくらいの違いです。ワンちゃんはお肉のイメージが強いと思いますが、実はお魚好きの子が多くて、鮭やタイ、タラなどもおすすめ。
ただ、たんぱく質も摂りすぎると肝臓や腎臓に負担がかかってしまいます。お肉やお魚を「1」とすると、野菜を「1.5~2」、穀類を「0.5」くらいのバランスで食べさせるイメージです。
とはいっても、栄養素や食材の分量を細かく計算するのは大変なので、私は一回の食事で5つの色(赤・白・黄・緑・黒)の食材を入れることを意識しています。さまざまな色=さまざまな栄養素がたくさん入りますし、見た目もカラフルになるので、作っていても楽しいんです。

5色の食材を入れればいいと思うと、手作りのハードルが下がりそうです。黒川さんはペット薬膳管理士の資格も持っていますが、5つの色も薬膳の考え方なのですか?

色もありますが、薬膳は普段何気なく食べている食材の効能を知り、食生活に取り入れることなんです。生薬に限らず、ニンジンやキャベツ、白米にも効能があり、人もワンちゃんも影響を受けているんですよ。
例えば、夏が旬の食材は体を冷やすものが多く、冬が旬の食材は体をあたためるものが多いといったことが挙げられます。ワンちゃんの体質に合わせて食材を選んでいくと、体調が整いやすくなるんです。

体質に合わせるとは、どういった方法があるのでしょう?

ショコラ(ミニチュアシュナウザー)のようなテリア系は、体内に熱をこもらせて乾燥気味になっている子が多いので、体を冷やす作用のあるトマトやキュウリを与えると整いやすいといえます。逆に、チワワやトイプードルは冷えている子が多いので、体をあたためる鶏肉やカボチャがおすすめです。
ただ、同じ犬種でも個々に体質は異なるので、その子に合わせた食材を選んでいくのがベストです。体をあたためる食材ばかり食べているために、体内に熱がこもっている子もいます。獣医師さんやペット薬膳管理士に愛犬の体質を判断してもらったうえで、その子に適したメニューを考えていけるといいと思います。

#03大切にしていること

ペット栄養管理士として飼い主さんに情報を伝える際に、大切にしていることはありますか?

飼い主さんの多くは、「栄養バランスが崩れたらどうしよう」ってナーバスになっているので、大切なのは頑張りすぎないことと伝えるようにしています。ワンちゃんは、足りない栄養素を体内で作り出したり、ほかの栄養素で補ったりと、自分で栄養バランスを取る能力に長けているので、飼い主さんが気にしすぎなくても大丈夫です。
ママさんやパパさんが小難しく考えるより、楽しく作ってくれたほうが、ワンちゃんも喜んで食べられると思います。だから、“頑張らない、気張らない、無理しない”をモットーにしてほしいですね。

毎日手作りで栄養バランスばっちりにしようと思うと、疲れちゃいそうですもんね。

そうなんです。今は質の高いドッグフードもたくさんあるので、必ずしも手作りごはんでないとダメということはありません。私もドッグフードやレトルト食品、市販のおやつも使いますし、その選択肢のひとつに手作りごはんがあると思ってもらえたら。
まずは、愛犬の誕生日やクリスマス、ひな祭りなどのイベントの時にごはんを作ってみると、飼い主さんもワクワクできて、楽しく始められると思います。
ドッグフードのトッピング作りから始めるのも、おすすめです。総合栄養食のドッグフードにトッピングをすると栄養バランスが多少崩れるので、今日は野菜、明日はお肉と、日々違うものをトッピングするのがポイントです。ドッグフードの原材料に入っていない食材をトッピングして、栄養素をプラスするのもいいでしょう。
ちなみに、ショコラはドッグフードにトッピングすると食べないんですよ。ドッグフードとトッピングを分けて用意すると食べるんです(笑)。

ワンコにも食べ方の好みがあるんですね。

ショコラは面白いところがあって、3つの料理を3つのお皿に分けて置くと、三角食べをするんです(笑)。ワンちゃんによっては1皿ずつ食べる子もいれば、全部を1皿にまとめて食べる子もいて、食べ方にも個性が出るんですよね。

#04これからのこと

ショコラちゃんは14歳とのことですが、黒川さんとの出会いは?

私は小さい頃からワンちゃんと暮らしていたこともあり、大人になって結婚して、マンションを買ったタイミングでワンちゃんを迎えようと思ったんです。
ミニチュアシュナウザーがかわいいなと思ってブリーダーさんのところに行ったら、兄弟のなかで一番大きな子が、口の周りにたっぷり離乳食をつけてたんですよ。夫と二人で「この子だね」って、心を奪われてしまって。その子がショコラです。

運命の出会いだったんですね。ショコラちゃんとの暮らしのなかで、忘れられないエピソードはありますか?

私も夫も実家が九州で、ショコラを連れて飛行機で帰ったことがあったんです。それ以来、空港に足を踏み入れるだけでショコラが怯えるようになってしまって。一人で乗る飛行機がよっぽど怖かったんでしょうね。
アニマルコミュニケーターの方とお話する機会があって、「飛行機か新幹線、もしくはペットホテルで待っているか、どれがいい?」とショコラに聞いたら、「『ホテルに預けられるくらいなら、頑張るから連れてって』って言ってます」って言われて、ジーンときちゃって。それからは新幹線で帰省してます。

新幹線は大丈夫だったんですね。

電車は乗り慣れているし、一緒にいてもらいたかったんだなって感じますね。コロナ禍になるまでは、夫の父親のお墓参りで京都まで車で行ってたんですが、ショコラも一緒に車に乗せて、行き帰りに観光してました。

思い出がたくさんですね。ショコラちゃんとの日々もこれからさらに紡いでいくことになると思いますが、黒川さんご自身の夢はありますか?

コロナ禍になってから、手作りごはんのレッスンができていないんです。なので、そろそろ何かしらの形で、学びに来てくださる皆さんと直接コミュニケーションを取れる場を作っていきたいと思っています。

レッスンを通じて、黒川さんと飼い主さんの輪が広がりそうですね。

そうなるとうれしいです。そして、ごはんを通じて、ワンちゃんと飼い主さんの輪が太く強くなっていくといいなと思います。手作りごはんって多くのワンちゃんが喜ぶものですし、その姿を見て飼い主さんもハッピーになれるので、生活に取り入れてほしいですね。

Profile

黒川 栄子 さん

ペット栄養管理士、ペット薬膳管理士、APNAペット食育士1級の資格を持つワンコの手作りごはんの専門家。2017年に「わんこのための手作りごはん教室Nerine’s Kitchen」をスタートし、ワンコのごはんに関する情報や手作りごはんのレシピを発信。“頑張らない、気張らない、無理しない”をモットーに、愛犬の健康を考えつつ、飼い主さんが楽しみながら続けられるごはん作りを伝えている。

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