本記事は獣医師やペット栄養管理士が執筆・監修を行っております。
私たちが普段から口にしているさまざまな食材。この果物を愛犬にあげたいな、この野菜は犬が食べても平気なのかな?そんなことを思ったことのある飼い主さんも多くいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事ではそんな疑問を解決する「愛犬に食べさせることのできる魚の種類」を紹介します。ぜひチェックしてみてくださいね!
犬に食材を与える際の注意点

その食材が犬に与えて良いものかどうかを調べましょう。
食材には以下の4つのパターンがあります。食材を与える際にはそれがどれにあたるかを把握する必要があります。
01.中毒・アレルギーを起こす絶対に与えてはいけない食べ物
犬に与えると「テオブロミン」という成分が、嘔吐や下痢などの中毒症状を引き起こすチョコレート、「アリルプロピルジスルフィド」という成分が、貧血症状や下痢、嘔吐を引き起こすねぎや玉ねぎ。それ以外にもぶどう・レーズンや、アボカド、マカダミアナッツ・クルミ、キシリトールなど、食材の中には犬に与えると重篤な症状を引き起こすものがあります。
犬に手作りご飯や食材トッピングなどをする際は必ずこの犬に与えてはいけない食材を把握しておくようにしましょう。下記の記事でも詳しく解説しておりますので、参考にしてみてください。
02.与える際に注意が必要な食べ物
食材の中には基本的には与えても大丈夫ですが、与え方によっては注意が必要なものがあります。例えばじゃがいも。じゃがいもは犬に与えても大丈夫ですが、じゃがいもの芽や皮には「ソラニン」「チャコニン」という毒素が含まれていますので、与える際には芽や皮をしっかり取り除く必要があります。また、豚肉や刺身なども犬に与えて良い食材ですが、生の豚肉を食べると細菌やウイルスに感染してしまうリスクがありますし、人間用として処理された刺身は犬に与えても大丈夫ですが、食中毒などの危険性があるため、なるべく加熱してから与える方が良いでしょう。
それ以外にも、魚を与える際は骨をとる、野菜・果物を与える際は種やヘタを取り除くなど、食べられる食材の中にも与え方によって注意が必要な食べ物もあります。
03.人用に加工された食べ物
たとえば、その食材自体は食べさせられるものであったとしても、ジュースや缶詰、ドライフルーツ、ジャーキーなど人用に加工されたものは、油や調味料、糖分などが多く含まれており、犬に与えない方が良いものがほとんどです。食材は与えて大丈夫なものでも、与える前には人用に加工されたものではないか確かめるようにしましょう。
04.健康な成犬に与えても大丈夫な食べ物
犬に与えても大丈夫な食べ物もあります。ただし、子犬や老犬に与える際には小さく刻んだり、茹でて柔らかくして与えてあげましょう。また持病のある犬については特に注意が必要です。新しい食材を与える前にはかかりつけの獣医師さんに相談してから与えるようにしましょう。また、元気な成犬でも与える量については注意が必要です。どんな食べ物も食べ過ぎには注意しましょう。適度な量を愛犬に合わせて少しずつ与えてあげるようにしましょう。
フードに食材をトッピングする際の注意点
いつものフードに食材をトッピングしている飼い主さんも多いのではないでしょうか?トッピングがうまく活用することで足りない栄養素を補えたり、愛犬のフードの食いつきを高めることができます。ただし、与える際には下記のことに注意が必要です。注意すべき食材や栄養バランス、摂取量に十分注意しながら、上手にバランスの良い食事を心がけましょう!
処理やサイズなど与え方に注意を。
特にトッピングする際には、愛犬が喉に詰まらせないよう食べやすい大きさにカットして与えるようにしましょう。固い野菜などは茹でて柔らかくしてかけてあげたり、すりおろしてあげるのもおすすめです。また果物や野菜をトッピングする際には、皮や芯、種やヘタをしっかり取り除いてからあげましょう。特に種や芯には、犬が中毒を引き起こす成分が含まれる場合があるのでしっかりした下処理が大切です。
フードと合わせたカロリーバランスを考える。
フードに混ぜて、トッピングする場合のトッピングの適正量は多くても1日の摂取カロリーの10%までといわれています。
愛犬に与えているフードのカロリーや栄養素を調べ、愛犬の体重と年齢などに合わせ1日の栄養・カロリーがトッピングと合わせてバランスよくなるように調整することが大切です。心配な場合は与えている量とトッピングの内容をかかりつけ動物病院の先生に相談してみましょう。
初めて与える食材は少しずつ
どんな食材でも犬によってはアレルギーを起こす可能性があります。初めて与える食材の場合は少量を与え体調の変化がないかを見るようにしましょう。特に持病のある犬については特に注意が必要です。新しい食材を与える前にはかかりつけの獣医師さんに与えて大丈夫か相談してから与えるようにしましょう。
愛犬が食べられる魚
マグロ

犬も食べることのできるマグロは、栄養価の高い食べ物です。マグロに含まれるDHAによって、脳を活発化することが期待できます。また、タウリンやEPAの働きにより、体内のコレステロールを減らすことも示唆されています。
生のマグロを与えた場合、必ずしも愛犬の健康に悪影響を及ぼす危険性があるとは言い切れません。しかし、生の魚は寄生虫リスクが高いため、加熱してから与えましょう。マグロを茹でて調理する場合は、茹で汁も一緒にドッグフードにかけて食べさせましょう。嗜好アップを狙えるのでおすすめです。加熱すると保存がしやすくなるというメリットもあります。
骨に注意しながら食べやすいよう、身をほぐして与えるのがおすすめです。
鯖

さばは、犬にあげても大丈夫な食材です。たんぱく質はもちろん、有名なDHA・EPAの他、ビタミンB2・B6・B12、ビタミンDなど、栄養が豊富な魚です。DHAやEPAに代表されるオメガ3系高度不飽和脂肪酸を豊富に含んでいるため、悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす一方、善玉コレステロールを増やす働きがあります。
青魚の食べ過ぎは「黄色脂肪症」に繋がりますので、少量をよく茹でて、骨を取り除き、細かくほぐして与えましょう。また、鯖の缶詰には塩分など味付けが濃いものが多いので、与える場合は「鯖の水煮缶」を少量与えるようにしましょう。生のさば(鯖)や鮮度の低いさばはあたえないようにしましょう。
鰤(ブリ)

必須脂肪酸のDHAとEPAを摂取できます。体内合成できない栄養素なので、積極的に摂取することで血液や脳などあらゆる器官に効果を発揮することが期待されています。またブリの皮にはコラーゲンが豊富に含まれています。摂取することで関節の動きをスムーズにしたり、肌のハリや弾力、毛艶を良くしたりする働きがあります。
生のブリには、ビタミンB1欠乏症の原因物質であるチアミターゼが含まれているため、しっかりと加熱したものを与えましょう。
鰻(うなぎ)

天然うなぎの旬は10月〜12月にかけてと言われています。スタミナ食の代名詞としても知られるうなぎ(ウナギ)には、ビタミンA、ビタミンB1・B2、ビタミンD、ビタミンEや、さらに脂質の部分にはDHA、EPAも豊富に含まれています。目の健康維持、皮膚や粘膜の健康維持、疲労回復のサポート、脳や血管の健康維持など様々な効果を期待できます。
白焼き、かば焼きとも犬が食べても問題はありませんが、市販のタレをかけないよう気を付けましょう。
カツオ

スズキ目・サバ科に属する魚の一種で、一般的には4〜5月にはじめのピークを迎える初カツオのシーズンと、三陸沖で漁獲される戻りカツオの8月中旬から9月下旬あたりが旬と言われています。たんぱく質がとても豊富でカロリーが肉より低く、さらに筋肉を補修したり、疲労を回復させたりする効果のあるバリンという必須アミノ酸も含まれている食材です。疲労回復という点では、カツオに多く含まれるビタミンB群の1つでるナイアシンも効果があります。
生で与えるのは厳禁!必ず加熱し、筋や骨を取りカットして与えてあげましょう。
鯛(タイ)

1年中漁獲されますが、主に春と秋に旬を迎える食べ物です。生きるうえで欠かせない栄養素を補えるだけでなく、骨や血液の健康といった健康寿命を伸ばすうえで必要な栄養を摂取することもできます。生の魚にはアニサキスなどの寄生虫が寄生しているおそれがあります。イカや鮭に比べて寄生している確率は低いといわれていますが、リスク回避のためにも必ず火を通してから与えましょう。
また、鯛には大きな骨や小さな骨がたくさんあります。犬が骨を飲み込んだ場合、うまく吐き出すことができずのどに詰まらせてしまう危険があります。身をほぐし、骨を取り除いてから与えてあげましょう。
しらす

シラス(しらす)は、イカナゴ・ウナギ・カタクチイワシ・マイワシ・ウルメイワシ・アユ・ニシンなど、体に色素がなく白い稚魚の総称です。生のしらすを釜茹でしただけのものを「釜揚げしらす」、釜茹で後、少し乾燥させたものを「しらす(干し)」、しっかりと乾燥させたものを「ちりめんじゃこ」と区別されています。
歯や骨の形成に必要な「カルシウム」や「ビタミンD」、脳の病気を予防する「ビタミンB12」など多くの栄養成分が含まれていて、愛犬にも与えることができます。塩分が気になる場合は、さっと湯がいたものを与えるといいでしょう。
ただし、マグネシウムやリンも含まれているため、食べ過ぎは腎臓などの負担になります。腎臓の悪い犬には与えないようにしましょう。
秋刀魚(サンマ)

オホーツク海や北太平洋、日本海などの広い海域を回遊する魚です。夏から秋にかけて産卵のため南下を始めるさんまには旨みが凝縮されており、栄養価が高く、愛犬にも与えることができます。生きるうえで欠かせない栄養素を補うことができ、血管の流れを良くしたりエネルギー代謝を高めたりするなどを働きがあります。EPA・DHAは熱に弱い性質を持つため、これらの栄養素をしっかり吸収するのであれば生食が理想です。しかし、生のさんまには寄生虫であるアニサキスや寄生しているおそれがあるため、必ず加熱してから与えましょう。
また犬は食べ物を丸呑みする習性があり、食べ物をすり潰すための歯が生えていません。たとえ小骨であっても危険ですので、喉や消化器官を傷つけないためにも身をほぐして小骨を除去してから食べさせましょう。
鮭(サケ)

秋に旬を迎える鮭は川で生まれ、海へと下って成長し再び生まれた川に戻って卵を産むのが特徴の魚です。オメガ3脂肪酸(n-3脂肪酸)であるEPAと DHA、ビタミンEの100~1000倍、ビタミンCの約6,000倍もの優れた抗酸化作用を持つといわれているアスタキサンチン、カルシウムの吸収をサポートする役割があり、骨の健康維持に役立つビタミンD、体の筋肉や皮、臓器を作るうえで欠かせないタンパク質などが含まれており、骨の健康や細胞の酸化の抑制、血液の流れを良くする効果などが期待できます。
しっかりと加熱すれば皮もあげることができ、フードのトッピングやおやつにもぴったりです。
蒲鉾

かまぼこ(蒲鉾)は、魚肉のすり身を成形して加熱した魚肉練り製品の一種で、いろいろな魚が使われますが、代表的なものは、エソ、グチ、ハモ、トビウオ、アジ、タチウオ、ヒラメなどです。 北洋で獲れるスケトウダラは、冷凍すり身として広く使われています。そんなかまぼこ(蒲鉾)は、犬にあげても大丈夫な食材です。
ただし、塩分や添加物が含まれるので注意が必要です。犬に与えたい場合は湯せんして、塩分を取り除いてからにしましょう。心臓や腎臓に病気のある犬や、シニア犬には負担になるため与えないでください。また、意外にもカロリーの高い食材なので、与える量は少量に留めましょう。