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愛犬が老犬期に入り、前よりも耳が遠く、歩くのもゆっくりになってきて、何かできることはないかな?と考える飼い主さんも多いでしょう。まだ愛犬は若くても、将来に向けてできるケアをしたいと思っている飼い主さんもいるかもしれません。今回は、nowaチームのペットケアマネージャー・平端弘美さんに、愛犬の健康維持や日々の変化の気付きにつながる犬のマッサージについて伺います。
老犬ケアのスペシャリスト
ペットケアマネージャーと犬のマッサージ
老犬介護をサポートする資格老犬マッサージまで担う、ペットケアマネージャーとは?
ペットケアマネージャーは、高齢ペットケアのスペシャリストの資格で、JAPANペットケアマネージャー協会が認定しています。2022年8月現在で全国に12人と、まだまだ数は少ないので、耳慣れない方も多いでしょう。
人間のケアマネージャーと同様に、基本的には高齢ペットの介護のお手伝いやリハビリの補助、運動や食事、排泄といった生活全般のことをまとめたケアプランの提案などを行っています。飼い主さんのお話を聞き、そのワンコや飼い主さんができることを伝えるのがペットケアマネージャーの役割です。
また、場合によってはおうちを訪問してペットをマッサージすることもありますし、慣れない介護に四苦八苦している飼い主さんの心のケアもペットケアマネージャーの大切な仕事。ペットを介して飼い主さんとの絆を深め、全力でサポートしています。
愛犬マッサージの効果とは?犬のマッサージにはどんな効果があるの?
マッサージや整体は、固くなった筋肉をほぐすことで関節をゆるめ、正しい姿勢を目指していく施術です。犬の場合、姿勢が整うと首が上げやすくなるため、自分でごはんを食べやすくなります。また、血流がよくなるため、顔つきや目の輝きが変わる、食欲が増すといった変化が出てくる子もいます。
マッサージをとおして体を触ることで、「ここの筋肉が固いな」「股関節が外に開いてるな」など、その子の状態を知ることもできます。触られることを嫌がる子は痛い部分があることが多いので、その部分を把握し、ラクにしてあげるように施術していくことも可能です。
マッサージは、高齢犬に限ったものではありません。生まれつき関節が外れやすい子のケアや、アジリティなどの競技をしている子のメンテナンスで行うこともあります。老後を見据え、介護予防のためにパピーの頃からマッサージを受ける子もいます。年齢に関係なく、愛犬と楽しく過ごしていくためには必要なものだと考えています。
愛犬マッサージで改善するの?犬のマッサージの実際の改善例
かつてケアしていたシニアのミニチュアダックスフンドは、もともと背中が丸まっていたので、姿勢を整えるため、筋力をよみがえらせる運動に加えて体をほぐすマッサージも行っていました。飼い主さん夫婦もとても勉強熱心で、私が伝えたマッサージと運動を家でも実践してくれたんです。
その結果、5カ月後には背筋がピンと伸びて、心なしか顔つきも明るくなりました。短い期間でも、変化は起こるものなのです。
家でもできる愛犬マッサージ愛犬のマッサージは、おうちでもできるの?
飼い主さんにこそ、愛犬をマッサージしてあげてほしいです。毎日体を触ることで、ワンコに起きている不調や異常に気付くことができるから。「しこりのようなものができてるな」「触ると唸るようになったな」「あばら骨が触れるようになったから、痩せたのかな」など、日々の変化を感じられると思います。
「マッサージといっても、力加減がわからない」と感じる飼い主さんもいると思いますが、体をやさしく触ってあげるだけでもマッサージ効果は期待できます。ワンコは背骨に沿って胃腸系のツボがあるため、背骨に沿って背中をなでることで胃腸の調子が整うといわれています。
マッサージの種類によっては、力の入れ具合や触る位置が明確に定められていることもありますが、重要なのはワンコ自身が気持ちよく感じることです。ワンコが嫌がるようであれば、力をゆるめてあげたり、嫌がる部分は無理に触らないようにしたり。基本的には、手を添えるイメージでゆっくり行うと、ワンコもリラックスしやすく、効果も出やすいです。
また、マッサージは、飼い主さんがリラックスしている時にしてあげるといいでしょう。ワンコは人間の感情に敏感なので、飼い主さんがイライラしたり悩みごとがあったりすると、そのイライラや不安が伝わってしまいます。飼い主さんがリラックスしている時にマッサージすると、ワンコもリラックスしやすいので、テレビを見たりソファでくつろいだりしている時がオススメです。
愛犬マッサージは良いことだらけ!飼い主さんが愛犬にマッサージをするとさらにいいことが!
体を触って嫌がる部分は、痛みや不調を抱えている可能性があります。その状態がわかると、獣医師さんにも相談できて、早い段階で処置を行えますよね。愛犬の日々の変化に気付くことができないと、ケアが遅れてしまう場合があります。
また、飼い主さんが体のいろいろな部分をマッサージすることで、ワンコは触られることに慣れていきます。どこを触られても落ち着いていられる子は、動物病院で問題なく獣医師さんに診察してもらえるため、病気やケガの発見も早くなるでしょう。家族がいる場合は、お父さんもお母さんもお子さんもみんなが触れるようにしておくと安心です。
まとめ
愛犬の「コミュニケーションマッサージ」は、何か悪いところを治すということよりも、愛犬の体や体調の変化を知ること、そして日頃から愛犬と触れ合いながら愛情を伝えることが一番大切なのだそう。
愛犬と触れ合う時間を持つことで良いことがたくさんついてくる愛犬マッサージ。是非今日からワンコとの暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか?「愛犬を知るコミュニケーションマッサージ講座」では、今後も日常に取り入れられる愛犬のマッサージをご紹介していきますので、お楽しみに。
nowa writer
平端 弘美 さん
Hello doggie代表。2013年にジャパンドッグアカデミーでドッグトレーナーの資格を取得し、出張トレーニングやイベントを実施。2019年にペットケアマネージャーの資格を取得し、現在は主に老犬の訪問介護、動物病院でのケア・リハビリ、シニア犬に関するセミナーを行っている。