手のひらに乗ってしまうほど小さな犬チワワは「世界一小さな犬」として知られています。映画「ビバリーヒルズチワワ」やパリス・ヒルトンの愛犬として多くのマスメディアに登場し脚光浴びたチワワは、日本のみならず世界中の人気犬種ランキング上位に入り続けている超小型犬です。クリクリの大きな瞳と大きな耳が特徴で、一人暮らしや集合住宅でも飼育可能と言われていることも人気の理由の一つと言えます。この記事では、そんなチワワの種類について詳しくお伝えします。
チワワの基本データ
超小型犬に分類され、誕生時は100g前後で手の平に収まるほどの小ささです。成犬の理想体重は1.5~3kgの間、体高は12~23cmほどとされています。しかし、個体によっては3kgを超える大きなサイズの子や、ティーカップ・チワワやマイクロ・チワワといった極小チワワなどさまざまです。また、体型には、四肢や首が短めでぬいぐるみのような「ドワーフ」と、脚が長くスラッとした印象の「ハイオン」の2つのタイプ、またその中間の「スクエア」もあります。
チワワの特徴
体のサイズ以外にも大きな瞳、ぴんと立った耳が特長的なチワワ。
また丸みを帯びた額は、その形状から“アップルドーム”と呼ばれます。
チワワの出身地や歴史|チワワはどこで生まれた犬種?
19世紀の初頭に、メキシコの国境近くにある町で観光客へ販売されていた小さな犬がチワワの祖先犬だと考えられています。チワワは、メキシコにあるチワワ州にちなんで付けられた名前ですが、つい最近まで原産国がはっきりと確定していませんでした。2013年になって、スウェーデンの王立工科大学によるDNA調査によって、古代からメキシコで飼われていた犬テチチがチワワの祖先犬であることが判明したのです。
テチチは、紀元前500年頃にマヤ族によって飼われていた小型の古代犬で、宗教儀式に使われていたことがアステカの寺院やピラミッドの遺跡に残された彫刻からわかっています。そんなテチチが、アステカ人によってより小型で軽量に改良するために、ペルノチワワーノと呼ばれる山犬と交配されたことによって、現代のチワワの基礎犬が出来上がったと考えられています。
1904年にAKCに正式に登録されたチワワは、アメリカで人気のファーストフード店「タコベル」のマスコットとして全米にデビュー、瞬く間にアメリカで人気の犬種となり、現在では世界中で人気の犬種となっています。
チワワの種類
常に、人気犬種ランキングでは常にベスト3(アニコム損害保険株式会社調べ)にランクインしているチワワは、コンパニオンドッグとして登録されている犬種です。体重がわずかに1〜3kgと小さな体でピンと立った耳と大きな瞳、アップルヘッドと呼ばれる独特の形の頭部を持つチワワには、短毛のスムースコートと長毛のロングコートの2タイプがあります。それぞれの毛質の特徴を知っておきましょう。
ロングコートチワワ
日本で人気のロングコートチワワは、体全体が長い毛で覆われ、耳にはフリンジがありしっぽは扇のように広がっていることが特徴です。また、足にはフェザリングと呼ばれる飾り毛があり、お腹にはフリルと呼ばれる長い毛があります。毛質はシルキーでなめらかで柔らかく、ダブルコートが特徴です。毛の長さはさまざまで、とても長いタイプと中程度のタイプがあり、また直毛のタイプとウエーブがかっているタイプがあります。チワワの被毛は、すべて遺伝によるもののため、どのようなタイプの被毛になるか、あらかじめ両親犬を確認することがおすすめです。
スムースチワワ
本来のチワワは短毛のスムースコートタイプです。海外で人気のあるスムースコートのチワワは、体全体はなめらかで光沢のある被毛に覆われ、しっぽはふさふさしていることが特徴でシングルコートの犬種です。また、頭と耳の毛は薄めですが、首は厚く長い毛がヒダ状に覆っていることも特徴の一つです。
チワワの種類による性格の違い
犬には同じ犬種なのに、長毛のタイプと短毛のタイプがある場合があります。これは、遺伝子の変異によって本来短毛であるはずの犬が長毛として生まれてくる可能性があるということが研究によって解明されています。少し前まではロングコートタイプはポメラニアンなどの長毛種との交配によって誕生したと考えられていましたが、近年の研究でロングコートタイプはスムースコートの変異種であることがわかっています。つまりある日スムースコートのチワワから、突然ロングコートタイプが生まれてきたということなのです。
ロングコートチワワの性格
ダックスフントのロングコートタイプは、長毛のダックスフントを作出するために、スパニエルなどの異なる犬種と育種、作出されているため、スムースコートタイプと性格の違いがあります。しかし、チワワのロングコートの場合は、同じチワワから派生しているため、スムースタイプと同じで、独立心が強くアクティブで勇敢な性格ながら飼い主に忠実で愛情深い性質です。
スムースコートチワワの性格
古代に野生として生活していた祖先犬の血を引くチワワは、独立心と警戒心が強く、見た目の可愛さからは想像できないアクティブで勇敢な性格の持ち主です。そのため、自分より大きな犬に出会うと大きな声で吠えかかってしまうこともあります。また、飼い主に対しては深い愛情を持ち忠誠心が高いため、飼い主を守ろうとして吠える、唸るなどの問題行動を起こすこともよくあります。
チワワの毛色の種類
古代の絵画にはフォーンのチワワが描かれていることから、祖先犬はフォーンであったと考えられています。現在では、バリエーション豊富な毛色もチワワ人気の理由の一つと言えます。そんなチワワの毛色には、単色、タン、バイカラー、トライカラー、ブリンドルなどさまざまな組み合わせで11種類以上の毛色があると言われています。
ソリッドカラー(単色)
チワワの場合、単色と言っても2色以上の毛色が混ざっているため、濃淡のある色合いとなることが特徴です。単色のバリエーションには、クリーム、ホワイト、フォーン、レッド、ブラック、チョコレートの他に、レアカラーとして青みがかったグレーのブルーや薄いベージュのイザベラなどがあります。
タン
英語のTanには、皮をなめす、日焼けなどの意味があります。皮をなめすときに使用するタンニンの色は赤褐色や黄褐色で、また日焼けした肌の色も褐色です。このことから、タンという言葉が茶色系の名称としても使用されるようになったようです。犬の毛色のタンもこれに準じていますが、黄褐色の方をタン、赤褐色の方をレバーと呼ぶことが多く、タンの中でも濃い黄褐色はリッチ・タン、薄い黄褐色はライト・タンと呼ばれています。
犬の被毛の場合、タンは単色、あるいは基調色としてよりも、ブラックタンやレバータンのようにコンビカラーのスポットになることが多く、眉毛やマズル周辺、胸元、そして足先などに多く見られます。チワワで人気のカラーは、ブラックタンやチョコタンと呼ばれているチョコレートタンでブラックやチョコレートをベースに淡い黄褐色などの模様が入っています。
バイカラー
バイカラー(bicolor)は、英語で“2色”という意味があることから、2色の毛色のパターンのことをバイカラーと呼びます。どんな色の組み合わせでも2色のことをバイカラーと呼ぶときから色やパターンがある程度規定されている場合まで、バイカラーはさまざまな犬種で使われています。
どんな毛色でも本来は2色であればバイカラーですが、最近ではホワイトがベースとなる2色の毛色のことをバイカラーと呼ぶケースが多くなっています。チワワでは、ホワイトアンドブラックやホワイトアンドクリームが人気のカラーです。
トライカラー
はっきりと区別できる3色の毛色を持つパターンをトライカラーと呼びます。主に体の上部である背中側にブラックやチョコレート、レッドなどの濃い色が入り、体の下側となるおなか側にホワイトが入るパターンをトライカラーと呼びます。チワワで人気のトライカラーは、ブラック・タン・ホワイトやチョコレート・フォーン・ホワイトです。
ブリンドル
ブリンドルとは、ブラック、ブラウン、タンなどの色がトラの縞模様のように全身に入っていることを指します。タイガーストライプとも呼ばれ、フレンチブルドッグなどで見かけることがありますが、チワワではレアカラーとされているため、あまり見かけることはありません。
パーティカラー
雑色という意味があるパーティカラーとは、ホワイトのベースにはっきりとブラックやタン、ブラウンなどの濃い色の斑点があるパターンを指します。2色のバイカラーや3色のトライカラーとよく似ていることから、これらの毛色の亜種であると考えられています。
毛色によって性格は違う?
豊富なカラーバリエーションが魅力のチワワですが、毛色によって性格が大きく異なることはありません。犬の毛色は、遺伝子によって決まります。現在、犬の毛色を決める遺伝子は15個あることが研究によって判明しています。そのうち3個の遺伝子がベースカラーとなる基本色を作る遺伝子であると考えられています。これ以外の遺伝子は、メラニン色素の濃淡や班を作ったりする働きがあるとされています。
チワワのバリエーション豊富な毛色は、人の手によって選択繁殖が行われ作出されたため。毛色を作る色素細胞と性格を形成する遺伝子は全く異なるため、毛色によって性格の違いはないと考えられています。
チワワの体型の特徴
大きな瞳と立ち耳、独特の頭の形という容姿からキツネの一種であるフェネックにも似ているチワワ。実は、チワワの性質もフェネックに似ているところがあります。小さな体に大型犬並みのエネルギーを詰め込んでいると言われているチワワの最大の特徴は、アップルヘッドとディアヘッドと称される2タイプある頭の形です。アメリカでは人気のディアヘッドですが、スタンダードとして認められているのはアップルヘッドと呼ばれるタイプのみです。
アップルヘッド
チワワ独特の頭の形がアップルヘッドです。アメリカではアップルドームと呼ばれ、リンゴのような丸みを帯びた頭で、鼻先と額の接する部分が90度の角度となっていることがスタンダードの規定とされています。切れ長ながら大きな瞳の目、短いマズル、中程度の首の長さ、ピンと立った短めの耳と短い足でずんぐりとした比較的スクエアな体型が特徴です。このチワワのアップルヘッドは、JKCはじめAKC、UKCなど各国のケネルクラブやFCIがスタンダードの基準としています。日本にいるチワワはこちらのタイプが主流です。
ディアヘッド
鼻先と額が接する部分が約45度の傾斜がついている長い顔のチワワは、鹿に似ている頭の形からディアヘッドと呼ばれています。アメリカでは、このディアヘッドタイプのチワワがファーストフード店のキャラクターとして描かれたことから人気の犬種となりました。
鹿のような平らな頭とパッチリとした大きな目、大きな立ち耳、長めの足でアップルヘッドのチワワに比べ体高が高い体型がディアヘッドタイプの特徴です。また、古代犬のテチチとチャイニーズ・クレステッドドッグとの掛け合わせによってディアヘッドタイプのチワワが誕生したと考える専門家もいるようです。
アメリカで人気のディアヘッドタイプですが、AKCではディアヘッドタイプのチワワをスタンダードとして認めていません。
チワワのカットの種類
チワワのカットには、全体の長さを整えるナチュラルカットやサマーカットのほかにも、数種類のデザインカットがあります。
サマーカット | 全体の長さを整えるナチュラルカット |
---|---|
飾り毛カット | パピヨンのように耳の飾り毛を長く残したデザイン |
ライオンカット | 体全体を短くし、首周りはライオンの立髪ようなデザイン |
豆柴風カット | 体は短く丸みを持ち、耳毛も短くした豆芝のように見えるカット |
アンチエイジングカット | ふっくらとしたフォルム |
ミッキーマウスカット | 耳周りのみ、ミッキーマウスのように丸く見えるようにカットするデザイン |
チワワの寿命
平均寿命は13~14歳とされてますが、近年は15〜20歳くらいまで生きる子もいるほど、健康に問題がなければ長生きできます。ギネスに認定されている最高齢は、なんと25歳です。下記が、人と犬の比較年齢になりますので参考にしてください。
チワワの飼育のポイント!チワワのしつけのポイント。
チワワは、独立心と警戒心が強い犬種です。また、飼い主の愛情を独り占めしたいという独占欲が強く、初めて会う人や動物が得意ではないばかりか、やきもちを焼くことも多々あります。小さいが為に甘やかしがちなチワワですが、犬としてのプライドをきちんと持った犬種であることを理解して育てていくことがポイントです。
古代に野生として生活していた祖先犬の血を引くチワワは、見た目の可愛さからは想像できないアクティブで勇敢な面があります。そのため、自分より大きな犬に出会うと大きな声で吠えかかることがよくあります。
また、飼い主に対して深い愛情を持ち忠誠心の高さから、飼い主の愛情を独り占めしたいという独占欲が強く、初めて会う人や動物が得意ではないばかりか、やきもちを焼くことも多々あります。そのため、飼い主を守ろうとして吠える、唸るなどの問題行動を起こすことも多くあります。
子犬期に甘やかされて育ったチワワほどその傾向が強く、気に入らない相手には噛み付くという問題行動を起こす場合もあります。ただし、とても賢いため仔犬期に社会化やしつけをしっかりと行うことで、パートナードッグとしての素質を引き出すことができます。