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黒川 栄子さん
ペット栄養管理士、ペット薬膳管理士、APNAペット食育士1級の資格を持つワンコの手作りごはんの専門家。2017年に「わんこのための手作りごはん教室Nerine’s Kitchen」をスタートし、ワンコのごはんに関する情報や手作りごはんのレシピを発信。“頑張らない、気張らない、無理しない”をモットーに、愛犬の健康を考えつつ、飼い主さんが楽しみながら続けられるごはん作りを伝えている。
そのほかの黒川さんのレシピはこちらから!
愛犬の食欲不振加齢や食べ渋りで食欲は落ちていませんか?
今年の夏は、とてつもなく暑い日々が続いていますね。みなさんのおうちのワンコたちの食欲は落ちていませんか?
食欲が落ちる原因は、体調不良や病気以外にも、加齢、夏バテ、胃腸が疲れておなかがすかない、同じごはんに飽きた、そのごはんが好みでない…などなど様々な原因があります。
ワンコは『香り』でごはんを食べると言われています。焼いたり蒸したりと調理法をかえたり、お肉やお魚の種類をかえたりするだけで食欲が復活する場合もありますので、お困りの飼い主さんはお試し頂けるとよいかと思います。
夏の薬膳ご飯食欲を増進し、余計な熱を取ってくれる夏の薬膳ごはん
暑い日が続くと、ついついワンコにも冷たい飲み物や食べ物、凍ったものなどをあげたくなりますね。冷たいものを摂りすぎると、内臓が冷えて働きが弱り、夏バテや嘔吐下痢などの胃腸炎にも繋がるので注意が必要です。
とはいえ、猛暑が当たり前になっている日本の夏。お散歩帰りのクールダウン時などに少量の冷たいものをあげるのもよいでしょう。ですが、エアコンの効いた室内にいる時には、果物や冷たい飲み物も、室内に少し置いて常温に近づけてから与えることをおすすめします。
そこで、夏の薬膳としておすすめなのは、体の余計な熱を取る『清熱』という効能のある食材です。温度で体を冷やすのではなく、食材のチカラで体内の余計な熱を取ることで暑さ対策になります。
『清熱』の効能のある食材例
豆腐、豆乳、あしたば、アスパラガス、おかひじき、ごぼう、きゅうり、キャベツ、ちんげんさい、ズッキーニ、セロリ、つるむらさき、冬瓜、、トマト、なす、もやし、れんこん、レタス、キウイフルーツ、すいか、梨、あさり、しじみ、牛タン、馬肉 など
シニア犬や夏バテにもおすすめ食欲がますハンバーグ!
夏に旬を迎える食材は、夏の気候や体に適した働き(体の熱を取る、乾いた体を潤すなど)がある食材が多く、旬のものを食べるだけで『夏の季節薬膳』になります。そのほか、元気をつけて血を増やしてくれる肉類などもしっかり食べて、夏の暑さを乗り越えたいですね。
今回はご紹介するレシピは、ハンバーグプレートです。夏薬膳であると共に、元気なワンコはもちろんシニアワンコやなかなか食欲がわかないワンコたちにもおすすめの薬膳ごはんです。夏向けの食材はもちろん、消化器系に働きかける食材を多く使い、焼いて香りをたてることで食べたい気持ちが落ちているワンコたちの食欲もそそってくれると思います。
※ただし、病気による食欲不振の場合は獣医さんの指示に従った食事を与えて下さい。
愛犬薬膳ご飯の材料とレシピ食欲増進ワンバーグプレート
食欲増進ワンバーグプレート ※成犬(体重5kg前後)の1食分 |
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牛赤身ひき肉 | 40g |
豆腐 | 15g |
まいたけ | 10g |
にんじん | 15g |
ミニトマト | 大きめ1個(20g前後) |
じゃがいも | 30g |
アスパラガス | 10g(今回はミニアスパラ 2本) |
レタス | 適量 |
ごはん | 20g |
キウイフルーツやスイカなどの夏の果物 | 適量 |
- 体重5キロの成犬(避妊去勢済)の1食分を想定した量です。
- ごはんはお好みの穀類をお使いください。(消化力が弱っているワンコには白米がおすすめ)
- 豆腐は木綿でも絹ごしでもOK。水切り不要です。
- トマトはミニトマトでも普通のトマトでも大丈夫です。
愛犬薬膳ご飯の材料とレシピ「食欲増進ワンバーグプレート」の作り方
STEP 1
材料のカットと下拵えをします。
にんじんはすりおろしかみじん切り、まいたけはみじん切り、ミニトマトは細かくカットします。じゃがいもは一口サイズに切ってレンジ等で火を通します。(加熱方法はレンジ、蒸す、茹でるなどなんでもOK)。アスパラガスはサッと湯がいておきます。
STEP 2
ハンバーグを作ります。
ひき肉、にんじん、まいたけ、豆腐をボウルに入れて、よく捏ねます。
豆腐の水分量が多くてべちゃっとする場合は片栗粉を少し入れて調整してください。
STEP 3
粘りが出るくらいによく捏ねたら、形を作ってフライパンに乗せ、焼き目をつけます。くっつかないフライパンであれば油は使わず、お肉から出る脂で十分です。
STEP 4
ハンバーグの両面に軽く焼き目がついたら、水を適量入れて蓋をして蒸し焼きにします。
STEP 5
ハンバーグに火が通ったらお皿に取り出し、残った肉汁のついたフライパンにカットしたミニトマトを入れます。
肉汁と合わせながら火を通します。
トマトは生のままでも構いませんが、火を通した方が消化がよくなる為、シニアワンコやお腹がよわいワンコはサッと火を通した方がおすすめです。
STEP 6
器に、ハンバーグと付け合わせのレタス、アスパラガス、じゃがいも、ごはん、果物もよそっておきます。
最後にトマトをソースのようにかけたら完成です。
今回はじゃがいもを少量の豆乳と合わせてマッシュポテトにしました(もちろん、ホクホクをそのままカットして盛り付けてもOK)。ごはんには擦った黒ごまを少しトッピング。
消化する力が弱ってきたシニアワンコやおなかが弱いワンコには、完成品を全て刻んでぬるま湯を足し、スープごはん風にするのもおすすめです。
最初から全ての材料をお鍋で煮込んで作っても構いませんが、焼いた香りがついたお肉の方が食欲UPに繋がります。
愛犬薬膳・PICKUP食材牛肉のチカラ
前回の豚肉に引き続き、牛肉もワンコに1年中与えやすいお肉のひとつです。
若いワンコや、シニアでも健康で元気な子には、赤身が多くて脂質も低い輸入牛がおすすめです。しかし、和牛に比べて肉質がかたくて消化するのに時間がかかる為、胃腸が弱っている子や消化する力が弱い子には量を少なめにして和牛を与えるとよいでしょう。
牛肉はたんぱく質と脂質、ミネラル等が豊富で、体の機能を高めて体力を回復し、免疫力を上げてくれます。鉄分が豊富で、吸収率が高いヘム鉄を多く含む為、貧血予防になります。また、ワンコの手作りごはんで不足しがちな栄養素である亜鉛も豊富です。
ワンコには脂質が低いもも肉やヒレの部分がおすすめです。もも肉はビタミンを多く含み、ヒレ肉はたんぱく質が高く、鉄分やビタミンも多く含みます。
薬膳的には、牛肉は気血を補う力が強く、疲れやすい子や元気のない子、血が薄い、血が少ないなどの貧血がある子にもおすすめです。『牛肉を食べると元気が出る!』というのは、この『気を補う力』によるものと考えられます。そのため、病気でもないのになんとなく元気がない、すぐ疲れてしまう、病気から回復したばかりで体力が落ちている時などにもおすすめです。また、胃腸のはたらきを高めて機能を正常にしてくれるチカラや、筋力増強のはたらきもあります。
若いワンコからシニアワンコまで、みんなにおすすめの牛肉ですが、脂質が高い為、血中コレステロールや中性脂肪が高い子、脂質の代謝が苦手な子は摂取量に気をつけて毎日食べ続けることは控えましょう。また、アレルギーが出る子もいますので、初めての場合は少量与えて様子をみてください。
愛犬薬膳代用食材夏におすすめの代用食材
夏は暑さによって様々な症状が出る季節です。逆にエアコンで体の芯まで冷えている子もいますね。おうちのわんちゃんが体の中に熱がこもっていないか、冷え切っていないか気にかけてあげましょう。
今回のレシピは体の余計な熱をとる食材や胃腸に働きがとどく食材、気血を補う食材を使っています。レシピで使った食材以外に、代用食材も上手く活用しながら、日々のごはん作りを楽しんでくださいね。
牛肉の代用食品
牛タン、馬肉、豚肉、いわし、あじ、かつお、さば、さわら、さんま、たら、ひらめ、ぶり、まぐろ、あさり など
野菜類の代用食品
いんげん豆、トマト、ゴーヤ、もやし、キャベツ、つるむらさき、れんこん、ごぼう、モロヘイヤ、枝豆、きゅうり、冬瓜、とうもろこし、水菜、ブロッコリー、ピーマン、パプリカ、ズッキーニ、茄子 など
ごはんの代用食品
はとむぎ、ひえ、うどん、蕎麦、パスタ、さつまいも、山芋、かぼちゃ など
果物類の代用食品
パイナップル、メロン、桃 など
どんなに栄養価が優れた食材も、毎日同じものを食べ続けるのではなく、食材をローテーションして 『色んな食材を食べる』ことを意識しましょう。
黒川さんのメッセージおうちのワンコがなかなかごはんを食べてくれない時に是非!
我が家の14歳のワンコも、モリモリガツガツ試食してくれました。
今回のハンバーグプレートがシニアワンコや食欲がない子にもおすすめと聞くと、ちょっとびっくりしますよね。牛肉が胃腸を健やかにしてくれるお肉ということを知らなかった方も多いのではないでしょうか。普段から食べているような食材にも、意外なはたらきもたくさんあります。
調理法や食材選びを少し変えるだけで、食欲スイッチが入るワンコも多いです。おうちのワンコがなかなかごはんを食べてくれない時には、少し工夫してみてあげてくださいね。