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黒川 栄子さん
ペット栄養管理士、ペット薬膳管理士、APNAペット食育士1級の資格を持つワンコの手作りごはんの専門家。2017年に「わんこのための手作りごはん教室Nerine’s Kitchen」をスタートし、ワンコのごはんに関する情報や手作りごはんのレシピを発信。“頑張らない、気張らない、無理しない”をモットーに、愛犬の健康を考えつつ、飼い主さんが楽しみながら続けられるごはん作りを伝えている。
黒川さんのレシピvol.01 基本の手作り愛犬スープごはんレシピはこちらから!
愛犬薬膳ご飯についてワンコの薬膳ご飯ってどんなごはん??
この数年、ひとのごはんもワンコのごはんも薬膳が人気ですね。ワンコのドライフードやレトルトフードでも“薬膳”という文字を見ることも多くなりました。しかし、薬膳とは、いったいどのような食事を指すのでしょう?
薬膳とは、中医学における食材の働きや効能を踏まえて、その人ごと、ワンコごとの体調や体質、気候などに合わせて組み立てられた食事のことです。
『オーダーメイドの食事』とも言われる理由は、人それぞれ、ワンコそれぞれに体質、体調、生活環境、持病などが異なるため、ひとりひとり、必要な食材やレシピも異なるためです。
ここでワンコひとりひとりに向けたレシピをご紹介する事はできませんが、今回は、今の季節のおすすめ食材を使った『季節のワンコ薬膳』をご紹介したいと思います。
愛犬薬膳ご飯のポイント春の食事で意識したいこと
今年の春は2/3(立春)~5/5(立夏)です。そして、各季節の最後の18日間は『土用』と呼ばれ、体調の変化に気をつけたい時季になります。いわゆる季節の変わり目ですね。(夏の土用である、土用の丑の日は有名ですよね!)
今年の『春の土用』は4/17~5/5。春に気をつけたいことに加え、消化器系のトラブルにも気をつける時季です。
春は、気温が上がって体内の働きも活発になり、様々な不要なものが体から噴き出す季節。
持病の症状、アレルギー、吹き出物なども出やすい時季ですね。『デトックスの季節』とも言われます。デトックスと言えば肝臓。肝臓の働きをケアするごはんを意識します。また、自律神経が乱れやすい時季ですので、肝臓と合わせて『気の巡り』の効能のある食材を選びます。
そして、土用の時季は、季節の変わり目で、ワンコも胃腸炎や嘔吐下痢が増える時季です。そのため、春の土用の時季は、気の巡りと肝臓系、そして消化器系を意識して食材を選び、レシピを考えます。
それでは、この『春の土用』の季節に合わせて組み合わせた食材で、『いわしの春パスタ』の作り方をご紹介します。びっくりするほど簡単に作れますので、ぜひお試しください。
愛犬薬膳ご飯の材料とレシピとっても簡単!『いわしの春パスタ』の材料
いわしの春パスタ ※成犬(体重5kg前後)の1食分 |
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まいわし(可食部) | 50g |
かぶ | 30g |
パセリ | ひとつまみ |
ピーマン | 15g |
ミニトマト | 中2個 |
セロリ | 10g |
マッシュルーム | 大1個 |
パスタ(茹でたもの) | 30g |
レモンの皮(あれば) | 適量 |
- 体重5キロの成犬(避妊去勢済)の1食分を想定した量です。
- いわしは手開きにして中骨・頭・内臓を取り除いておきます。下処理済のものを購入するとラクですね。
- 今回はカッペリーニという細いパスタを使いました。ご家庭にあるパスタをお使い頂けます。カッペリーニだと、乾麺10gを茹でると約30gになります。
- トマトの皮が苦手なワンコには、トマトの代わりにトマト缶大さじ1~2をお使いください。
愛犬薬膳ご飯の材料とレシピ「いわしの春パスタ」の作り方
STEP 1
パスタを手でポキポキ折って短くし、柔らかめに茹でます。
STEP 2
材料をカットします。
マッシュルームとセロリはみじん切りに、その他はわんちゃんの一口サイズにカットします。
STEP 3
フライパンでいわしを焼きます。
フライパンにくっつきそうな場合はほんの少量のオリーブオイルを入れてください。
STEP 4
いわしを両面焼いたら、全ての野菜を一気に加えます。そこに水を大さじ2杯まわし入れ、蓋をして蒸し焼きにします。焦げないようにご注意ください。
STEP 5
全体に火が通ったら、いわしの身をヘラで崩しながら、よく混ぜます。
STEP 6
パスタも入れ、水分が無くなるまで混ぜ合わせます。
STEP 7
お皿に盛り付け、刻んだパセリと細切りしたレモンの皮をトッピングして完成です。
薬膳の小話いわしのチカラ
夏の土用の丑の日に『うなぎ』を食べることは有名ですね。夏の土用は、丑の日にうなぎや梅干し、うどんなどの『う』のつく食べ物や、黒いものを食べるとよいと言われています。
それと同じように、春の土用で大事なのは戌の日。その戌の日に『い』のつく食べ物や白いものを食べるとよいと言われています。
え?ほんとなの?と、思わずクスッとしてしまうような言い伝えですよね。
今回は春の土用の薬膳ですので、『い』がつく いわしをメイン食材として使いました。
いわしが持つチカラについて、少し詳しくご説明します。
いわしはマイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシなどの種類があり、血液をサラサラにするEPAや、脳を活性化するDHAを多く含む青魚です。また、骨を丈夫にするカルシウム、そのカルシウムの吸収を促すビタミンDも豊富に含みます。つみれや煮込みなどにして、できれば骨まで全部食べましょう。
薬膳的には、いわしは体を温める作用があり、気や血を補い、更に血液の流れをよくするチカラがあります。その効能は消化器系や肝・腎・心などに届くと考えられています。肝臓の解毒機能を高めてくれることも期待でき、まさに人にもワンコにも、いわしは春の土用にはおすすめのお魚のひとつです。
ただし、いわしは傷みやすいので、新鮮なものを購入して早めに食べましょう。
また、脂質が高いので、高脂血症などのあるワンコには少なめに与えましょう。(特に秋冬のいわしは非常に脂質が高いです。)青魚の脂が苦手で、おなかをくだすワンコもいます。初めての場合は少量からお試しください。
今回のレシピではトマトも使ったパスタにしましたが、実は、いわしとトマトはとっても相性のよい組み合わせです。
いわしの不飽和脂肪酸と、トマトに含まれるリコピンやβカロテンなどの抗酸化作用のある栄養素が合わさることで血液サラサラ効果が高まる他、いわしのビタミンB2とトマトのクエン酸との組み合わせは疲労回復効果もあると言われています。
愛犬薬膳・おすすめ食材春(春の土用含む)におすすめの代用食材例
アレルギーがあるワンコや、苦手な食材があるワンコには、この時季におすすめの別の食材で代用できます。どんな食材でも、初めてのものは少量から与え、その後の体調や様子をよく観察してあげてください。
いわしの代用食品
かじきまぐろ、あじ、かつお、鮭、鯛、ぶり、あさり、はまぐり、牡蠣、牛肉、レバー、鶏卵 など
野菜の代用食品
ブロッコリー、枝豆、そら豆、カリフラワー、にんじん、ほうれん草、モロヘイヤ、アスパラガス、大根、キャベツ など
レモンの皮の代用食品
大葉、みかんの皮、三つ葉 など香りのあるもの
パスタの代用食品
マカロニ、白米、雑穀米、うどんなど、お好みの穀類
黒川さんの愛犬手作りごはんメッセージ
材料の下準備ができたらフライパンで合わせるだけの、とっても簡単なパスタです。
立夏(5/5)までは、今の旬のものを取り入れたり、上記のおすすめ代用食材を使って頂くだけで、『季節のワンコ薬膳』になります。季節に合わせた食材を摂って体を整え、体調を崩しやすい季節の変わり目も元気に乗り越えましょう。
実は、いわし大好きな我が家のショコラ(14歳)。撮影用に作っている間も、私の周りで大騒ぎでした。
もちろん試食係も率先してやってくれましたよ。
みなさんのおうちの大切なワンコたちも、美味しく食べてくれますように。