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穀物の一つである蕎麦の実を挽き、その蕎麦粉で作られる「そば」。日本の伝統食ともいえる食べ物で、年越しに食べる「年越しそば」が有名です。生麺や乾麺などが販売されており、手軽に家で食べられるメリットがあります。
はたして、犬もそばを食べても大丈夫なのでしょうか。
この記事では、犬がそばを食べることで得られるメリットや与える際の注意点を紹介します。犬にそばを与えていいのか気になる飼い主さんは、ぜひこの記事を参考にしてくださいね。
ANSWER 基本的に蕎麦(そば)は愛犬に食べさせても大丈夫です。
そばは犬の健康をサポートする成分が含まれているため、与えても大丈夫な食材です。しかし、犬によっては体調を崩す可能性があるため、与え方や与える量に注意しなければいけません。
蕎麦(そば)の主な成分や栄養素について解説
タンパク質
三大栄養素のひとつであるタンパク質は、エネルギー源として欠かせない栄養素。皮膚や筋肉を作る働きを持ちます。不足すると健康面でさまざまな支障が出るため、毎日継続的な摂取が必要です。
たんぱく質の栄養価を科学的に示す指標としてアミノ酸スコアがあります。必要量を満たしている状態が100であり、そばのアミノ酸スコアは92と、比較的高い数値です。
食物繊維
食物繊維には、水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けにくい不溶性食物繊維があります。そばに含まれる食物繊維のうち約8割が不溶性食物繊維で、便の量を増やし、スムーズに排出する役割を持ちます。
食物繊維は犬の消化酵素では消化されないため、栄養素として吸収できませんが、腸内環境を整えるうえで必要不可欠な栄養素です。
ビタミンB1
水溶性ビタミンであるビタミンB1は、糖質の代謝を促します。余分なビタミンB1は尿中から排出される仕組みなので、滅多に過剰になりません。
一方、補酵素としても働くビタミンB1が足りないと、食欲不振になったり体重が減少したりする可能性が高いため、不足に気をつけましょう。
ルチン
ポリフェノールの一種であるルチンは、他の物質を酸化させる力が強い活性酸素の産生や増殖を抑える抗酸化作用があります。また、血管を強化する働きやビタミンCの吸収促進が期待されるなど、さまざまな働きを持ちます。
蕎麦(そば)を犬が食べた際の犬への効果・影響
そばには食物繊維が豊富に含まれているため、腸内環境を整える働きが期待できます。また、健康な体を維持していくうえで欠かせないたんぱく質やビタミン類を摂取できるメリットもあります。もちろん、そばだけでなく蕎麦湯や蕎麦茶などを与えても大丈夫です。
犬に与えてよい蕎麦(そば)の量は?
小型犬の場合 | 10~35g |
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中型犬の場合 | 40~65g |
大型犬の場合 | 85~95g |
子犬の場合 | 与えないほうが良い |
老犬の場合 | 健康な犬であってもふやかしたものを少量ずつ与えましょう。 |
犬に蕎麦(そば)を与える際の注意点
蕎麦(そば)のおすすめの与え方
やわらかく煮込んで与えよう
犬にとって細長いそばを食べるのは難しいため、食べやすいようにしっかり柔らかく煮込んでから与えてくださいね。また、食物繊維は体に良い一方で、犬にとっては消化しにくいというデメリットがあります。犬はなんでも丸呑みする傾向があるため、胃腸への負担をなるべく削減するために、短くカットしてから与えるといいでしょう。
しっかり冷ましてから与えよう
私たち人間は、冷たいお蕎麦や温かいお蕎麦などさまざまな食べ方をしますが、犬に与える際には、必ず冷ましてから食べさせましょう。火傷など食べ物で嫌な経験をすると、その後の食生活に大きな影響を与えかねません。茹で終わったそばを触ったり食べたりして、温度を確かめてから与えてくださいね。
薬味やそばつゆは与えない
そばと相性の良いワサビやねぎ。しかし、これらの薬味を犬に与えると、中毒を引き起こす危険性があります。さらに、つゆは塩分過多になりやすいため、そばを与える際はそのまま何もつけずに食べさせましょう。そばは香りが豊かなので、食いつきも期待できますよ。
小麦粉含有のそばに注意
そばの中には、小麦粉が含まれているものもあります。アレルギー持ちの愛犬には絶対に与えないようにしましょう。そばを時々与えたいと考えているのであれば、自分用と愛犬用に分けずに、小麦粉が入っていないそばを家に常備しておくことをおすすめします。「間違えて小麦粉入りのそばを与えてしまった」といったミスを防げますよ。
こんな時は犬に蕎麦(そば)を食べさせないこと
食物アレルギー持ちや腎臓病、お腹を壊しやすい愛犬にそばを与えてはいけません。もしも下痢や嘔吐、発熱などの症状がみられた場合は、すみやかに動物病院に電話をし、状況を説明しましょう。必要であれば、獣医師の診察を受けてくださいね。
食物繊維が豊富なそばは、犬にとって消化しにくいデメリットがあります。消化器官が未熟な子犬や体調がすぐれない愛犬にも与えるのは控えましょう。
まとめ
そばは中毒性のある成分が含まれていないため、犬に与えても大丈夫な食べ物です。生きていくうえで欠かせないたんぱく質や食物繊維などの栄養素を摂取できるメリットがあります。
一方、食物繊維の消化が得意ではない犬は、食べ過ぎると消化不良を起こす可能性もあります。しっかりふやかして短く切って与えるなど、愛犬の体調や年齢に合わせて与え方を工夫してくださいね。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。