保護団体の上手な選び方・保護犬の迎え方を元保護団体スタッフ、ドッグトレーナーの里見さんに聞きました

保護団体の上手な選び方・保護犬の迎え方を元保護団体スタッフ、ドッグトレーナーの里見さんに聞きました

保護犬を迎える際の不安どの保護団体から、どんな保護犬を迎えればいいの?

保護犬に関心を持つ方から「次のワンコは保護犬を迎えたいので良い団体を紹介して欲しい」「保護団体から譲渡を断られてしまった。どうしたら保護犬を迎えられるの?」「自分に合う保護犬が見つかるか不安」など様々なお声をいただくことが増えてきました。実際に保護犬を迎えようと考えて動いてみると、実はさまざまなハードルや不安があるようです。

そこで今回は、保護団体の専属スタッフとして数多くの保護犬を見てこられたドッグトレーナーの里見潤さんに、保護犬を家族に迎えることについて、基本の「き」を教えていただきました。

保護犬を迎える際のハードル保護犬を家族に迎えたかったものの保護団体に断られショックを受けている方に知って欲しいこと

さまざまな考え・スタンスの保護団体さんがあります。ご自身に合う保護団体さんがきっとあるので、探してみましょう。

「保護犬を家族に迎えたくて、保護団体さんに連絡したのですが断られてショックでした。」そんな声もよくお聞きします。実は私も譲渡を断られたことがあるので、その気持ちはよく分かります。ドッグトレーナーとして独立した後、しつけのデモンストレーションを一緒にやってくれる相棒として牧羊犬を希望したのですが『家庭犬として迎えてくれる家族を探しているので、譲渡できません』と言われてました。私は保護団体でスタッフをしていた経験もあるので、団体やボランティアさんごとに様々な考え方があることを知っているので理解しましたが、断られると自分の何が悪かったのだろう?と考えて落ち込んでしまいますよね。

団体から犬の譲渡を断られた皆さんには、保護団体がたくさんあることを知っていただきたいです。私も幾つかの団体さんとお付き合いがありますが、譲渡基準や希望者さんへのスタンスは団体によって異なります。もし1つの団体から譲渡を断られたとしても、たまたま皆さんと団体の相性が合わなかっただけかもしれません。まずは、ご自身やご家族に合う保護団体を探すことをお勧めします。

保護団体を探そう自分に合う保護団体の選び方

「自分に合う保護犬を探す」ではなく、まずは「自分に合う保護団体を探す」のが、うまくいくコツ。

保護団体さんを探す際には、まず保護団体のホームページやSNSなどに目を通してみましょう。

保護団体のホームページなどではなく、保護犬のマッチングサイトに掲載されている保護犬の写真を見て、気になる子にそのまま問い合わせをする方が多いと思いますが、次からは事前に団体の考え方をしっかりと確認することをおすすめします。

個人的には電話での問い合わせが可能な団体であれば、直接話してみるのが良いでしょう。(※保護犬のお世話などで手が離せず電話応対が難しい場合もあります。その場合はメールでの連絡にしましょう。)また譲渡会などのイベントがあれば足を運んで、直接犬との接し方や保護団体のスタッフさん同士の雰囲気を見てみて下さい。

考え方や雰囲気が自分と合いそうな団体が見つかったら、その団体が保護している保護犬について色々と質問してみましょう。そこで皆さんやご家族の想いやお話をしっかり聞いてくれるスタッフさんがいる団体であれば、その後のやり取りも皆さんの気持ちを理解しつつ、客観的な判断をしてくれるのではないかと思います。もし希望する犬の譲渡が叶わなかったとしても、他にマッチする保護犬をすすめてくれたり、「今後合う犬が保護されたら連絡しますね。」というようなコミュニケーションをとってくれる場合もあります。

保護団体さんとそのような関係を構築していけると良いと思います。

譲渡会の最中や設営、撤収時は忙しくてゆっくり対応できない場合もありますので、スタッフさんに声をかけるタイミングも大切です。

保護犬の選び方家族に迎えたい保護犬を見つけたけれど、保護団体の方に相性が合わないと言われた方へ

「飼いたい犬」ではなく「飼える犬」を探すのが、保護犬も家族もハッピーになる方法。

「迎えたい保護犬がいたのですが、保護団体の方から相性が合わないと言われてしまいました。どうやって自分たちに合う犬を探せば良いのでしょうか?」

これも、よくあるお悩みかと思います。まず一般的に、飼いたい犬と飼える犬は違う場合もあるということを知っておきましょう。これは保護犬に限らず、ブリーダーやペットショップから迎える際にも同じことが言えます。

例えば若くて元気でエネルギッシュな性格の犬がいたとします。見た目がとても可愛くて気に入ったとしても、年配の方や留守番時間が長いご夫婦がこういうタイプの保護犬を家族に迎えてしまうと、運動量のミスマッチになってしまうでしょう。犬に引っ張られて転んで怪我をするかもしれませんし、自宅や家具が破壊されたり、大声で鳴き続けて近所迷惑になってしまう危険性もあります。そんな未来が見えてしまうと、保護団体のスタッフさんはあなたの家族にこの犬は合わないと判断するのでしょう。それは保護犬とご家族、お互いのためでもあります。

同じ犬でも3世代揃って犬と関わっていただけるというような大家族で、お子さんたちも責任を持って散歩させられる体力がある中高生以上など、交代で散歩に行くことができれば、犬もしっかりとエネルギーを発散させることができるでしょう。私がいつも言うことですが「疲れた犬はいい子」です。犬側の要求を飼い主が満たせるのかという視点で考えてみると選ぶ目も変わるのではないでしょうか。

保護犬とのマッチングおすすめの保護犬の選び方

保護団体の方に「犬とどう暮らしたいのか」を伝えて自分に合う犬を選んでもらう方法も。

私がおすすめする保護犬とのマッチングは、保護団体のスタッフさんに「自分が犬とどう暮らしたいのか」、例えば一緒にアウトドアでアクティブに遊びたい、お家でゆっくり過ごしたいなど、ライフスタイルの希望を伝えて、相性が合う犬を提案してもらう方法です。保護団体ではあなたの「生活スタイル」「家族構成」をもとに、「犬の運動量」を考慮した上で、最適な犬を選んでくれるでしょう。家族として長い時間を共に過ごすのですから、一目惚れ以外の出会い方も検討してみてください。

保護犬とのマッチング保護犬を迎えてから後悔しないために

「可愛い!」で選ぶのもOK。その代わり大変なことがあっても家族で乗り切ろう!という覚悟が大切。

新しい犬を家族に迎え入れた飼い主さんからよく聞くのが『前の子に似ていたのに…』という言葉です。見た目は似ていても、性格まで同じとは限りません。『先代犬は何も教えなくても良い子だったのに』と比較される犬も可哀想です。

ただ見た目が自分の好みであるということも、犬を選ぶ際の大きな要素であることは否定しません。もし外見を気に入り愛犬を選んだのであれば、大変なことがあっても家族みんなで責任を持って対応するんだ!と考えてください。ドッグトレーナーのような専門家が関わることで、工夫ができることもたくさんあります。自宅に新しい犬を迎えたら、半年くらいはドッグトレーナーの力も借りてお互いの関係を作ろうと考えていただけると、その後の十数年が楽しい時間に出来るかもしれません。

先住犬と保護犬保護犬カフェや譲渡会で保護犬と先住犬との相性を見たいと考えられている方へ

相性を見たいからと先住犬を譲渡会や保護犬カフェに連れて行くことはおすすめしません。

「譲渡会や保護犬カフェに先住犬をつれて行き、保護犬との相性をみてみたいのですが、気をつけた方がいいことはありますか?」

個人的には、先住犬を譲渡会や保護犬カフェに連れて行くことはおすすめしません。保護犬にとっては仮のテリトリーである譲渡会の会場や保護犬カフェに、知らない犬という強い刺激が入ってくると反応して吠え出してしまうこともあるでしょう。1頭吠え出すと2頭目、3頭目と連鎖してしまいます。人馴れなどの社会化をしている最中の保護犬にとっては、皆さんや愛犬の存在、そのアクションが良い面だけでなく悪い面も強化しやすく、保護犬の犬生を左右する経験になることもあります。目の前にいる保護犬の悪い面を決して強化しないように、目の前にいる保護犬の将来に関わるという当事者感覚を持って行動いただけると、保護活動に関わる一員としては大変ありがたいです。

もし先住犬を保護犬と引き合わせたいのであれば改めて別の機会を設け、どちらのテリトリーでもない公園などで会わせるのが理想です。愛犬同伴可能な譲渡会や保護犬カフェに先住犬を連れて行く場合には、事前に必ず排泄を済ませてからにしてください。マーキングが不安な場合は、マナーベルトを付けるなどの配慮も忘れずに。

他に気をつけていただきたいことは、いきなり保護犬を触らないことです。必ずスタッフさんに「この子を触っていいですか?」と声をかけてください。保護犬カフェなどで長時間保護犬と一緒に過ごす場合は、その場にいる保護犬たちの性格や扱い方を知っているスタッフさんに事前にどんな子なのかを伺うようにしましょう。「触れ合い」という人間側の要求を一方的に求めることは控えていただければと思います。

ただ一方で、譲渡会や保護犬カフェは、その場にいる犬たちにとっては多くの人と接する貴重な経験の場でもありますので、ぜひ気軽に足を運んでください。

Dog trainer

里見 潤さん

ドッグトレーナー(日本警察犬協会公認訓練士、ジャパンケネルクラブ公認訓練士)、認定NPO法人キドックス理事。

日本訓練士養成学校を卒業後、出張トレーニング会社に所属。その後、保護団体の専属スタッフとして動物愛護センターからの保護犬の引き出し、一般家庭へ送り出す前の馴化などを担当。2012年にドッグトレーナーとして独立。飼い主と犬の関係性を重視したしつけ指導を行う。自宅で保護犬の一時預かりボランティアも継続している。

里見 潤さん
Contact

ワンコnowa広告掲載の
お問い合わせ

ワンコnowaへの広告出稿・プロモーションなどのご相談は
こちらからお問い合わせください。

この記事に関連するタグ

今、読んでほしい記事

PAGE TOP

  1. TOP
  2. ワンコ記事nowa
  3. 保護犬
  4. 保護団体の上手な選び方・保護犬の迎え方を元保護団体スタッフ、ドッグトレーナーの里見さんに聞きました