figure skater
村上佳菜子×ViViちゃん×Chicoくん
プロフィギュアスケーターの村上佳菜子さん。彼女が100%の力でフィギュアスケートという競技と向き合えたのは、チロルちゃんという愛犬がいたからだといいます。チロルちゃんを見送った後、かつて保護犬だったViViちゃんとChicoくんを迎え、さらなるワンコライフを過ごしています。ハッピーオーラいっぱいの村上さんに、愛犬たちとの日々やワンコがいる暮らしの魅力、保護犬を迎えることについて、お聞きしました。さっそくその様子をお届けしましょう。
そうなんです。ViViは下あごがちょっと小さくて、Chicoはしっぽが曲がっていることで、ペットショップに並べなかったそうです。でも、2匹とも問題なく暮らしているので、私はかわいらしい個性の一部と感じています。
小学3年生の頃からチワワのチロルって子を飼ってたんですが、私がスケートの競技を引退したタイミングで亡くなったんです。チロルにはたくさん支えてもらったから、今度は私がワンちゃんを支えたいと思って、頭に浮かんだのが保護犬でした。
ちょうどその頃に、『天才!志村どうぶつ園』という番組で宮古島の保護施設に行かせてもらったんです。その中には迎えたいと感じるワンちゃんもいたんですが、抱っこを嫌がる子で、東京で一緒に暮らすのは難しいという判断になり、その時は諦めました。
そこからずっと保護犬を探して、たまたまネットで見つけたのがViViだったんです。この子に会ってみたいと思って、すぐにViViの写真を載せていた保護団体のユニーク・ドッグ・ジャパンに連絡しました。
そうでしたね。会いに行った時も、ViViを見て「この子だ!」って思ったんです。よく結婚相手と出会った時に、「この人と結婚するってビビッときた」と言うじゃないですか。まさにその感覚でした。
ただ、1人暮らしを始めていたので、1人でキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルという初めての犬種を育てられるか、不安があったんです。その時に団体の方が「一緒に育てていきましょう」って言ってくださって、迎えることを決めました。
はい。実際に、私が長期のアイスショーなどで家を空ける時は、「里帰りだと思って預けて」と、ViViとChicoを預かってくださるんです。いつもすごく助けてもらっていますし、ペットホテルを紹介していただいたこともあります。
そうなんです。ViViはお留守番も多かったので、弟分か妹分がいたら寂しくないかなって。相性を見るために5匹のワンちゃんと会わせてもらったんですが、ViViは社交的なので、みんな大丈夫だったんですよ。
私は5匹の中にいたChicoが一番しっくりきたんですが、男の子を迎えるのが初めてで、ちょっと躊躇しちゃったんです。その時に、一緒に来てくれた友達から「今日連れて帰らなかったら、一生迎えないんじゃない」って言われて、思い切ってChicoを迎えました。
ViViは全然問題なかったんですが、私のほうが時間がかかりましたね。Chicoが極度の人見知りで、お互いに歩み寄るまで1カ月はかかったかな。でも、そこからは距離も縮まって、迎えてから3年が経った今はわかり合えてるなって感じます。
男の子のChicoは、甘えん坊ですね。家にいると「ねぇねぇ、なでて」って感じで私の体に顔を乗せてくるんですよ。一方のViViは、自分の顔で私の手をグイって持ち上げて「なでろ」って感じ(笑)。ViViのほうがやんちゃで破天荒ですね。同じ空間で同じように育ててるのに、2匹の性格が全然違うのが面白いです。
私にとっては、なくてはならない存在です。チロルを見送る経験をして、ワンちゃんたちと触れ合っていきたいという思いがより強まったんです。だから、ViViとChicoを迎えたし、家に帰った時に「おかえり!」って迎えてくれるのがうれしいんですよね。
この子たちは信頼できる味方でいてくれるし、私も味方でいてあげられるし、心が通じてるなって感じることができる存在です。
ViViは普段ワーッて騒いでるんですけれど、私が落ち込んだり疲れていたりすると、そっとひざの上に乗ってきて、甘え方がやさしくなるんです。しゃべられなくても、気持ちを汲み取ってくれてるのかなって。
Chicoは飼い始めた頃に距離を感じていただけに、私が「おいで」って呼ぶと、「ママ!」って感じで駆け寄ってきてくれるのがうれしいんですよね。心を許してくれてるんだなって感じます。
そうでありたいですね。かつては、毎日スケートの練習で泣いて帰ると、チロルが私の顔を舐めてくれたんです。それでリセットできたし、大きな支えになってくれていたんですよね。チロルが私のママって感じでした。
その頃から私も年齢が上がって、今は私がママとしてViViやChicoを育てられているのかなって思います。ワンちゃんとの向き合い方も変わって、すごくいい関係を築けている気がします。
仕事といえば、ViViとChicoのおかげで、ワンちゃん関係のお仕事をいただけるようになったことがうれしいんです。私ってステージママみたいなところがあって、「私のことはいいから、この子たちを起用してあげてください」って思っちゃったり(笑)。ViViとChicoのお仕事も増やしたいですね。
私はもともと何も知らない状態だったし、ペットショップのワンちゃんを見ると、かわいいって思います。でも、裏側にはこの子たちみたいに省かれてしまった子や、一生懸命頑張っているお母さんワンコがいて、その子たちは幸せに過ごせているのかなって感じます。
その反面、ペットショップから愛犬を迎えた人を責めるのも、違うと感じるんです。ペットショップのワンちゃんたちも、売れ残ってしまったらいろんなところを転々とさせられてしまうから、愛してくれる家族に迎えてもらうのはいいことだと思います。それぞれの事柄に理由や問題があるから、難しいですよね。
保護犬も、保護団体さんによってはルールが厳しいところがあって、迎えたくても迎えられない人もいるんですよね。私も最初はそうでした。だから、ワンちゃんと里親さんが出会いやすい環境になってくれたらいいなって。「絶対にこうしたほうがいい」とは言えることではありませんが、みんなが幸せになる方法を探したいですね。
そうですよね。友達にも保護犬を迎えたいって人がいて、ユニーク・ドッグ・ジャパンを紹介したんです。その子が迎えたワンちゃんは食道が細くて、肺炎になっていたので、当初は「難しいかも」と言われていたんですが、今はすごくいい方向に向かっていて、幸せに暮らしています。里親さんの姿勢も大事ですよね。
ワンちゃんたちも私たちと同じように生きているので、責任を持たないといけないなと。自分でこの子たちを産んだくらいに考えないとダメですよね。私も、ViViとChicoのためにできることはなんでもしたいと思ってます。
何度か旅行に行ったことがあるんですが、特にViViは自然が大好きだから、いろんなところに連れていってあげたいですね。あと、ワンちゃんのお洋服なども、私がデザインして作れたらなって思っています。ViViとChicoと一緒に、いろいろなものを生み出していきたいです。
「はんなり伊豆高原」というお宿は、1回行ったらてとても気に入りました。客室が一棟一棟分かれていて、お部屋でごはんが食べられるし、とてもおいしいんですよ。お部屋の露天風呂は人用とワンちゃん用があって、源泉かけ流しなんです。ワンちゃん用ドライヤーもあるんですよ。でも、紹介しちゃうと混んじゃうから、内緒で(笑)。
初めて訪れたスタジオに興味津々なViViちゃんと、人見知りで村上さんの陰に隠れるChicoくん。
そんな正反対な2匹をうれしそうに眺め、満面の笑みを浮かべる村上さん。
ハッピーな生活を送っていることがうかがえるとともに、
そのハッピーを今後も共有してくれるのだろうとワクワクする取材でした。
1994年生まれ。プロフィギュアスケーター、タレント。2010年世界ジュニア選手権優勝、2014年ソチオリンピック出場、同年四大陸選手権優勝などの成績を残し、2017年4月に競技生活から引退。現在はアイスショーへの出演や解説・振付・指導者として活動するほか、フジテレビ『めざまし8』をはじめ、さまざまな番組で活躍している。