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髙藤直寿×リオくん×炭治郎くん
2021年に開催された東京2020オリンピック、柔道男子60キロ級で金メダルを獲得した髙藤直寿選手。試合中の雄々しい姿が印象的ですが、髙藤選手のSNSを除いてみると、なんとも愛らしいワンコの写真がズラリ。実は、柔道界きっての愛犬家なのです。髙藤家のワンコは、10歳のリオくんと2歳の炭治郎くん。年齢差のある2匹は親子のようであり、兄弟のようにも見える関係です。2匹目を迎えようと考えた理由や愛犬との生活の楽しさ、競技に与える影響など、ワンコライフについて伺ってきました。
もともと結婚する前から妻が飼っていた子で、僕が出会った頃はまだ赤ちゃんだったんですよ。妻の家に遊びに行く度に、リオと一緒に遊ぶのが楽しくて、ついついおもちゃを買っていっちゃったりして。
そうですね、実家で柴犬を飼ってたんです。ただ、田舎ということもあって、ワンちゃんは外で飼うのが主流で、家の中に入れると親から怒られたんですよね。家の中でワンちゃんと遊んだり、一緒に寝たりすることに憧れがあったので、妻の家でリオと遊ぶのはすごく新鮮だったし、うれしかったのを覚えています。
妻も元柔道家で、当時はリオオリンピックを控えていたので、そこからリオって付けたんだと思います。
おとなしくて、人のことが大好きな子なんです。ただ、ビビりなところがあって、ワンちゃん同士だと構えちゃうというか、一緒に遊ぶのが苦手で、慣れるまでにちょっと時間がかかるんですよね。
やんちゃなんですよ(笑)。家に来た頃は大変でしたね。朝起きたら、トイレを失敗してグチャグチャにしてるし、家や家具を噛んでボロボロにするし(苦笑)。頑張ってしつけをして、今は決まった場所でトイレをできるようになったんですが、クッションとかは嚙んじゃいますね。娘が大事にしているぬいぐるみをくわえて振り回しちゃった時は、焦りました。
ダメなことは、きちんと叱りますよ。そういう時以外は甘やかして、メリハリを付けて接するようにしています。
リオがずっと1匹でかわいそうだし、ほかのワンちゃんとなかなか仲良くできないから、もう1匹迎えたら何か変わるんじゃないかと思って、迎えたいと考えていたんです。2年前に家を建てて、引っ越したタイミングで、家も広くなるしちょうどいいんじゃないかと。
家族でペットショップに見に行って、出会ったのが炭治郎なんです。シュナウザーとキャバリアのミックスなんですが、眉毛みたいに生えている毛がかわいくて、抱っこさせてもらった瞬間に「この子にしよう」って、家族の意見が一致しましたね。
炭治郎が、リオの後ろをずっとついていくんですよ。行動も全部マネするし、リオのことを先輩や父親のように見ているのかなって感じますね。最初は、炭治郎がちょっかいをかけるとリオが面倒くさそうにしてたんですけど、最近はリオもちょっかいをかけるようになってきたので、信頼関係を築いているのかなって。
炭治郎が来た頃は、リオもちょっとビクビクしてたんですけど、少しずつ距離を縮めるようにしていったら、だんだん気にならなくなっていったみたいですね。あと、炭治郎が来てから、リオが元気になったんですよ。
2~3年前にリオが膵炎になってしまって、元気がなくなっちゃって。そのタイミングで引っ越して、炭治郎を迎えたら、一緒に遊ぶことで体力が付いてきたのか、リオが若い頃と同じような動きになってきたんです。以前はあんまり走らなかったのに、よく走るようになって、最近は病院もほとんど行きません。その変化にびっくりしてますね。
そうかもしれないです。息子や娘も大きくなって、リオと遊ぶ時間が減っていたので、寂しさを感じていたのかなって思います。そこに炭治郎が来て、ワンコ同士の関係性が生まれたんだろうなって。ほかのワンちゃんが苦手なリオでも、やっぱり炭治郎と一緒にいるのは落ち着くんだろうなって思うし、仲良くしている2匹を見るとうれしいですね。
ですよね。でも、リオも炭治郎も甘えん坊で、僕がソファに座ると、2匹揃ってすごい勢いで乗っかってくるんですよ。僕の取り合いをしてる感じで、炭治郎なんて体のすき間に顔をうずめてきますからね。
普段も、あんまり吠えたりしないですね。庭で遊んでいる時は、互いに興奮してワンワン言い合ってることはありますけど(笑)。
引っ越す前は狭いところで過ごしてたんで、家を建てる時に、ワンちゃんが住みやすい家にしたいと思ったんですよね。だから、庭は人工芝じゃなくて天然の芝にして、匂いを嗅いだりおしっこしたりできるように木を植えて。地元の栃木にいる頃は、ワンちゃんが広い原っぱとかで遊ぶ姿を見ていたので、そういう場所をつくってあげたいなと。
それこそソファでくつろいでいる時も幸せだし、散歩してる時もリフレッシュできる大切な時間ですね。僕は朝起きるのが苦手なんですけど、リオと炭治郎と散歩に行くためなら起きられるし、柔道の練習前のいい運動にもなるんですよね。練習が終わって帰ってからも、夜の散歩に行くと気持ちが落ち着いて、すごくいいリズムができています。
そうなんですよ。いつも勝負の世界にいるので、気持ちが安定しない時もあるんですけど、リオや炭治郎と触れ合うと、リラックスできるなぁってしみじみ感じます。練習から帰ると、彼らがいつも通りに近寄ってきてくれるので、試合前のピリピリした空気とかも忘れさせてくれるというか、リセットさせてくれるんです。
心の状態は練習や試合に影響するものなので、リオと炭治郎と過ごすことでさらに頑張ろうって思えるのは、競技にとってものすごくプラスだなって感じてます。
そうですね。先ほど話した散歩も本当にいい時間で、季節が感じられるんですよね。柔道は室内競技なので、練習中はずっと部屋の中にいることになるんです。それでも毎日の散歩があるから、「暑くなってきたな」「今日はちょっと涼しいな」って日々の変化が感じられて、心に余裕をもてるようになっている気がします。
最近は、小学生の息子も「一緒に散歩に行く」って来てくれるんで、2人きりでしゃべるコミュニケーションの時間にもなっていますね。
夜の散歩が多いんですけど、息子は月や星の話が好きですね。家だと妹も2人いるので、なかなか投げかけてくる言葉のすべてに答えることができないんですけど、散歩中は全部返してあげられるので、息子もすごく楽しそうです。2人でいる時はやたら素直なのが、かわいいんですよ。
そうだと思います。息子や娘にとっては、リオは生まれた時からいる家族ですし、赤ちゃんの頃はリオと抱き合って寝ていたのが懐かしいです。リオも炭治郎も、子どもたちにちょっかいを出されても怒らないんですよ。子どもたちは外で大きなワンちゃんに会っても、まったくビビらずに触りに行くし、ワンちゃんが家にいてよかったなって。
もっとドッグランとかに連れていってあげたいですね。リオは一度連れていったことがあるんですけど、ほかのワンちゃんの輪に入れずに、すみっこでグルグル回るだけだったんです。でも、しっぽは振っていたから、本当は遊びたいんだろうなって。
炭治郎は物怖じせずに輪に入っていけるタイプだし、リオも元気になったから、今ならほかのワンちゃんたちと一緒に遊べるんじゃないかと思うんです。ドッグランで元気に走り回る2匹を見るのは、夢のひとつですね。
インタビュー中、じっとおとなしく見守るリオくんと、ちょこまか動き回る炭治郎くん。
インタビューが終わると同時に、2匹揃って髙藤さんに飛びつく姿が愛らしかったです。
エネルギッシュで愛情深い髙藤家の様子が届けられていたら、と思います。
1993年、栃木県出身。柔道家。パーク24所属。オリンピック初出場となった2016年リオデジャネイロ大会で銅メダルを獲得。2大会連続出場となった2021年東京2020オリンピックでは金メダルを獲得。世界選手権は2013年、2017年、2018年優勝。得意技の小内刈りや内股をはじめ、多彩な技を繰り出す変幻自在な柔道が持ち味。