nowa days. 06

イヤなことがあっても
モコゾウと顔を合わせると
一瞬で安らげるんです。

illustrator

本 秀康×モコゾウくん

イラストレーター・漫画家として活躍する本 秀康(もと・ひでやす)さん。その愛犬であるシーズーとポメラニアンのミックスのモコゾウくんは、本さんのイラストに度々登場するだけでなく、雑誌の表紙を飾ったりCMにも出演したりと、活躍の場を広げています。ふんわりとしたまぁるいフォルムととぼけた表情が愛らしく、虜になってしまう人が続出中。そんなモコゾウくん、本さんとはどんな生活を送っているのでしょうか。5年前の出会いと笑いの絶えない日々について、伺っていきましょう。

家ではやんちゃだけど
タレント犬としては100点

モコゾウくんは現在5歳とのことですが、どのように出会ったのですか?

僕も妻も実家にいる頃にワンコを飼っていたので、「いつかワンコを迎えたいね」って話はしてたんです。実家では日本犬を飼っていたので、迎えるなら日本犬かなって思っていたんですが、2人で香港に旅行に行った時に、現地の不動産屋さんで飼われてたチャウチャウがかわいくて、チャウチャウもありかなって。

ワンコを探し始めて、たまたま妻がペットショップのホームページで見つけたのがモコゾウだったんです。ちょっとチャウチャウっぽいし、赤ちゃんの頃のモコゾウは眉毛があって人間っぽかったんですよ。その顔立ちに、妻も僕も魅了されましたね。

ただ、そのペットショップは三重県にあって、問い合わせたら「取り置きはできない」とのことだったので、翌日に東京から見に行ったんです。実際に会ったモコゾウはほかの子にはない個性があったので、その場で迎えることを決めました。

東京から三重まで!?その熱量が湧くくらい運命的な出会いだったんですね。モコゾウくんを迎えてから、生活は変わりました?

ワンコを飼い始めた家庭はどこもそうだと思うんですが、生活サイクルが変わりましたね。主にモコゾウの世話をしている妻は、朝の散歩のために早起きするようになって、僕も一緒に早起きするようになりました。

あと、もともとお客さんを家に招くタイプではなかったんですが、モコゾウのかわいさをみんなに知ってほしくて、「ワンコがいるから遊びに来なよ」って誘うようになりました(笑)。子犬の頃から来客が多かったからか、モコゾウは人見知りしないんですよね。

確かに、今日も警戒せずに近付いてきてくれて、取材中も落ち着いていますね。

家ではやんちゃで、寝てるか騒いでるかって感じなんですが、外面がめちゃめちゃいいんですよ(笑)。初めての人と会っても吠えたり噛んだりしないので、不安はないですね。キャリーバッグに入れて新幹線に乗ると、3~4時間経っても全然騒ぎません。タレント犬としては100点じゃないかな(笑)。

ただ、犬見知りはするんですよ。近所のドッグランに行くまでの道のりはうれしそうに駆け足になるんだけど、いざドッグランに入ると怖気付いちゃって、僕の足の間に挟まって動かなくなるんです。僕も子どもの頃はそんな感じだったので、共感しちゃいます。

食いしん坊なモコゾウの
大好物は「キャベツ」

これまでの5年間で、モコゾウくんとの印象的なエピソードは?

基本的に健康なモコゾウが、1回だけ大きな病気をしたんです。飼い始めて1年足らずの頃に後ろ足の片方を引きずって歩くようになって、病院に連れていったら、先天的な大腿骨の病気だったんです。

その頃にはInstagramにモコゾウの写真をアップし始めていて、フォロワーも増えてきていたので、みんなから励ましてもらいながら、大手術に臨みました。ちゃんと歩けるようになるか不安だったけど、無事に手術が成功して、今はまったく問題なく過ごしてます。

大きな病気が見つかると、不安になりますよね。

不安といえば、小さい頃はごはんの食い付きもよくなくて、食べさせるのに苦労しました。ひと口で食べられるサイズの犬用ボーロをあげても、2~3分かけてゆっくり食べてたんです。だから、食事では苦労するだろうなって覚悟してましたね。

でも、いつからか急によく食べるようになって、今は食べることが一番の楽しみみたい(笑)。ごはんを食べる時は、心なしか笑ってるように見えるんですよ。

好きなものはキャベツ、さつまいも、トマトかな。妻と2人で鍋をしてると寄ってくるんですけど、欲しがるのは肉じゃなくて野菜なんです(笑)。

ベジタリアンなんですね(笑)。もちろん心配事はあると思いますが、お話を聞いていると、モコゾウくんとの生活は笑顔で溢れていそうですね。

そうですね。顔を合わせるたびに、幸せを感じます。基本的には世話をしてくれる妻に懐いてるんですけど、朝起きた時には、僕にもしっぽを振って寄ってきてくれるんですよ。朝一のそのサービスがあるから、楽しく1日を始められます。

普段、僕は家で仕事をしてるんですけど、その間モコゾウには会わないようにしてるんです。モコゾウの顔を見ると、仕事にならなくなっちゃうので(笑)。モコゾウには、“家にいるのに遊んでくれない人”と思われてるかもしれませんね。本当はずっと一緒にいたいけど、仕事中はスマホに入れたモコゾウの写真を見て我慢してるって、彼に説明したいです(苦笑)。

子どもみたいな存在と
楽しい時間を積み重ねていきたい

モコゾウくんはSNSでも大人気ですし、メディアへの出演も増えていますが、反響をどう受け止めていますか?

モコゾウの写真をSNSにアップし始めた頃は、僕が一生懸命描いた絵よりも「いいね」が多くて複雑な感情を抱いたこともあるんですけど、今はもう気にならないですね。

モコゾウ関連のイベントの時も、以前は「本さんのペット」みたいな肩書が付いてたんですが、最近はモコゾウの名前だけですしね(笑)。それはモコゾウがたくさんの人に愛されてるってことだから、うれしいことだし、いいかなって。駅の看板とかで、モコゾウの写真が自分より大きく印刷されているのを見ると、驚きますけどね。

愛犬の活躍を見るって、きっと不思議な感覚なんでしょうね。本さんのお仕事にも、モコゾウくんの存在が影響していたりしますか?

飼い始めた頃はうれしくて、すべての仕事でモコゾウを描いてました。僕がやってるレコードレーベルの所属アーティストに、モコゾウの歌を歌ってもらったり。さすがにやりすぎたなと、今は反省しているところです(苦笑)。

ほかのイラストレーターにモコゾウを描いてもらうこともあるんですが、よくSNSで「モコゾウのかわいさは絵で表現できない」ってコメントをもらうんですよ。そう言われると悔しいので、僕もいっぱい描いて、今ではモコゾウを一番かわいく描けるようになったんじゃないかなって思います(笑)。

仕事に直接つながることではないですが、疲れた時にモコゾウと触れ合うと、エネルギー補給になりますね。好きな仕事でも、イヤなことっていっぱいあるじゃないですか。そういう時は銭湯に行っても気持ちが落ち着かなかったりするけど、モコゾウと顔を合わせると一瞬で安らぐんですよね。

本さんの生活に欠かせない癒しの存在ですね。

そうですね。うちには子どもがいないんで、モコゾウが子どもみたいな存在でもあります。モコゾウを迎えて、子どもがいる友達の気持ちがようやくわかった感じです。

ただ、人間の子どもと違って、きっと僕たち夫婦より先にモコゾウがいなくなってしまうんですよね。今からそのことを考えて、複雑な気持ちになることがあります。これまでの5年間が一瞬だったので、これから先も一瞬なのかなって。

だから、モコゾウには幸せでいてほしくて、時間がある時はできるだけ公園に行って遊んだり、一緒に笑顔になれるようなことを増やせたらと思ってます。何をしてても、つい「モコゾウ楽しい?」って聞いちゃって、妻に「しつこい」って言われるんですけどね(笑)。

イラストから想像させるままのほんわかした空気感がそっくりな親子。 取材中、一度も吠えることなく、のんびりと過ごしていたモコゾウくん。 その姿を見つめる本さんの顔には、とてもうれしそうな表情が浮かんでいました。

Profile

本 秀康

1969年、京都府出身。1990年からイラストレーターとして活動を開始。1995年に漫画家としてもデビューし、『ガロ』『IKKI』などで連載。著書に『あげものブルース』『レコスケくん』『ワイルドマウンテン』『MOTO HIDEYASU MUSIC BOOK』など多数。レコードコレクターでもあり、2014年にアナログレコード専門レーベル「雷音レコード」を立ち上げる。

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