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安藤裕子×小弥太くん
シンガーソングライター、女優、絵描き、映像監督、さまざまな顔を持つアーティスト・安藤裕子さん。プライベートでは一児の母であり、いちワンコの飼い主でもあります。その愛犬こそ、安藤さんのInstagramにたびたび登場するシーズーの小弥太くん。愛くるしい表情ともふもふの毛が癒しを与えてくれますが、安藤さんにとって小弥太くんはどのような存在なのでしょうか。家族や仕事に与える影響、日常にワンコがいる面白さなど、たくさん教えていただきました。
人間が大好きで、「かわいい」と言ってくれる人全員に挨拶しないと気がすまないんです(笑)。外に出た時だけ元気で、家では9割ダラダラしてますよ。
そうなんですよ。我が家に迎えた赤ちゃんの頃から騒ぎ立てることはなく、かといって怖がって震えたりもせず、ただしっぽをパタパタ振ってる子で。人見知りみたいなものはないんですよね。
娘が小学生になるお祝いで、回らないお寿司屋さんに行ったんですよ。小学生にもならない子がいるなんて珍しかったからか、そのお店の常連さんが「お嬢ちゃんどうしたの?」って声をかけてくれて、「お祝いなんです」って話してたら、「うちにワンコの赤ちゃんがいるから、お祝いに譲るよ」って言われて。
私もびっくりしました(笑)。でも、もともと娘が「ワンコを飼いたい」って言ってたし、その場に連れてきてくれたワンコは手のひらサイズの白っぽい毛玉みたいな子で、出会ってしまったら「遠慮します」とは言えないじゃないですか。
よくよく話したら、その常連さんが三菱財閥の岩崎家の末裔ということだったので、ワンコを小弥太って名付けたんです。
子供の頃にワンコとネコを飼っていました。高校3年生でその子たちが亡くなった時、胃を悪くするくらい悲しくて、もう動物は飼わないって思ってたんですよ。でも、偶然出会った小弥太はマヌケでかわいくて、やっぱり迎えてよかったなって感じますね。
そうはもう、大興奮でした(笑)。今も変わらず小弥太が大好きで、今日も「小弥太の取材なんだ」って言ったら「私も行く!」って、マネージャーとしてついてきてくれました(笑)。
小弥太のお世話はほとんど私がしてるんですけど、娘ももう小学5年生なので、最近は私がいない時にごはんをあげてくれたり、散歩に連れていってくれたりしますね。ひとりっ子だけど、ワンコがいることで誰かの面倒をみる心が育つのかなって思うと、小弥太に感謝ですね。
ただ、小弥太のことをかばったりすると、娘が「ズルい!なんで小弥太ばっかり褒めるの?私も褒めて!」みたいに言うんですよ。ペットというより弟みたいに感じてるようで、なんだか微笑ましいですよね(笑)。
そんなに違和感がないというか、もとからいた家族のように馴染んでるんですよ。ちょうど子育てが大変な時期に迎えたからか、私もお世話する人が増えたくらいの感覚だったのかもしれません。
小弥太は性格的にも穏やかだし、噛みグセとかもなかったから、しつけの面でもそこまで苦労してない気がします。ただ、寂しがり屋なところがちょっと弱点ですかね。
そうなんです。すっごく寂しがり屋で、家族が出かけようとすると、玄関で「まさか僕を置いてくの!?」って顔をしながらブルブルしてるんですよ。仕事で長く家を空ける時にパッキングしようとすると、スーツケースに入ってきますからね。娘の水泳バッグにも入ろうとしたり、どうにか連れてってもらおうとするんです(笑)。
誰かが帰ってくると、「うわぁぁぁ、帰ってきたんだね!」って感じで大興奮。近所のスーパーに買い物に行っただけでも、何年も会ってなかったくらいのテンションで飛びついてくるから、「ひとまず落ち着け」って毎日のようになだめてます(苦笑)。
そうですね。そんなだから、家族と出かけるのがうれしいみたいで、出かける気配がすると自らキャリーバッグに飛び込んで待ってるんです。今日も気配を察して、家を出る20分前からキャリーバッグに入ってましたね(笑)。
どこっていう場所はないですね。それよりも家族と一緒にいられるのがうれしいんじゃないかな。一緒に連れていってもらえることが、彼の喜びなんだと思います。
あと、人にくっついてるのが好きなんですよ。散歩中に初対面の人に話しかけられると、その人の足の上に乗っかって休んだりしちゃいますから。家にいる間は、私の体のどこかしらに乗っかってきて。寝てる時なんて、顔面の上に乗ってきますよ(笑)。
それがちょっと大変な時もあって。夏場も寝てる時にくっついてくるんですけど、暑さに弱いから、しばらくすると離れてベッドを降りるんですよ。でも、やっぱり寂しくて「ベッドに上げてくれ」って鳴くから、抱っこしてベッドに乗せるんです。でも、しばらくするとまた降りて、また鳴き始める。その繰り返しなので、私はほぼ寝れない(苦笑)。
諦めないですね。小弥太は私と一緒に寝たいみたいです。だから、娘が寝た後に仕事をしてると、私が寝るまで隣で静かにしてますね。いつもは私が小弥太をベッドまで運ぶんですけど、たまにそのまま置いていっちゃって。そういう時は、後ろからついてきて「ベッドに上げてくれ」って鳴くんです。
置いていった次の日は割と本気でいじけちゃって、ごはんを食べてくれなかったり。しょうがないから、「私が悪かった、お芋食べる?」って話しかけるんです。基本は穏やかだけど、我が強いというか頑固なところもあるんですよね。
そうだと思います。ワンコだから、ペットだからっていう感覚では接してないかな。
それはないんですよね。娘もそうなんですけど、あんまり家族を対象に何かをつくるってイメージが私の中にないのかな。だから、小弥太をモデルにした曲や絵はないんです。
でも、小弥太グッズはつくりました。小弥太の写真を使ったトレーナーとかクッションキーホルダーとか。販売してるんですけど、ファンの方はどう感じてるんでしょうか。私は満足してますけど、我ながら親バカ感がすごいなと(笑)。
ですよね。ちなみに、小弥太の曲はないけど、小弥太が一緒に歌ってくれることはあります。私が家で仮歌を録ってる時に、ファルセットみたいな高い音域の声を出すと小弥太も歌い出すので、デモテープに小弥太の声が入りがち。
たまにスタッフに「小弥太の声が入った音源、このまま使っていい?」って聞くんですけど、OKが出たことはないですね。「ちょっと小弥太くんの声が多いからダメかな」って(笑)。
おやつが欲しい時とかベッドに上げてほしい時に、「ママ」って言うんですよ。音が鳴るボールや歌うミッキーマウスのおもちゃも好きで、よく一緒に歌ってますね。そんな姿がかわいらしいし、癒しにもなって、仕事も頑張れてるのかもしれない。
ほぼ息子ですね。子どもの頃に飼ってたネコたちは仲間みたいな意識でしたけど、小弥太は守らなきゃいけない相手だなって。娘と同じように接してるからかもしれませんね。
2018年に小弥太を迎えて、そろそろ一緒にいろんなところに行けるかなってところでコロナ禍になってしまったので、まだ遠出はできていないんですよ。だから、小弥太連れで温泉旅行とか行きたいですね。最近はワンちゃん連れで行けるところもありますし、家族と一緒だったら小弥太も大興奮だろうな(笑)。
小弥太くんは家族とのおでかけにご機嫌な様子で、終始テンションも高め。
その姿を愛でる安藤さん、お世話をする娘さんを見ていると、小弥太くんがみんなの真ん中にいることが伝わってきます。
ワンコはそこにいるだけで笑顔を届けてくれる存在なのだと、実感させてくれる時間でした。
1977年生まれ。シンガーソングライター。2003年にミニアルバム『サリー』でデビュー。近年は、TVアニメ『進撃の巨人』のエンディングテーマ曲『衝撃』が話題を呼んだ。活躍の場は音楽だけにとどまらず、女優や絵描きとしての活動、CDジャケットやグッズのデザイン、ミュージックビデオの制作なども行う。