nowa-team

ワンコが私に与えてくれた喜びや人との接点
大切な経験をこれからもつないでいきたい

イラストレーター セツサチアキ さん

セツサチアキさんとnowa

ワンコnowaを立ち上げる際、まず掲載しようと考えていた「犬の十戒」。
ワンコを飼っている人にもこれから飼おうと考えている人にも“伝わるコンテンツ”にするため、心に寄り添うようなイラストを探していた時、見つけたのがセツサチアキさんのイラストでした。「この方に描いてもらいたい!」スタッフ全員の意見が一致し、さっそく会いに行きました。
セツサチアキさんは、イラストの世界観そのまま。ほがらかで、人間としての魅力に溢れた方でした。ワンコと一緒に暮らし、ひたすらに愛しているセツサチアキさんだからこそ描けるやさしいイラスト。ワンコたちがつないでくれた、素敵な出会いに感謝です。

Interview

#01きっかけ

セツサチアキさんがワンコと暮らし始めたのは、いつ頃のことですか?

実は、大人になってからなんですよ。子どもの頃から動物が好きで、人生で唯一なった“○○長”が飼育係委員長っていうくらい(笑)。ただ、親が転勤族だったので、ペットを飼える環境になかったんです。
特にワンコを飼うことに憧れを抱いたまま、大人になりました。そして、出会ったのが、先代の英国ゴールデンレトリーバー・せっちゃんだったんです。
当時、知人が飼っていた子だったんですが、事情があって手放すことになって、私が引き取ることを決めました。その頃、せっちゃんは既に5歳くらいでしたね。

憧れのワンちゃんとの生活ですが、初めての経験に不安はありませんでした?

せっちゃんはしっかり訓練された子だったので、不安はなかったですね。いつも私のそばにいてくれて、散歩の時も横にぴったりついてくれる安心感が大きかったです。

早くも家族になったような雰囲気だったのでしょうね。

そうですね。もともとレトリーバーに興味があったことも、不安に感じなかった1つの理由です。外国の映画の影響で、飼い主が泣いているとペットのレトリーバーが寄り添ってくれるというイメージが強かったんですよ。
一緒に暮らすと、人間と一緒に何かをすることが好きな犬種なんだと実感できて、ますます愛が深くなりました。投げたボールを拾って帰ってきた時に褒めると、すごく喜ぶんです。感情表現が豊かで、とても魅力的ですね。

#02お別れについて

せっちゃんとの生活は、どのくらい続いたのですか?

13歳になる前くらいに看取ったので、7年くらいしか一緒にはいられなかったんです。でも、その7年は私にとってすごく濃いもの。ワンコとの暮らしの楽しさ、深さを学んだ時間でしたね。
せっちゃんが亡くなった時は、体の一部をもぎ取られるような感覚で、ここまで悲しいものなのかって…。せっちゃんとの思い出をきちんと体に刻むためにも、まずは1年間、あの子のいない四季をしっかり体験しようと思ったんです。

きっと、何を見てもせっちゃんを思い出してしまう1年だったのだと感じます。

辛かったですね。この桜を見ながら、せっちゃんと遊んだなとか。半年くらい経って、急に蕁麻疹や胃痙攣に襲われて、お医者さんから「精神的に強いショックはありましたか?」って聞かれたんです。自分が感じている以上に、心と体に負荷がかかっていたんだなって思いました。
でも、同時に、またゴールデンレトリーバーを迎えたいなって思ったんです。せっちゃんはたくさんの喜びを教えてくれて、たくさんの人のつながりも作ってくれたから、その経験をつないでいきたいなって。

ワンコを飼っていた経験があるから、できることがありますよね。

そうなんです。以前、『少年と犬』の作者の馳星周さんがあるインタビューで、「愛犬が亡くなるのは辛いけど、10年くらいのかけがえのない楽しい時間を与えてくれるから、僕は楽しい時間を選びたい」って話していたんです。
まさにその通りで、どの子も亡くなる辛さからは逃れられないけど、最期のお別れも含めて、動物との暮らしがあるんですよね。愛情が深いほど、元に戻るまでには時間がかかります。でも、それだけ大切な存在だったってことですよね。

#03大切にしていること

そして、現在一緒に暮らしているさっちゃんを迎えたんですね。

はい。さっちゃんは、初めてパピーの時から自分で育てた子です。一緒にいろんなところに行きたかったから、どこでも行けるように、しつけは結構厳しくしましたね。
例えば、一緒にカフェに行った時に、何かもらえるかもって期待させないしつけ。待ってれば何かもらえると思わせてしまうと、ずっとよだれを垂らして待つことになっちゃうから、カフェは寝る場所だと教えましたね。だから、取材中も寝てるでしょ(笑)。

今もずっと、セツサチアキさんの隣で静かにしてるんですよね。さっちゃんとの生活で大切にしていることは?

“時間は永遠じゃない”って意識することです。さっちゃんの12歳の誕生日が近づいてきた時に、自分のなかで時計の音が鳴り出したんです。同じ時期に、知人の愛犬が亡くなったこともあって、意識したんですよね。さっちゃんとの来年が必ずあるわけではないから、一瞬一瞬を大切にしていかないとって。
一緒に紅葉を見れたとか、クリスマスを過ごせたとか、小さな幸せこそかけがえのないものなんですよね。シャンプーの時間ももう何百回もないんだと思うと、1回1回が大切です。

人間より寿命が短いワンコと暮らしているからこそ、気づく尊さですね。

そうですよね。今は日帰りでもいいから、さっちゃんといろんなところに行きたいなって思っているんです。「ワンコnowa」でも絵日記を書かせてもらいましたが、北海道にも行ったんですよ。

18時間のフェリー旅ですよね。いかがでしたか?

北海道とレトリーバーってすごく相性がいいイメージがあって、ずっと行きたかったんです。さっちゃんとの時間を大切にしようと思って、本格的に計画を立てて行ってみたら、フェリーは結構快適で、北海道に着いてからもさっちゃんは楽しそうで、いい旅になりました。
さっちゃんを連れてると、いろんな人に話しかけられるんですよ。それも、ワンコと一緒の旅の醍醐味ですね。

#04絵を描くこと

話は変わりますが、セツサチアキさんがイラストレーターを始められたきっかけは?

子どもの頃から絵を描くことも好きで、社会に出てから、副業としてちょっとイラストを描いていたんです。その頃から、ワンコの絵をよく描いてました。
ある時、盲導犬のチャリティーグッズの仕事をいただいて、そのご縁でイラストを本業にできるようになったんです。だから、本格的に始めて7~8年くらい。
イラストを見てくれた方から、よく「この表情や仕草、うちの子もやるんですよ」って言っていただくんです。そう感じていただけるのは、せっちゃんやさっちゃんとの暮らしがあるからだなって思います。

想像だけでは、描ききれないものですよね。

そうなんですよ。自分が直に見てきたものだから、描けるんだろうなって感じますね。

今後、実現したい夢はありますか?

前から思っているんですが、絵本を作りたいです。悲しい時とかちょっと心が疲れた時に見ることで、ざわざわした気持ちが落ち着くような絵本を出すことが、夢ですね。

#05これからのこと

最後になりますが、セツサチアキさんが広げていきたい「wa」は?

盲導犬・聴導犬・介助犬といった補助犬にとって、やさしい社会の輪を広げたいですね。
補助犬と生活している方に話を聞くと、「犬と一緒だと家を借りられない」「レストランに入れない」といった問題があることを知ります。これは私の意見ですが、断る人が悪いとは思わないんです。
断ってしまうのは、補助犬を見たことがないから。どう対応したらいいかわからないから断るのであって、補助犬がレストランのテーブルの下で静かにしている姿を見たら、意識は変わると思うんですよね。
補助犬に対してやさしい社会になっていけば、補助犬が増えて、街中で見る機会も増えるから、さらに補助犬に関する知識が広まる。いいサイクルが生まれると思うんです。

まずは知っていくこと、知識を広めていくことはとても重要ですよね。

私が携わっている盲導犬のチャリティーグッズも、知ってもらうきっかけになってほしいなって思いますね。募金や寄付となると躊躇する方もいるかもしれませんが、グッズを買うことが支援につながるのであれば、ハードルも下がるんじゃないかなって。
ギフトとしてプレゼントしてもらえば、相手の方にも支援の輪が広がりますよね。日常のなかで、社会を良くする知識が広がっていってほしいなって思いながら、イラストを描いています。

盲導犬チャリティーグッズの一つ、
毎年大人気の泉屋クッキー缶。

その可愛さから、盲導犬を知ること、身近に感じることができます。毎年テーマがあり、今年のテーマは【「イイこと」をつなぐ世界】。会いたい人になかなか会えない。そんな時だからこそ、このクッキー缶が人と人をつなぐお手伝いになってくれたら….。贈られた人も贈った人も笑顔になってくれたら…。というセツサチアキさんの想いが込められています。

撮影中、終始寄り添って、その絆の深さを感じさせてくれた、セツサチアキさんと、さっちゃんでした。

Profile

セツサチアキ さん

犬と暮らすイラストレーター、デザイナー。盲導犬チャリティーグッズ全般のデザイン、イラストをはじめ、キャラクターデザインなども手がける。亡くなったペットの思い出をオリジナル絵本にする「お守り絵本」の絵本コラボレーターとしても高い評価を得ている。

PAGE TOP

  1. TOP
  2. ワンコ記事nowa
  3. nowaチーム
  4. セツサチアキ(犬と暮らすイラストレーター)|ワンコが私に与えてくれた喜びや人との接点、大切な経験をこれからもつないでいきたい。