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会話の中で“褒める”トレーニングで
ワンちゃんも飼い主さんもノーストレスの関係に

バンブーペットクリニック 藤間 友樹 院長

ぺぇ先生とnowa

「ぺぇ先生に教えてもらった方はみんな、口を揃えて『ワンちゃんが魔法にかかったみたい!』って言うんですよ!」
チワワブリーダーさんから伺ったワクワクするような話が、ぺぇ先生とワンコnowaの出会いでした。実際にお会いしたぺぇ先生は、明るくてパワフルな人。先生のトレーニング方法を聞いていくと、ワンコの行動のすべてには、ワンコなりの考えがあるということがわかります。
人がワンコの考え方を尊重し、家族として接することで、すれ違いは減っていき、互いにストレスのない関係が築ける。ぺぇ先生のトレーニングは、“しつけ”ではなく“コミュニケーション”なのです。

Interview

#01きっかけ

ぺぇ先生は、なぜドッグトレーナーの活動を始めたのですか?

実家では、私が3歳の頃からワンちゃんを飼っていて、姉妹のように育ったんです。その子が、私が19歳の時に亡くなり、ペットロスになったんですよね。果たしてあの子は、楽しい“犬生”だったのかなって、後悔が残りました。
そのタイミングで転職をして、認知症専門の有料老人ホームで介護の仕事をしたんですね。認知症で、これまで何をしてきたか覚えていない方とお話をすると、飼っていたワンちゃんのことは「白くて、これくらいの大きさだったんだよ」って、鮮明に覚えているんです。その経験から、ワンちゃんと一緒に、福祉に関することができないかって考えるようになって、ドッグトレーナーの専門学校に通い始めました。
例えば海外では、病院にワンコと一緒に行けたり、介護施設に一緒に入居できたりすることが多いんです。認知症の進行を防ぐ、自閉症の子を解放するといった目的のアニマルセラピーもあるので、私も日本で医療の一環として何かしたかったんです。
介護の仕事をしながら、トレーナーの専門学校に通っている間に、アニマルセラピーを見る機会もありました。ただ、日本のアニマルセラピーはワンちゃんを愛でるだけで、医学的なアプローチではないんです。それに、ワンちゃんに負担がかかりやすい。私たちが求めるものに無理して付き合わせるのではなく、ワンちゃんに協力してもらってこそ、ストレスなくうまくいくと感じたんですよね。そこで、まずはトレーニングをちゃんとやろうと思って、トレーナーの活動を始めました。

#02ぺぇ先生のトレーニングスタイル

介護の現場での気づきが、今につながってるんですね。
現在は、どのようにトレーニングを進めているのでしょう?

「学習理論」に基づいたトレーニングで、ワンちゃん自身に考えてもらいます。例えば、お散歩していて、飼い主の足元に戻ってきてもらいたい時、リードを引っ張って戻すこともできます。でも、できることならワンちゃん自身の気持ちで戻ってきてほしいんですよね。そのためには、「戻った方がオトク」って感じる経験をさせてあげることが大事なんです。
だから、私のトレーニングでは、ワンちゃんを叱らずに褒めます。吠えたり噛んだりしてから叱るのではなく、ただボーっとしていること、一緒にお散歩することを褒めてあげるんです。

これまでの一般的なしつけは、叱ることが多かったですよね。

そうなんです。日本は警察犬のトレーニングの仕方が主流で、「調教」の色が強かった。でも、家庭犬なら、声を張り上げて叱らなくても、日常のコミュニケーションの中で「YES」って褒めてあげて、「YES」と言われたら正解なんだとインプットしてあげるだけでいいんです。
ちゃんと褒めていけば、ワンちゃんの中で「吠える」「噛む」といった選択肢がなくなっていきます。ワンちゃんと意思疎通を図れると、「なんで無駄吠えしちゃうんだろう」って悩みがなくなりますよ。

「言うことを聞いてくれないから手放す」ということが、なくなっていきそうですね。

生涯、連れ添っていけるような関係性になると思います。ワンちゃんが病気になった時も、吠えたり噛んだりしなければ、獣医さんも診察しやすいですし、飼い主さんも投薬しやすくなります。無理に抑えつけて、怖がらせてしまうことも避けたいですね。
飼い主さんがしっかりワンちゃんと向き合い、トレーニングすることで、人間もワンちゃんもストレスなく過ごせるんです。

飼い主さんの心がけも、すごく大事ですね。トレーニングの時、飼い主さんとのコミュニケーションも重要になりそうですが、どのように接しているんですか?

飼い主さんの性格を見抜くところから始めます。私は「問題犬」っていないと思っていて、そう育てたのは飼い主さんなんですよね。だから、まずは「吠える」とか「病院が苦手」といった悩みを聞いて、「その時、パパやママはどう対応されてますか?」と聞くんです。飼い主さんの対応次第で、トレーニングの方向性が変わりますから。

なるほど。ワンちゃんだけでなく、飼い主さんの特性も踏まえて、トレーニングしていくんですね。

飼い主さんによって、注意の仕方も意識しますね。ただ、基本的には「褒め方」を教えていきます。ワンちゃんのためでもあるけど、飼い主さんもトレーナーから「今、叱って」と言われたらドキッとしちゃうでしょ。でも、「今、褒めて」と言われたら、嫌な気分はしないですよね。
飼い主さんがワンちゃんの命に関わるようなことをしていたら、「ダメでしょ!」って注意しますけどね(笑)。

飼い主さんへの指導も、トレーニングの一環といえそうですね。

私は預かりトレーニングをしないんです。トレーニングする時は、必ず飼い主さんも一緒。なぜかというと、飼い主さん自身がワンちゃんとコミュニケーションが取れないとダメだから。パパやママが変わると、ワンちゃんも変わるんですよ。私はその手助けをするだけなんです。

#03これからのこと

ワンコにも人にもストレスのないトレーニングを伝えているぺぇ先生ですが、今の夢ってありますか?

一番の夢は、私が関わらなくても、飼い主さんがワンちゃんとストレスなく会話できることかな。
懸命にトレーニングに取り組んでもらうため、飼い主さんとワンちゃんに月1回の宿題を出してるんですね。例えば、「バスケットボールでシュートする」とか「スケートボードに乗る」とか。かわいい宿題だと、飼い主さんも頑張ってくれるんです。宿題を通じて、飼い主さんに褒めるクセがついて、日常的にワンちゃんを褒めてくれたらいいなと思ってます。

最後になりますが、ぺぇ先生が広げていきたい「wa」は?

今、すごく考えていることは、行政や民間企業、動物病院、ワンコが好きな飼い主さん、動物が苦手な人も含めた「wa」です。
災害時など、緊急性が高い時に、どうしてもペットは後回しになっていると思うんです。最近、ようやくペット対策が始まったものの、災害時のペットの避難場所が、プールの更衣室に犬舎を並べたような雑多なところという場合があります。飼い主としては、その環境は避けたいですよね。
いち個人としてできる対策があれば、進めた方がいいとも思います。私は、ろっちゃん(ろっぽ)とキャンプに行って、テントで一緒に寝るんです。始めた頃は落ち着かなかったろっちゃんも、今は爆睡できるようになりました(笑)。いざという時にテント生活が送れるよう、慣れさせておくことは大事。
ただ、個人でできることには限界があります。これから先の未来、ペットとの避難は課題にしなければいけないし、そのためには行政や民間企業、動物が苦手な人も一緒に考えていくべきだと思いますね。

Profile

ぺぇ 先生

幼稚園から高校までインターナショナルスクールに通い、介護福祉士として働いた後、ドッグトレーナーの専門学校で資格を取得。海外のセミナーで行動学や学習理論などの知識を蓄え、トレーナー業を開始。現在は、ドッグカフェでのしつけ教室や個別レッスンを行っている。

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