人間にもあるアレルギー疾患は、ワンコにも存在するといわれています。昨今では皮膚病の専門医や、認定資格を持つ獣医師さんも増加し、紹介性ではないクリニックも増えており、受診できるハードルもどんどん下がっていますので、アレルギーからくる皮膚病が気になるかたはそのような専門医を受診し、徹底的に診てもらうのも良いかもしれません。
今回は犬のアレルギーではどのような症状が出てしまうのか、どのような原因でアレルギーを引き起こしてしまうのか、安藤先生に教えてもらいました。
- 獣医師により判断や考え方が異なります。ここでは原宿動物病院でいつも安藤先生が飼い主さまにお話していることを中心に記載しています。
- 自己判断は危険が伴いますので、少しでも気になる症状があればまずはかかりつけ動物病院を受診しましょう。
犬のアレルギー疾患ってどんな病気?
ANSWER 特定の物質に対して免疫機能が過剰に反応し、さまざまな症状が出てしまう病気です。
ここでは、皮膚の症状を中心に解説します。
アレルギー疾患の症状
ワンコに多い症状は、皮膚の炎症。かゆみが出て頻繁にかいたりなめたりする、肌に赤みが出る、脱毛するといった症状が見られます。くしゃみ、鼻水、涙やけや、他にも消化器症状が出ることもあります。
アレルギー疾患のきっかけ
ワンコの場合は諸説ありますが、生後3~5カ月くらいの時点で反応しやすい物質が決まるといわれています。生活環境や育て方、食事が原因で体質が決まるとは考えにくいので、飼い主さんが責任を感じることはありません。
犬のアレルギー疾患の原因は?
ANSWER ワンコによって、アレルギーが出る物質は異なります。
原因と考えられる代表的なもの
- ハウスダスト
- ノミ、ダニ
- 食べ物 など
シャンプーが原因になることは?
シャンプーに対するアレルギーがないとは言えませんが、シャンプーそのものよりも、洗い方が原因でシャンプーの効果を下げてしまっていることもあります。ですので、自宅での洗い方を見直すのも一つかもしれません。
皮膚炎が起きている可能性を考えてみましょう。ワンコの皮膚は柔らかく繊細なので、人と同じ温度のお湯やドライヤーの熱風が刺激になることがあります。また、シャンプーの洗い残しが原因で炎症が起こることも。お家でシャンプーされる方も何回かに1回はトリマーさんにシャンプーをお願いし、任せた時の仕上がりや手触りを確認したり、獣医に洗い方を相談したりするといいでしょう。
お家シャンプーで大切なポイント
- 頻度(月に4回前後)
- お湯の温度(30〜35度)
- 指の使い方(強くしすぎない)
- 毛だけではなく皮膚を洗う
- つけおき(5分程度、必要な場合のみ)
- 2度洗い(汚れが酷い場合、通常は必要ありません)
- 泡の立て方(泡立てネットの使用をおすすめしています)
- 洗い流しとすすぎの重要性
- 吸水タオル(犬用)
- ドライヤー、スリッカーの使用法
原宿動物病院で普段飼い主様とお話していることです。
お家シャンプーで大切なポイント
バスタオルのみの拭き取りは結構大変なため、ワンコの水分を素早く吸水してくれるワンコ用吸水タオルの使用がおすすめです。
犬のアレルギー疾患は治療できるの?
近年、さまざまな治療法が出てきていますが、完治を目指すというよりは症状を抑えるというイメージに近いです。動物病院ではアレルギーの原因となる物質を特定する検査も行っていますが、検査だけでは確定とならず、治療を進めながら原因を探り続けていくことになるでしょう。そのため、時間もお金もかかりやすいといえます。
アレルギー疾患の治療で重要なのは、ワンコの現在の状況とこれからの状況を踏まえて、今後どのように病気と付き合っていくか、飼い主さんがしっかり考えることです。治療法や、治療オプションの組み合わせも複数ありますので、コスト面のバランスを見ながら決めていく必要があります。いろいろな治療法を試しながら症状の改善を目指していくことになるので、飼い主さんが理想とする治療方針を定めておくことが大切です。
Adviser
原宿動物病院安藤 義史院長
原宿動物病院院長。大学卒業後、馬の体や再生医療に関する研究を行う。2013年から東京都および埼玉県の動物病院で経験を積み、2020年7月に原宿動物病院を開院。“やさしく温かく”をモットーに、診断を重視した安心感のある病院作りに努めている。