ナスは淡泊な味でクセがなく、油との相性が良い野菜です。旬の時期は7〜8月ですが、ハウス栽培が主流になりつつあり、年中手に入りやすい夏野菜といえます。
一方、旬を過ぎた初秋頃収穫されるナスを「秋なす」と呼び、柔らかく甘みと旨味が強いのが特徴です。また、夏のナスに比べて水分を多く含んでいるため、生のままでも美味しく味わえます。ナスは味付けや一緒に混ぜる具材を選ばないので、調理しやすい利点もあります。
私たち日本人は、ナスを揚げたり焼いたりして食べますが、はたして犬に与えても大丈夫なのでしょうか。
ANSWER 基本的にナスは愛犬に食べさせても大丈夫です。
犬の健康に役立つ栄養素が豊富に含まれているナスは、犬に与えても大丈夫な野菜です。しかし、アルカロイドと呼ばれる天然毒素が微量含まれており、過剰摂取すると下痢や吐き気を引き起こすおそれがあります。
犬がナスを食べることで良い影響を与える反面、体に悪い影響をもたらす危険性も考慮して、与える量と与え方に注意しなければなりません。「愛犬がナスを欲しがることがよくある」「愛犬にナスを与えようと思っている」という飼い主さんは、ぜひこの記事を参考にしてくださいね。
ナスの主な成分や栄養素
水分
水分は生命維持に欠かせない成分で、体を冷やす効果があります。ナスには約93%の水分が含まれています。
カリウム
体内の余分な塩分を排出してナトリウムとのバランスを調節するカリウム。塩分の摂りすぎで起こる身体のむくみを抑え、さらには高血圧リスクの予防効果も期待されています。ナスには100g中約220mgのカリウムが含まれています。カリウムは少なすぎても多すぎてもいけないので、摂取量に注意しなければなりません。
食物繊維
食物繊維には、水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けにくい不溶性食物繊維があります。ナスには100g中約2.2gの食物繊維が含まれており、そのほとんどが不溶性です。食物繊維は、腸内環境を整えたり、蠕動運動を活発化して排便を促進したりする働きがあります。過剰摂取すると、うまく消化できずに腸内でどんどん膨れ上がってしまう危険性があるため、与える量に注意が必要です。
ナスニン
ナスニンとは、植物が紫外線などから自身を守るために作り出す青紫色の天然色素「アントシアニン」の一種です。ナスニンは、皮部分に多く含まれています。ナスニンが持つ強力な抗酸化作用は、活性酸素による細胞の損傷を防ぎます。また、がん予防や発ガン性物質の抑制にも役立つと考えられている栄養素です。
ナスを犬が食べた際の犬への効果・影響
ナスにはカリウムやナスニンなどの栄養素が豊富に含まれているので、犬の健康を促進する効果が期待できます。また、ナスに含まれる成分のうち約93%は水分です。夏バテ気味で水を飲もうとしない愛犬や、一日の飲水量が減ってきたシニア犬の水分補給としても役立つでしょう。
犬に与えてよいナスの量は?
小型犬の場合 | 15g |
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中型犬の場合 | 30g |
大型犬の場合 | 50g |
子犬の場合 | 少量ずつ与える |
老犬の場合 | 少量ずつ与える |
犬にナスを与える際の注意点
ナスのおすすめの与え方
葉や茎は与えない
ナスの葉や茎にはアルカロイドと呼ばれる自然毒が含まれているため、与えてはいけません。
私たち人間は、ナスの葉や茎は固くて食べにくいため「犬も食べないだろう」と思いがち。しかし、犬は嗜好性の高い食べ物だけでなく、シャキシャキとした食感を求めて食べ物を口に入れることがあります。ナスの葉や茎も同様、愛犬がいきなり興味を持ち始める可能性もあります。必ず、葉と茎は取り除いた実の部分だけを与えるようにしてくださいね。
加熱してから与えよう
犬が生のナスを食べると、胃や腸に負担をける危険性があります。必ず、加熱してから与えてください。
ナスは油との相性が良いので、ついつい大量の油を使って揚げたり炒めたりしたくなります。しかし、過剰な油の摂取は下痢や嘔吐を引き起こす場合があるため、なるべく少量の油を使って調理しましょう。火を通しても栄養素の数や量にほとんど変わらないので、調理法によって含まれる栄養素に変化がないのはうれしいポイントです。
皮は栄養豊富だけど与え方に要注意
ナスの皮を愛犬に与える場合は、必ず細かく刻んで食べさせましょう。加熱後、ミキサーやフードプロセッサーを使ってペースト状にするのがおすすめです。ナスの皮には、ナスニンがたくさん含まれているため、できるだけ犬に食べさせてあげたいと思う飼い主さんも多いでしょう。ナスの皮は固くて噛みにくい部分なので、そのまま与えないように気をつけてくださいね。
アク抜き不要
私たち人間は、ナスを調理する際にアク抜きをすることが多いでしょう。しかし、アクはナスの断面が空気に触れることで発生するため、切ってすぐ油で炒める場合は、アク抜きをする必要はありません。また、アク抜きの時間が長すぎると、水溶性の栄養素が水分中に溶け出してしまうデメリットもあります。どうしてもアク抜きをして愛犬に食べさせたい場合は、短時間で終わらせましょう。
こんな時は犬にナスを食べさせないこと
ナスに含まれるアルカロイドを長期摂取すると、関節の修復機能が阻害されたり、炎症が起きたりする危険性が示唆されています。関節炎を患っている愛犬やシニア犬には、なるべくナスを与えないようにしましょう。
また、過去にナス科の野菜を食べてアレルギー反応があった愛犬にも、ナスを食べさせないほうが良いでしょう。もしもナスを食べて下痢や嘔吐などの症状がみられた場合は、すぐ獣医師に相談してくださいね。
まとめ
ナスには、カリウムやナスニンなどの体に良い栄養素が豊富に含まれています。よって、犬に与えても大丈夫な野菜です。
しかし、与える量や与え方によっては体に悪影響をおよぼす危険性もあります。今回紹介した注意点をぜひ参考にして、愛犬にとっても飼い主さんにとっても幸せな食生活を送ってくださいね。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。