飼い主の投げたフライングディスクを空中で華麗にキャッチする、すごいジャンプ力の白黒ワンコや、牧場で羊の誘導に活躍している長毛の中型犬を見たことがありませんか?この運動神経抜群で人間の役に立つ賢いワンコは、ボーダーコリーという犬種です。
ボーダーコリーは運動能力に優れ、全犬種の中で最も頭が良いともいわれていますが、表情豊かな愛らしい顔も魅力です。今回は、そんなボーダーコリーについて、性格や寿命、詳しい飼い方やお迎えする方法などを詳しく解説します。
ボーダーコリーの基本データ
原産国 | イギリス |
---|---|
サイズ | 中型犬 |
犬種グループ | 牧羊犬・牧畜犬(家畜の群れを誘導・保護する犬1G) |
飼いやすさ・しつけのしやすさ | 中級~上級 |
運動量 | 多い |
トリミング | 不要 |
ブラッシング | 2〜3日に1回程度 |
お散歩 | 1日2回×30分〜1時間程度 |
飼育費用 | 月1.5〜2万(医療費別途) |
かかりやすい病気・怪我 | 股関節形成不全、コリー眼異常(CEA)、糖尿病 |
ボーダーコリーの歴史とは?
ボーダーコリーは、原産国はイギリスで、イングランドとスコットランドの国境(「ボーダー」)地域出身であることと、牧羊犬を意味する「コリー」がその名前の由来となっています。スカンジナビア半島から海賊によって持ち込まれたトナカイの牧羊犬が祖先と言われています。
特にその作業能力と身体能力は高く評価され、牧羊犬として世界中で活躍するようになりました。
姿勢を低くした態勢で、すり足で移動する「sneak(スニーク)=こっそり動く」という歩き方をしながら、目を使って、羊など動物の動きを変えたり止めたりするところは、他の牧羊犬にはない特徴で、現在ではドッグスポーツでもその能力を発揮しています。
ボーダーコリーの大きさは?体重は?
ボーダーコリーは中型犬に分類されますが、中型犬のなかでも大きめです。男の子で体高53~55cm、女の子で50~52cmほど、体重は男の子が18〜23kg、女の子が16〜20kgほどで、男の子の方がやや大きめです。
均整のとれたスマートな体型をしていますが、高い運動能力や反射神経を持っています。
また、身体が柔軟なので、フライングディスクなどをキャッチする際には空中で大きく身体をねじりながらジャンプをする姿を見ることができます。
性別 | ボーダーコリーの体重 | ボーダーコリーの体高 |
---|---|---|
男の子 | 約18〜23kg | 約53~55cm |
女の子 | 約16〜20kg | 約50~52cm |
ボーダーコリーの被毛・毛色とボーダーコリーカットの種類
ボーダーコリーの被毛には、硬い毛質で長さが約7.5cmのロング・コートと、短くまっすぐで滑らかな毛質のスムース・コートの2種類があります。日本ではロングコートが一般的ですが、面白いことに毛の長さによって性格が違うようです。
実はロングコートの子よりも、スムースコートの子の方が運動能力に優れており、フライングディスクなどの競技用として人気があります
。毛色に関しては、日本ではブラック&ホワイトがポピュラーな色ですが、公認されている毛色はなんと35種類です。ホワイトを基調としたバイカラーや、ブラック&タン&ホワイトなどのトライカラー、そしてマールといった複数の色が混ざりあるカラーの子もいます。
ブラック系、ブルーホワイト系、ブルーマール系、チョコレート系、クリーム系、イザベラ(ライラック&ホワイト)、レッド系、セーブル系などさまざまな色がありますが、個体によってホワイトの入り方も個性が出るので、雰囲気が大きく異なります。
ホワイトが優勢であるものは好ましくないとされ、人気の「マール」は「マール因子」と呼ばれる遺伝子をもち、他の毛色に比べて遺伝的な疾患が発症するリスクが高いという説もあります。信頼できるブリーダーに相談しましょう。
ブラック系
「ブラック&ホワイト」お腹まわりから首にかけて白い毛が生えています。「ブラック&タン(茶褐色)&ホワイト」「ブラック」
ブルーマール系
「ブルーマール」薄いねずみ色をベースに、濃い斑点が散りばめられた大理石のような模様。「ブルーマール&タン」「ブルーマール&ホワイト」
チョコレート系
「チョコレート&ホワイト」明るいブラウン系の色合い。「チョコレートマール」「チョコレート」
「イザベラ(ライラック&ホワイト)」チョコレート色でさらに薄く明るい
レッド系
「レッド」明るめのレッド 「レッド&ホワイト」「レッドホワイト&タン」
「トライカラー」ブラックとホワイトとレッドの3色が混じっている。頬・眉毛・耳、足の付け根部分などにタンの色合いが出る。
ボーダーコリーの寿命は?人と比べた際の年齢は?
寿命は10〜17歳と中型犬にしては長寿ですが、最高齢はなんと27歳です。
イギリスのブランブルという名のボーダーコリーが、27年211日の長寿でギネス記録に認定されています。ストレスを与えない適切な飼育環境や、定期的な健康診断を受けることが長寿の秘訣です。
下記が、人と犬の比較年齢になりますので参考にしてください。
犬の年齢 | 人間に換算した年齢 | 成長ステージ |
---|---|---|
3か月 | 4歳 | 子犬 |
6か月 | 7歳半 | |
9か月 | 11歳 | |
1歳 | 15歳 | |
1歳半 | 19歳半 | |
2歳 | 23歳 | 成犬 |
3歳 | 28歳 | |
4歳 | 32歳 | |
5歳 | 36歳 | |
6歳 | 40歳 | シニア犬 |
7歳 | 44歳 | |
8歳 | 48歳 | |
9歳 | 52歳 | |
10歳 | 56歳 | |
11歳 | 60歳 | |
12歳 | 64歳 | |
13歳 | 68歳 | |
14歳 | 72歳 | 高齢犬 |
15歳 | 76歳 | |
16歳 | 80歳 | |
17歳 | 84歳 | |
18歳 | 88歳 | |
19歳 | 92歳 | |
20歳 | 96歳 |
ボーダーコリーのかかりやすい病気は?
ボーダーコリーがかかりやすい傾向にある病気には、以下のようなものが挙げられます。
眼の水晶体が正常な位置から外れる「コリー原発性水晶体脱臼」、眼の組織に異常が起こる遺伝性「コリーアイ」などの眼疾患、股関節の先天的異常「股関節形成不全」「肘関節異形性」などの関節疾患、被毛の黒い部分のみが薄くなる「黒色被毛毛包形成不全」、脳の中にたまった老廃物が蓄積してしまう遺伝的な病気「セロイドリポフスチン症(CL病)」などです。早期発見、治療のためにも、日頃からチェックしておきましょう。
最も賢いと言われるボーダーコリーはどんな性格?
ボーダーコリーの飼いやすさ、しつけのしやすさは?
ブリティッシュ・コロンビア大学のスタンレー・コレン教授の研究によると、ボーダーコリーのチェイサーは、3年間の言語学習で1022個もの玩具の名前を覚え、人間の言語もかなり理解していることがわかりました。
ワンコの知性に関する教授の研究では、賢い犬ランキングの1位はボーダーコリー、2位はプードル、3位はジャーマンシェパードという結果となり、ボーダーコリーが最も知能が高く思慮深い犬種であると報告されています。
また、賢いうえに牧羊犬としての歴史があるため、飼い主に対して愛情深く忠実ですが知らない人に対しては適度に警戒するという聡明さもあります。
その賢さや特性が裏目に出ないようにしていくことが、ボーダー・コリーと暮らす上でのポイントで、それがまた魅力であり、醍醐味であるとも言えます。特性をよく理解し、メリハリをつけ、子犬の頃から信頼関係をしっかりと築いていくことで、素晴らしい最高のパートナーとなってくれるでしょう。
また、ボーダー・コリーは「ハイパーアクティブ(超活動的)」といわれるほど活動的で、たくさん走ることや頭を使う遊びやアジリティが大好きなので、相当な運動量と知性に見合った遊びを与えなければ、ストレスになってしまいます。そのため、時間と体力に余裕のあるライフスタイルの方に向いている犬種です。
ボーダーコリーを飼う際の注意点
散歩は1日2回、朝夕1時間程度を目安に
ボーダーコリーは活発で知的好奇心旺盛な犬種なので、毎日朝夕1時間程度の散歩は欠かせません。散歩は健康を維持するための運動はもちろん、家にはない臭い、音やもの、家族以外の人やワンコなどに出会うなど、さまざまな体験をして知的好奇心を満足させることができます。
散歩中に散策したり立ち止まったりすれば、すぐにリードを引っ張らず、ある程度好奇心を満たしてあげましょう。
散歩以外にも頭脳もつかってたっぷり運動させる
ボーダー・コリーは運動能力と知的好奇心が旺盛なので、ドッグランなどで思いっきり走らせてあげましょう。
特に動いているものを追いかけることに長けているため、ボール遊びやフリスビーはぴったりです。また、作業意欲が高いため、頭を使う高度なトレーニングを行ったり、コミュニケーションを取りながら行うドッグスポーツ「フライングディスク」、「フライボール」「アジリティ」などの競技、ドッグダンスなど、一緒に行うことで、お互いの絆をより一層深めることができます。
暑さには気をつける
ボーダー・コリーは被毛が豊かなので、暑さが苦手です。 暑い季節は熱中症対策が必要になります。 室内ではエアコンを使用し、快適な室温にしてあげてください。散歩は早朝や日没後の涼しい時間に行くようにしましょう。
週2回程度ブラッシングをする
ボーダーコリーは、トリミングの必要はありません。抜け毛は非常に多い傾向にあるため、ブラッシングは定期的に行いましょう。
特に換毛期は、抜け毛が多くなり、抜けた毛が絡まり毛玉ができると、蒸れたり、皮膚病の原因にもなります。
掃除機や、お手入れグッズを上手に使って、抜け毛対策をしましょう。お手入れも、スキンシップを兼ねた、良いコミュニケーションになり、信頼関係も深まるでしょう。
子犬の頃からトレーニングをしっかりする
ボーダーコリーは、指示に従って行動することを大変得意とするため、子犬の頃から様々なトレーニングをするとよいでしょう。
特に、動くものを追う性質は、お散歩などの際に、他の犬や、走っている自動車や自転車などに、反射的に反応してしまうようなことがあってはいけません。
事故を防ぐためにも、「マテ」や呼び戻しなどは徹底的に、しっかりとトレーニングしておくことが大切です。吠え、飛びつき、噛み癖などは、大きな事故につながることがあります。
徹底してトレーニングしましょう。そういった観点からも、様々なトレーニングやドッグスポーツを行うことは、知的好奇心を満たし、ボーダーコリーがストレスなく日常生活を送る上でも、とても有効です。
生後2~3ヶ月のジュニア期の頃からしっかりとトレーニングを行い、飼い主さんの指示に従うことができるようにしておくことが大切です。
ボーダーコリーを家族にお迎えする方法
ボーダーコリーを家族としてお迎えする際の2つの方法と、料金の相場を紹介します。
ボーダーコリーのブリーダーさんから子犬をお迎えする
ボーダーコリー専門の優良ブリーダーを、ネットなどで検索してみましょう。ブリーダーから子犬をお迎えする場合は両親が明らかなので、毛色や性格などがわかるメリットがあります。
また、お迎え後もブリーダーさんに困った時に相談ができたり、兄弟犬の輪が広がったりとサポートしてもらえる繋がりがもてるのも心強いポイントです。
保護犬のボーダーコリーを探して里親になる
動物保護施設や動物愛護ボランティア団体などでは、繁殖犬を卒業して保護された子や、飼い主の事情で手放されて保護されているボーダーコリーを見つけることができるかもしれません。事前にサイトやSNSなどで探してみるのがおすすめです。
ボーダーコリーの子犬の値段・価格の相場は?
ボーダーコリーの価格相場は、毛色によって差があります。
ブラック&ホワイトのパピーの平均価格は、男の子が約34万円、女の子が約37万円です。レッド&ホワイトのパピーの平均価格は、男の子が約33万円、女の子が約38万円となります。
また、血統や模様の入り方によっても高値がつくことがあります。
まとめ
ボーダーコリーは大きめの中型犬なので、飼育する屋内のスペースもしっかりと確保し、お迎えしたときにはたくさんの愛情を注いであげましょう。牧羊犬の先祖を持ち、従順で賢くトレーニングに適しているため、飼いやすい犬種です。
ドッグスポーツ以外にも、トレッキングなどのアウトドアスポーツのレジャーを一緒に楽しめる相棒になりそうですね。