ミニチュア・シュナウザーは、日本でも以前から根強い人気を誇っている犬種ですが、2011年にテレビドラマ『マルモのおきて』で言葉を話すワンコとして登場してから注目を浴び、更に認知度が高まりました。近年は人気犬種ランキングでも、毎年ベスト10入りしています。
ミニチュア・シュナウザーの大きな特徴といえば、愛嬌たっぷりの眉毛と、上品さを漂わせる紳士のような口髭です。小型犬ですが、凛々しくスタイリッシュな唯一無二の個性に、男性からの人気も高いようです。
日本やアメリカではテリアに分類されていて、容姿もテリアに似ていますが、実はテリアの血統はまったく入っていません。これも、この犬種のユニークなところでしょう。今回は、そんなミニチュア・シュナウザーの歴史や性格、飼い方や気をつけたい病気などを解説していきます。
ミニチュアシュナウザーの基本データ
原産国 | ドイツ |
---|---|
サイズ | 小型犬 |
犬種グループ | 使役犬 |
飼いやすさ・しつけのしやすさ | 中級 |
運動量 | 中程度 |
トリミング | 必要 |
ブラッシング | 毎日必要 |
お散歩 | 1日2回×30〜60分程度 |
飼育費用 | 月1〜3万(医療費別途) |
かかりやすい病気・怪我 | 尿路結石症、進行性網膜萎縮、停留睾丸 |
ミニチュアシュナウザーの歴史
ミニチュア・シュナウザーはドイツ原産です。14世紀頃のドイツのフランクフルトで、ドイツ原産のスタンダード・シュナウザーの小さい体型の子を基礎とします。オーストリア原産のオーストリアン・ワイアーヘアード・ピンシャーと、ドイツ原産のアーフェン・ピンシャーなどを交配して小型化し、誕生しました。
当時は農場のワーキングドッグ(使役犬)として活躍するものの、この新しい犬種は正式に登録されておらず、まだ名前は「ピンシャー」と呼ばれていました。その後、鼻の周りが長い毛で覆われているため、ドイツ語の口髭、または口髭の立派な人を意味する「Schnauz/シュナウツ」が由来となり、「Zwerg Schnauzer ツヴェルク(小人)シュナウツァー」と名付けられ、英語では「Miniature Schnauzer/ミニチュア・シュナウザー」と呼ばれるようになりました。
アメリカに渡った後、当時は個体によって大きさが違ったために、プードルなどの小型犬と交配させて小型化し、現在の姿を確立します。そして、常に人気ランキングの上位に入る犬種としてアメリカ人に愛されてきました。
日本にはアメリカから昭和30年代に輸入されましたが、当時の日本ではトリミング技術が未発達だったため、トリミングを必要とするミニチュア・シュナウザーは家庭犬としては受け入れられなかったようです。その後、2000年代に入ってから徐々に人気が上昇し、現在ではジャパンケネルクラブの登録犬種ランキングの上位に入るほどの人気犬種になりました。
ミニチュアシュナウザーの性格と特徴・飼いやすさ
ミニチュア・シュナウザーの性格は、聡明で忍耐強く飼い主には従順なことから「最良の家庭犬」と称されるほど、飼いやすい犬種です。仙人のような風貌ですが、明るく好奇心旺盛で物覚えが早く適応力も高いため、トレーニングはしやすいでしょう。男の子は活発で勇敢、女の子は比較的大人しい子が多いようです。
とにかく飼い主に対して甘えん坊で、すぐに膝に乗ってきたり、体をすり寄せてきたりします。遊ぶことが大好きなので、かまってもらえないとストレスがたまり、情緒不安定になって攻撃的になることもあるようです。健康上もよくないため、毎日少しの時間でも遊んであげるようにしましょう。また、とても寂しがりやなので、長時間ひとりで留守番させるようなライフスタイルの人には向いていない犬種といえます。
ミニチュアシュナウザーの被毛と種類
ミニチュアシュナウザーは被毛は密生したダブルコートで、その針金のような硬い被毛をしています。被毛の色はソルト&ペッパー、ブラック、ブラック&シルバー、ホワイトの4種類。カラーでそこまで性格の大きな違いはありませんが、オスはより活発で、メスやおとなしく、マイペースの子が多いと言われています。
ミニチュアシュナウザーの大きさ・体高・体重
ミニチュア・シュナウザーは小型犬に分類されます。成犬の体型は体長と体高がほぼ同じ、正方形のようなスタイルで頭部は長方形、小さめながら全体的に体型はがっしりとしています。
ミニチュアシュナウザーの体重 | ミニチュアシュナウザーの体高 |
---|---|
約4~8kg | 30cm~35cm程度 |
ミニチュアシュナウザーの平均寿命と人間年齢
平均寿命は12〜15歳といわれていますが、18歳まで長生きした子もいます。公式記録ではないので、もっと長寿のミニチュアシュナウザーがいる可能性もあるでしょう。飼育環境によっても異なるので、室内飼育して適切な環境を整え、定期的に健康診断を受けることが大切です。
人間に換算した場合の年齢は下記の表をご参照ください。
犬の年齢 | 人間に換算した年齢 | 成長ステージ |
---|---|---|
3か月 | 4歳 | 子犬 |
6か月 | 7歳半 | |
9か月 | 11歳 | |
1歳 | 15歳 | |
1歳半 | 19歳半 | |
2歳 | 23歳 | 成犬 |
3歳 | 28歳 | |
4歳 | 32歳 | |
5歳 | 36歳 | |
6歳 | 40歳 | シニア犬 |
7歳 | 44歳 | |
8歳 | 48歳 | |
9歳 | 52歳 | |
10歳 | 56歳 | 高齢犬 |
11歳 | 60歳 | |
12歳 | 64歳 | |
13歳 | 68歳 | |
14歳 | 72歳 | 超高齢犬 |
15歳 | 76歳 | |
16歳 | 80歳 | |
17歳 | 84歳 | |
18歳 | 88歳 | |
19歳 | 92歳 | |
20歳 | 96歳 |
ミニチュアシュナウザーのかかりやすい病気
ミニチュア・シュナウザーがかかりやすい病気をチェックしておきましょう。気をつけなければならない病気は、紹介するほかにもあります。毎日の健康チェックと定期的な健康診断を心がけ、早期発見治療することが重要です。
ミニチュアシュナウザーのかかりやすい病気 1泌尿器疾患
腎臓、尿管、膀胱に結晶や結石ができる尿路結石症や膀胱炎などになりやすいといわれています。
ミニチュアシュナウザーのかかりやすい病気 2皮膚疾患
膿皮症やアトピー性皮膚炎などになることがあります。
ミニチュアシュナウザーのかかりやすい病気 3糖尿病
血糖値が増加して尿中に糖が排出される病気で、治療が遅れると昏睡状態に陥ることもあるなど大変危険です。
ミニチュアシュナウザーのかかりやすい病気 4眼疾患
若年性白内障や暗い場所で見えにくくなる網膜萎縮症などに注意が必要です。
ミニチュアシュナウザーのかかりやすい病気 5外耳炎
耳毛が生えているため外耳道炎になりやすいです。
ミニチュアシュナウザーの飼い方・飼う際の注意点
ミニチュアシュナウザーの飼い方・飼う際の注意点 12〜3ヵ月に1回程度のトリミング
口髭や眉毛などを美しく整えるためにも、トリミングは必要です。
カットスタイルは、ミニチュア・シュナウザー特有の口髭を長く伸ばしたスタンダードカットの「シュナカット」のほか、可愛い「テディベア」や「お耳ふんわり」、お洒落感抜群の「トップノット」やワイルドな「モヒカン」など、さまざまなスタイルがあります。
ミニチュアシュナウザーの飼い方・飼う際の注意点 1信頼関係を築きながらしつけする
ワーキングドッグとしての歴史があるため、飼い主には従順で忠誠心も強い犬種です。しかし、大声を出したり叩いたりするようなしつけの仕方や、ワンコ自身の行動を分析せずに叱ったりすると、信頼関係を失ってしまいます。
しつけは、褒めることでワンコ自身が喜んで行動するように仕向ける「ポジティブトレーニング」を行いましょう。
ミニチュアシュナウザーの飼い方・飼う際の注意点 2吠えないようトレーニングする
小型犬の特性や農場の番犬としての性質から警戒心が強く、威嚇吠えなどをすることもあります。パピーの頃からトレーニングを行った方が良いですが、ワンコにも吠える理由があります。
無視するのではなく状況を分析し、原因を取り除いたり、おやつなどで気をそらせたりするなどのトレーニング法がおすすめです。
ミニチュアシュナウザーの飼い方・飼う際の注意点 3繊細なので常に落ち着いて接する
ミニチュア・シュナウザーには臆病で繊細な面もあります。不安を感じさせないよう、落ち着いて平常心で接するようにしましょう。
ミニチュアシュナウザーの飼い方・飼う際の注意点 4毎⽇運動や朝⼣30分程度の散歩でストレス発散させる
ミニチュア・シュナウザーにはあまり激しい運動は必要ありませんが、毎日の散歩や外出は、健康のための運動や気分転換、そして社会性を育むためにも大切です。毎日朝夕の30分程度の散歩は必ずしましょう。
ミニチュアシュナウザーの飼い方・飼う際の注意点 5こまめにお手入れする
抜け毛は少ないですが、毛玉予防のための毎日のブラッシングや、汚れやすい口髭を清潔に保つお手入れが必要です。また、おじいさんのような眉毛が生えているため目ヤニが付着しやすいので、こまめにコットンでやさしく拭いてあげましょう。
ミニチュアシュナウザーのお迎えする方法
ミニチュア・シュナウザーを家族としてお迎えする際の2つの方法と、料金の相場を紹介します。
ブリーダーさんからお迎えする
ミニチュア・シュナウザーは専門のブリーダーから探すことが一般的です。インターネットやインスタグラムなどを使って探してみましょう。
また、すでにミニチュア・シュナウザーを飼っている飼い主さんに紹介してもらうのもおすすめです。また、お迎え後もブリーダーさんに困った時に相談ができたり、兄弟犬の輪が広がったりとサポートしてもらえる繋がりがもてるのも心強いポイントです。
保護犬のミニチュア・シュナウザーを探して里親になる
動物保護施設や動物愛護ボランティア団体などでは、繁殖犬を卒業して保護された子や、飼い主の事情で手放されて保護されているミニチュア・シュナウザーを見つけられるかもしれません。事前にサイトやSNSなどで探してみてくださいね。
ミニチュアシュナウザーの値段・価格の相場
ミニチュア・シュナウザーの子犬の価格相場は平均30〜40万円程度です(2022年)。保護施設などから里親として引き取る場合は、各施設によって定められた譲渡費用が必要になります。
まとめ
ここまで、「シュナ」という愛称でも呼ばれ、愛好家も多いミニチュア・シュナウザーについて紹介しました。
長い眉毛に髭を蓄えた紳士のような風貌ですが、目はクリクリとして実は可愛い顔つきをしています。カットスタイルも多くあるので、愛犬の性格にあったスタイルが楽しめるのもミニチュア・シュナウザーの魅力の大きなポイントになりますね。
先祖はワーキングドッグとして活躍していたため飼い主には従順で物覚えが早く、適応力も高いため、しつけにあまり手のかからない子が多いようです。
泌尿器系や皮膚疾患などの注意しなければならない病気もあります。早く気づくために、毎日の健康チェックや定期検診を行うことが大切です。また、寂しがりやの「かまってちゃん」なので、時間に余裕のある人に向いている犬種といえるでしょう。