「柴犬」は、日本を代表する犬として古くから飼われてきましたが、近年は海外でも「Shiba Inu(シバイヌ)」と呼ばれ、人気が高まっています。和犬である柴犬は、1936年12月に国の天然記念物に指定されました。日本の天然記念物犬種は6種類ありますが、そのなかで唯一の小型犬です。
微笑んでいるかのような愛嬌のある丸顔や太めの脚、プリッとしたお尻、クルンッと巻き上がった尻尾など、可愛さ満載の柴犬。このほかにも愛される理由がたくさんあります!今回は、そんな柴犬の歴史や性格、寿命、詳しい飼い方やお迎えする方法などを詳しく解説します。柴犬の魅力をさらに知りましょう!
柴犬の基本データ
原産国 | 日本 |
---|---|
サイズ | 小型犬 |
犬種グループ | 原始的な犬・スピッツグループ(日本犬を含む、スピッツ系G) |
飼いやすさ・しつけのしやすさ | 難しい。ベテラン飼い主さん向き。 |
運動量 | 中程度 |
トリミング | 不要 |
ブラッシング | 2〜3日に1回程度 |
お散歩 | 1日2回×30分〜1時間程度 |
飼育費用 | 月1.5〜2万(医療費別途) |
かかりやすい病気・怪我 | アレルギー性皮膚炎、緑内障、膝蓋骨脱臼、股関節形成不全、白内障 |
柴犬にはどんな歴史があるの?
柴犬の原型の日本犬が生まれた歴史は非常に古いです。縄文時代から存在していたとされ、「縄文柴」とも呼ばれています。
「シバ(柴)」とは古語で「小さなもの」「小さな犬」という意味です。縄文柴は体高45cm程の中型犬で、当時から狩猟犬・番犬として人間の役に立っていたようです。そして弥生時代には体高40cm程度に小型化されました。
その後もずっと島国日本の中で種の純血が守られてきましたが、一時期はイギリス犬種が輸入されて日本犬との交配が流行するようになり、純粋な柴犬は激減したそうです。
しかし、昭和初期に島根県二川村(現在 益田市美都町)生まれの石州犬「石(イシ)」と、四国生まれの雌犬「コロ」を両親として「アカ」が生まれ、「アカ」の子ども同士の交配により、1948年に雄の「中(ナカ)」が誕生しました。
この「中」が柴犬発展の礎となります。つまり、すべての柴犬のルーツは「中」の先祖である「石」に行き着くのです。
柴犬の大きさは?柴犬の体重は?
骨格のしっかりした均整の取れた体型の柴犬。立ち耳、巻き尾が特徴的で、原種の犬らしい素朴な魅力を持っており根強いファンの多い犬種です。
成犬の体高は、男の子が39.5cm前後、女の子は36.5cm前後が平均となっています。平均体重は、男の子が9〜11kg、女の子が7〜9kgです。
性別 | 柴犬の体重 | 柴犬の体高 |
---|---|---|
男の子 | 9〜11kg | 39.5cm |
女の子 | 7〜9kg | 36.5cm前後 |
柴犬の種類は?柴犬の毛色は?
被毛は短毛で、ダブルコートになっています。春と秋の換毛期には抜け毛が多くなるため、ブラッシングが必要です。ダブルコートなので寒さには強いとされますが、近代家庭犬となった柴犬は、冬はストーブの前を好む子が多くいます。
外飼いはせず、室内の暖かい部屋で飼育しましょう。毛色は、もっともスタンダードなのが茶色い被毛の赤柴ですが、黒褐色、胡麻、黒胡麻、赤胡麻の全5色あります。
地色に黒の差し毛が入っているものを胡麻といいます。どの毛色についても、顔の下側から胸、お腹など体の内側が白い差し色(裏白)があります。
赤柴
定番イメージの赤柴。柴犬の約80%以上が赤色の毛並みとも言われています。
黒柴
赤の次に見かける黒柴。目の上の眉毛のような斑点が模様があり、「四つ目」「まろ」などとも呼ばれています。
白柴
黒柴よりも数が少ない白柴。実はJKCでは白柴を公認していない犬種です。
成長すると薄茶になる子もいます。
胡麻柴(胡麻、黒胡麻、赤胡麻)
赤や黒、白のどれとも言えず、いくつかのカラーが混ざりあったような色をしている柴犬。なかなか見かけることはありません。
豆柴という犬種は存在しない?
最近非常に人気となっている「豆柴」。実は豆柴という犬種は存在しないことをご存知でしょうか?豆柴と呼ばれているのは、小さめの柴犬を選んで交配していき小さくした犬のことです。
ですので、「ペットショップで豆柴と売られていたのに想像より大きくなった」などの声もよく聞きます。ですので、最初にしっかりと柴犬について理解して家族に迎えることが必要です。もちろん、迎えたからには最後まで愛情を持ってしっかりと育てましょう。
柴犬の寿命は?人と比べた際の年齢は?
柴犬の平均寿命は12~15歳とされていますが、健康で15歳以上の長寿の子も多くいます。ギネスに認定されている「プースケ」(柴犬の血の入った雑種)は26歳8ヵ月まで長生きしました。
長生きの秘訣は、ワンコにとってストレスの少ない生活環境や被毛・口腔内のケア、適度な運動、定期的な健康診断を受けさせることなどです。
下記が、人と犬の比較年齢になりますので参考にしてください。
犬の年齢 | 人間に換算した年齢 | 成長ステージ |
---|---|---|
3か月 | 4歳 | 子犬 |
6か月 | 7歳半 | |
9か月 | 11歳 | |
1歳 | 15歳 | |
1歳半 | 19歳半 | |
2歳 | 23歳 | 成犬 |
3歳 | 28歳 | |
4歳 | 32歳 | |
5歳 | 36歳 | |
6歳 | 40歳 | シニア犬 |
7歳 | 44歳 | |
8歳 | 48歳 | |
9歳 | 52歳 | |
10歳 | 56歳 | |
11歳 | 60歳 | |
12歳 | 64歳 | |
13歳 | 68歳 | |
14歳 | 72歳 | 高齢犬 |
15歳 | 76歳 | |
16歳 | 80歳 | |
17歳 | 84歳 | |
18歳 | 88歳 | |
19歳 | 92歳 | |
20歳 | 96歳 |
柴犬がかかりやすい病気は?
柴犬にとってとくに気をつけなければならない病気は、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患です。真菌(いわゆるカビ)やアレルギーから原因不明のものまで、多くの皮膚病に注意しなければなりません。痒みや湿疹、脱毛など見つけたら、すぐに獣医師の診察を受けましょう。
このほか、膝蓋骨脱臼や股関節形成不全などの関節疾患、白内障や緑内障などの眼疾患にも気を付けることが必要です。また、シニアになると認知症になりやすい傾向にあります。
柴犬はどんな性格?柴犬のしつけはどうしたらいいの?
昔は猟犬として活躍していた気質が残っているため、賢く、勇敢で、忍耐強さも持っています。
また、独立心が強く、飼い主とべったり過ごすよりも一定の距離を保ちたいツンデレ系で、ハグや抱っこなど、体を拘束されることは苦手です。
ちゃんと自分を持っているので、気にいらなければ動かない頑固さもありますが、逆にお茶目だったり、変な行動をとりがちだったり、柴犬のイメージを日々更新してくれる、まったく飽きさせない性格の持ち主です。
飼い主以外の人にはなつきにくい一途なところもあり、そこがまた人気の理由かも知れませんね。
ただ、警戒心がとても強く、知らない犬や人に対して鋭く反応し、吠えたり攻撃したりすることもあるので、その場合は予防のために散歩コースや時間を変えるなどの工夫が必要です。
決して大声で叱ったり叩いたり、無理にリードを引っ張ったりという厳しいしつけはしてはいけません。柴犬は叱ることで逆に問題行動が増える可能性があります。
とくに自立心が強い柴犬は、自分のとった行動に対してほめられたり、ごほうびがもらえたりすれば、その行動をよくするようになります。
トレーニングの際には、正しい行いをすれば明るい口調でほめ、ごほうびを与えて、柴犬の意欲を高める教え方が良いでしょう。
柴犬の飼い方・柴犬を飼う際の注意点
1日2回の散歩や十分な運動をさせる
運動が大好きなので、朝夕30分ずつ、1日に1時間以上の散歩は必須です。散歩以外にも、ドッグランやアウトドアスポーツなどにも連れて行ってあげましょう。柴犬は十分な運動量がないとストレスをためやすく、攻撃的になることもあります。
子犬の頃からこまめにブラッシングする習慣を
柴犬はダブルコートの短毛のため、基本的にサマーカットなどのカットは必要ありません。
ただ、お尻や足裏の毛などの比較的伸びている毛をカットしたり、尻尾を桃尻といわれるスタイルにカットしたりすることがあります。季節の変わり目には大量に毛が抜けるので、ブラッシングがとても大切です。
大人になってから急にブラッシングしようとしてもさせてくれない可能性が高いので、子犬の頃からブラッシングする習慣をつけて慣れさせましょう。
信頼関係・上下関係をしっかり築く
まず、柴犬が嫌だと思うことをしないようにしましょう。柴犬は触られることが苦手な子も多いので、嫌がれば無理に触ったりしてはいけません。信頼してもらうためには、まず安心感を与えることが大切です。
とくに、家にお迎えしたばかりの子犬はさまざまな不安でいっぱいなので、飼い主さんが安心できる人だと認識してもらえるよう、穏やかに優しく接しましょう。
また、トレーニングの際の統一した行動、ルールの明確化なども信頼感を得るために必要です。活発な性格で運動や遊びが大好きなので、毎日の散歩はもちろん、屋内外での運動を兼ねた遊びを一緒に楽しんであげましょう。
このようなコミュニケーションをとることも、柴犬との信頼関係を築くうえで重要な要素となります。上下関係は、主従ということではありません。親子のような、家族を思わせる関係性です。
現在の研究では、人間が思う「上下関係」の概念そのものがワンコにはないと明らかになっているので、順位づけをする必要はありません。
柴犬を家族にお迎えする方法
柴犬を家族としてお迎えする際の2つの方法と、料金の相場を紹介します。
柴犬のブリーダーさんから柴犬の子犬をお迎えする
柴犬専門の優良ブリーダーをネットなどで検索してみましょう。ブリーダーから子犬をお迎えする場合は両親が明らかなので、毛色や体格、性格などがわかるメリットがあります。
また、お迎え後もブリーダーさんに困った時に相談ができたり、兄弟犬の輪が広がったりとサポートしてもらえる繋がりがもてるのも心強いポイントです。
保護犬の柴犬を探して里親になる
動物保護施設や動物愛護ボランティア団体などでは、繁殖犬を卒業して保護された子や、飼い主の事情で手放されて保護されている柴犬も多くいます。このような施設からお迎えすることも、ぜひ検討してみてください。
下記、保護犬を家族にと考えられてい方向けの参考記事をご紹介いたします。
柴犬の子犬の値段・価格の相場は?
柴犬の平均価格は5万円~20万円前後で、ドッグショー向けになどに飼育された子犬は、70〜100万円ほどの値段がつくこともあるようです。
保護施設などから里親として引き取る場合は、各施設によって定められた譲渡費用がかかります。事前に調べたり問い合わせてみると良いですよ。
まとめ
柴犬は、古代の日本人と共に暮らし、また、現在のすべての柴犬たちの血統は「石(イシ)」が祖先であると明らかで、まさに世界に誇れる生きた文化財といえる日本犬です。
飼い主さんに愛情いっぱいで接してくれたり、ときにはツンデレだったり、偏屈だったり、ビビりだったり、また、いたずらが見つかったときにはお茶目に「ごめんなさい」をしてくれるなど、ほかの犬種にはない不思議な魅力を持っています。
柴犬らしさを受け入れて信頼関係を築くことができれば、きっと楽しい柴犬ライフを送れるでしょう。