世界で最も背の高いワンコ(体高111.8cm)として2010年にギネス記録に認定されたこともあるグレート・デーンは、超大型犬として名の挙がる犬種です。Great=大きな、Dane=デンマーク、デンマークの大きなワンコという名前を持っていますが、別名「ジャーマン・マスティフ」とも呼ばれています。
調和のとれた体格は上品で崇高な印象を与え、ちょっぴり強面の顔であっても性格は温和であるため、「Gentle Giant/優しい巨人」「Apollo of Dogs/犬の中のアポロ(ギリシャ神話に登場する男神)」などと称されます。今回は、そんなグレート・デーンの生まれた歴史や性格、飼い方、お迎え方法などを紹介します。
グレート・デーンの基本データ
原産国 | ドイツ |
---|---|
サイズ | 大型犬 |
犬種グループ | 使役犬グループ |
飼いやすさ・しつけのしやすさ | 上級 |
運動量 | 高 |
トリミング | 不要 |
ブラッシング | 必要(週1回) |
お散歩 | 1日2回(1回1時間程度) |
飼育費用 | 月3〜5万円程度(医療費別途) |
かかりやすい病気・怪我 | 胃捻転、股関節形成不全、肥大性心筋症 |
グレート・デーンの歴史
グレート・デーンの起源は正確には解明されていませんが、紀元前3000年頃の古代エジプトのモニュメントに、グレート・デーンによく似たワンコが描かれています。犬種名にはDane(デンマーク人)とデンマークの国名がついているものの、実はグレート・デーンの原産国はドイツです。1880年にドイツで初めてスタンダードと定められ、ドイツ語で「ドイチェ・ドッゲ」という名がつけられました。
祖先は、今では絶滅したドイツの土着犬でブルドッグの1種「ブレンバイサー」と「マスティフ」や「アイリッシュ・ウルフハウンド」、ギリシャ原産の絶滅種「スーリオ・ドッグ」などの混交犬として、17世紀頃に誕生したと推測され、血統は400年以上続いています。
農作物を猪などから守る警備犬や猟犬として古くから活躍していましたが、品のある優雅で美しい体躯と穏やかな性質のために上流階級の人々を魅了し、ステイタスシンボルとして飼われるようにもなりました。しかし、大柄で忍耐強く従順だったことから、戦時中は軍用犬として利用されたため、一時は絶滅の危機に瀕するほどになったという悲しい歴史もあります。
デンマークの大きな犬「グレート・デーン」と名付けられた起源は、18世紀にフランスの博物学者ビュフォン伯が、著書「一般と個別の博物誌」の中で進化の例として用いた大型犬が、偶然デンマークで飼育されていたドイチェ・ドッゲであったことにあります。また、日本には、明治の初期からすでに入ってきていました。
グレート・デーンの性格と特徴・飼いやすさ
グレート・デーンは大きな体の見た目とは違い、非常に温厚で友好的、子どもやほかのワンコ、猫などにもフレンドリーでやさしく接する犬種です。
家族以外の人に対しても、控えめに気を配って接する賢さもあります。猟犬としての歴史もあるため、飼い主に従順で献身的、忍耐強いのでトレーニングも容易にできるでしょう。
しかし、寂しがり屋な一面もあり家族と離れることを嫌がるため、留守番が苦手な子もいるかもしれません。
また、超大型犬なので室外で飼うものと思われるかもしれませんが、病気を防止して健康的に長生きさせるためには、温度管理などができる室内飼いが理想的です。飼い主さんといつも一緒にいたいので、なるべく室内で一緒に生活できる広々とした部屋を用意できる人に向いている犬種といえます。
グレート・デーンの被毛と種類
グレート・デーンの被毛は、体に沿うように生えた艶のある密集した短毛が特徴です。毛色は、フォーン、ブリンドル、ホワイトにブラックの斑が入るハールクイン、ブラック、ブルーの5色があります。
- フォーン
- ブリンドル
- ハールクイン
- ブラック
- ブルー
グレート・デーンの大きさ・体高・体重
グレート・デーンは体長と体高がほぼ同じ長さで、男の子は80cm以上、女の子は72cm以上が標準とされています。体重は、男の子が54〜90キロ、女の子が45〜59キロほどです。
体高が高く、力強さと気高さ、強健さと上品さが兼ね備えられたしっかりした体型です。
性別 | グレート・デーンの体重 | グレート・デーンの体高 |
---|---|---|
オス | 54〜90kg | 80cm〜 |
メス | 45〜59kg | 72cm〜 |
グレート・デーンの平均寿命と人間年齢
グレート・デーンの寿命は7歳~10歳です。飼育環境によっても変わるので、室内飼育して適切な環境を整え、定期的に健康診断を受けましょう。
日頃からストレスをためにくい飼育環境を整え、健康状態をチェックし、病気にかからないように気遣ってあげることが寿命を延ばす秘訣です。
人間に換算した場合の年齢は下記の表をご参照ください。
犬の年齢 | 人間に換算した年齢 | 成長ステージ |
---|---|---|
1歳 | 10歳 | 子犬 |
1歳半 | 15歳半 | |
2歳 | 19歳 | |
3歳 | 29歳 | 成犬 |
4歳 | 39歳 | |
5歳 | 49歳 | シニア犬 |
6歳 | 59歳 | |
7歳 | 69歳 | |
8歳 | 79歳 | 高齢犬 |
9歳 | 89歳 | |
10歳 | 99歳 | |
11歳 | 109歳 | 超高齢犬 |
12歳 | 119歳 |
グレート・デーンがかかりやすい病気や怪我
グレート・デーンには、体が大きい故にとくに注意すべき病気があります。
グレート・デーンのかかりやすい病気 1胃拡張・胃捻転
大型犬がよく発症するのが胃拡張・胃捻転です。胃捻転は胃がねじれてしまう病気です。
発症原因は水のガブ飲みや餌の早食い・大食い、食後すぐの運動、遺伝的な要因などとされていますが、グレートデーンのような胸深の超大型犬はとくに発症しやすいようです。
胃捻転になると大きな静脈がねじれてしまい、全身の血液が滞りショック状態に陥る危険性が出てきます。数時間で死亡してしまうケースもあるこわい病気です。
苦しそうな呼吸や多量のよだれを垂らす、急にぐったりする、チアノーゼ、お腹が膨らんでいる(ガスが溜まるため)などの異変が見られた場合には、すぐに動物病院に連れていける体制を整えておくことが大切です。
グレート・デーンのかかりやすい病気 2骨肉腫
骨のガンである骨肉腫も、超大型犬に多く発生します。脚に発症することが多いため、散歩を嫌がる、脚が腫れている、しこりがあるなどの症状があれば、早めに動物病院を受診しましょう。
グレート・デーンのかかりやすい病気 3拡張型心筋症
拡張型心筋症は心臓病の一つです。心臓の筋肉が弱くなって血液を送り出すポンプの機能がうまく働かない状態に陥り、命に関わる病気です。
食欲の低下や体重の減少などの症状も見られますが、ない場合もあるので定期的な健康診断が重要です。
グレート・デーンのかかりやすい病気 4肥大性骨形成異常
生後4~8カ月のジュニア期に発症することが多く、とくに男の子に多い骨の病気です。脚の関節部分に、歩けなくなるほどの痛みを伴う炎症を起こし、高熱が出ます。遺伝的な要因もありそうですが、ジュニア期に栄養やミネラルを過度に与えることも良くないと考えられています。
グレート・デーンのかかりやすい病気 5アジソン病(副腎皮質機能低下症)
副腎から出るホルモンの分泌が少なくなってしまう病気です。特徴的な症状はなく、少し元気がなかったり時々吐いたりする程度で、重い症状は出ません。しかし何らかの原因で急激に悪化し、命に関わる危険な状態に陥ることがあるので、注意が必要です。
グレート・デーンの飼い方・飼う際の注意点
グレート・デーンの飼い方・飼う際の注意点 1朝夕1回1時間の散歩に行く
グレート・デーンを制御できる力のある人と、毎日1時間以上の散歩が必要です。
グレート・デーンの飼い方・飼う際の注意点 2十分な飼育スペースをとる
超大型犬なので、飼育スペースには相当な広さが必要になります。広い部屋や庭のある戸建て住宅での飼育が望ましいです。
グレート・デーンの飼い方・飼う際の注意点 3快適な室内の温度・湿度を保つ
寒さや暑さに弱いので、室内は快適な温度・湿度に保つようにしましょう。
グレート・デーンの飼い方・飼う際の注意点 4絞ったタオルで全身のケアをする
グレート・デーンは短毛のシングルコートなので、固く絞ったタオルで全身を拭く程度の毎日のお手入れが必要です。換毛期には1日2回を目安に行いましょう。
グレート・デーンをお迎えする方法
ブリーダーさんからお迎えする
グレート・デーンはペットショップではあまり販売されない希少犬なので、グレート・デーン専門のブリーダーから探すことが一般的です。インターネットやインスタグラムなどを使って探してみましょう。
また、すでにグレート・デーンを飼っている飼い主さんに紹介してもらうのもおすすめです。また、お迎え後もブリーダーさんに困った時に相談ができたり、兄弟犬の輪が広がったりとサポートしてもらえる繋がりがもてるのも心強いポイントです。
保護犬のグレートデーンを探して里親になる
動物保護施設や動物愛護ボランティア団体などでは、繁殖犬を卒業して保護された子や、飼い主の事情で手放されて保護されているグレート・デーンを見つけられるかもしれません。事前にサイトやSNSなどで探してみてくださいね。
グレート・デーンの値段・価格の相場
グレート・デーンの子犬の価格相場は34万円~45万円程度とされています(2022年)。保護施設などから里親として引き取る場合は、各施設によって定められた譲渡費用が必要です。
まとめ
グレート・デーンは力強いなかにも気品漂う容姿で、温厚なうえお茶目な面もあります。しつけやお手入れもしやすく飼いやすい、魅力的な犬種です。
しかし、非常に大きな体のために、遊んでいるつもりでも人やほかのワンコなどにケガさせてしまう、物を壊してしまうなどのトラブルに注意が必要です。飼い主の指示には必ず従えるよう、ジュニア期からしっかりとトレーニングを行っておけば安心ですよ。
また、超大型犬の平均的な飼育費用は、1カ月あたり4万円前後が最低限必要となります。金銭的余裕と体力のある人は、グレート・デーンを家族として迎えることを考えてみてはいかがでしょうか。