保護犬を引き取りたいが、不安も
最近、テレビなどで紹介されている保護犬。自分もこの保護犬を家族として迎えてみたいと思うけれど、保護犬を引き取ることに難しさはないのだろうか、初めてワンコを飼うのに保護犬でも大丈夫だろうかなど、疑問や不安をお持ちなのではないでしょうか。
そこで今回は、保護犬を飼うことは難しいのか、どの様に接すれば良いのか、引き取りの際に必要なことなどについて解説します。
保護犬を引き取る際の不安 1保護犬を飼う難しさ
保護犬は、施設や団体などで保護されるまでにさまざまな経験をしてきた子たちです。
保護される前の経緯
- 彷徨っているところを保護されたのに飼い主が現れなかった
- 野犬だった
- 繁殖犬としての役目を終えた
- 虐待されていた
- 多頭飼い崩壊現場からレスキューされた
- 飼い主によって連れてこられた
- ペットショップで売れ残った
どのような理由、経緯で保護されたワンコでも、少なかず辛い経験をしてきた子もたくさんいます。そのため、保護犬の性格や状態には心配がある場合が多いのです。
例えばこのような状態があります
- 臆病で落ち着きがない
- 人や環境に慣れない
- 躾ができていない
- 警戒心が強く攻撃的
- 心を開かない
- 身体的なダメージがある
このような例を挙げると、保護犬を迎えるのに少し躊躇してしまうかもしれませんが、全く問題のない子もいますし、自分を守ってくれる、ケアしてくれる家族ができたのだとすぐに理解して大喜びする子もいます。
また、心身にトラウマやダメージのある子であっても、愛情を持って気長に付き合っていってあげれば、いずれは問題を克服でき、かけがえのない大切な家族となってくれるでしょう。後の項で、保護犬を飼うために大切なことなどを解説しますので、参考にしてみてくださいね。
保護犬を引き取る際の不安 2保護犬を引き取る条件
里親を探しているワンコは、日本全国の動物愛護センターや保健所でも保護されています。特に保健所では命の時間が迫っている子もいます。そんな子達をこちらのサイトから検索して、見つけてあげることができます。
各施設の公式サイトには、里親募集しているワンコの写真やプロフィール、譲渡会などの情報が掲載されていたり、保健所では事前に譲渡希望を申し込み、該当する子がいれば紹介してくれたりする場合もあります。しかし、お迎えしたい子が決まっても、さまざまな条件をクリアしなければ里親になることはできません。
条件は施設によっても違いがありますが、一例を紹介しますので参考にしてください。
- ワンコが飼育可能な住居であること
- ワンコを生涯飼育できるだけの経済力があること
- 同居する家族全員の同意があること
- 終生飼育すること
- 年齢制限(18歳以上60歳未満など)
- 室内飼いをすること
- 健康維持のための健診や治療を必ず受けさせること
- 長時間留守番をさせたりしないライフスタイルであること
また、譲渡にかかる費用や、避妊去勢手術代などが必要となる場合もあります。
保護犬を引き取る際の不安 3保護犬を里親として迎え入れるために必要な準備
里親となって、保護犬を家族として迎え入れるには、まず「どんなことがあっても、この小さな命を守りお世話をする」という心構えと決心が必要です。決して安易な気持ちで飼ってはいけません。最初は心を閉ざして懐いてくれなかったり、トイレの失敗が多かったり、夜鳴きをしたりなど、いろいろな問題が起きることもありますが、「こんなはずではなかった」と言って手放してしまったりしないように、覚悟を持って保護犬をお迎えしてください。可愛いだけではなく、育てるには愛情と手間が必要です。
次に必要なことは、ワンコが暮らす環境を整えてあげることです。
安心できる場所の確保
新しい場所や人に慣れるまでは時間がかかることがあります。一人で静かに落ち着ける場所を用意してあげましょう。
心地良いベッドや隠れることのできるハウスがあると良いですね。柵式のケージは、閉じ込められていた施設を思い出して怖がったりするケースもあるので、嫌がる子は無理に入れないようにしましょう。海外のペット先進国では、家庭でワンコを柵式のケージに入れることはほとんどありません。狭いところに閉じ込めずに自由にしておいてあげる方が、家族との距離が早く近くなるかもしれませんね。
また、物を噛んだりいたずらしたりする可能性があるため、大切な物や食べると危険なものは、ワンコの届かないところに移動しておきましょう。
フードの他、備品の購入
フードと食器、おやつ、ハーネスとリード、トイレ、毛布、キャリーバッグ、玩具、洋服など、ワンコとの暮らしに必要な備品の準備をしましょう。
近くの動物病院のチェック
身体にダメージのある子を引き取った場合、もしくは体調に何かあった時にすぐに駆けつけることができるように、近くの動物病院をチェックしておきましょう。ペット保険についても調べておいた方が良いですね。
躾の仕方を学んでおく
トイレを覚えさせたり、ワンコにとって危険なところに立ち入らないようにさせたりする躾が必要ですが、事前に経験者に聞いたりネットなどで学んだりしておくと良いですね。特に保護犬は心に傷を持っている場合もあるので、厳しく叱って躾ると懐かなくなることもあります。優しく躾ることができる方法にしましょう。人に飼われていた成犬は躾ができていることもあるので、手がかからない場合もありますよ。
脱走に備える
元の飼い主のところへ戻ろうとしたり、新しい環境を恐れてパニックになったりして脱走をする子もいます。家族にも注意を促し、脱走できない様に部屋の環境をしっかり整えておきましょう。脱走の心配がありそうな子は、捕まえやすいように室内でもリードをつけておくと良いですよ。不安がなくなれば外してあげましょう。
保護犬を引き取る際の不安 4飼い始めてから慣れるまでに大切なこと
保護犬を家に迎え入れてから家族や環境に慣れるまでには、さまざまな工夫が必要だったり、時間がかかったりする場合があります。保護犬は、心にトラウマを持っている場合があるので、無理をせず、気長に見守りながら心を配りましょう。
お散歩
ワンコには毎日の散歩は必須です。しかし、繁殖場などで小さなケージに入れられたまま、生まれてから一度も戸外へ出て散歩をしたことがない子もいます。散歩に行くと、固まってしまって全く歩くことができないこともあります。抱っこで散歩してあげて外に慣らせる、他のワンコと一緒に歩かせてみるなど工夫しましょう。
逆に、こんなに楽しいことができるの?と、大喜びで走り回る子もいますよ。散歩ができるようになっても、無理に引っ張ったり、言うことを聞かない場合でもきつく叱ったりしてはいけません。飼い主さんや散歩が嫌いになってしまわないように配慮しましょう。
食事
最初は緊張してご飯を食べない子が多いようです。ご飯をあげた後は、ワンコの視界に入らないようにして、静かに見守ってあげましょう。保護犬は、ろくにご飯を食べさせてもらえずひもじい思いをしていた子、繁殖場で粗末なフードだけで育った子、同じドライフードしか食べたことがない子も多いです。緊張から食べられなかった子でも、愛情込めた手作りのご飯をあげると、美味しそうな匂いに目の色を輝かせて喜んで食べることがあるので、是非試してみてください。初めてワンコを飼う方は、ワンコに食べさせてはいけない食材も勉強しておいてくださいね。また、年齢や体調によりメニューも工夫が必要です。
触らせない。抱っこできない。
身体に触れられることを嫌がったり、抱っこさせてくれなかったりすることもあります。一緒に生活する間に信頼感ができてくれば、触らせてくれるようになるはずです。無理強いはせず、気長に向き合ってあげましょう。
また、ワンコは上から触れようとすると不安になります。手を出す際は、ワンコの目線より下から手を出して触れるようにしてください。
吠える
環境に慣れずに夜に吠え続けたりすることもあります。その場合は、散歩をしっかりとして疲れさせ、夜はぐっすり寝られるようにするようにしてみましょう。ひとりぼっちで不安で吠える子には、そばで一緒に寝てあげると安心して止めることもあります。何をしてもだめな場合は、獣医師に相談して精神安定剤などを処方してもらい、慣れて吠えなくなるまでは服用させるという方法もあります。
音に慣れさせる
一度も人に飼われた経験がない保護犬もいるので、普段、家庭にある音に慣れさせることも必要です。玄関チャイムや掃除機、テレビなどの家電製品などの生活音は、なるべくワンコにとってストレスとならないよう気をつけましょう。
まとめ
いかがでしたか?里親になる際の疑問や不安は解消できたでしょうか。動物愛護センターや保健所では、譲渡前に飼育講習があり、保護犬を飼うための心構えやノウハウをある程度教えてくれます。また、お迎えした後の悩みや困ったことを譲渡元に相談することもできるので、ワンコを初めて飼う方でも大丈夫です。一人で悩まなくても、プロに聞いてみることができるので、安心して保護犬を迎えてみてはいかがでしょうか。