この記事はワンコnowa編集部が監修・執筆を行っています。
自己主張が強い犬がみせる行動・仕草

犬を迎えて、犬との楽しい日々が送れるはずが、犬の自己主張が激しくてどうしていいのかわからない、そんな愛犬の自己主張に悩まされる飼い主が増えています。飼い主のお悩みで代表的な犬の自己主張として、散歩中に犬自身が行きたい方向にリードを強く引っ張る、歩きたくないと座り込むことやおもちゃやボールを取ろうとすると唸る、噛む、要求吠えが激しいなどがあります。犬の自己主張は、可愛いと思えるものから事故につながるものまでさまざまです。また、犬種によっては、自己主張の激しい性質の犬もいます。自己主張はを放置しておくと、可愛いはずの犬が危険な存在となってしまう可能性もあるため注意が必要です。
どんな犬でも自己主張をすることはあります。おやつを見せないとおすわりをしないというのも自己主張の一つ。また、お気に入りのボール以外には見向きもしないという行動も一種の自己主張です。ある程度の自己主張は個性ともとれるため許容できますが、これらの自己主張が強く出るようになると、支配欲につながってしまいます。自己主張の強い犬は、頑固、独立心が強い、プライドが高い性質が特徴です。家庭犬として迎えられた犬は、本来は飼い主をリーダーと認め信頼関係を築き、家族の一員として飼い主の指示に従って生活していきます。しかし、支配欲が強い犬は、飼い主よりも自分の方が優位な立場にあると考え、家族=群れの中でリーダーシップを取ろうとします。そんな自己主張の強い犬がどのような行動をとるのか、またどんな仕草を見せるのか具体的にご紹介します。
食べ物、おもちゃ、ボールなど大切なものを守ろうとする
自己主張が強い犬は、自分が大切にしているものを守る行動をとります。飼い主を含め、誰かがこれらのものに近づくだけで、唸る、噛むなど威嚇をします。
リードを強く引っぱる
犬の自己主張で最も分かりやすい行動が、散歩中にリードを強く引っ張り、自分の行きたい方向へ向かうことです。また、それとは反対に座り込んでしまい動かなくなることもあります。
自分の要求を押し付ける
自己主張が強い犬は、飼い主や家族に向かって、吠える、飛びつく、体当たりするなどして、執拗に自分の要求を通そうとします。さらに、自分の要求が通らないと噛みつく、マウンティングする事もあります。
自己主張が強い犬との付き合い方

自己主張が強い犬は、さまざまな方法で自分の要求を通そうとするため、最終的には攻撃という形を取ることも少なくありません。犬にとって最大の攻撃は、相手に噛みつくこと。噛むことで相手が自分の言うことを聞いてくれると認識してしまうと、常に噛む犬となってしまいます。飼い主や家族が噛まれる恐怖で支配されてしまうと、犬はさらに攻撃性を増す可能性もあるため、そうなる前にきちんとしたしつけをする必要があります。
仔犬期の社会化が大切
日本では多くの犬が2ヶ月齢で母犬や兄弟犬から引き離されてしまいます。実は、犬の成長にとって最も重要な時期。この犬にとって敏感で大切な時期に、母犬の愛情や兄弟との関わりを持たずに育った犬は、基本的な社会性が欠落していると言っても過言ではありません。
犬の脳は4ヶ月齢までに急速に発達します。言い換えればこの時期は、なんでも吸収できる時期。そして、まだ怖い物知らずの時期でもあるのです。この月齢までにさまざまな体験をすることで、犬は犬同士そして人間社会で暮らしていくためのルールやマナーの基礎を学習し、人間に対して信頼関係を持つことができるようになります。これが犬の社会化です。
社会化が適正に行われなかった犬は、あらゆるものにストレスを感じてしまいます。特に、恐怖心は攻撃へと転じる可能性が高く、唸る、噛むといった問題行動に発展することがあります。また、飼い主への信頼感を育むことができずに、自己主張が強い犬に成長する可能性もあるのです。成犬になってから、その問題行動に気がついても矯正することは非常に難しく、最悪の場合は、攻撃だけではなく自傷行動や病気を発症してしまうこともあるため注意が必要です。
しつけの重要性
近年日本では、多くのドッグトレーナーがしつけ法として、「褒めるしつけ」あるいは「陽性強化」理論を主流としています。しかし、叱らない、トリーツを使ってできたことを褒めるしつけでは、結果としてトリーツがなければ何もやらない、叱られると反抗するなど自己主張の強い犬を生み出していることも事実です。
また、犬を擬人化し、綺麗な洋服を着せカートに乗せて散歩するなど、本来の犬の姿からはかけ離れた生活を送る犬が多くいます。こうした甘やかされて育った犬は、家族の中で自分が最上位にあるリーダー的な存在だと勘違いし、自己主張が強くなってしまうのです。
実は、自己主張が強い犬は、頼れるべきリーダーがいないことへの不安も持っています。犬は、信頼できるリーダーがいて初めて安心して人間社会で暮らしていかれるのです。飼い主との間にしっかりとした信頼関係が構築するために、ただトリーツを与えるだけではなく正しい陽性強化トレーニングを行うことが大切です。
犬の特性に合う仕事を与える
狩猟犬をルーツに持つ犬の自己主張が強い場合は、退屈な生活へのストレスを抱えている可能性があります。まずは、愛犬の犬種特性をよく調べ、どのような仕事が適しているかを知ることが必要です。本来の狩猟犬は、飼い主の指示に従って獲物を取ることを仕事としていました。そのため日常的に、「モッテコイ」遊びや「ノーズワーク」などの遊びや飼い主と一緒に楽しめるトレッキングやスイミングなどの運動を取り入れ、飼い主の指示に従う=仕事をしていると認識させて信頼関係を構築していくことが大切です。
自己主張が強い犬種5選
自己主張の強い犬種は、頑固、独立心が強い、警戒心が高い、プライドが高いなどの性質が特徴です。このような性質の犬は、主に警備犬や牧畜犬、狩猟犬として能力が発揮できるようにさまざまな犬種を交配して誕生した犬種で、一般にしつけが難しいとされている犬たちです。
01 チワワ

世界最小の犬種ながら、気の強さ、独立心が強いチワワは、自己主張の強い性質で知られています。また、自分の思い通りにならないと、吠えるだけではなく噛むこともあるため、甘やかすばかりではなく、仔犬期の社会化としっかりとしたしつけが必要です。
02 ジャックラッセルテリア

小型犬ながら、中型犬以上の体力を持つジャックラッセルテリア。可愛らしい容姿とは裏腹に、噛み癖、吠え癖、家の中でもじっとしていない、攻撃性、呼び戻しがきかないなど自己主張の強さもピカイチ。怖い者知らずで大型犬にも負けない闘争心と強い精神力、そして自己判断能力の高さもジャックラッセルテリアの大きな特徴で、しつけのしにくい犬種ナンバー1に挙げられている犬種です。
03 ビーグル

大きな垂れ耳がトレードマークの世界的人気のキャラクター「スヌーピー」のモデル犬として一躍有名になったビーグルはイギリス原産のセントハウンドで、吠え声に特徴がある犬種です。好奇心旺盛でエネルギッシュ、優秀な追跡犬として現役で活躍している犬種ですが、生粋のセントハウンド気質から頑固な一面もあり自己主張が強いタイプです。そのため、何かに集中すると飼い主の言うことも耳に入らなくなってしまいます。
04 柴犬

縄文時代から日本人のパートナーとして飼育され、優秀な猟犬として活躍をしてきた柴犬。知的な外観とエネルギッシュで賢い性質を持つ柴犬は、1万年という長い歴史を持つと言われています。忠誠心が強く、自信家で独立心旺盛な性質から有能な猟犬として活躍していたことでも知られています。狩猟犬としてハンターの良きパートナーであり番犬として家族を守る仕事を担ってきた柴犬は、飼い主と1対1での生活を好み、独立心が強く、頑固な性質、自己主張の強さが特徴の犬種です。
05 秋田犬

日本犬の中で唯一の大型犬である秋田犬は、自己主張が強く最も頑固な犬種のひとつとされています。独立心が強く、勇敢で、猟犬としてだけではなく番犬としても優れています。飼い主に対しての忠誠心の高さから、見知らぬ他人には強い警戒心を持ち攻撃をしてしまうこともあります。犬種に対しての知識豊富な飼い主によって信頼関係を構築できれば、忠実なパートナとなる犬種と言えます。
まとめ
狩猟犬や警備犬として作出された犬は、少なからず自己主張をするもの。この自己主張を犬のわがままと捉えるか、それとも犬の気持ちの表れと捉えるかは人それぞれですが、犬にも自己があり感情があります。愛犬が自己主張をするようなときは、まずその原因を考えてみることも大切です。
散歩中にこっちへ行くのが嫌だと自己主張をするときは、もしかしたらこの先で犬に吠えられたり、嫌な思いをした記憶があるのかもしれません。だからと言って、その自己主張を尊重してしまうことが、支配欲につながる可能性もあるため、ケースバイケースで対応することが大切です。もちろん、自己主張が噛む、飛びつく、吠え続けるなどの問題行動として現れた場合には、しっかりとした訓練をし、信頼関係を構築することが重要です。
Writers
ワンコnowa 編集部
愛犬飼育管理士/ペットセーバー/犬の管理栄養士の資格を有し、自らもワンコと暮らすワンコnowa編集部ライターチームが執筆を行なっています。
チワワのような小型犬からゴールデンレトリーバーのような大型犬まで、幅広い犬種と暮らす編集部スタッフたちが、それぞれの得意分野を生かし飼い主視点でわかりやすい記事を目指しています。
