この記事はワンコnowa編集部が監修・執筆を行っています。
犬が太る原因とは?

今や世界中の犬たちが抱える大きな問題となっている犬の肥満。特に、日本の犬たちは肥満傾向にあることが指摘されています。「犬の肥満は飼い主の責任」です。
肥満の原因は、摂取カロリーが消費カロリーを上回ること。犬は、盗み食いや拾い食いをしない限り、自らフードやおやつを過剰に摂取することはありません。可愛い笑顔やじっとこちらを見つめる眼差しの誘惑に負けて、人間が食べているものを与えてしまったり、「おかわりが欲しそう」と食事の量を増やすことによって、カロリーオーバーな食生活となってしまいます。また、近年流行の「オヤツによるしつけ」も、カロリーオーバーの一因となっている可能性があります。
犬の肥満は、人間の場合と同じように深刻な病気につながる大きな問題です。獣医師から「太りすぎ」や「少し痩せた方がいい」などと指摘された場合はもちろん、見た目から愛犬が太ってきたと感じた場合には、なぜ愛犬が太るのか、その原因をしっかりと把握し、適切な対策を講じることが、健康で長生きしてもらうためにも大切です。
犬が太る4大要因とは
なぜ犬は太るのでしょうか。太りすぎからダイエットが必要と指摘されても、人間と同じで生活環境が変わらなければ、簡単に痩せられるものではありません。まずは、犬が太る原因を探ってみましょう。

運動不足
現代では、犬の運動不足は深刻な問題となっています。特に、都会で暮らす犬は運動不足となりがちです。特に、狩猟犬をルーツに持つ犬種は運動欲求が高く、リードの散歩だけでは運動が足りず、太ってしまう可能性があります。どんな犬種でも自由運動は必要です。その犬種に必要な運動量を確保することはとても大事。日々の散歩はもちろん、ボール遊びやスイミングなど思いっきり体を動かす環境を整えることが必要です。
避妊や去勢
避妊、去勢をした犬は、してない犬に比べて約2倍太りやすくなるというデータもあります。避妊、去勢手術によって、ホルモンバランスの変化から1日の代謝率が低下すると言われています。避妊、去勢したことで、体重維持のための必要カロリーが減るにもかかわらず、食事の内容や量が変わらないと太ってしまうのです。また、メスの場合は避妊手術によってエストロゲンが減少し、食欲が増加することも太る原因の一つです。
季節的なもの
動物は、気温が下がり、食料が不足する冬が近づくと、活動量の低下とともに代謝が落ち、冬眠モードに入ります。そのため、冬を乗り切るために脂肪を蓄え体を温めようとする「倹約遺伝子」と呼ばれる遺伝子が働くことで、冬に体重が増えることがあります。日本ではあまり聞くことはないですが、海外ではこの状態を「winter weight」(冬体重)と呼び、太る原因の一つに数えられています。
犬が太ってしまったらどうすればいいの?

犬の肥満は、生活の質を低下させ、健康や寿命に大きなリスクをもたらします。犬は太ることで、関節炎、糖尿病、心臓病、呼吸器系の病気などの健康問題を引き起こす可能性があります。
犬の体重管理は、健康で長生きをしてもらうための大切な健康管理の一つです。健康な時の体型バランスを覚えておくことで、体重の変化にも気づきやすくなります。もし、今までより脂肪がついてきたと感じたら、運動量を増やす、食事の量を見直す、間食を減らすなど早めの肥満予防対策を取ることがおすすめです。
食生活を見直してみよう
ドライタイプのドッグフードには、嗜好性を高めるために脂質を多く含んでいるものがあります。特にパピー用フードは成長期に与えるために高カロリーに作られています。食いつきがいいからと1歳を過ぎても同じものを与えているとカロリーオーバーになり、太ってしまうことにつながります。
人間と同じで成長期に肥満傾向にあると、痩せにくいカラダになると近年の研究でわかってきました。そのため、フードの種類や量に気をつける必要があります。
高カロリーのフードを食べている場合はカロリーの低いフードに切り替え、1日3~4回に分けてあげてみましょう。ただし、ダイエットのために急激にフードを減らすと、イライラして攻撃的になったり、盗み食いをしたりとストレスのために思わぬ行動に出ることがあります。それでは犬も可哀想なので、フードの量を減らしたら、さつまいもなどの食物繊維を多くトッピングしてあげましょう。
また、生食や手作り食に切り替えるとダイエットに成功したという例もあるので、食生活の見直しを検討してみて下さい。
オヤツのあげすぎに要注意
一番多い肥満の原因はオヤツなどの間食です。飼い主の食事の時についテーブルの上のものをあげてしまったり、何かにつけオヤツをあげてしまったり、また、オヤツによるしつけなどによって必要以上のカロリー摂取が肥満の原因となるのです。最近では脂質の多いジャーキー、甘い味のついたビスケットなど、犬たちが喜びそうなオヤツがたくさん市販されています。このオヤツが肥満の大きな原因になっているのです。
脂肪分や小麦粉などの炭水化物は、犬にとって美味しさの代わりに肥満をもたらします。ご褒美にオヤツをあげるのなら、リンゴやニンジンなどの野菜やフルーツ、手作りの野菜ビスケットなど、低カロリーのものがおすすめです。ただ、どちらにしてもあげすぎは禁物です。もし、どうしても間食が必要でしたら、フードなどの給餌量を減らして摂取カロリーを調整することも必要です。
犬が太らないようにするためにできる4つの対策

犬の太りすぎは、犬自身の生活のクオリティを低下させるだけではなく、重大な病気を発症するリスクもあります。獣医師から「体重を減らしましょう」「太りすぎ」などと言われる前に、太らないように常に愛犬の体型や体重をチェックすることが大切です。
01定期的に体型のチェックと体重測定をする
犬は体型を見ればその肥満度が把握できます。まずは、肋骨が触れるかどうかをチェックしてみましょう。次に、横から見てお腹が垂れ下がっていないか、上から見て楕円形になっていないか、ウエストのくびれがあるかもチェックしましょう。特に、腰回り(特に上部)に脂肪がついていないかも確認しましょう。また、月に1回は体重測定をすることもおすすめです。
そんな、犬の体型を見て体重管理をするための指標がボディコンディションスコアというものです。BSCとも略して呼ばれることがあるボディコンディションスコアは、肥満、体重過剰、理想体重、体重不足、痩せすぎの5段階で犬の肥満度を評価する獣医師が開発したツールです。わざわざ体重計に乗せて体重を計らなくても、体を見たり触ったりすることで、犬の肥満度がわかるボディコンディションスコアは、適正な体重を管理するのに便利なお役立ちのツールとも言えます。気になる方は、環境省のサイトをチェックしてみてください。
環境省:飼い主のためのペットフード・ガイドライン 犬のボディコンディションスコア(BCS)と体型
02運動不足にしない
健康的な体型の犬は、散歩が大好きで、早足で元気よく歩きますが、太っている犬は、散歩に行ってもよちよちとゆっくり歩いたり、途中で歩くのをやめて休憩してしまったり、散歩自体を嫌がったりすることがあります。本来犬は、野山を走り回ることが大好きな活動的な動物です。そんな犬本来の姿を取り戻すためにも、毎日の散歩は必要不可欠です。そして、定期的にドッグランなどで自由運動をさせてあげましょう。また、水泳は足腰へ負担をかけずに体重を減らすのに役立つ運動です。活動量を増やすことはエネルギーの消費につながります。太らないようにするために、犬種に合った適切な運動ができる環境を整えてあげましょう。
03おねだりの誘惑に負けない
犬が太ってしまう原因の一つが、間食による食べ過ぎです。可愛い眼差しでジッと見つめられるとついついおやつやテーブルの上のものをお裾分けしたくなってしまいがちです。しかし、犬にとって余分なカロリーはすぐに体に蓄積され体重増加につながってしまうのです。特に、人間が食べているものは犬にとってカロリーが高すぎるため、注意が必要です。また、ご褒美やトレーニングでトリーツを使用する場合は、低カロリー・低脂肪のものを選び、さらに食事の量を調整しカロリーオーバーにならないようにしましょう。
04食事の内容や量を検討する
おやつなど食事以外のものの食べ過ぎだけではなく、犬が太らないようにするためには食事内容の管理が大切です。犬が太る原因の中には、脂質が多い、高カロリー、繊維質が少ない食事など、食事の内容が大きく作用します。また、ドッグフードなどのパッケージに記載されている給餌量はあくまでも目安であって、その量を与えることが適量とは限りません。運動量が少ない犬に脂質の多い食事や高カロリー食を与えていると、短期間で体重が増加してしまいます。犬が太らないようにするためには、現在与えているドッグフードの原材料をよく吟味した上で、愛犬の運動量や年齢を考慮し、適量を見つけることが大切です。もし太ってしまったら、低脂肪・低カロリー食に切り替えたり、生肉や手作り食に変更するなど、現在の食事を見直してみてください。
太りやすい犬種10選
どんな犬でも太ってしまう可能性がありますが、中には遺伝的に太りやすい犬種もあります。ここでは、太りやすい10犬種をご紹介します。
01 ラブラドール・レトリバー

ラブラドールの頭の中は、食べることと水あそびすることで占められていると言われているほど、食べることが大好きな犬種です。遺伝的に食べ物への執着が強いと言われ、盗み食いも得意としているため注意が必要です。
02 ゴールデン・レトリバー

優しく友好的な性格、それでいて運動能力に優れ人に寄り添うことをこの上ない喜びとしている大型犬がゴールデンレトリバーです。甘えん坊でおねだり上手な性質で食欲旺盛、遺伝的にも太りやすい犬種です。特に、遺伝的に関節系や心臓の疾患を発症しやすい犬種でもあるため、肥満は大敵です。
03 ミニチュアダックスフント

本来は、狩猟犬として野山を駆け回っていたエネルギッシュで運動能力の高いミニチュアダックスフンドは、日本では愛玩犬として親しまれていますが、ヨーロッパでは現役で活躍している狩猟犬種です。活動的でエネルギッシュ、小型犬ながら運動が大好きな犬種で、運動不足による肥満に気をつける必要があります。また、食べることが大好きなため、おやつのあげすぎや食事の量には気をつけましょう。
04 ビーグル

嗅覚で狩りをするセントハウンドの中で最も小さいビーグルは、狩猟犬として小型ながら運動欲求の高い犬種です。勇敢ながら用心深く、賢い性質が特徴ですが、食いしん坊な一面があります。また、遺伝的に太りやすい体質を持っていることもあるため、運動不足には注意が必要です。
05 アメリカン・コッカー・スパニエル

ディズニー映画「わんわん物語」のレディ役で一躍有名になったアメリカン・コッカー・スパニエルは、容姿の美しさ、訓練性の高さから、ドッグスポーツやセラピードッグとしてアメリカで最も人気のある犬種のひとつです。究極の家庭犬とも評されるコッカースパニエルですが、食べることが大好きな上、運動欲求が高く運動不足によって太りやすい傾向にあります。
06 ブルドッグ

家庭犬として飼育しやすいように闘犬としての気質をそぎ落とす育種が重ねられたブルドッグは、温和で勇敢かつ忠誠心の強い性格が特徴です。明るく陽気ですが、マイペースで頑固な一面も。運動欲求が低く、エアコンの効いた部屋でのんびり過ごすことが好きで、カウチポテドドッグと呼ばれることもあります。食べることが大好きで、運動量が少ないことから太りやすい性質です。
07 チワワ

日本のみならず世界中の人気犬種ランキング上位に入り続けている超小型犬がチワワです。カラダが小さく、運動量も少ないチワワは常に飼い主と一緒にいたい性格から、つい甘やかしてしまいがち。おやつや人間の食べ物を欲しがる仕草も可愛いことから、ついつい与えてしまいカロリーオーバーとなることがあるため注意が必要です。
08 パグ

握りこぶしというい意味を持つパグはその名の通り、拳を握りしめたようなしわくちゃな顔とがっしりとした四角いカラダが特徴です。皇帝や貴族から愛玩犬として門外不出にされ、大切に育てられてきたパグは、運動量が少ない上、食べることが好きなため太りやすいことで知られています。
09 ウエルシュ・コーギー・ペンブローク

古代ケルト語で「犬」を意味するコーギーと名付けられたウエルシュ・コーギーは、原産国のイギリスでは最も古い犬種のひとつです。短足で小さな尻尾フリフリが可愛いことから家庭犬として人気がありますが、牧場の番犬として活躍していたことから、実は運動量が多い犬種。そのため散歩時間が短かったり、走ることが少ないと運動不足によって太ってしまうことがあります。
10 柴犬

天然記念物であり、日本犬の中で人気ナンバー1の柴犬は、成犬になると太りやすいと言われている犬種です。本来猟犬として活躍していたことから、かなりの運動量を必要としている犬種です。また、習性として食べれる時にたくさん食べるという食いだめの傾向があるため、適切な食事量の管理をしないと太ってしまいます。
Writers
ワンコnowa 編集部
愛犬飼育管理士/ペットセーバー/犬の管理栄養士の資格を有し、自らもワンコと暮らすワンコnowa編集部ライターチームが執筆を行なっています。
チワワのような小型犬からゴールデンレトリーバーのような大型犬まで、幅広い犬種と暮らす編集部スタッフたちが、それぞれの得意分野を生かし飼い主視点でわかりやすい記事を目指しています。
