本記事は獣医師やペット栄養管理士が執筆・監修を行っております。
おからは大豆から豆乳を搾り取った後の搾りかすで、低カロリーながらごぼうの約2倍もの食物繊維が含まれ、ダイエットのかさ増し食材としても人気の食材です。
しかし、与える際にはいくつかのポイントを押さえ、適切な与え方や分量を守ることで、安心して与えることができます。
愛犬にささみを与える際には、ぜひ今回紹介した与え方や注意点を参考にしてくださいね。
ANSWER おからは犬に食べさせても大丈夫です。
おからには犬に危険な成分は含まれていないため、与え方や分量を守ることで安心して与えることができます。
特に、おからは食物繊維が豊富に含まれているため、低カロリーながら満腹感を感じやすいので、肥満気味で体重が気になる子におすすめの食材です。
また、食物繊維は炭水化物や脂質の消化・吸収速度を遅らせる作用や、血糖値の急上昇を抑制することも期待されています。

おからの主な成分や栄養素
植物性タンパク質
おからには、良質な植物性タンパク質が含まれており、筋肉や被毛の健康維持に役立ちます。
犬にとってタンパク質は、筋肉や骨、臓器、爪、皮膚、被毛などの構成成分です。そのため、タンパク質を摂取することにより筋肉量の維持、被毛を綺麗に保つなど犬の体を作り、筋力や体力といった体の調子を整えることができます。
食物繊維
食物繊維には、血中のコレステロールを下げる効果のある水溶性食物繊維と、腸の中で膨らみ便秘改善効果のある不溶性食物繊維があります。
おからには不溶性食物繊維が豊富で、腸の動きを活発にし、便秘解消や腸内環境の改善に役立ちます。
ビタミンB6
ビタミンB6はささみだけでなく、バナナや赤ピーマン、牛レバー、カツオ、マグロなどに多く含まれる成分です。
ビタミンB6には、タンパク質の代謝を助け、免疫や神経系の機能維持、皮膚を健康に保つ作用があります。そのため、ビタミンB6が不足すると食欲不振や体重減少、痙攣、皮膚や粘膜のトラブルを引き引き起こすことがあるのです。
セレン
セレンはミネラルで、かつおやイワシなど魚介類、わかめ、こんぶなどの海藻類に豊富に含まれ、ささみは鶏肉の他の部位よりもセレンを多く含んでいます。
セレンの作用は、ビタミンEなどと協力して体を酸化から守る抗酸化作用のほか、免疫力を向上する作用です。
おからを犬が食べた際の犬への効果・影響
おからは食物繊維が豊富なため、腸の動きを活発にし、便秘解消や腸内環境の改善に役立ちます。また、エネルギー代謝を高めるビタミンB群が豊富含まれているため、疲労回復効果も期待できるのです。
さらに、抗酸化作用と免疫力向上効果のあるセレンを含んでおり、犬の体の健康を維持してくれます。
犬に与えてよいおからの量は?
小型犬の場合 | 生おから約10〜20g、乾燥おから約2〜4g |
---|---|
中型犬の場合 | 生おから約20〜30g、乾燥おから約4〜6g |
大型犬の場合 | 生おから約30〜50g、乾燥おから約6〜10g |
子犬の場合 | 子犬は消化器官が未発達なので、体重に応じた量(生おからは体重1kgあたり2g、乾燥機おから体重1kgあたり0.4g)の半分 |
老犬の場合 | 老犬は消化機能が低下するため、体重に応じた量(生おからは体重1kgあたり2g、乾燥機おから体重1kgあたり0.4g)の7割程度 |
犬におからを与える際の注意点
おからのおすすめの与え方

適量を与えるよう注意する
おからは食物繊維が多いため、便秘解消や腸内環境の改善に効果的ですが、多量に摂取すると消化器系に負担をかけてしまいます。
下痢や便秘、胃や腸が膨れて吐き気を引き起こす可能性があるため、フードのトッピングやおやつとして1日の最適カロリー量の10%以内になるように与えましょう。
様子を見ながら、少量ずつ与える
おからの原料である大豆に対するアレルギーを持っている犬もなかにはいます。ですので、初めておからを与えるときは、アレルギー反応がないか確認しながら、少しずつ与えましょう。万が一、下痢や嘔吐、皮膚のかゆみなどのアレルギー症状が出た場合は、すぐに動物病院を受診してください。
おからはタンパク質やビタミン、ミネラルを豊富に含み、栄養価の高い食材ですが、長期間そればかりを与えると,栄養バランスが崩れてしまいます。
ですので、おからは主食ではなく、おやつやフードのトッピングとして適量を与えるようにしましょう。また、おからを食べすぎると消化不良や便秘の原因になるため、与える頻度は毎日ではなく、2〜3日に1回を目安に与えるのがよいでしょう。
加熱した方が最善、乾燥おからは必ずふやかしてから与える
おからには、生おからと乾燥おから(おからパウダー)があります。
生おからといっても、実際には豆腐を作る工程で一度加熱されたものなので、そのまま食べても問題ありません。ただ、生のおからは水分量が多く傷みやすいため、熱を加えたものを適量与えるようにしましょう。
乾燥おからは、水分を吸収すると約3〜5倍に膨らむので、必ず水でふやかし、生のおから同様加熱してから与える方が最善です。
こんな時は犬におからを食べさせないこと
腎不全など腎臓に疾患がある犬では、おからのカリウムが正常に排出できず、高カリウム血症になってしまうことがあります。
毎日大量に食べなければ問題ありませんが、不整脈など重篤な心臓病につながる可能性もありますので注意が必要です。
また、おからに含まれるマグネシウムを過剰摂取するてストルバイト結石のリスクを高めるため、摂取量には注意が必要です。

まとめ
おからは低カロリーで栄養価が高く、ダイエットにも最適で、適量を守れば、愛犬の健康維持に役立つ食材です。
しかし、おからは水分が多いため、痛みやすいので加熱し、特に、乾燥おからは必ず水でふやかしてから与えるようにしましょう。正確な知識を持ち、愛犬の食生活におからを是非取り入れてみてくださいね。
Supervisor
西岡 優子 にしおか ゆうこ
獣医師。北里大学獣医学科卒業後、香川県の動物病院に就職。結婚を機に、都内の獣医師専門書籍出版社にて勤務。現在は、パート獣医として働く傍ら、犬・猫・小動物系のライターとして活動。ペット栄養管理士としても活躍中。
