この記事はワンコnowa編集部が監修・執筆を行っています。
シベリア、アラスカといった極寒の地で生活し、北極捜索隊や南極遠征隊の一員として活躍したことでも知られているシベリアンハスキー。最大の偉業として有名なのは、ジフテリアが流行していたアラスカ・ノームの人々のために、氷点下40度という極寒の中、約1100kmという長距離をわずか6日間で血清を運んだことです。世界中にこの命のリレーが報道されたことから、シベリアンハスキーは一躍有名になったのです。一頭として同じマーキングのない歌舞伎役者のような隈取り模様のある顔、透き通るような茶色またはブルーの目と全身ふさふさの被毛、走ることと喋るような遠吠えが特徴の犬種です。この記事では、そんなシベリアンハスキーの歴史、性格から被毛タイプからアラスカンマラミュートとの違い、遠吠えする理由、上手なしつけ方法などについてご紹介します。
ハスキーの歴史と性格について。
歴史
シベリアの名がつくのに原産国はアメリカのシベリアンハスキー。タフでエネルギッシュ、仲間を大切にするシベリアンハスキーは、その容貌からオオカミ犬とのハイブリッド犬種だと思われがちですが、原始的な犬種スピッツ属の血を引く犬種と考えられています。
北東アジアの極寒の地で遊牧民チュクチ族のパートナーとして暮らしていたチュクチ犬がその祖先だと考えられていますが、はっきりとしたことは不明です。隔絶された極寒の北の地で、数千年にわたりチュクチ族のそり犬としてまた生活のパートナーとして飼育されていたチュクチ犬ですが、飢饉により絶滅の危機に瀕したのです。チュクチ人は、わずかに残った子犬を小型のスピッツなどと交配し、チュクチ犬を存続させたとされています。その後、アラスカに渡ったチュクチ犬が犬ぞりレースに出場し、優秀な成績を収めたことからレース犬として多くの人々にこの犬の存在が認知されました。そして、冒頭に紹介したノームで血清を運んだことから、ヒーローとして世界中に知れ渡ったのです。
1926年、血清輸送のヒーローとして、アメリカに招待されたそり犬がアメリカ人ブリーダーの手によって品種改良が行われ、現在のシベリアンハスキーの基礎犬となったと考えられています。ただし、この時輸入されたそり犬がチュクチ犬であるかははっきりとした記録が残されていません。現在、チュクチ犬は絶滅し存在していないため、DNA検査などを行うことができず、シベリアンハスキーの祖先犬はアメリカに輸入されたそり犬であること以上の詳細な情報は入手できないのです。この時に品種改良を行ったブリーダーによって犬種としての均一性が高められたことから、原産国アメリカの犬種として1930年にAKCに正式に認められました。
性格
精悍でミステリアスな表情から一大ブームとなったシベリアンハスキー。群れで行動するそり犬であることから、走ることが大好きな上、仲間を大切にするタフでエネルギッシュな性質です。小さな子供をはじめあらゆる年齢層の人にもフレンドリーで社交的ですが、知的でいたずら好きの面もあります。また、清潔好きで犬特有の体臭がないこともシベリアンハスキーの大きな特徴です。

よく間違えられるアラスカンマラミュートとの違いは?
見た目がそっくりで一見すると見分けがつかないシベリアンハスキーとアラスカンマラミュートですが、シベリアンハスキーに比べ一回り大きく立ち上がると人間の肩くらいの高さにまでなる大型犬です。また、シベリアンハスキーの尻尾がまっすぐな垂れ尾であるのに対し、アラスカンマラミュートは巻尾であるところが大きな違いです。このほかに、シベリアンハスキーの目はブルーや茶色の透き通った瞳で、中には両目のカラーが違うバイカラーのタイプもありますが、アラスカンマラミュートの目はアーモンド型で茶色のみです。両耳が離れていて低い位置についていることもシベリアンハスキーとの違いです。

ハスキーの種類 ハスキーの毛色の種類は多彩
「毛皮を着ているような」と表現されるように、寒さから体を守るためにたっぷりした厚手のコートに覆われているシベリアンハスキーには、独特のアグーチと呼ばれる縞模様があることが特徴です。シベリアンハスキーの被毛は、ブラックから純白まで全ての色が認められます。

単色 | 代表的なカラーは、ブラック、ブラウン、グレー、レッド、セーブル、純白です。 |
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アグーチ | シベリアンハスキーならではのカラーであるアグーチとは、一本ごとの被毛が濃淡のある色で縞模様になっている毛色です。アグーチには、茶色系、グレー系があり、それぞれの被毛一本一本が濃淡のある縞模様になっています。 |
バイカラー | ブラック&ホワイト、ブラックタン&ホワイト、グレー&ホワイト、レッド&ホワイト、セーブル&ホワイトも認められ、頭部にはまだら模様やブラックポイントと呼ばれるマーキングがあります。ただし、マールは認められていません。 |
ハスキーが遠吠えする理由は?
テレビのペット番組や動画で、曲に合わせて歌うように遠吠えをしたり、サイレンの音に合わせて遠吠えをするシベリアンハスキーを見たことがある方も多いと思います。
おしゃべりなことが特徴でもあるシベリアンハスキーですが、この遠吠えの声がハスキーであることからこの名が付いとも言われています。シベリアンハスキーならではのまるでおしゃべりをしているかのような遠吠えは何故するのでしょうか。遠吠えは、どんな犬にとって最も効率的なコミュニケーションの手段なのです。特に、群れを大切にするシベリアンハスキーの場合は、長距離を走るそり犬として多くの仲間と一緒に行動していたことで、群れとのコミュニケーション方法として遠吠えをすると考えられています。
また、さまざまな音色を使って声のトーンを変えながらお互いに会話をしていることもシベリアンハスキーの特徴です。この本能が色濃く残っているため、家庭犬となったシベリアンハスキーも、サイレンの音やテレビから聞こえる高周波の音に合わせて遠吠えをしたり、一人ぼっちで不安を感じている時にも飼い主の家族=群れに呼びかけるように遠吠えをします。
この遠吠えが他の犬種と異なる点は、自分の気持ちを表すためにさまざまな音色や音を使うところ。シベリアンハスキーは人間の声の周波数やトーンを真似することが得意なのです。そのため、シベリアンハスキーがおしゃべりをしているように聞こえたり、飼い主の呼びかけに応えてたりしているように聞こえるのです。なお、遠吠えは得意ですが、他の犬種のように吠えることが滅多にないこともシベリアンハスキーの特徴です。

ハスキー飼育のポイント! ハスキーの上手なしつけの方法
活発で運動欲求の高いシベリアンハスキーは、飼い主のために働くことや一緒に何かをすることが大好きです。人が大好きな犬種ですが、他の犬種と同じように、子犬期からの社会化はもちろん、飼い主とともに楽しみながらトレーニングすることがシベリアンハスキーにとっては最適です。
また、「走りたがり」と呼ばれるほど走ることが大好きで、走るために生まれてきたと言っても過言ではないため、リードのお散歩だけでは満足できません。シベリアンハスキーにとって運動不足は大きなストレスとなり、一晩中遠吠えをしてしまうなどの問題行動を起こしてしまいます。運動不足を解消するためにもアジリティなど、飼い主と一緒に体を動かしながら行えるトレーニングを取り入れることがおすすめです。

ハスキーはこんな家族と相性が良いです!
群れで活動することを本能としているシベリアンハスキーは、飼い主やその家族と一緒に何かをすることが大好きです。誰とでも仲良くできるフレンドリーな性質ですが、特に小さな子供とも仲良くできることが特徴です。運動能力が高くエネルギッシュな犬種のため、室内でじっとしているより、アウトドアで飼い主と一緒に遊ぶことが大好きです。
冬は、雪がたっぷりあるところでスノーシューやスキー、クロスカントリーなどのウインタースポーツ、夏は湿度が低く涼しい高原や山で、ハイキングや登山などを楽しむアクティブな飼い主と相性がいい犬種です。ただし、「脱出の達人」の異名を持つシベリアンハスキーなので、庭やドッグランなど低いフェンスに囲まれた場所では注意が必要です。

Writers
ワンコnowa 編集部
愛犬飼育管理士/ペットセーバー/犬の管理栄養士の資格を有し、自らもワンコと暮らすワンコnowa編集部ライターチームが執筆を行なっています。
チワワのような小型犬からゴールデンレトリーバーのような大型犬まで、幅広い犬種と暮らす編集部スタッフたちが、それぞれの得意分野を生かし飼い主視点でわかりやすい記事を目指しています。
