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マルチーズの寿命|平均寿命と病気

マルチーズの寿命|平均寿命と病気

この記事はワンコnowa編集部が取材・監修を行っています。

純白の被毛が美しく、丸い瞳やふわふわした体が愛らしいマルチーズ。原産国については、地中海のマルタ島(現在のマルタ共和国)にアジアから持ち込んだという説があり、そこから、マルタ島を由来とするマルチーズという犬種名が付けられました。15世紀にはヨーロッパにでフランスの貴夫人の愛玩犬と愛され、19世紀にはヴィクトリア女王もマルチーズの愛好家だったと言われています。マルチーズの性格は明るく陽気でどんな環境にも順応性が高く抜け毛も少ないため、近年は人気犬種ランキングでも、毎年ベスト10入りしています。

この記事では、人気のマルチーズの平均寿命と、かかりやすい病気、健康寿命を伸ばすために今からできることをご紹介します。

マルチーズの平均寿命と最高齢記録

2014年のアニコム損害保険会社が調べた「犬種別平均寿命調査」によると、日本で飼育されるマルチーズの平均寿命は13歳でした。マルチーズの平均寿命は全犬種の中で18位となっており、寿命は決して短い方ではない犬種です。

平均寿命は12〜15歳といわれていますが、日本では、24歳まで生きたマルチーズがいるという報告もあるようですが、公式記録ではありません。もっと長寿のマルチーズがいる可能性もあるでしょう。飼育環境によっても異なるので、室内飼育して適切な環境を整え、定期的に健康診断を受けることが大切です。

マルチーズの人間に換算した場合の年齢は下記の表をご参照ください。

犬の年齢 人間に換算した年齢 成長ステージ
3か月 4歳 子犬
6か月 7歳半
9か月 11歳
1歳 15歳
1歳半 19歳半
2歳 23歳 成犬
3歳 28歳
4歳 32歳
5歳 36歳
6歳 40歳 シニア犬
7歳 44歳
8歳 48歳
9歳 52歳
10歳 56歳
11歳 60歳
12歳 64歳
13歳 68歳
14歳 72歳 高齢犬
15歳 76歳
16歳 80歳
17歳 84歳
18歳 88歳
19歳 92歳
20歳 96歳

マルチーズがかかりやすい病気

マルチーズがかかりやすい病気1膝蓋骨脱臼(パテラ)

膝蓋骨とは、膝にある皿状の骨のことで、この膝蓋骨が正しい位置から外れる(脱臼する)ことを膝蓋骨脱臼といいます。膝蓋骨は、太ももの骨である大腿骨にある溝に収まるようになっており、靭帯によって支えられています。膝蓋骨脱臼は特にマルチーズなどの小型犬で多く、生まれつきこの溝の部分が浅かったり、靭帯に異常があったりなど脱臼しやすくなっている、発育していく段階で十分に骨や筋肉が成長していない、事故などによる外傷などが原因です。

膝蓋骨脱臼を起こすと、急に後肢を不自然に持ち上げたまま使おうとしない、スキップのような歩き方をする、触ると痛がるなどの症状が見られます。

マルチーズがかかりやすい病気2流涙症

流涙症はマルチーズに多い病気の一つで、涙の産生量と排出量のアンバランスにより、目に涙が多く溜まり、過剰な涙が目から流れ出ることで起こります。涙は、唾液と同じく、常時出ているものであるため、あふれ続けた涙が、涙やけを起こし、目の周りの皮膚を変色させることもあります。涙やけのために、目の下に細菌感染を起こし、皮膚炎を起こすこともあります。先天的な涙管閉塞の発生を予防することは難しく、また、他の病気に続発しておこっている場合は、早期発見、早期治療が重要になるので、流涙やその他にも目に何か症状などがみられたら、すぐに病院を受診しましょう。

マルチーズがかかりやすい病気3僧帽弁閉鎖不全症などの心臓病

僧帽弁閉鎖不全症は、マルチーズなどの小型犬に多い心臓の病気で、心臓が収縮して血液を送り出すとき、僧房弁が完全に閉鎖せず、血液が逆流してしまう病気です。 初期は無症状ですが進行すると咳、疲れやすくなる、浮腫、腹水、失神、呼吸困難、突然死などの症状を示すようになり、肺水腫などを発症し命の危険に関わる状態になります。

効果的な予防、治療法は現在の所なく、症状の改善のために血管を拡張させる薬、心臓の収縮を高める薬、利尿効果を高めて体の中の余分な水分を減少させる薬などが投与されるのが一般的です。

マルチーズがかかりやすい病気4外耳炎

マルチーズは耳の中にも毛が多く生えているので、耳の穴が塞がることで環境が悪くなりがちです。外耳炎とは、耳の穴から鼓膜までの間の耳道に炎症が起こる病気です。外耳炎は耳の垂れた犬種に多く、黒い耳アカや膿のようにドロドロ、ジクジクした耳アカが見られたり、耳アカから悪臭がしたり、耳を頻繁に掻くなどの症状が見られます。炎症の原因は、細菌や真菌(カビ)などの繁殖、耳ダニなどの寄生虫、アトピーやアレルギーなどの過敏症、異物混入や腫瘍(しゅよう)などです。

マルチーズの健康のために気をつけるべきこと

毎⽇運動や朝⼣30分程度の散歩でストレス発散を

マルチーズは運動欲求は高くないので、おうちの中で飼い主さんと遊ぶだけで満足できる子も多いのですが、室内運動だけではなく、短時間でいいので、積極的に散歩に連れて行ってあげることが大切です。室内ばかりだと、問題行動を起こす原因にもなります。また、お散歩は社会勉強にもなります。毎日の散歩で他の犬と触れ合わせることで、社会性が育まれます。

膝蓋骨脱臼に注意!滑りにくい環境を整えてあげよう!

小型犬全般に発症しやすい、膝蓋骨脱臼。マルチーズでも、子犬期から発症するケースもあります。遺伝的な要因もあると言われていますので、予防はなかなか難しいですが、フローリングを走り回っているときに大きな負担がかかり、痛めてしまう場合も。滑りにくい床材やカーペットなどを敷くなど足腰に配慮した環境を整えてあげましょう。同時に、大きな段差をなくす、高いところから飛び降りをさせないなどの注意も必要です。

涙やけにをこまめにケアしてあげましょう!

「流涙症」通称、「涙やけ」。真っ白な被毛マルチーズは、涙やけが目立ちやすい犬種です。体質に合う良質なフードなどで涙やけを軽減することもできますが、こまめに涙や目ヤニを、濡らしたコットンでこまめに拭いてあげましょう。

夏のサマーカットにはご注意を!

アンダーコートがないマルチーズは、夏に涼しいと思ってサマーカットにしてしまうと、かえって体に熱を受けやすく熱中症などのリスクが高まるので注意が必要です。皮膚が見えるほど短くヘアカットをするのではなく、被毛が皮膚を覆うほどの長さを保持しましょう。

マルチーズの寿命を伸ばすためにできること

それでは最後に、マルチーズにできるだけ元気で1日も長く家族のそばにいてもらえるように、私たち飼い主にできることを考えてみます。小さなことも毎日の積み重ねから。愛犬のためにできることから取り組んでみましょう。

01愛犬の健康診断にいこう!

人と一緒で、犬も病気を未然に防ぐことが大切です。健康診断をすることで、病気の早期発見、早期治療につながります。特に、犬は自分で話すことができないので、飼い主さんが、健康診断で犬の健康状態を把握しておいてあげることが重要です。また、実は、健康診断では「健康時の正常値を知る」ということがとても大事。健康な時のデータが取れていると、何か変化があった際に比較でき、正確な診断に繋がります。だいだい、5歳を過ぎたら毎年定期的に検査をするのがベストではありますが、毎年ではなくても良いので、なるべく元気な時に健康診断をしてあげましょう。

02愛犬に合ったバランスの良い食事を!

犬を健康に育てるには、人と同様やはり食事のバランスがとても大切です。ライフステージごとに愛犬に必要な栄養素が含まれているフードを選んであげるようにしましょう。またアレルギーのある子には、アレルギー用を、既存の疾患などがある子にはその子に合ったフードやサプリなどを組み合わせ、食事で健康を目指しましょう。もしフード選びに迷う際には、獣医師さんに相談し、原料・素材の良いもの、そして疾患などに対応したものを選んでいくようにしましょう。

また、犬は比較的胃が大きく、目の前にある食べ物を勢いよく食べてしまい、満腹感が得られず「もっともっと」とおねだりすることも。ただし、食べ過ぎやおやつの与えすぎは肥満やあらゆる病気につながるので気をつけましょう。
人の食べ物で、犬が食べてしまうと危険な食べ物はきちんと把握し与えないように注意しましょう!人が食べるために味付けされたものも絶対に与えないでください!

03愛犬のマルチーズに合った適度な量の運動を!

食事同様に、犬にも適度な運動が必要です。犬にとって散歩や運動は、心と身体の健康維持に不可欠です。特に散歩は毎日の適度な運動になるだけでなく、ストレス解消や気分転換になります。散歩の頻度は1日に2回、朝と夕方に行うのが理想的ですが、必要とされる散歩量は、体の大きさや種類、年齢、健康状態によって異なるため、愛犬に合わせて調節することが大切です。

子犬期はお散歩だけでは足りない場合もあるのでさまざまな玩具を用いて遊びながらトレーニングをしたり、シニア犬の場合も認知症予防に玩具を使った遊びや無理のない散歩、運動を取り入れることで健康寿命につながってくるでしょう。

04早めの去勢・避妊手術を!

オスの精巣、メスの卵巣や子宮を摘出する去勢・避妊手術は、望まない繁殖を防ぐだけでなく、ワンコの病気予防やストレス軽減、行動改善といったメリットがあります。愛犬の健康状態を見ながら、かかりつけ動物病院の先生と相談し、適切な年齢で去勢・避妊手術を受けることは愛犬の健康に繋がってきますので、子犬を迎えたばかりの方へ一度、動物病院で相談してみてください。

ドッグトレーナーさんが教える
マルチーズと相性の良い家族

マルチーズは、主に室内で飼われる愛玩犬としてかわいがられてきたルーツがあるので、基本的には飼い主さんとの触れ合いを好む犬種です。一方で、頑固で気が強く、イヤなことがあると吠えやすいという性質もあります。指示を出されて喜ぶタイプではないため、しつけやトレーニングには根気が必要です。気が進まない時はそっぽを向いてしまうようなマイペースな部分も。

ただ、最近はブリーダーさんたちの努力もあり、本来の気質を大事にしつつも、日本の家庭で飼いやすいようにブリーディングされている子も増えてきています。かつてと比べると、トレーニングしやすくなってきているといえるでしょう。

散歩や運動はある程度必要ですが、運動欲求は高くないので、おうちの中で飼い主さんと遊ぶだけで満足できる子も多く、インドア派の人や高齢者と相性がいいでしょう。室内でゆったり過ごしたり、のんびりお散歩したりする生活にマッチしやすい犬種です。

Advisor

DOG WORKS ZERO代表
西岡 裕記さん

ドッグトレーナー。高校卒業後、地元の三重県から上京し、青山ケンネルカレッジで動物について学ぶ。警察犬訓練所やトリマー、ショップの店舗管理などを経験し、フリーのドッグトレーナーとして独立。“ゆる~く楽しくHAPPYに!”をモットーに、ワンコのトレーニング法を伝えている。

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