小型犬の寿命は大型犬より長い？
みなさんは犬の平均寿命は何歳くらいだと思いますか？一般社団法人「ペットフード協会」が行った調査によると、2023年度の犬の平均寿命は14.62歳です。中・大型犬は13.86歳であるのに対し、小型犬は14.29歳、超小型犬にいたっては15.07歳と体型が小型化するにつれて寿命が延びています。なぜ大型犬より小型犬の方が平均寿命が長いのでしょうか？
この記事では、小型犬の寿命が長い理由や健康寿命を延ばすためにできることをご紹介します。小型犬を飼育している方はぜひ参考にしてください。
小型犬の平均寿命は？
一般的に体重10kg以下の犬が小型犬に分類されます。では、代表的な小型犬の平均寿命は何歳くらいなのでしょうか？
ペット保険のアニコムが発表した「家庭どうぶつ白書2023」による小型犬の平均寿命をご紹介します。
| トイプードル | 15.3歳 |
|---|---|
| チワワ | 13.9歳 |
| ミニチュアダックスフンド | 14.8歳 |
| ポメラニアン | 13.8歳 |
| ミニチュア・シュナウザー | 13.6歳 |
| フレンチブルドッグ | 11.2歳 |
| マルチーズ | 13.6歳 |
| ヨークシャー・テリア | 14.0歳 |
| シー・ズー | 13.8歳 |
| 柴犬 | 14.7歳 |
小型犬の平均寿命が大型犬より長い理由
01成長スピードが遅い
哺乳類は、概して体の大きい動物の方が小さい動物よりも長生きします。象はネズミよりもはるかに寿命が長いですよね。しかし、同じ種内では身体が大きいほど寿命が短くなります。
『犬』という括りでみると大型犬よりも小型犬の方が寿命が長いのです。成犬になるスピードは小型犬の方が早いのですが、そこからの成長は大型犬に比べて緩やかです。小型犬はシニアに突入する年齢も高くなるので平均寿命も延びるのです。02老化スピードが遅い
前述の通り、成犬になってからの成長スピードが遅い小型犬は、老化のスピードも緩やかになります。小型犬よりも早く老化が進む大型犬は、それだけ病気にかかるリスクも高まります。実際、大型犬で人気の犬種であるゴールデンレトリバーやラブラドールレトリバーは、がんの罹患率が非常に高いです。
もちろん、小型犬もがんを患うことはあります。しかし、老化のスピードが遅いので、病気の罹患率が下がり、結果として大型犬より長生きとなる傾向があります。03臓器比率が異なる
小型犬と大型犬の体格の違いは一目瞭然ですが、実は犬の臓器は体の大きさに関係なくほぼ同じサイズです。もちろん大型犬の臓器の方が大きいですが、身体の大きさとの比率で見ると小さいのです。
そのため、大型犬は食事から得る栄養や酸素を身体中に行き渡らせるのに時間を要し、細胞の老化も進み小型犬よりも寿命が短くなってしまうといわれています。ですので、逆説的に小型犬の寿命は延びているという見方もできます。
04遺伝子が異なる
犬の体にある遺伝子の違いが小型犬と大型犬の寿命に影響しているという説もあります。犬の体の大きさは「IGF-1」という遺伝子による「IGF-1因子（＝成長ホルモンの一種）」が決定づけており、この「IGF-1因子」の分泌が多いと成長スピードが早く、体が大きくなり寿命も短くなる傾向があります。
つまり体の大きな大型犬は「IGF-1因子」の分泌が多いために、短命に繋がりやすいということが言えます。まだ解明されていない部分も多いので、今後の研究に期待です。
小型犬の中でも寿命が長い犬種は？
犬の中でも体格の小さい小型犬は寿命が長い傾向にあることを前述しました。では、そんな小型犬の中でも寿命が長い犬種は何でしょうか？
アニコムの「家庭どうぶつ白書2023」による小型犬の平均寿命をもとにご紹介します。
第1位は「トイプードル：15.3歳」です。賢く可愛らしい見た目が初心者でも飼いやすいと長年人気の犬種です。第2位の「ミニチュアダックスフンド：14.8歳」も長寿犬として知られ、愛嬌たっぷりのフォルムが根強い人気です。第3位は「柴犬：14.7歳」です。日本犬の中で唯一の小型犬であり、ツンデレな性格が魅力の犬種です。その後は「パピヨン：14.6歳」「ビションフリーゼ ：14.6歳」と続きます。
小型犬の年齢を人年齢にすると？その換算方法もご紹介。
犬はわたしたちよりも年を取るスピードが早いことはご存知だと思います。「うちの子は人間でいうと何歳だろう？」と気になる飼い主さんも多いはず。
小型犬は1歳を迎えると人間でいう17歳に相当し、大型犬は12歳に当たります。1歳を過ぎると共に成長のスピードはなだらかになり、少しずつ年を重ねるようになります。
犬の年齢を人間に換算する方法は以下の計算式を用います。
小型犬
24＋（犬の年齢 – 2）×4
大型犬
12＋（犬の年齢 － 1）×7
この計算式を使うと4歳を過ぎた時点で、大型犬が小型犬の人間年齢を上回り始めます。例えば犬の年齢が10歳の場合、小型犬では56歳ですが大型犬では75歳となりその差は19歳にもなります。このような成長スピードの差は、大型犬と小型犬の寿命に差が生まれる大きな理由と言えるでしょう。
このように人間の年齢に置き換えると「まだまだやんちゃ盛りかな」「そろそろシニアの仲間入りかな」と、愛犬の状態をイメージしやすくなるかもしれませんね。
小型犬の健康寿命を伸ばすためにできること5選
01適切な量の運動を習慣化する
小型犬に限ることではありませんが、適切な運動は健康寿命を延ばすためにとても大切です。体の小さい小型犬は、運動をあまりしなくても良いと思っている方もいるかもしれません。
たしかに中・大型犬に比べて体が小さく歩幅も狭いので、少しの運動で十分な子もいるでしょう。しかし、狩猟犬として活躍していたジャックラッセルテリアやミニチュアピンシャーは大型犬並みの体力を必要とします。犬種に合った適切な運動を習慣化しましょう。
外に出て刺激を受けることは犬の知的好奇心を満たし、ストレス発散にも有効です。体力のある若い犬は、ドッグランに行ったり知的玩具を使って室内で遊ぶなど積極的に体を動かすようにしましょう。
02腸内環境を整える
近年耳にする機会が増えた「腸内環境」ですが、これは犬にも当てはまります。人間同様犬にも腸内に多くの細菌が存在します。腸内環境を整えることで、免疫力向上が期待できたり、体に必要な栄養素を作り出せると言われています。
愛犬の年齢やライフスタイルに合ったフードを与えることは前提ですが、プラスして乳酸菌やオリゴ糖などが入った食材を与えると良いでしょう。ヨーグルト・納豆・りんごは手軽に与えやすくおすすめです。腸を適度に休ませると善玉菌が活性化しやすくなります。ごはんの時間は間隔をあけ、おやつも大量にあげすぎないように気を付けましょう。
03肥満に気を付ける
わたしたち同様、犬も肥満は万病の元です。そのためにも愛犬に合ったフードを与えることと、犬用おやつは高カロリー・高脂肪のものもあるので、成分表示をよく見て与えることがポイントです。
犬の見た目とくびれなどの体型から、肥満状態を評価するボディコンディションスコア （BCS）という指標があります。体重だけでは適正な体型か判断することが難しいため設けられた指標です。見た目と触った感じから比較的判断しやすいので活用すると良いでしょう。愛犬の体重管理は飼い主さんの大切な責務です。
04定期検診を受ける
狂犬病やワクチンなどの予防接種以外にも、年に一度は健康診断を受けましょう。小型犬は7歳頃からシニアの仲間入りとなり、これは人間でいうと44歳前後にあたります。シニアと呼ぶには早すぎると思われるかもしれませんが、この頃から健康診断は半年に1回受けることをおすすめします。
定期的な健康診断は病気の早期発見にも繋がります。いつも一緒にいる飼い主さんが「いつもと何だか違う・・・」そう思うだけでも、遠慮せず動物病院を受診してください。大切な愛犬の健康寿命を少しでも長く延ばしてあげましょう。
05ストレスを溜めない
犬にとってストレスは健康寿命の大敵です。愛犬に合った食事と運動はもちろん、積極的にスキンシップを取るようにしてください。犬は元々群れで暮らし、仲間を大切にする動物です。孤独な時間が増えたり、スキンシップが不足すると、そのままストレスへと繋がってしまいます。
また、犬はストレスを感じると「カーミングシグナル」というサインを出します。体をブルブルと振る、あくび、ゆっくり尻尾を振る・・・など様々な仕草を見せます。愛犬の様子を注意深く観察し、対処するように心がけましょう。
まとめ
獣医療の発達や飼育環境の変化で犬の平均寿命は延びています。それでも残念ながらわたしたちの5分の1以下と、犬の成長スピードは本当に早いものです。大切な愛犬には1日でも長く健康でいてもらいたいですよね。
愛犬がストレスフリーで快適に過ごせるために、普段から様子や行動を注視し、何よりも愛犬の気持ちに寄り添って対応することが非常に大切です。少しでも長く健康寿命を保てるように、犬たちとの限りある時間を楽しく幸せなものにしてください！
