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ニンニクは、ユリ科ネギ属の植物で、球根や茎、葉の部分を食べることができます。独特な風味と香りをもつ香味野菜として世界中で食べられており、和食でも使用されています。
日本の代表的な産地としては、青森県や北海道、香川県など。中でも青森県が圧倒的な生産シェアを誇っており、国内出荷量の約7割を占めています。
私たち人間は生のまま使用したり炒めたりして使用しますが、はたして犬に与えても大丈夫なのでしょうか。
ANSWER ニンニクは犬に与えてはいけません。
ニンニクは玉ねぎと同じネギ属に含まれ、犬が中毒症状を起こしてしまう可能性が高い成分が含まれているからです。
今回は、ニンニクが犬にとって危険な理由と、犬が誤って食べてしまわないための対策を紹介します。
ニンニクの主な成分や栄養素
アリシン
にんにくのにおいのもととなるアリシン。抗菌採用があり、サルモネラ菌・チフス菌・コレラ菌の殺菌や、寄生虫の駆除が期待されています。また、ビタミンB1の吸収を助ける効果もあるといわれています。
糖質
糖質は、同じエネルギー源であるタンパク質や脂質よりも即効性の高いエネルギー源で、ニンニク100gに対して約21.3g含まれています。体内に糖質が乏しい状態が続くと、思考力や集中力の低下のような症状が出る可能性があります。脳の働きをサポートするためには、継続的な摂取が必要です。
ビタミンB1
水溶性ビタミンであるビタミンB1は、糖質の代謝を促します。余分なビタミンB1は尿中から排出される仕組みなので、滅多に過剰になることはありません。
一方、補酵素としての役割を持つビタミンB1が不足してしまうと、食欲不振になったり体重が減少したりする危険性が高いため、不足に気をつけましょう。
カリウム
体内に溜まった余分な塩分を尿と一緒に排出する働きを持ち、血圧の安定・維持に効果的だといわれています。また、心筋や筋肉の機能維持、さらには神経刺激の伝達などの働きをしています。
しかし、血中カリウム濃度が上昇する高カリウム血症の危険性から、過剰摂取に注意しなければなりません。
ニンニクを犬が食べた際の犬への効果・影響
犬がニンニクを食べると、下痢や嘔吐などの中毒症状を起こすおそれがあります。絶対に与えてはいけません。
犬に与えてよいニンニクの量は?
小型犬の場合 | 与えてはいけない |
---|---|
中型犬の場合 | 与えてはいけない |
大型犬の場合 | 与えてはいけない |
子犬の場合 | 与えてはいけない |
老犬の場合 | 与えてはいけない |
犬がニンニクを食べるとどんな症状が出るの?
犬が中毒症状を起こす成分は有機チオ硫酸化合物
犬が中毒症状を起こすニンニクの成分は「有機チオ硫酸化合物」です。有機チオ硫酸化合物が体内で分解されると「アリシン」という強い酸化物質に変化します。人間はアリシンを消化する酵素を持っていますが、犬は持っていません。
アリシンが赤血球を破壊して貧血症状を引き起こしたり、破壊された赤血球からカリウムが流れ出たりしてしまうおそれがあります。最悪の場合死に至ることもあるため、犬にニンニクを与えてはいけません。
少量でもダメ、加熱してもダメ
ニンニクを食べた際の中毒症状は、一度に大量摂取した場合だけでなく、少量を継続的に摂取した場合にも現れることが確認されています。個体によって症状も異なるため、少量でも与えてはいけません。
また、ニンニクを加熱しても毒性は消えません。つまり、「ニンニクで味付けした炒め物やスープでも、ニンニクを除いてあげれば大丈夫」ということではありません。
特にニンニクはすりおろしたりチューブを使用したりすると、ニンニクが入っているのか見た目では判断できないことがあります。ニンニクを使用した料理を作った際は、家族に共有して、愛犬が誤って食べてしまわないようにしましょう。
置き場所を工夫しよう
愛犬がニンニクを誤って口にしてしまわないように保存する必要があります。
置き場所としては、愛犬の鼻や手が届かない場所に保管するのがポイントです。たとえば、蓋つきのケースの中や扉付きの棚の中、冷蔵庫の中などです。
ただ、ニンニクは湿気の多い場所に保管すると、カビが生えてしまう可能性が高いです。湿気の多い場所は避けて保存しましょう。
ニンニク以外の犬に与えてはいけない食材
ニンニク以外にも、玉ねぎ・ネギ・ニラ・らっきょうなどのネギ属は犬に与えてはいけません。これらの野菜には、共通して有機チオ硫酸化合物が含まれています。
犬に与えていいのか分からないときは、「与えない」という選択を取るのが賢明です。
こんな時は犬にニンニクを与えないこと
ニンニクには愛犬にとって害となる成分が含まれているので、絶対に与えてはいけません。
万が一愛犬がニンニクを食べた場合は、摂取した量にかかわらず注意が必要です。
特に、以下の症状が見られた場合は、速やかに獣医師の診察を受けることをおすすめします。
- 下痢
- 嘔吐
- 血尿
- 呼吸困難
- 食欲がない
まとめ
ニンニクには、犬が中毒症状を起こす成分が含まれているため、絶対に与えてはいけません。
犬の鼻や手が届かない場所に保管して、誤って犬が食べてしまわないように注意しましょう。
もしもニンニクを食べて下痢や呼吸困難などの症状が出たら、すぐに獣医師の診察を受けてくださいね。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。