ニラはユリ科の多年草で、中国南部や東南アジアが原産といわれています。主な栽培地域は高知県で、出荷割合は全国のおよそ4分の1です。
ニラは、独特の香りとシャキシャキとした歯ごたえが特徴です。炒めたり湯がいたりして食べることが多いですが、はたして犬に与えても大丈夫なのでしょうか。
ANSWER
ニラは犬に食べさせてはいけません。
ニラには犬にとって危険な成分が含まれており、最悪の場合死に至るおそれがあります。
結論からいうと、犬にニラを与えてはいけません。ニラには犬にとって危険な成分が含まれており、最悪の場合死に至るおそれがあります。
この記事では、犬にニラを与えてはいけない理由と、ニラの誤飲を防ぐ方法を紹介します。
ニラの主な成分や栄養素
βカロテン
βカロテンは、必要量のみ犬の体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康維持や視力維持をサポートします。また、ビタミンAとして働くだけではなく、βカロテン自身も活性酸素の発生を抑えたり免疫を強くしたりするなど、アンチエイジング効果も期待されています。
ビタミンA
脂溶性ビタミンであるビタミンAは、皮膚や粘膜、目、骨の健康を維持する働きがあります。欠乏すると食欲不振や成長不良を引き起こし、反対に過剰摂取すると肝臓に蓄積されるため、欠乏よりも過剰に注意が必要です。
ビタミンE
脂溶性ビタミンであるビタミンEは、体内の脂質の酸化を抑制する抗酸化作用を持ちます。細胞の老化を防ぐ効果も期待できることから、免疫力の向上や動脈硬化予防につながるといわれています。
カリウム
体内に溜まった余分な塩分を尿と一緒に排出する働きを持ち、血圧の安定・維持に効果的だといわれています。また、心筋や筋肉の機能維持、さらには神経刺激の伝達などの働きをしています。
しかし、血中カリウム濃度が上昇する高カリウム血症の危険性から、過剰摂取に注意しなければなりません。
ニラを犬が食べた際の犬への効果・影響
ニラには犬の健康を促進する成分がたくさん含まれていますが、中毒症状を起こす成分も含まれているので、決して与えてはいけません。
ニラの犬が中毒症状を起こす成分
ニラの誤飲を防ぐための注意点
犬が中毒症状を起こす成分は有機チオ硫酸化合物
犬が中毒症状を起こすニラの成分は「有機チオ硫酸化合物」です。有機チオ硫酸化合物が体内で分解されると「アリシン」という強い酸化物質に変化します。人間はアリシンを消化する酵素を持っていますが、犬は持っていません。
アリシンが赤血球を破壊して貧血症状を引き起こしたり、破壊された赤血球からカリウムが流れ出たりしてしまうおそれがあります。最悪の場合死に至ることもあるため、犬にニラを与えてはいけません。
少量でも与えてはいけない
中毒症状が出るニラの量は、ハッキリとは分かっていません。個体によって症状も異なるため、少量でも与えてはいけません。
また、ニラを加熱しても毒性は消えません。つまり、ニラを取り除いたスープや料理を愛犬に与えるのは危険です。人間がよく口にする餃子・ニラ玉・チヂミ・スープなどは、犬に与えないようにしましょう。
思いがけない誤食にも注意
「包丁でカットしていた食材が床に落ちてしまった…」なんてことはよくあることですが、もし落ちた食材がニラで、愛犬が思わず食べてしまったら危険です。日頃から、食材が床に落ちないよう注意しながら調理しましょう。
また、ニラ料理が入っていた皿を舐めることで中毒症状が出る場合もあります。食べ終わった皿をすぐに片づけるのも大事なポイントですよ。
ニラ以外の犬に与えてはいけない食材
ニラ以外にも、玉ねぎ・ネギ・にんにく・らっきょうなどのネギ属は犬に与えてはいけません。これらの野菜には、共通して有機チオ硫酸化合物が含まれています。
犬に与えていいのか分からないときは、「与えない」という選択を取るのが賢明です。
犬がニラを食べてしまったら
どんな犬にも、ニラを与えてはいけません。もしも愛犬がニラを口にしたらすぐ口の中に手を入れて取り出しましょう。愛犬の口の中に手を入れるのが難しい場合は、おやつで気をひくのも良いですよ。
数時間から数日後に症状が現れる場合もあるため、愛犬がニラを食べたらすぐ獣医師の診察を受けましょう。
まとめ
ニラには有機チオ硫酸化合物という犬が中毒症状を起こす成分が含まれているので、愛犬に与えてはいけません。普段からニラを調理する機会の多い飼い主さんは、床に落としたニラを愛犬が食べたり、食べ終わったお皿を愛犬が舐めたりしないよう注意しましょう。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。