この記事はワンコnowa編集部が監修・執筆を行っています。
トイ・マンチェスター・テリアの基本データ

原産国 | イギリス |
---|---|
サイズ | 小型犬 |
犬種グループ | テリアループ |
飼いやすさ・しつけのしやすさ | テリア種ならではの性格のためしっかりとしたしつけが必要 |
運動量 | 小型犬としては運動量が多い |
トリミング | 必要無し |
ブラッシング | 週1回程度 |
お散歩 | 1日数回の散歩や定期的に自由運動が必要 |
飼育費用 | 月2~3万程度(医療費別途) |
かかりやすい病気・怪我 | 若年性拡張型心筋症、膝蓋骨脱臼(パテラ)、フォンビルブランド病、キサンチン尿症、レッグ・カルベ・ペルテス、自己免疫性甲状腺炎 |
トイ・マンチェスター・テリアの歴史
トイ・マンチェスター・テリアはイギリスのマンチェスター原産の小型犬で、イギリスではイングリッシュ・トイ・テリアと呼ばれています。19世紀のイギリスでは、うさぎ狩りやネズミ捕りどちらにも適している犬種の育種が行われていました。そこで作出されたのが、ブラックアンドタンテリアとウイペットを組み合わせたスタンダード・マンチェスター・テリアです。
このスタンダード・マンチェスター・テリアをさらに小型化し機敏で頑丈な体を持つ犬として誕生したのがトイ・マンチェスター・テリアです。以前は、スタンダードタイプとトイタイプは別々の犬種として登録されていましたが、現在は同じマンチェスター・テリアのサイズ違いとして登録されています。
トイ・マンチェスター・テリアの性格と特徴・飼いやすさ

トイ・マンチェスター・テリアは、怖いもの知らずのテリアとしての本能と敏しょう性といった小型犬とは思えないほどの運動能力を備えた犬種です。スタンダード・マンチェスター・テリアと同じ、筋肉質で均整のとれた美しい流線型の体つきが特徴です。
陽気で好奇心旺盛、勇敢なテリア気質を持ち合わせているトイ・マンチェスター・テリアですが、飼い主と一緒に遊ぶことが大好きで寂しがり屋の面もある性格が特徴です。ただし、小動物を狩ることを使役としていた性質が強く残っているため、子犬期からの社会化は必須です。独立心もあるため、飼い主がしっかりとしたリーダーシップを発揮できないと問題行動を起こす可能性も秘めています。
トイ・マンチェスター・テリアの被毛と種類
トイ・マンチェスター・テリアの被毛カラーはブラックアンドタンのみで、艶のあるビロードのような手触りのスムースコートと呼ばれる短毛が特徴です。
抜け毛が少なくトリミングの必要がないトイ・マンチェスター・テリアですが、被毛を美しく保つために、週に1回のブラッシングと体を拭いてあげることがおすすめです。
トイ・マンチェスター・テリアの大きさ・体高・体重
ネズミを素早く捕まえるために適したサイズに育種されたトイ・マンチェスター・テリア。
ろうそくの炎のような細い耳、小柄で華奢な体つきという容姿が特徴のトイ・マンチェスター・テリアは、体高25〜30cm、体重2.7〜3.6kgが理想とされています。
トイ・マンチェスター・テリアの体重 | トイ・マンチェスター・テリアの体高 |
---|---|
2.7~3.6kg | 25~30cm |
トイ・マンチェスター・テリアの平均寿命と人間年齢
健康的なトイ・マンチェスター・テリアの平均寿命は15〜17歳と、遺伝疾患を発症しなければ比較的長生きな犬種です。比較的長生きなトイ・マンチェスター・テリアですが、人間に換算すると何歳に値するのかは気になるところですね。
一般的に、小型犬の1歳は人間の17歳程度と考えられています。また、生活環境によって個体差はありますが7歳頃からがシニア期とされているため、ワンコの年齢を人間の年齢に換算して、その年齢に見合ったケアをしてあげることが大切です。ここでは、環境省が提示する「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」に記載されている年齢換算方式を用いて、トイ・マンチェスター・テリアの年齢と人間の年齢を比べてみます。
人間に換算した場合の年齢は下記の表をご参照ください。
犬の年齢 | 人間に換算した年齢 | 成長ステージ |
---|---|---|
3か月 | 4歳 | 子犬 |
6か月 | 7歳半 | |
9か月 | 11歳 | |
1歳 | 15歳 | |
1歳半 | 19歳半 | |
2歳 | 23歳 | 成犬 |
3歳 | 28歳 | |
4歳 | 32歳 | |
5歳 | 36歳 | |
6歳 | 40歳 | シニア犬 |
7歳 | 44歳 | |
8歳 | 48歳 | |
9歳 | 52歳 | |
10歳 | 56歳 | |
11歳 | 60歳 | |
12歳 | 64歳 | |
13歳 | 68歳 | |
14歳 | 72歳 | 高齢犬 |
15歳 | 76歳 | |
16歳 | 80歳 | |
17歳 | 84歳 | |
18歳 | 88歳 | |
19歳 | 92歳 | |
20歳 | 96歳 |
こちらの表は、
- 小型犬・中型犬「24+(犬の年齢-2)×4=人間に相当する年齢」
- 大型犬「12+(大型犬の年齢-1)×7=人間に相当する年齢」
の方式に基づいて計算しています。詳しくは、下記の記事をご覧ください。
トイ・マンチェスター・テリアのかかりやすい病気
トイ・マンチェスター・テリアは、比較的健康で長生きができる犬種ですが、スマートでより敏捷な性質の犬種を作出するために、グレーハウンドやウイペットとの交配が行われてきました。そのため、遺伝疾患や華奢な体型ならではの疾患を発症する可能性が高いとされています。
トイ・マンチェスター・テリアのかかりやすい病気 1 若年性拡張型心筋症
遺伝的要因が主な発症の原因とされている心臓の病気が拡張型心筋症です。近年の研究で、Lカルニチンやタウリンの不足から発症する可能性も指摘されています。
拡張型心筋症では、心臓を動かす心筋が正常に働かず心臓の収縮力が低下し、全身へ送られる血液量が減少することで、心臓内に血液が溜まり心臓が肥大する病気です。4歳〜6歳での発症が多くみられ、またメスの方が発症率が高いとされています。
トイ・マンチェスター・テリアのかかりやすい病気 2 膝蓋骨脱臼(パテラ)
膝蓋骨脱臼は別名パテラとも呼ばれる犬の関節疾患で、特に小型犬の子犬期に発症しやすい病気です。膝蓋骨脱臼とは、膝にあるお皿(膝蓋骨)が正常な位置から外れてしまい、ひざ関節が伸ばせなくなる病気で、グレード1からグレード4まで状態別に分類されています。
成長期に発症しやすく、骨や靭帯、筋肉の形成に異常が生じ、膝蓋骨が脱臼した状態になります。遺伝的な要因が大きい病気ですが、高いところから飛び降りたり、交通事故などによって膝に強い力がかかることで発症する場合もあります。
トイ・マンチェスター・テリアのかかりやすい病気 3 フォンビルブランド病
遺伝性の血液の病気がこのフォンビルブランド病です。これは、フォンビルブランドと呼ばれる血漿タンパクが正常に働かなくなり、出血しやすくまた血が止まりにくくなる病気です。通常は無症状ですが怪我や手術時、出産など出血があると異常出血を起こし命にかかわることもあります。
トイ・マンチェスター・テリアのかかりやすい病気 4 キサンチン尿症
遺伝性疾患であるキサンチン尿症には、I型とII型の2タイプがあり、トイ・マンチェスター・テリアはII型の好発犬種として知られています。遺伝子の変異によって発症するキサンチン尿症ですが、投薬によってキサンチン尿石を引き起こすこともあります。
トイ・マンチェスター・テリアのかかりやすい病気 5 レッグ・カルベ・ペルテス
レッグ・カルベ・ペルテスは、大腿骨頭への血流不足によって太ももの骨頭が壊死してしまう病気です。発症年齢は4ヶ月〜12ヶ月齢と1歳未満の小型犬の成長期に見られる病気で、特に6〜7ヶ月齢の頃に多く発症します。原因は様々ですが、骨頭の壊死が進むと同時に骨折してしまうため、後ろ足を引きずるように歩き、また傷みが激しい病気としても知られています。一度壊死してしまった骨は再生しないため、一般的に人工関節に置換する股関節全置換術が適用されます。
トイ・マンチェスター・テリアのかかりやすい病気 6 自己免疫性甲状腺炎
自己免疫性甲状腺炎とは、生命維持装置でもある甲状腺の機能が低下する自己免疫疾患で、犬に多くみられるのが甲状腺機能低下症です。甲状腺機能低下症を発症すると、脱毛や散歩に行きたがらないなど運動性の低下、元気がない、寒がるなどの抵抗力の低下などがみられます。
トイ・マンチェスター・テリアの飼い方・飼う際の注意点
トイ・マンチェスター・テリアはイギリスのマンチェスター原産の小型犬で、うさぎ狩りやネズミ捕りどちらにも適している犬種として作出されました。怖いもの知らずのテリアとしての本能と敏しょう性と高い運動能力を備えたトイ・マンチェスター・テリアを飼う際に知っておきたい注意点を確認しておきましょう。

トイ・マンチェスター・テリアの飼い方・飼う際の注意点 1 飼い主と一緒に遊ぶことが大好き
ラットテリアとして綿花工場で活躍してきたトイ・マンチェスター・テリアは、明るく、賢く、飼い主に忠実な犬種です。飼い主やその家族と一緒にアクティブに遊ぶことが大好きで、機敏で賢い性質を生かし、テリアのためのアースドッグ・トライアル、アジリティ、ルアーコーシング、トラッキング、フライボールなどさまざまなドッグスポーツを楽しむことができます。
トイ・マンチェスター・テリアの飼い方・飼う際の注意点 2 退屈は最大のストレス
小さいながらもスタミナがあり、少なくとも1日に1時間の運動が必要とされているトイ・マンチェスター・テリア。常に動き回りたいテリアの性質から、室内でゆっくり過ごすことを退屈に感じるため、ボール遊びなどのアウトドアでの遊びだけではなくノーズワークなど頭を使う遊びも考えてあげることも大切です。
トイ・マンチェスター・テリアの飼い方・飼う際の注意点 3 子犬期からしっかりとしたしつけが必要
飼い主や家族を大切に思いまた忠実な性質のトイ・マンチェスター・テリアですが、独立心が強いため忍耐強くしつけを行うことが必要です。特に狩りへの欲求が強く残っている可能性があることから、子犬期から人と暮らすためのルールやマナーを教え、しっかりと社会化することが大切です。
トイ・マンチェスター・テリアの飼い方・飼う際の注意点 4 脱臼や怪我には要注意
アクティブでタフそしてイタズラ好きのトイ・マンチェスター・テリアは、最低でも毎日1時間程度の運動が必要な犬種です。そんなトイ・マンチェスター・テリアには、足が細くて長いウイペットの血が流れています。そのため、高速で走り回ることが得意ですが、足の怪我、脱臼しやすいため注意が必要です。特に、高いところからの飛び降りや過度なボール遊びはさせないようにしましょう。
トイ・マンチェスター・テリアの飼い方・飼う際の注意点 5 食事・おやつの与えすぎは厳禁
トイ・マンチェスター・テリアなどの小型犬は、サイズの大きな犬に比べ新陳代謝が早いことが特徴です。また、胃が小さいため一度にたくさんの食事を摂取することができません。そのため、エネルギーの消費が早く、すぐにお腹が空いてしまう可能性があります。ただし、お腹が空いているからといって、トレーニングやしつけ時やおやつとして大量にトリーツを与えたり、1回の食事量を増やしてしまうとトイ・マンチェスター・テリアを肥満にしてしまいます。
トイ・マンチェスター・テリアにとって肥満は骨折や心臓病など健康を害する大きなリスクとなります。トイ・マンチェスター・テリアの健康を維持するためには、小さな口に合う栄養バランスに優れたフードなどを1日2〜3回に分けて与え、トリーツなどの間食は極力減らすことが大切です。
トイ・マンチェスター・テリアをお迎えする方法

ブリーダーさんからお迎えする
トイ・マンチェスター・テリア専門の優良ブリーダーをネットなどで検索してみましょう。ブリーダーから子犬をお迎えする場合は両親が明らかなので、毛色や体格、性格などがわかるメリットがあります。
また、お迎え後もブリーダーさんに困った時に相談ができたり、兄弟犬の輪が広がったりとサポートしてもらえる繋がりがもてるのも心強いポイントです。
保護犬のトイ・マンチェスター・テリアを探して里親になる
動物保護施設や動物愛護ボランティア団体などでは、繁殖犬を卒業して保護された子や、飼い主の事情で手放されて保護されているトイ・マンチェスター・テリアを見つけられるかもしれません。事前にサイトやSNSなどで探してみてくださいね。
トイ・マンチェスター・テリアの値段・価格の相場
原産国のイギリスでは人気のあるトイ・マンチェスター・テリア。残念ながら日本では、トイ・マンチェスター・テリアにそっくりなミニピンの愛称で親しまれているドイツ原産のミニチュア・ピンシャーが人気です。そのため、トイ・マンチェスター・テリアはブリーダーの数も少なく、一般的な人気犬種と異なりペットショップなどで見かけることはほとんどありません。
また、小型犬のトイ・マンチェスター・テリアは一回の出産頭数が少ないため、お迎えする場合は専門のブリーダーを探すことが必要となります。一般に販売される値段は40〜50万円程度とされていますが、正確な相場価格は不明です。また、性別によっても値段は変わるため、トイ・マンチェスター・テリアをお迎えしたいと考えた時には、ブリーダーと直接連絡を取り値段を確認しましょう。
まとめ
甘えん坊ながら賢く、運動性能の高さが特徴のトイ・マンチェスター・テリアですが、日本での登録数は100頭(2021年現在JKC登録数)と飼育頭数は多くありません。スレンダーな体つきとビロードのような美しい被毛が特徴のトイ・マンチェスター・テリア。抜け毛の少なさや短毛のシングルコートとトリミングを必要としない点や飼い主が大好きで忠実な性格が大きな魅力です。小型犬ながら活発なトイ・マンチェスター・テリアは、一緒にドッグスポーツを楽しみたい人に向く小型犬と言えます。
Writers
ワンコnowa 編集部
愛犬飼育管理士/ペットセーバー/犬の管理栄養士の資格を有し、自らもワンコと暮らすワンコnowa編集部ライターチームが執筆を行なっています。
チワワのような小型犬からゴールデンレトリーバーのような大型犬まで、幅広い犬種と暮らす編集部スタッフたちが、それぞれの得意分野を生かし飼い主視点でわかりやすい記事を目指しています。
