紀州犬の基本データ
原産国 | 日本 |
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サイズ | 中型犬 |
犬種グループ | 原始的な犬・スピッツ |
飼いやすさ・しつけのしやすさ | 上級 |
運動量 | 中 |
トリミング | 必要 |
ブラッシング | 週3~4回 |
お散歩 | 1日30分~1時間程度 |
飼育費用 | 月2~3万(医療費別途) |
かかりやすい病気・怪我 | 心室中隔欠損症、甲状腺機能低下症、緑内障 |
紀州犬の歴史
紀伊国(現在の和歌山県~三重県)の山岳部周辺で猟犬や作業犬として使われていた紀州犬は、元々この土地にいた犬を育て、ウサギやタヌキ、イノシシといった動物の猟をする際に活躍してきました。特にイノシシを狩る時には優秀さを発揮しました。
時代が変わるとともに、狩猟で生計を立てる人が減り、ほとんどの紀州犬は家庭犬として一般家庭で飼われるようになっていきました。
古くから紀州の地の土着犬として存在したいた紀州犬は「弥九郎の犬」という伝説にもその名が登場します。オオカミを助けた弥九郎が子犬をお礼に子犬をもらい、「マン」と名付けられたその犬は熊をも一頭で倒してしまうとても優秀な猟犬として名を馳せた、というお話で、この「マン」は紀州犬の祖先だと言われています。
昭和9年(1934年)5月、国の天然記念物に指定され、その頃から獲物の色と混同してしまうことを避けるため、紀州犬は白一色に統一するように方向性が定められました。
紀州犬の性格と特徴・飼いやすさ
ハマグリの貝殻のような形をした三角の目が特徴で、実際に猟犬として長く活躍してきたため、中型犬としても体力がかなりある犬種です。
お散歩以外にも、好きであればボール遊びや引っ張りっこ遊び、嗅覚を使った遊びなど、運動のバリエーションを増やし、毎日しっかりとエネルギー発散ができるようにしてあげましょう。
休日にはドッグラン等で遊ぶこともおすすめですが、他の小型犬種との接触には注意が必要であるため、貸切りできるドッグランの利用がおすすめです。鋭い洞察力と賢さで不審なものに対しては強く警戒することがあります。
信頼関係のある家族には愛情深く、他人には警戒心を抱きやすいため、子犬の頃から社会化トレーニングをしっかり行い、成犬になっても他人を受け入れやすくしておくと良いでしょう。
紀州犬の被毛と種類
被毛はダブルコートでアンダーコート(下毛)が多く、換毛期には特にたくさんの毛が抜けます。カラーはホワイトがほとんどですが、まれにレッド(赤毛)や胡麻のカラーの紀州犬がいます。
ホワイトが大半を占める理由としては、猟の際に獲物と見間違わないようにするため、ホワイトの紀州犬に統一するよう方向性が定められたためと言われています。
- ホワイト
- レッド(赤毛)
- 胡麻
紀州犬の大きさ・体高・体重
体高より体長がわずかに長く、しっかりと力強い四肢を持っています。
紀州犬の体重 | 紀州犬の体高 |
---|---|
13~27kg | 43~55cm |
紀州犬の平均寿命と人間年齢
紀州犬の寿命は13~15歳です。バランスが取れた骨格をしているため、関節疾患も少ない犬種です。
人間に換算した場合の年齢は下記の表をご参照ください。
犬の年齢 | 人間に換算した年齢 | 成長ステージ |
---|---|---|
3か月 | 4歳 | 子犬 |
6か月 | 7歳半 | |
9か月 | 11歳 | |
1歳 | 15歳 | |
1歳半 | 19歳半 | |
2歳 | 23歳 | 成犬 |
3歳 | 28歳 | |
4歳 | 32歳 | |
5歳 | 36歳 | |
6歳 | 40歳 | シニア犬 |
7歳 | 44歳 | |
8歳 | 48歳 | |
9歳 | 52歳 | |
10歳 | 56歳 | |
11歳 | 60歳 | |
12歳 | 64歳 | |
13歳 | 68歳 | |
14歳 | 72歳 | 高齢犬 |
15歳 | 76歳 | |
16歳 | 80歳 | |
17歳 | 84歳 | |
18歳 | 88歳 | |
19歳 | 92歳 | |
20歳 | 96歳 |
こちらの表は、
- 小型犬・中型犬「24+(犬の年齢-2)×4=人間に相当する年齢」
- 大型犬「12+(大型犬の年齢-1)×7=人間に相当する年齢」
の方式に基づいて計算しています。詳しくは、下記の記事をご覧ください。
紀州犬のかかりやすい病気
紀州犬のかかりやすい病気 1 心室中隔欠損症
心臓の右心室と左心室を隔てている壁に生まれつき穴が空いている病気を、心室中隔欠損症といいます。紀州犬は遺伝的にこの病気を持って生まれてくることがあり、健康診断等で胸の音を聞いて判明することが多いです。穴の大きさが中程度以上で心臓に負担がかかっている場合は咳が出る、食欲が落ちる、運動を嫌がる、安静時なのに呼吸が荒いといった症状が出ます。症状を緩和させて進行を遅らせる処置方法と、人工心肺を使った手術で穴を塞ぐ治療があります。
紀州犬のかかりやすい病気 2 甲状腺機能低下症
原因不明の甲状腺萎縮や、自分の組織を自分で破壊してしまうリンパ球性甲状腺炎により甲状腺の機能が低下する病気です。元気がなくなる、肥満、立ち上がるのを嫌がる、皮膚が分厚くなる、脱毛、ふらつきなど、新陳代謝が落ちることよりさまざまな症状が見られるようになります。血液検査で診断するため、体調に異変を感じたら動物病院で相談しましょう。この病気は完治しないので、薬を服用して付き合っていくことになります。
紀州犬のかかりやすい病気 3 緑内障
眼の中にある眼房水が何らかの理由により排出されなくなり、眼の中の圧力、眼圧がどんどん高くなって視覚障害を起こしてしまう病気です。完治するのは難しい病気で目薬等で進行を遅らせることが主な治療ですが、失明してしまった場合は痛みを取り除くために、眼球摘出手術をすることがあります。白目の充血や、まぶしそうにすることが増えた、物によくぶつかるようになった、という異変を感じたらすぐに動物病院で相談しましょう。
紀州犬の飼い方・飼う際の注意点
紀州犬の飼い方・飼う際の注意点 1 さまざまな運動でエネルギー発散を!
長い間、猟犬として活躍していた紀州犬はとてもパワフル。毎日のお散歩はもちろんのこと、ボール遊びやロープ等を使った引っ張りっこ遊びなどさまざまな遊びを取り入れてバリエーションに富んだエネルギー発散の時間を作りましょう。また、猟犬として獲物のにおいを嗅いだり追いかけることをしてきた紀州犬は嗅覚を刺激する遊びも大好きです。おやつを布の中に隠して探す遊びや、中におやつを入れられるタイプのおもちゃで遊ばせてあげるのもおすすめですよ。
紀州犬の飼い方・飼う際の注意点 2 抜け毛は多め。しっかりとブラッシングしよう!
ダブルコートの紀州犬は換毛期にはかなりの毛が抜けます。そのため、普段は週に1~2回のブラッシングも、換毛期には週3~4回に増やし、しっかりと抜け毛を取り除いてあげる必要があります。また、家族以外の人がお手入れをしたり、慣れているトリミングサロンがあれば、換毛期だけでもプロの手を借りて、トリマーさんにしっかりとブラッシング、シャンプードライをしてもらうこともできます。
紀州犬の飼い方・飼う際の注意点 3 しつけは家族全員で取り組もう!
信頼関係が築けている家族に対してはとても愛情深いと言われる紀州犬。家族の中で決まった人物のみがしつけをしていると、その人の指示ばかりを聞くようになりやすいため、家族全員でしつけに取り組むのがおすすめです。オスワリやフセ、マテ、オイデなど基本的な号令は家族の誰が指示を出しても同様にできるように普段から練習しておきましょう。
紀州犬の飼い方・飼う際の注意点 4 おもちゃや用品は頑丈さ重視
パワフルな紀州犬は気に入ったおもちゃや身の回りのものも、かじりだすと破壊してしまうまでは、あっという間です。そのため、ボールやピーピーと音がする笛入りのおもちゃ、布製のおもちゃなど壊れやすいおもちゃは、遊んだあとに必ず片づけ、出しっぱなしにしないようにしましょう。他にもリードやハーネス、首輪等もふとした瞬間にかじってしまうことがあるので、できる限り頑丈さを重視して選ぶことをおすすめします。
紀州犬の飼い方・飼う際の注意点 5 家族以外の人にしっかり慣れておこう
他人に対する警戒心が強いほうである紀州犬。子犬のころから、家族以外の人に慣れる練習を日常的に行うようにこころがけましょう。たとえば、お散歩へ行くとき、動物病院へ行くときはフードを持っていき、お散歩で出会った人や動物病院の獣医さん、看護師さんからフードをあげてもらう社会化トレーニングがおすすめです。直接フードをあげてもらわなくとも、知らない人とすれ違う時や話しかけられたときに飼い主さんからフードをあげるだけでも効果が期待できますよ。
紀州犬をお迎えする方法
ブリーダーさんからお迎えする
紀州犬専門の優良ブリーダーをネットなどで検索してみましょう。ブリーダーから子犬をお迎えする場合は両親が明らかなので、毛色や体格、性格などがわかるメリットがあります。
また、お迎え後もブリーダーさんに困った時に相談ができたり、兄弟犬の輪が広がったりとサポートしてもらえる繋がりがもてるのも心強いポイントです。
保護犬の紀州犬を探して里親になる
動物保護施設や動物愛護ボランティア団体などでは、繁殖犬を卒業して保護された子や、飼い主の事情で手放されて保護されている紀州犬を見つけられるかもしれません。事前にサイトやSNSなどで探してみてくださいね。
紀州犬の値段・価格の相場
価格相場は12〜18万円です。ペットショップでは取扱いが少ない犬種です。
まとめ
つぶらな目とまっしろな毛が魅力的な紀州犬は、昔から日本で人間と一緒に猟をして暮らしてきた犬種です。猟犬として活躍してきたことを理解し、一緒にしつけに取り組んだり、遊びをしていく中で、家族との信頼関係が生まれることでしょう。家庭犬として、パートナーのような存在になってくれる犬種です。