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赤いパプリカ、黄色いパプリカ、オレンジ色のパプリカなど、最近では色とりどりのパプリカが販売されていますよね。
彩りとしてサラダやスープに入れても存在感があり、炒めてもその鮮やかな色が悪くなることも少なく、中華やエスニック料理などでも大活躍です。
食感もよく、色からしても明らかに栄養価も高そうに感じますが、はたして、パプリカは犬に与えても大丈夫な食べ物なのでしょうか。
ANSWER パプリカは犬に食べさせても大丈夫です。
パプリカには犬にとって有害となる成分が含まれていません。そのため、犬に与えても良い野菜です。もちろん、どの色のパプリカを食べても問題ありません。
一般的な緑のピーマンとは異なり、肉厚で食感も楽しめる上に、ピーマンにはない栄養も取れますし、ピーマンを食べようとしない子でも、パプリカは食べるなんて子もたくさんいます。
ピーマンは完熟前に収穫するため、独特な苦みがあるのに対して、パプリカは完熟してから収穫するため、苦みが弱く甘みを感じやすい特徴もあるからでしょうね。
とはいえ、与え方・与える量などを正しく理解しないで与えてしまうと、かえって健康トラブルの引き金になってしまいかねません。
栄養素や与え方の注意点をご紹介しますので、参考にしてくださいね!
パプリカの主な成分や栄養素
ビタミンE
ビタミンEは細胞を守る作用や血行促進、筋力維持などの作用がある成分です。細胞を守るという作用から、皮膚炎の炎症を抑えるための経口薬としてビタミンEが投与されることもあります。
数多くあるビタミンの中でも極めて毒性が少ないため、万が一過剰摂取してしまったり、濃度の濃いビタミンEを摂取してしまったりしても、中毒性はほぼありません。
ビタミンEは体内生成できない成分で、欠乏してしまうと、
- 肝機能の疾患
- 皮膚疾患
- 筋力低下
など、さまざまななトラブルにつながる危険がありますので、食べ物からしっかり摂取するように心がけましょう。
ビタミンC
体が酸化してしまうのを防ぐ、抗酸化作用のあるビタミンC。
- 活性酸素の除去
- 動脈硬化や心疾患、ガンの予防
- 免疫力を高める解毒作用
などの効果が期待できます。
さらに、コラーゲン生成にも欠かせない成分でもあり、皮膚・被毛ケアはもちろん、関節ケアにも効果的です。
ただし、犬はビタミンCを体内生成できるため、過剰に摂取する必要はありません。
カプチサン
赤パプリカに含まれる成分のカプチサン。
カプチサンには抗酸化作用があり、
- 血行促進
- 代謝アップ
- 善玉菌を増やす
- 疲労回復
- 免疫力の向上
などさまざまな効果が期待できます。
カプチサンは唐辛子の赤い色素と同じ成分なのですが、辛味成分の「カプサイシン」とは異なるため、赤パプリカには辛味はありません。安心して与えてくださいね!
ちなみに、野菜の赤さといえば、トマトでも有名なリコピンを連想する人もいるでしょうが、実は赤パプリカにはリコピンは入っていません。カプチサンとβ‐カロテンによって赤い色になっているんですよ。
ルテイン
黄色のパプリカに多く含まれているルテイン。抗酸化作用があるため、体の老化予防に良い成分です。
また、ルテインは目の水晶体にも含まれている成分で、アイケアにもピッタリ!
- 視力の低下
- 老化や炎症による涙やけ
- 白内障予防
などにもよいと言われており、最近では眼病予防のためのルテインサプリメントなども販売されています。
パプリカを犬が食べた際の犬への効果・影響
パプリカは色によって効果が若干異なるものの、色に問わずビタミンCの量は野菜の中でもトップクラスなのが特徴のひとつ。
パプリカ100gにおけるビタミンC含有量はピーマンの2倍、レモンの1.5倍以上もあるんですよ!抗酸化作用が高いビタミンCをしっかり摂取することで、老化防止・健康維持も期待できます。
そんな素敵な効果が期待できるビタミンCですが、熱に弱い性質があり、加熱処理をして与える野菜の場合、思った以上にビタミンCが摂取できていないこともしばしば…。
しかしパプリカの場合、
- 皮も果肉部分も厚めなこと
- ビタミンCが熱で壊れるのを防ぐビタミンPが多いこと
から、加熱をしても栄養素が壊れにくいという特徴もあります。そのため、ビタミンCをはじめとした栄養素を効率敵に摂取できることは、パプリカの最大のメリットといえるでしょう。
犬に与えてよいパプリカの量は?
小型犬の場合 (10kg未満) |
36g~208.3g |
---|---|
中型犬の場合 (10kg以上~25kg未満) |
210g~416g |
大型犬の場合 (25kg以上) |
417.3g~537g |
子犬の場合※1 | 食べ慣れるまでは少量ずつ様子を見ながら与えること |
老犬の場合※2 | 少量ずつ与えること。ただし皮が硬いため、消化器官・排泄機能が弱っている子には無理に与える必要はありません |
与えてよい量は、以下を想定して算出したもの
避妊・去勢手術済みの成犬
一日に必要なカロリーの10%以内と考えた場合の目安(おやつで与える際は、一日の必要カロリーの10~20%分が許容量とされるため)
-
子犬の定義
小型犬は、生後9ヶ月まで
中型犬は、生後1年前後まで
大型犬は、生後1年半前後まで -
老犬の定義
小型犬・中型犬は、7歳以降
大型犬は、6歳以降
犬にパプリカを与える際の注意点
パプリカのおすすめの与え方
中の種とヘタは取り除く
パプリカを犬に与える場合には、種とヘタは必ず取り除くようにしましょう。
毒などがあるわけではありませんが、通常の可食部分とは異なり消化しにくいため、お腹を壊す可能性もあります。
特にヘタの部分は大変硬く、上手に噛むことができません。丸飲みしてみまうと、喉に詰まらせてしまったり、飲み込めたとしても、消化不良を起こしてしまう危険もあるため、注意してくださいね!
生でも加熱して与えてもOK!
パプリカは生のままでも犬に与えることができます。
生の歯ごたえ、シャキシャキ感を楽しむことができるのですが、丸飲みしてしまう癖がある子には、軽く加熱して与えるようにしましょう。
加熱した方が甘みが増して、食いつきがよくなる効果もありますので、消化や食いつきを考えると、軽く加熱して与えることをおすすめします。
与え過ぎには注意!
いくらパプリカが高栄養価や野菜とはいえ、与え過ぎないようにしましょう。
特に、パプリカは皮が硬く、たくさん与えることで消化不良を起こしてしまいかねません。また、パプリカはナス科の野菜なのですが、ナス科の野菜は「アルカノイド」は含まれています。もちろんパプリカも、ごくわずかとはいえアルカノイドを含む野菜です。
とんでもない大量摂取さえしなければ問題ないのですが、万が一たくさん取り過ぎると、
- 消化不良
- 神経系の麻痺症状
- 関節炎の悪化
などと助長してしまう可能性もあるため、適正量を守って与える・心配な時は少量ずつ与えるなど、様子を見ながら与えるようにしてくださいね。
食べやすいサイズに刻む
愛犬が食べやすいよう、細かく刻んで与えるようにしてください。
パプリカの皮は食物繊維が豊富なので、お通じ改善には良い作用もありますが、逆にいえば消化しにくい部分でもあります。
それに時期や鮮度によっては皮がとても硬いものもあるため、与え方を間違えると消化不良の原因にもなりかねません。
補足ですが、小さめな野菜であれば、栄養素が壊れないよう丸ごと加熱して、冷ましたものを切って与えることを推奨していますが、パプリカを切らずに丸ごと加熱するのは大変な作業です。そういった場合には、大きめにカットして軽く温めた後、細かく刻んで与えるようにしましょう。
こんな時は犬にパプリカを食べさせないこと
パプリカはカリウムも豊富に含む野菜です。そのため、腎臓に不調がある子は避けた方がよいでしょう。
また、皮の食物繊維も、消化器官に不調がある子にはかえって負担になってしまうことがあります。
なお、これらに該当しない場合でも、アレルギーらしき症状が出ているのであれば、与えないでください。
ただ、一部の情報で、「パプリカのアルカノイドは関節に良くない」という類の話が出ているようですが、先ほどご紹介したとおり、とんでもない量を食べない限り危険なわけでもなく、そもそも、そういった検証データや確証は現時点では報告されていません。
そのため、関節炎があるから与えてはいけないというわけではありませんが、気になるようであれば避けた方がよいでしょう。
まとめ
ドッグフードにトッピングしても、彩りがきれいになって、なんだかオシャレなご飯を食べているような気分になれるパプリカ。
他の野菜にはあまりない栄養素もあり、栄養価も高く、犬に与えてもいい野菜ということがわかりました。
とはいえ、過剰摂取はよくありませんし、愛犬の体質や健康状態によっては悪影響を及ぼす可能性もあります。
正しい与え方をして、愛犬との明るい毎日につなげてくださいね!
Advisor
Yuka Torikai
愛犬に涙やけと皮膚のフケが出たことをきっかけに、犬の食べ物や栄養学を学び始めました。
- 犬の管理栄養士
- 犬の管理栄養士アドバンス
- 犬の行動生活アドバイザー
の資格を取得しており、生活と食事、運動の関係を大事にしています。今後は東洋医学・薬膳についても学んでいこうもくろみ中です!
現在、各ご家庭やわんちゃんに合わせたドッグフード選びのアドバイスもしており(https://dog-food-advisor-295.com/)、少しでもドッグフード選びにお困りの飼い主さんのお力になれたらと思っています。