【犬の不思議行動】犬には何がどう見えているの?犬には第六感があるの?

【犬の不思議行動】犬には何がどう見えているの?犬には第六感があるの?

東京農業大学教授の増田先生と一緒にお届けする、ワンコともっと良い関係を築くためのヒント。ワンコから見えるモノゴト、ワンコの考え方、感じ方など、ワンコたちに見えている世界を私たちにも見せてくれる増田先生シリーズ「ワンコno世界」。

今日は、犬の不思議な行動シリーズです。周りにもこんなワンコいるいる!と共感できたり、うちの子もそうです!という方もいるかもしれません。不思議と思っていたあの行動の理由を増田先生に聞いてみました。また、迷信のように囁かれる犬の不思議な力についても聞いてみましたので、是非お楽しみに!

Advisor

増田 宏司教授

東京農業大学 農学部 動物科学科 教授。東京大学大学院を修了後、同大学院で学術研究支援員を務め、2006年から東京農業大学で研究と学生への指導を行う。研究だけでなく、飼い主向けのカウンセリングやワンコのしつけに使えるグッズの開発など、ワンコと飼い主が幸せに暮らせる社会を築くため、幅広く取り組んでいる。

犬がTVのドラマやお笑い番組を一生懸命見ているのですが、理解しているのでしょうか?

犬にとってテレビの動画は人と同じように見えていないと思われます。

画面が切り替わる頻度(早さ)が人間用に設定されているため、私たちが普段見ているテレビは、犬には少しカクカクして不自然に動いているように見えている可能性が高いでしょう。

つまり、犬が普段見ている風景とは違って見え、不思議に感じるのではないかと思います。

ただ、テレビなどの動画を再生する機器は、たいていのご家庭にはあるもので、犬にとっても「毎日、そこにあるもの」でしょうから、映し出された動画に対して常に不思議に感じるほどに意識はしていない(慣れている)でしょうし、おそらくは番組の内容までは理解していないのではないかと思います。

一方で、テレビに夢中になる/テレビを眺める習慣がついている犬はそこそこいると聞きます。

もし理解しているとすれば、私がたまにテレビで解説する犬の内容にも「違うっ!」と突っ込んでくれているかもしれませんね笑

犬が鏡に向かって吠えます。自分だと気づいていないのでしょうか?

どうやら鏡に映っている自分の姿を見て、自分だと分かっていないと考えるのが妥当なようです。

自己認識に関する研究は、それなりに多くの動物で検証されてきました。犬についてはこれまでも検証がなされてきましたが、おそらく最新のもので2022年に論文が発表されています。

詳細は割愛しますが、これまでの研究結果と同じく、自分の姿を「自分」と認識できている証拠を得るには至っていません。

つまり、鏡に映った犬の姿が自分であろうとなかろうと、少なくとも自分である/ない、と犬が判断出来ていないということでしょう。

このことは、愛犬家にとって残念な結果かもしれませんが、この研究には、さらなる検証が必要としながらも、一部の望みが残されています。

それは、飼い主に対する愛着が強いと、飼い主と自分あるいは飼い主と他の犬が接している映像に対する(自律神経の)反応が異なる、というものです。今後新たに何が分かるのか、次の展開が楽しみです。

昔から犬は悪人を見抜ける、幽霊が見えるなどと聞きますが、人には見えないものが見えているのでしょうか?

人間に見えないもの(幽霊も)が見えているか、という観点で考えると、見えているかは分かりません。目がいいことだけが物事の本質を見抜いたり、トリックを暴いたりすることに直接的に貢献しているとは言い切れないことを、私たち人間は経験的に知っています。

では、犬はどんな能力を使って、何に気づいているのか。

おそらく、聴覚と嗅覚、そして物事に一生懸命な姿勢という、犬のすばらしさを象徴する能力が、彼らに「人間には気づけない、何か」に気づかせることに役立っているのではないかと思います。

犬は、人間には聞こえない周波数域の音や微細な匂いを感じ取ることが出来ます。
また磁場を感知できる可能性が研究で示されているため、これらの能力を総合的に使って、遠くで起きている出来事や、身の回りで起きている、気に留めない/小さすぎて聞こえない音などを聞いて、嗅いで、「いつもの平和な状態と違う」ことに気づいているのではないでしょうか。

犬は飼い主さんの癌や病気を見つけて教えてくれたという話をたまに聞くのですが、そのような力があるのでしょうか?

盲導犬、聴導犬、介助犬、麻薬探知犬、警察犬、発作探知犬、癌探知犬など、犬はすでにそのたぐいまれな能力を、人間社会の多岐領域にわたって発揮してくれています。

犬は、癌や病気の多くを主に嗅覚を使って嗅ぎ分けて特定しています。犬の嗅覚は、人間の数千倍とも1億倍とも言われます(匂いの種類や訓練の度合いでこれら数字は変わります)が、人の呼気や汗からストレスを感知できるという研究結果も示されています。

きっと彼らは自分の身の回りで起こっていることやものを主に(最終的には)匂いで判断し、私たち人間の相当に多くのことを理解しているのではないかと思います。

それにしても、癌を探知する犬もいれば、病院で患者に寄り添う犬もいて、犬という動物は、本当に人間にとって最良のパートナーだと感じずにはいられません。長きにわたって共に生活を送ってきた飼い主さんのことであれば、犬は一生懸命に異変を教えようとしてくれるのでしょう。

Photo by @bh.manjuukun

Message for dog owners

私は記事を書かせていただくときはいつも、自身の知識の確認を含め、新たな研究結果が公表されているかどうかを調べてから書くことにしています(私にとって最高に楽しい作業です)が、今回の作業を進めていくうちに、少し犬の能力(感覚)への考え方が変わりました。

それは「犬たちの能力や感覚は、私たち飼い主(人間)の存在や関わり方によって、その見え方や、場合によっては能力そのものが大きく変化するのではないか」と考えるようになったのです。

犬が人間のために何かの作業をする、あるいは人間との暮らしの中で飼い主に何かを教える、という行為は、犬からしてみればたいてい「昔から当たり前のように認識できる、場合によっては取るに足らないモノを、初めて覚えた、人が理解できるやり方で伝える」というものです。

初めて覚えるのはたいてい「モノ」ではなく「コト(人への伝え方)」なのです。

人への強い思いがあって、伝え方を直接的/間接的に教える人がいて、初めて成せる業でしょう。

私自身、家族全員で父の末期がんに立ち向かっている状況にあるだけに、これは、寄り添う、支え(合う)ことの理想型と定義できるのではないか、と感じてしまいます。

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