スルメとは、目玉や内臓を取り出して乾燥させた加工食品のことです。一般的に、干したイカのことを指すため、生のイカをスルメとは言いません。お酒のおつまみとしてはもちろん美味しいですが、炒め物に混ぜて味わう楽しみ方もあります。
保存食としての役割も持つスルメですが、はたして犬に与えても大丈夫なのでしょうか。
この記事では、なぜスルメを犬に与えてはいけないのか、といった内容を中心に紹介します。犬に与えてはいけない食べ物を知りたいという飼い主さんは、ぜひ参考にしてくださいね。
ANSWER
スルメは愛犬に与えてはいけません。
少量摂取しただけで、健康に悪い影響が出る可能性があります。
結論からいえば、犬にスルメを与えてはいけません。犬にとって害のある成分が含まれているわけではありませんが、少量摂取しただけで、健康に悪い影響が出る可能性があるからです。
スルメの主な成分や栄養素について解説
タンパク質
タンパク質は体の筋肉や皮、臓器を作る上で欠かせない成分です。不足すると健康面でさまざまな支障が起きることから、毎日継続的な摂取が欠かせない栄養素です。スルメに含まれる成分のうち、タンパク質は60~70%を占めています。
カルシウム
摂取したカルシウムのうち約99%は、骨や歯に使われています。カルシウムは体内で合成ができないため、食べ物から補う必要がありますが、カルシウムを摂取することで吸収が阻害される栄養素もあることから、与える量には注意が必要です。
EPA・DHA
オメガ3脂肪酸(n-3脂肪酸)であるEPAと DHAは、体内生成できないため食事から摂取しなければなりません。DHAは脳を活発化することが期待されており、EPAは体内のコレステロールや脂肪分を減らし、血管の流れを良くする働きがあると考えられています。
リン
リンは、健康を維持するうえで欠かせないミネラルの一種です。体内の約85%は、リン酸カルシウム・リン酸マグネシウムとして歯や骨に存在します。過剰摂取するとカルシウムの吸収を阻害する可能性があるため、摂取量に注意が必要です。
犬にスルメを食べるとどんな症状が出るの?
犬がスルメを食べると、体内で膨張して消化不良を引き起こす可能性があります。さらに、長期的に摂取した場合、塩分過多によって高血圧になったり腎臓に負荷がかかったりする恐れがあります。
胃や腸で膨張する恐れあり
スルメは乾物なので、水分を吸収すると胃や腸内で膨張してしまう可能性があります。人間と違って、犬はかみ砕く習性がなく、食べ物を丸呑みする傾向があります。膨らんだスルメは腸を通過することも吐き出すこともできなくなり、最悪の場合、腸閉塞になることもあるでしょう。
消化に悪い
もしも愛犬がスルメを食べた後に、食欲がなくなったり胃液だけ嘔吐したりするようなことがあれば、すぐに獣医師の診察を受けましょう。犬の個体や年齢によっては、少量のスルメで消化不良を起こす危険性もあるため、絶対に与えないようにしましょう。
塩分過多になる
商品によって異なりますが、スルメ100gあたり約2gの塩分が含まれています。人間にとってやみつきなる塩辛さであっても、犬にとっては健康を害する危険性があります。
過度に塩分を摂取すると、心臓や腎臓に負担がかかり、健康寿命を縮めてしまうこともあります。犬にとってスルメは害にもなりうると理解しておいてくださいね。
スルメの臭いが好きな愛犬は要注意
一度スルメを口にしまえば、病みつきになる可能性が高いでしょう。もしもスルメ以外の食べ物を食べてくれなくなった場合は、スルメをあらかじめ水で戻し、少量をドックフードにトッピングして与えるといいでしょう。水で戻すことでやわらかくなり、なおかつ塩分を減らすことができます。
しかし、この方法はあくまでもスルメを徐々にやめさせるための対処法です。スルメは臭いが強く味が濃いので、一度スルメを食べるとその後も欲しがる愛犬もいるでしょう。しかし、消化不良や病気につながるリスクがあることを十分理解し、与えないようにしましょう。
愛犬の口や手の届かない場所に置いておくといった工夫も大切です。
まとめ
スルメは犬にとって害のある成分は含まれていませんが、与えてはいけません。消化不良や高血圧などの危険を伴います。もしも食べた場合は、愛犬の様子を観察し、何か変化があればすぐに獣医師の診察を受けましょう。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。