Stand by you. ドッグマインダー 飛彈さんが届ける
飼い主さんが不安になると、ワンコも不安。飼い主さんが笑えば、ワンコも嬉しい。そんな風に飼い主さんとワンコの気持ちは連動しています。
「Stand by you」では、飼い主さんの小さな不安や心の揺らぎに寄り添い、飼い主さんと様々なお悩みを共有しながら、ワンコの幸せ・ご家族の幸せを一緒に考えていきたいと思います。
飛彈 樹里さん
イヌマニック代表。ドッグマインダーとして、ドッグトレーニング、食事・ヘルスケア、シッティング、介護・グリーフケアのトータルドッグケアサービスを通して、パピー期からシニア期のライフステージやそれぞれのご家族に合わせたサポートに取り組んでいる。
ワンコとの暮らしを考える上で、介護期だけでなく、お出かけやお泊まりの際に身近な存在になっているのがワンコ用マナーケアアイテムの1つ、犬用紙オムツ。一方で飼い主さんから取入れ方・使い方をご相談をいただくことが多いのも現実です。いわゆる「オムツ」に関するイメージはまだまだ明るいものとは言えず、いよいよ排泄が困難になってはじめて使い始めると上手く着けられないし、ワンコ自身もすぐには慣れないので嫌がってしまう…。
犬も飼い主さんも心地よい時間を過ごしていただくには、その選び方や使い方をより多くの方に知っていただく場が必要だと思い、私も一ユーザーとして愛用しているマナーケアアイテムのメーカー、ユニ・チャーム ペットを訪問し児島大地さんと小松原大介さんにお話を伺いました。
児島 大地 さん（中央）
マナーウェア、ペットシート、ウェットティッシュなど排泄ケア全般のマーケティングを担当。飼い主さんへのインタビュー、アンケート調査、購入者からの声を受け分析し、より良い製品の開発、製品を知ってもらうためのプロモーションに携わっている。
小松原 大介 さん（左）
入社以来ワンコのトイレタリー用品の開発に関わっている。現在はマナーウェアを中心に、ワンコの介護用品も担当。何千頭ものワンコたちのデータから導きだされた情報をもとに正しいケアについて、セミナーを通して発信も行っている。
オムツからマナーウェアへ進化
飛彈本日はお忙しい中、お時間をいただき誠にありがとうございます。ユニ・チャーム ペットさんの「マナーウェア」はペットの目線で設計されていてゴワゴワしない厚さと足回りの動きやすい形状、そしてデザインも可愛くて私も愛犬たちに使っています。また、ペットの排泄が地域社会の問題になっている中、「ワンちゃんを飼っていない方への配慮」という観点から製品を捉えておられることにも共感しております。御社が製品を開発された経緯から教えていただけますか？
児島さんマナーウェアという商品名で販売を開始したのは2014年です。以前はペット用紙オムツという名前で販売していました。実は長時間用のマナーウェアとペット用紙オムツの中身は同じなんです。ただオムツというネーミングは介護を連想させるものだったので、ワンコとのお出かけの際に、ちゃんと排泄に気を配っている飼い主さんだと見られるようにイメージを変えていきたいという思いでマナーウェアと名付け、デザイン性やパッケージも若いワンちゃんが外で楽しく過ごしているものにしています。
小松原さん元々はシニア向けにオムツを開発していましたが、若い犬でも外出時のオシッコに悩んでいる飼い主さんが多かったんです。家族だから一緒にお出かけしたいという気持ちがある、でもオシッコが心配。それにシニア期になって初めてオムツをつけると慣れていないことで嫌がってしまいフリーズする犬も多い。もちろん嫌がらないように設計を工夫していますが、社会化期にオムツに慣れてくれるのが理想的。ただ当時は「犬にオムツなんて必要ない！」という声も大きかったのでオムツという言葉を使わずにマナーウェアと呼ぶことになりました。
マナーウェアの選び方
飛彈ワンコにマナーウェアを着けたいけれど、買ったサイズが合わなかったらどうしよう…
製品の種類が多いのでどれを選んだらよいか難しい…と悩まれる方がすごく多いです。製品を選ぶ際のポイントなどはありますか？
小松原さんまずはお腹に巻くタイプの男の子用と、お尻をすっぽりと覆う女の子用がありますので性別に合わせて選んでください。次にどういう場面で使うのか、6時間以内のお出かけなのか、それ以上のお留守番や一晩中つけるのかで合う製品が変わります。最後にサイズ選びですが、ここが一番難しいと飼い主さんには言われます。
児島さんサイズ展開は男の子用だとSSSからSS、S、M、L、LLまで6種類あります。体重は目安になりますが、犬種や体型によっては同じ体重でも体つきが大きく変わるので、胴回りを基準に選んでいただくと失敗が少ないです。ただ実際に着けてみないと分からないというお声も多いので、フィット感を試していただくために、まずは4枚入りの製品をお勧めしています。
小松原さん体重別でぴったりフィットする製品を開発したいんですが、犬種で骨格から違いますし、毛の量、細さ、生えている向き、尻尾の太さ…組み合わせを考えると、20サイズくらい製品化したいんです。でもそれだけの種類を全てお店に並べてもらうことは難しいので、そこで何百・何千頭ものワンコたちに協力してもらい、ミリ単位、角度も1度単位で調整しながら幅広くフィットできるように設計しています。
上手なマナーウェアの着け方
飛彈「マナーウェアを着けるとワンコが固まるんです！」という声を担当するトレーニングクラスでもよく耳にします。お話を聞くと、飼い主さんの着け方や着け終わるまでのプロセスがうまくいかなかったようなんです。その方に装着の仕方のハウツーをお伝えすると後日「嫌がらずに着けてくれるようになりました」という嬉しいお声をいただきました。ユニ・チャームがご提案される着け方を是非ともアドバイスをいただけますか。
小松原さん大切なのは、まずは無理をしないこと。そして時間をかけて慣れさせること。できるだけ若いうちに慣れさせてあげること、でしょうか。まずはお家の中で付けてみて、すぐに外してください。それを繰り返します。着ける際に力づくで押さえ込んで付けてしまうと、マナーウェアのパッケージを見るだけでワンコは嫌なことが起こると思ってしまいますから。オムツなど使って嫌な経験にならないように気をつけていただきたいです。慣れてきたらお出かけの際に着けて、マナーウェアを着けると楽しいお出かけが待っていると覚えてもらえると良いですね。
あと、フワフワした毛のワンコの場合、そっと着けるとマナーウェアが宙に浮かんでしまっているような感じになり隙間から漏れてしまいます。少し毛が沈むくらいにしっかりと着けてください。
オムツかぶれを起こさないために
飛彈飼い主さんの中には吸収力を心配される方も多く、介護期にはベビー用の紙おむつをアレンジして愛犬に使っているという方もいらっしゃいます。ただ、赤ちゃんとワンコでは被毛のある無しが大きく違いますし、ベビー用を使う事でかえってオムツかぶれの原因になってしまわないのか、ワンコ用紙オムツを選ぶメリットがあるのかなどをぜひ教えて頂けますか。
小松原さんオムツかぶれについては、よく質問をいただきます。吸収力が心配な介護期には長時間タイプを選んでいただくことで解決できることがあります。実は重要なのはサイズなんです。
オムツが大きいとずれ易くなり皮膚や皮毛が擦れてしまいます。ぴったりのサイズを選んでいただくとフィットしますから、その心配がなくなります。通気性に関しては、犬は汗をかかないと言われますが自然に出てくる水分はありますし、オシッコすると蒸れるんです。オムツの中の環境が悪くならないようにするには、吸収力と同じくらい通気性も大切になります。
私たちが開発しているマナーウェアは、素材には一切の妥協をしていません。ユニ・チャームで開発しているベビー用紙おむつと比べても劣らない素材を使っています。もちろん人間に良いものが犬にも良いとは限りませんから、一概には比べられませんが品質としてはかなり高いものです。当社が赤ちゃんや大人用の紙おむつを作り続けているメーカーだからこそ、良い素材を使えるということもあります。私がいる開発のフロアはオープンスペースなので、隣にベビー用紙おむつの開発者がいますし、人間の高齢者向けに製品開発しているチームもそばにいます。意見交流や素材の情報交換も頻繁に行っています。そこは当社ならではの強みですね。
飛彈ワンコにはワンコ用の製品を使うことがより安心でき、ワンコにとっても良いのですね。
小松原さんあと忘れがちなのですが、オムツを取った後に汚れを拭き取るかが、オムツかぶれに大きく関わってきます。赤ちゃんも、おむつを使っておられる高齢者も、人間の場合は基本的に毎日、もしくは定期的にお風呂に入ります。ただワンコの場合は月に1回とか、シニアになるとトリミングに出せなくなったりしますよね。毛で覆われているので汚れていないように見えますが、オシッコ汚れは人間と同じように付いているんです。水分はオムツで吸い取れますが、汚れを落とすことはできませんので、部分的にでも拭き取るか、洗ってもらうことが肌の状態を保つケアとして大切です。そのようにオムツかぶれを起こさないようにしていただければと思います。
飛彈御社のペット用ウェットティッシュ、デオクリーンはデリケートな部分に使用しても大丈夫なのですね！
小松原さんはい。デオクリーンの開発者ともオシッコ汚れを拭き取るために、もっと水分量を多くしてみようとなんて会話をしています。また介護用品になりますが、おしりまわり洗浄液という製品もあります。ぬるま湯を使って優しく洗ってもらえます。特に毎日マナーウェアを使っているワンコには合わせて使っていただきたいです。
飛彈おしりまわり洗浄液は私も愛犬の介護時にお世話になりましたが、本当に綺麗に汚れが落ちるので助かっていました。普段のケアにも応用できるのはいいですね。介護用アイテムと思い込んでしまっていたので、とっても良い情報をいただきました。ぜひ、取り入れたいと思います。
マナーウェアを着けていつも一緒に
飛彈近年マナーケアアイテムの着用が利用時の条件になっている施設も増えていますよね。飼い主さんには正しい着け方やワンコがストレスを感じずスムーズに着けてもらえる方法をぜひ覚えていただき、ワンコにはアイテムを着ける事で「うれしい・たのしい・おいしい」などのワクワクする環境をつくりながら少しずつ慣れてもらうことで、ワンコとご家族さまが一緒に過ごせる楽しい時間が増えていくといいですよね。
児島さん私たちは2022年から「GO WITH わんこ」プロジェクトに取り組んでいます。飲食店などを利用する際には、犬を飼っていない人への配慮にも繋がるマナーウェアを着けようという取り組みです。ワンコや飼い主さんはもちろん、飼っていない方にも快適に時間を過ごしていただくためマナーウェアの認知が広がって欲しいです。
ワンコと飼い主さんの幸せを更に大きくするために
児島さん飼い主さんへのインタビューを行っていると、とにかくワンコとずっと一緒にいたいというお声が多いんです。人間よりも寿命が短いので1分1秒も無駄にしたくないと。マナーウェアの存在を知ってからお買い物や日帰りのお出かけでも、ワンコも一緒に入れる場所を探して選ぶようになり、自分の人生も変わったとおっしゃいます。
そういうお話を伺うと、ワンコと暮らす飼い主さんの多くは、色々と諦めていたことがたくさんあるんじゃないかと思うんです。愛犬の介護期にオムツの存在を知らないと家の中を自由にさせることができなくなって、ケージの中に閉じ込めてしまったとか。それは飼い主さんもワンコも望んでいませんよね。でもオムツを着けることができれば、ケージから出して以前のように過ごすことができます。それによってワンコが元気でいられる時間も長くなってなって、みんながハッピーになれる。
飼い主さんが未だ知らない、使ったことがない製品やサービスを取り入れることで、ワンコと更に幸せな生活が送れることを、今後も『Stand by you.』で提案いただければと思いますし、私たちも引き続き、一緒に取り組ませていただければ嬉しいです。
小松原さん私たちメーカーは製品を開発して販売することは出来ますが、それだけでは飼い主さんとワンコの幸せは叶わないので、獣医師の先生をはじめ、さん々なプロの方お力が必要です。
製品を開発する際には多くの犬たち、飼い主さんにお会いするのですが、皆さんワンコへの愛が溢れている素晴らしい方々で、真面目にワンコと向き合っておられます。飼い主さんは頑張りすぎているなと思うくらいに。うまく噛み合わないなと感じる時は、ちょっと情報が足りていないんですね。正しい情報を得られなかったり、相談する先がなかったり。一方で情報が多すぎて良いものを選べなくなっているので、『Stand by you.』では良い情報を発信いただきたいと思います。この記事を読んでくださった方からのご意見などあれば、それを受けて私たちもさらに良い製品を作って参ります。今後も色々な方とコラボレーションしながら、ワンコと飼い主さんの幸せな時間を作ってきたいです。
飛彈本日は大変貴重なお話をお聞かせいただき、本当にありがとうございました！私たち飼い主が製品を手に取るまでの間、長年のデータ収集や細かな部分も妥協せず「ワンコ目線」で製品を開発されていらっしゃる事を知り、驚きと感激でした。今号がマナーケアアイテムでお悩みの飼い主さんにとってお悩み軽減や取り入れて頂くきっかけになりましたら嬉しく思います。また、これを機に長年あたためていた「マナーウェアイベント」を開催し、ワンコとご家族さまにとって「マナーケアアイテム」がより身近なものとして広めていけたら…と改めて思いました！今後も様々な形でご一緒できることを楽しみにしております。
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