ブリはオホーツク海から日本海、そして東シナ海にまで分布しており、比較的全国どこででも食べられる魚です。寒くなる12~2月の冬に旬を迎え、寒ブリといわれています。この時期のブリは脂がしっかり乗っているのが特徴です。
私たち日本人は、刺身にしたり照り焼きにしたりして食べますが、はたして、犬にブリを与えても大丈夫なのでしょうか。
ANSWER ブリ(鰤)は愛犬に食べさせても大丈夫です
ブリは犬にとって必要な栄養素がたくさん含まれているので、食べても大丈夫な魚です。
ただ、脂が多かったり小さな骨があったり、与える量や与え方に注意が必要です。さらに、アニサキスやヒスタミンといった食中毒の危険性もあります。
この記事では、ブリを食べるメリットだけでなく、食中毒にならないための対処法なども紹介します。日頃から手作り食をあげている方は、ぜひ参考にしてみてください。
タンパク質
三大栄養素のひとつであるタンパク質は、エネルギー源として欠かせない栄養素で、皮膚や筋肉を作る働きを持ちます。このたんぱく質がブリには約26g含まれています。不足すると健康面でさまざまな支障が起きることから、毎日継続的な摂取が必要です。たんぱく質の栄養価を科学的に示す指標としてアミノ酸スコアがあります。必要量を満たしている状態が100であり、ブリはこのアミノ酸スコアが100なのです。
カルシウム
体内のカルシウムの約99%は、骨や歯に使われています。カルシウムは体内で合成ができないため、食事から補う必要があります。しかし、カルシウムを摂取することで吸収が阻害される栄養素もあることから、与える量には注意が必要です。
DHA・EPA
オメガ3脂肪酸(n-3脂肪酸)であるDHAとEPAは、体内生成できないことから食事から補う必要があります。DHAは脳を活発化することが期待されており、EPAは体内のコレステロールや脂肪分を減らし、血管の流れを良くする働きがあると考えられています。
カリウム
体内の余分な塩分を排出してナトリウムとのバランスを調節するカルシウムは、細胞内液の浸透圧の調整するため、血圧を安定・維持にも効果的に働きます。このカリウムがブリ100gに対して約440mg含まれています。カリウムは少なすぎても多すぎてもいけないので、摂取量に注意しなければなりません。また、心筋や筋肉の機能維持に役立つとも考えられています。
ブリ(鰤)を犬が食べた際の犬への効果・影響
ブリを食べることで、必須脂肪酸のDHAとEPAを摂取できます。体内合成できない栄養素なので、積極的に摂取することで血液や脳などあらゆる器官に効果を発揮することが期待されています。
ご飯に少しトッピングすれば食いつきもよくなるでしょう。
犬に与えてよいブリ(鰤)の量は?
小型犬の場合 | 25~30g |
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中型犬の場合 | 50~70g |
大型犬の場合 | 90g以上 |
子犬の場合 | 体重に合わせて少量ずつ与える。 |
老犬の場合 | 体重に合わせて少量ずつ与える。 |
犬にブリ(鰤)を与える際の注意点
ブリ(鰤)のおすすめの与え方
皮は与えてもOK
ブリの皮にはコラーゲンが豊富に含まれています。摂取することで関節の動きをスムーズにしたり、肌のハリや弾力、毛艶を良くしたりする働きがあります。
体内で合成できる非必須アミノ酸なのでドッグフードには含まれていませんが、だからといって常に体内に必要量あるとは言い切れません。積極的に食べ物から摂ったほうが良いともいわれているので、ブリを与える時に一緒に皮も食べさせるといいでしょう。そのまま丸呑みする可能性があるので、なるべく小さくカットして、骨が混ざっていないか十分に注意してから与えてくださいね。
火を通してから与える
生のブリには、ビタミンB1欠乏症の原因物質であるチアミターゼが含まれています。個体によって症状の差はありますが、下痢やふらつき、痙攣などの症状がみられた場合は、すぐに獣医師の診察を受けましょう。ただ、加熱すれば大丈夫といわれているので、絶対に生の状態で与えないようにしてください。
また、同じように生のブリはアニサキスやチアミターゼによる食中毒の危険性があります。正しく保存していなかった、加熱不足といった理由で食中毒リスクは高まるので注意してください。
アニサキスであれば、養殖を選ぶことでリスク回避につながりますよ。
血合いは取りましょう
血合いは栄養価が高い反面、アレルギーを引き起こす可能性があります。少しずつ与えてもいいですが、安心・安全のためにあらかじめ血合いを取り除いてから食べさせることをおすすめします。
脂を落とすようにして調理する
ブリは脂の多い魚です。食べ過ぎると肥満の原因にもなるので、ドッグフードにトッピングする程度にしておきましょう。また、与える量だけでなく、脂をできるだけ落とすことも重要です。
たとえば、フライパンで焼くのではなく、網の上で焼いて脂を落とすといいでしょう。茹でたり蒸したりするのも効果的です。最後は、加熱後のブリをペーパーで包んで脂を拭き取ってくださいね。
こんな時は犬にブリ(鰤)を食べさせないこと
愛犬が何かしらのアレルギーを持っている場合、ブリに対してもアレルギー反応を示す可能性があります。目で見て分かりづらい変化が出ている可能性があるので、初めて与える時は少量ずつ食べさせ、愛犬から目を離さないようにしましょう。
もしも下痢や嘔吐などの症状が出た場合は、すぐに食べさせるのもやめてください。少し様子を見て、それでも症状が落ち着かないようであれば獣医師の診察を受けましょう。
まとめ
ブリは犬にとって必要な栄養素が豊富に含まれているので、食べても大丈夫です。ただ、生のブリはビタミンB1欠乏症や食中毒のリスクがあるため、必ず加熱してから与えてください。
与える際は骨を取り除き、茹でたり蒸したりしてなるべく脂を落としましょう。皮はコラーゲンがたくさん含まれているので小さくカットして食べさせるといいですよ。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。