白菜はクセのない味で、和食だけでなく中華などでもよく使われる野菜です。伝統的なものとして白菜の漬物がありますが、その他にも日本人の私たちは炒め物や汁物にも白菜を使います。
11~2月旬の寒い時期の旬を迎える白菜ですが、品種によっては春・夏・秋にも食べられます。
水分が多いので子供でも食べやすい白菜は、はたして犬に与えてもいいのでしょうか。
ANSWER 白菜は愛犬に食べさせても大丈夫です
白菜は犬が食べても大丈夫な野菜です。食物繊維をはじめとする様々な栄養素が含まれているので、愛犬の健康を促進してくれる働きも期待できます。
しかし、生のまま食べると体に悪い影響をもたらす可能性があります。与え方や与える量に注意が必要です。
この記事では、白菜の栄養素や期待できる効果を紹介します。白菜をあげないほうがいい犬の特徴もまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
食物繊維
食物繊維には、水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けにくい不溶性食物繊維があり、白菜100gに対してそれぞれ水溶性食物繊維0.3gと不溶性食物繊維1gが含まれます。食物繊維は犬の消化酵素では消化されないため、栄養素として吸収できません。しかし、腸内環境鵜を整えたり蠕動運動を活発化して排便を促進したりする働きがあります。ただ、白菜には不溶性食物繊維のほうが多く含まれているので、過剰摂取すると便が大きくなったり固くなったりして便秘になる可能性もあるので注意が必要です。
水分
水分は生命維持に欠かせない成分で、白菜には約95%の水分が含まれています。
βカロテン
βカロテンは犬の体内でビタミンAに変換して活用され、皮膚や粘膜の健康維持や視力維持をサポートします。また、ビタミンAとして働くだけではなく、βカロテン自身も抗酸化作用を持ち、活性酸素の発生を抑えたり免疫を強くしたりするなど、老化を防ぐ働きも期待されています。
イソチオシアネート
イソチオシアネートとは白菜の他に小松菜やキャベツ、クレソンなどのアブラナ科の野菜に含まれる辛味成分です。摂り過ぎると胃腸を刺激する可能性がありますが、適量であれば解毒抗菌作用や血液サラサラ効果を発揮すると考えられています。
白菜を犬が食べた際の犬への効果・影響
白菜の大部分は水分なので栄養素の量は限られますが、含まれている栄養素の種類は豊富なので、犬に与えることで健康促進に役立つといえるでしょう。また、低カロリーなのでダイエット中の愛犬のご飯にぴったりです。なかなか水を飲んでくれない愛犬に与えてみるものいいかもしれないですね。
犬に与えてよい白菜の量は?
小型犬の場合 | 約10g |
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中型犬の場合 | 約20g |
大型犬の場合 | 約30g |
子犬の場合 | 消化機能が低い子犬にはなるべく与えないほうがいい。 |
老犬の場合 | 少量。胃腸が弱っている老犬であれば与えないほうがいい。 |
犬に白菜を与える際の注意点
白菜のおすすめの与え方
小さくカットしてあげよう
シャキシャキとした生の状態の食感を好む犬もいますが、白菜は犬にとって消化しにくい食べ物です。消化不良を起こす可能性があるので、茹でてから与えましょう。特に芯の部分は固いので、柔らかくなるまで茹でた後、繊維を切るイメージで小さめにカットしてあげましょう。フードプロセッサーやミキサーと使うとより食べやすくなりますよ。
茹でるとビタミンが溶け出してしまうので、与える時は茹で汁も一緒にドッグフードにかけるのをおすすめします。
加熱してから与えよう
白菜に含まれているグルコシノレートという成分は、体内でゴイトロゲンという物質に変化します。ゴイトロゲンが体内で増えると甲状腺ホルモンの分泌を阻害し、甲状腺機能低下症のような病気につながる危険性があります。過剰摂取を避ければ問題ありませんが、甲状腺機能の低下がみられる愛犬にはなるべく与えないようにしましょう。
ただ、加熱することで白菜に含まれるグルコシノレートの量は減るといわれているので、与え方に注意すればそれほど気にする必要はないでしょう。
ダイエット食になる
白菜のほとんどが水分でできていて低カロリーなので、ダイエット中の愛犬に与えるのをおすすめします。白菜だけを与えるのではなく、ドッグフードの10~20%を白菜に置き換えるなどの工夫をするといいですよ。
漬物や加工品を与えてはいけない
白菜の漬物やその他白菜の加工品はたくさんあり、私たち人間は日頃から口にすることが多いでしょう。これらの食べ物は犬にとっては塩分過多になる可能性があるので、与えてはいけません。浅漬けであっても同じです。
犬が塩分を摂り過ぎると心臓や腎臓などに負担がかかるおそれがあるので、白菜を与える場合は味付けせずにあげましょう。
こんな時は犬に白菜を食べさせないこと
白菜には少量ですがたんぱく質が含まれています。始めてあげる際には少量ずつ与え、下痢や嘔吐、口の周りや顔を痒がるような症状がみられたら、すぐにあげるのをやめてください。それでも症状が治まらないようであれば、獣医師の診察を受けましょう。
また、白菜にはシュウ酸が含まれていますが、その量は少量です。腎臓病や一度尿路結石を経験したことのある愛犬であってもそれほど気にする必要はないでしょう。不安な場合は、獣医師に相談してみてくださいね。
まとめ
白菜はさまざまな栄養素が含まれており、犬の健康を促進する働きが期待できることから、犬に与えても大丈夫な野菜です。
しかし、生の状態だと甲状腺ホルモンの分泌を阻害するゴイトロゲンをたくさん摂取してしまうおそれがあるので、必ず加熱してから与えてください。その際、芯の部分は消化しやすいように小さめにカットしてあげるといいですよ。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。