小豆と砂糖のみを使って作るあんこは、そのまま食べたり他の食べ物と組み合わせて食べたりします。たとえば、あんこを使った有名なお菓子として、おはぎやどら焼き、ぜんざいなどが挙げられます。
あんこペーストだけが売られていることもあり、自分の好きな食べ物に乗せて食べるなど、自分の好みに合わせてアレンジできる食べ物です。
あんこの原料である小豆は夏から秋にかけて収穫時期を迎えます。砂糖を一緒に入れて煮詰めるので保存性が高く、年中食べられるのが特徴です。
砂糖をたっぷり使ったあんこを、はたして犬も食べていいのでしょうか。
ANSWER あんこは愛犬に食べさせても大丈夫です
あんこは犬にとって害のある成分が入っていないので、食べても大丈夫な食べ物です。そもそも小豆には栄養が豊富に含まれており、健康促進が期待できます。
ただ、砂糖をふんだんに使って作られるので嗜好性も良く、「一度食べ始めたら止められない」なんて愛犬もいるでしょう。糖分の過剰摂取は病気につながるリスクが高いため、食べる量に注意しなければなりません。
この記事では、あんこの栄養価や与える際の注意点を紹介します。
食物繊維
食物繊維には、水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けにくい不溶性食物繊維があり、あんこの原料である小豆100gに対してそれぞれ水溶性が1.2g、不溶性が16.6g含まれています。
食物繊維は犬の消化酵素では消化されないため、栄養素として吸収できません。しかし、腸内環境鵜を整えたり蠕動運動を活発化して排便を促進したりする働きがあります。
便が大きくなりすぎて消化不良を引き起こさないためにも、与えすぎには注意が必要です。
ビタミンB
ビタミンB群はエネルギー源であるタンパク質や脂質、炭水化物の代謝をサポートする重要な補酵素です。ただ、ビタミンB群は水溶性なので水に溶けやすく、たくさん摂取しても尿として排出されていくため、継続的な摂取が必要です。
鉄分
ヘモグロビンと鉄が結びつくことで、全身に酸素を運ぶ赤血球の働きをサポートします。鉄が不足すると全身に酸素が行き届かなくなるため、生命維持において鉄は赤血球を構成する大事な成分です。また、筋肉を構成する重要な成分でもあります。
アントシアニン
アントシアニンとは、ほとんどの植物に存在する色素や苦味の成分であるポリフェノールの一種です。活性酸素の働きを抑える抗酸化作用があり、犬の健康に役立つことが分かっている成分です。
あんこを犬が食べた際の犬への効果・影響
そもそもあんこの原料である小豆には豊富な栄養素が含まれているので、犬の健康を促進する効果が期待できます。また、あんこの甘い香りは嗜好性をアップさせるので、食欲のない愛犬に与えるといいでしょう。
犬に与えてよいあんこの量は?
小型犬の場合 | 30~50g |
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中型犬の場合 | 50~100g |
大型犬の場合 | 約100g |
子犬の場合 | 消化器官が未発達なのでなるべく与えないほうが良い |
老犬の場合 | 少量。標準体型や肥満気味の老犬には与えない。 |
犬にあんこを与える際の注意点
あんこのおすすめの与え方
食欲低下がみられたら与えてみよう
もしも愛犬の元気がなく、ご飯を食べないようであれば一度ドッグフードと一緒にあんこを与えてみてください。嗜好性がアップし、ご飯を食べてくれるかもしれません。食事制限のない手術後の愛犬にも効果的です。必ず少量ずつ与えるようにしてくださいね。
ペースト状にして食べやすくしよう
犬は食物繊維を消化するのが得意ではありません。小豆の皮は消化不良を引き起こす可能性があるので、必ず細かく刻んでから与えてください。余裕があれば、フードプロセッサーで細かく粉砕し、裏ごし器を使って食べやすいペースト状にするといいでしょう。つぶあんのまま与えないように気をつけてくださいね。
なるべく手作りして砂糖を減らす
市販のあんこは、小豆80~100%の砂糖が使われています。糖質過多になるので、犬に与えるのは好ましくありません。ただ、あんこは栄養面でも食欲アップという面でも犬の健康促進をサポートしてくれる食べ物なので、なるべく砂糖を入れずに手作りしてみましょう。「少し甘みが欲しいな」と思ったら、りんごのような自然の甘みを足してみるといいですよ。
人間用のあんこ入りお菓子は与えない
私たち人間が食べるあんこ入りの和菓子を犬に与えると、のどに詰まらせる危険性があります。あんこを使ったあんこの和菓子も多いので、注意しましょう。また、甘いものばかり与えていると味を覚えてドッグフードを食べなくなる可能性もあります。「人間の食べ物は与えない」と決めておくといいかもしれませんね。
こんな時は犬にあんこを食べさせないこと
小豆アレルギー持ちの犬にあんこを与えてはいけません。また、何かしらのアレルギーを持っている犬も注意が必要です。下痢・嘔吐・体を痒がるなどの反応がみられた場合はすぐに与えるのをやめ、それでも症状が続くようであれば獣医師の診察を受けましょう。
砂糖が入っているあんこであれば、糖尿病や肥満の愛犬に与えないようしてください。
まとめ
あんこは犬にとって害になる成分が含まれていないので、与えても大丈夫な食べ物です。しかし、市販品は砂糖が多く使われていたり、小豆の皮は消化不良を引き起こす可能性があったりするなど、与え方に注意が必要です。
あんこの香りと甘みは、食欲低下がみたれた愛犬の嗜好性アップを期待できるので、ぜひ今回紹介した与える量を参考にしてみてくださいね。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。