ほうれん草はビタミン、ミネラルが豊富に含まれる代表的な緑黄色野菜です。
1年を通して食べられますが、本来は11~1月が旬で、栄養価が高いのも冬の時期に栽培されるほうれん草です。
私たち人間はお浸しや炒め物にして食べることが多いですが、近年は生のまま食べられるサラダほうれん草もあります。茹で方を失敗すると苦みを感じるためアク抜きが欠かせないほうれん草ですが、栄養価が高いからといって、はたして犬に与えても大丈夫なのでしょうか。
ほうれん草は犬に与えても大丈夫!
ほうれん草は犬が食べても大丈夫なものです。
ほうれん草は犬にとって健康維持に欠かせない成分が豊富に含まれているため、あげても大丈夫です。しかし、全ての犬に該当するわけではありません。与え方を間違えると思わぬ健康被害を招く恐れがあるため、注意が必要です。
この記事では、ほうれん草を食べても大丈夫な犬と食べてはいけない犬など、注意点を踏まえながら解説します。愛犬にほうれん草を与えても大丈夫なのかどうか気になっていた方は、ぜひ参考にしてみてください。
ほうれん草の主な成分や栄養素について解説
ビタミンC
身体が錆びるのを防ぐ抗酸化作用を持ち、解毒やホルモン代謝と骨や腱のコラーゲンの生成をサポートします。
さらに、鉄分の吸収促進をするため、貧血防止にも役立つと考えられています。ビタミンCは肝臓で体内合成が可能ですが、ストレスや加齢、肝機能の低下によって合成が追い付かないこともあるため、食べ物からも摂取する必要があります。
βカロテン
βカロテンは犬の体内でビタミンAに変換して活用され、視力の維持や皮膚や粘膜の健康維持をサポートします。
また、ビタミンAとして働くだけではなく、βカロテン自身も抗酸化作用を持ち、活性酸素の発生を抑え、老化を防ぐことが期待されています。
鉄分
血液中の赤血球を作るヘモグロビンの材料で、不足すると貧血になります。ほうれん草に含まれる鉄分は非ヘム鉄で、肉や魚に含まれるヘム鉄よりも吸収率が下がります。
しかし、吸収を促進するビタミンCなどの成分と一緒に摂取すると、吸収率が高まると期待されています。
カリウム
体内に溜まった余分な塩分を尿と一緒に排出し、ナトリウムとのバランスを調節することで、細胞内液の浸透圧の調整や血圧の安定・維持に効果的に働きます。
しかし、血中カリウム濃度が上昇する高カリウム血症の危険性から、カリウムは多すぎてもいけないので、摂取量に注意が必要です。
また、心筋や筋肉の機能維持に役立つとも考えられています。
ほうれん草を犬が食べた際の犬への効果・影響
ほうれん草に含まれる非ヘム鉄は吸収率が低いため、含有量が多い野菜を摂取しても効果が期待できないといわれています。
しかし、非ヘム鉄の吸収率を高めるビタミンCがほうれん草には豊富に含まれているため、ほうれん草の摂取は、貧血予防に効果的だと考えられています。
犬に与えてよいほうれん草の量は?
小型犬の場合 | 1株(25~50g) |
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中型犬の場合 | 2株(50~90g) |
大型犬の場合 | 袋詰めの半分(90~140g) |
子犬の場合 | 消化器官が未熟な状態であれば与えない、与える際はほんの少しだけ。 |
老犬の場合 | 健康な犬であっても少量ずつ与える。 |
犬にほうれん草を与える際の注意点
ほうれん草のおすすめの与え方
毎日与えない
ほうれん草に含まれるシュウ酸は、カルシウムの吸収を阻害する働きを持ちます。
調理法を工夫してシュウ酸を除去することはもちろんですが、食事のバランスを見ながらほうれん草を適量与え、過剰摂取に気をつけましょう。醤油や塩を足すなどの味付けはせずに与えてください。
尿結石に注意
ほうれん草には膀胱や尿道に結晶や結石が溜まる尿結石の原因物質であるシュウ酸が豊富に含まれています。特に、ミニチュアシュナウザーやミニチュアプードル、シーズーなどの犬種がなりやすいといわれているため、注意してください。
アク抜きして与える
愛犬にほうれん草を与える場合は、生のまま与えるのはリスクが大きいため、必ず茹でてから与えてください。シュウ酸の過剰摂取は危険ですが、茹でた後にしっかり水分を絞ればシュウ酸が抜けていくため、心配する必要はありません。
ただし、長時間茹でるとビタミンCなどの栄養素が水の中に溶け出して失われていくため、茹ですぎに注意しましょう。
茹でて冷凍すれば便利
毎日手作りご飯を愛犬に与えている場合は、冷凍ほうれん草を常備しておくと便利ですね。必ず茹でてしっかり水分を絞り、あらかじめ小さくカットしてから冷凍しましょう。スーパーなどで冷凍ほうれん草も販売されていますが、塩茹でされている可能性があるため、塩分の過剰摂取にならないためにも避けた方が安心です。
こんな時は犬にほうれん草を食べさせないこと
アレルギー持ちの愛犬は食べさせない方がいいでしょう。もしも食べた場合は、異常行動が見られないか観察し、不安であればすぐに獣医師に相談しましょう。
また、一度でも尿結石になったことのある愛犬や現在治療中の愛犬には与えてはいけません。尿結石の原因物質であるシュウ酸がたくさん含まれています。排尿頻度が多い、排尿がない、尿が少しずつしか出ないなどの症状がみられたら、すぐに獣医師の診断を受けてください。
まとめ
ほうれん草は犬に与えても大丈夫な野菜です。ビタミンCやβカロテンが豊富に含まれており、どれも犬の健康維持に欠かせない栄養素です。
しかし、毎日与えたり目安摂取量をオーバーしたりすると、尿結石などの症状が出る可能性があります。生のままではなく、必ず茹でてまずは少量ずつ与えてみてください。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。