蜂が花の蜜を採集して作られるはちみつは、1年中味わうことができますが、花によって味や香りが変わり、さらに季節によっても風味が異なるのが特徴です。
私たち人間は、日々の食事の中にはちみつを取り入れることが多く、ヨーグルトに入れたりパンにつけたりしています。
また、砂糖と比べて程よい甘さを持つことから、ケーキの隠し味として使われるほど、人間にとっては必要不可欠な食べ物なのです。
健康面でもさまざまな効果が確認されているはちみつですが、1歳未満の子供には与えてはいけないといわれており、はたして、犬にはちみつを与えても大丈夫なのでしょうか。
はちみつは犬に与えても大丈夫!
はちみつは犬が食べても大丈夫な食べ物です。
人間と同じような効果が期待できることから、犬にはちみつを与えても大丈夫です。
しかし、主成分が糖分であることや、食中毒を引き起こす危険性のあるボツリヌス菌が混入している可能性があることから、与える際には注意が必要です。
この記事では、はちみつの栄養素やおすすめの与え方、どんな犬には与えてはいけないのかなどを詳しくご紹介します。
はちみつの成分自体は安全なものなので、ぜひこの記事を参考にして、バラエティーに富んだ愛犬の食事作りに挑戦してみてください。
はちみつの主な成分や栄養素について解説
糖質
はちみつに含まれる糖質は、ブドウ糖・果糖・オリゴ糖・ショ糖で構成されおり、主な成分は単糖類のブドウ糖と果糖です。それ以上分解できない最小単位なので吸収されやすく、胃腸に負担をかけずに、すぐにエネルギーとして活用できます。
鉄
鉄は赤血球を構成する大事な成分で、赤血球を作っているヘモグロビンと鉄が結びつくいて、全身に酸素を運ぶ赤血球の働きをサポートします。そのため、鉄が不足すると全身に酸素が行き届かなくなるため、生命維持において必要不可欠な成分なのです。
ビタミンB2
水溶性ビタミンであるビタミンB2は、体内の糖質やタンパク質、脂質の代謝やエネルギー産生に深く関わり、補酵素として働きます。また、皮膚や髪、爪などの細胞の再生と粘膜の健康維持をサポートする働きを持つことから、発育のビタミンともいわれています。
ポリフェノール
ポリフェノールは他の物質を酸化させる力が強い活性酸素の産生や増殖を抑える抗酸化作用があります。これにより体の細胞の健康維持に役立つと考えられています。また、殺菌作用や抗菌作用もあるので、老化防止や病気の予防やつながると期待されています。
はちみつを犬が食べた際の犬への効果・影響
- 抗酸化作用
- エネルギー補給
- 利尿作用
- 腸内環境の改善
犬に与えてよいはちみつの量は?
小型犬の場合 | 6g~11g(小さじ1~大さじ0.5) |
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中型犬の場合 | 13g~26g(小さじ2~大さじ1.2) |
大型犬の場合 | 25g~64g(大さじ1.2~大さじ3) |
子犬の場合 | NG |
老犬の場合 | 3g(小さじ0.5) |
犬にはちみつを与える際の注意点
はちみつのおすすめの与え方
はちみつ入りの加工品に要注意
犬用のおやつのパンやクッキーであれば、犬の体に合わせて作られているため、カロリーや栄養をそこまで気にする必要はないでしょう。大根をはちみつに漬けたはちみつ大根も、咳を抑えるのに有効的だと考えられています。
しかし、人間用のパンやクッキー、はちみつ梅干しなどは糖分だけでなく塩分も過剰に含有されている可能性が高いので、成分をきちんと確認して、与える場合は少しずつにしてください。
また、はちみつレモンは命に関わる危険性があるので犬に与えてはいけません。レモンの皮に含まれるソラレンは、嘔吐や下痢だけでなく、皮膚や粘膜への健康被害を引き起こす可能性があるため、愛犬が届きそうな場所には置かないようにしましょう。
過剰摂取は肥満の元
糖分は人間にとっても犬にとっても重要な栄養素ですが、過剰摂取は肥満の原因になります。
特に、甘いものが好きな愛犬は、いつまででも食べ続けることがあると思いますが、愛犬の体重に合わせた1日摂取量をきちんと守りましょう。
食欲不振こそはちみつで嗜好性アップ
犬が味覚の中でも特に敏感に感知するのが、甘味です。
そのため、毎日あげているドックフードの食いつきが悪くなったり、食欲が低下したりしている老犬には、少量のはちみつをご飯に混ぜると嗜好性が上がることがあります。
ただし、何らかの病気で食欲が落ちている可能性もあるので、不安な方は医師に相談することをおすすめします。
薬とはちみつを混ぜて飲みやすく
ドックフードの中に薬を忍ばせていても、犬は上手にご飯だけ食べて薬を残すように、犬に薬を与えるのは簡単ではありません。錠剤であれば細かく潰し、粉上であればそのままはちみつに混ぜると、薬のニオイがはちみつで緩和されて食べやすくなります。
ただし、血糖値を調整するインスリンをはちみつと一緒に与えてはいけません。薬をなかなか飲んでくれないけれど、はちみつと一緒に与えていいのか不安な場合は、医師に相談してみましょう。
こんな時は犬にはちみつを食べさせないこと
食中毒を引き起こす危険性のあるボツリヌス菌は、自然界に存在している菌で、加熱処理されていないはちみつにボツリヌス菌が混入している可能性があります。
腸内環境が整っている元気な犬であれば摂取しても問題ないと考えられていますが、腸内環境がまだ整っていない子犬が摂取すると死に至る可能性もあります。成犬であっても、免疫力の落ちている老犬や消化機能が弱っている愛犬には与えない方が賢明です。
ボツリヌス菌は120度以上で30分以上加熱すれば死滅しますが、加熱したことによってはちみつ本来の風味や栄養素が損なわれる可能性もあります。
また、蜂蜜は花の蜜を蜂が集めて作られるため、微量の花粉が混ざっていることがあります。花粉症のある愛犬には与えないようにしましょう。花粉によってアレルギー反応を起こす可能性もあるため、初めてはちみつを与える際には少量ずつ与え、体を痒がったり涙が出たりしたら、獣医師の診断を受けましょう。
まとめ
はちみつは犬に与えても大丈夫な食べ物ですが、ボツリヌス菌や花粉が混入している可能性もあるため、子犬や花粉症の犬に与えてはいけません。
免疫力が低下している老犬にも注意が必要です。栄養価が高く、嗜好性アップにもつながる食品なので、1日の摂取量を守ってご飯に混ぜて与えてみてください。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。