犬がキャベツを食べても大丈夫か。また生のキャベツは犬に与えて良いのか、また与える場合の注意点や与える量などについて解説します。
キャベツの祖先は実はケールであることをご存知でしょうか?古代ギリシャ、ローマ時代から食べられてきた歴史の古い野菜ですが、もともとは丸い形をしていなかったそうです。初めは一枚ずつ葉が立ったケールのような形をしていたのが、長い栽培の歴史の中で結球型のキャベツが生まれ、日本ではこの結球型のキャベツが栽培されるようになったのは明治以降のことだと言われています。
キャベツはビタミンが豊富に含まれており、栄養価の高い野菜です。
キャベツの旬は大きく分けて2回。3~5月頃に出回る春キャベツと1~3月頃に出回る冬キャベツがあります。春キャベツは葉が柔らかく色も濃いので、比較的好まれる傾向にあります。とんかつの付け合わせやサラダとして生で食べることもあれば、ひき肉を巻いて煮て食べるなど、アレンジしやすいのが特徴です。
一方冬キャベツは、春キャベツよりも糖度が高いうえに日持ちがよく、加熱しても煮崩れしにくいという特徴があります。
さまざまな料理に使えて、味も食感もよく、食物繊維も豊富なキャベツですが、犬に食べさせても大丈夫なのでしょうか?
食物繊維の消化が苦手な犬に与えても大丈夫か?また生のキャベツを与えても大丈夫かなど、気になるキャベツの犬への与え方についてご紹介します。
ANSWER
キャベツは犬にあげても大丈夫!
キャベツは生でも犬が食べて大丈夫な野菜です。
キャベツは犬の健康を害する成分が含まれていないため、与えても大丈夫な野菜です。
しかし、味や固さを好まない犬もいるため、食べられる場合のみ与え、無理に食べさせる必要はありません。好んで食べる場合は、与える量や与え方に注意してください。
キャベツの調理法はさまざまで、生や茹でるなど、どのように与えればいいか不安な方はぜひこの記事を参考にしてみてください。
キャベツの主な成分や栄養素について解説
ビタミンU
別名キャベジンとも呼ばれるビタミンUは、キャベツから発見されたビタミン様物質です。
胃腸粘膜を保護して、胃腸の働きをサポートする働きを持ちます。
さらに、胃酸の過剰分泌を抑制し、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防に効果的だと考えられています。
ビタミンC
身体が錆びるのを防ぐ抗酸化作用を持ち、骨や腱のコラーゲンの生成をサポートします。
ビタミンCは肝臓で体内合成が可能ですが、ストレスや加齢、肝機能の低下によって合成が追い付かないこともあるため、食べ物からも摂取する必要がある栄養素です。
ビタミンK
血液凝固作用を持つビタミンKは、擦り傷や切り傷の出血を止める働きを持ちます。
さらに、カルシウムが骨に沈着するのを促す働きを持つことから、骨折した犬に意識して与えると良いと考えられています。
食物繊維
食物繊維には、水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けにくい不溶性食物繊維があります。
キャベツに多く含まれる不溶性食物繊維は、便が通過するのを促すための筋肉収縮である蠕動運動や有害物質の排出を促す働きを持つことから、便のかさを増やして便器解消に効果的といわれています。また、水溶性食物繊維は腸内の細菌のバランスを整える働きを持ちます。
キャベツを犬が食べた際の犬への効果・影響
- 抗酸化作用
- 腸内環境の改善
- 胃腸のサポート
- 血液凝固作用
犬に与えてよいキャベツの量は?
小型犬の場合 | 1枚 |
---|---|
中型犬の場合 | 2枚 |
大型犬の場合 | 3枚 |
子犬の場合 | 葉3/4枚(必ず茹でる) |
老犬の場合 | 葉3/4枚(必ず茹でる) |
犬にキャベツを与える際の注意点キャベツのおすすめの与え方
キャベツを子犬や老犬に与える際は注意が必要
子犬はまだまだ体の発達途中です。そのため、歯が生えそろっていなかったり腸内環境が整っていなかったりします。与える際は、茹でるなどしてキャベツを柔らかくし、少しずつ与えてください。
老犬も同様で、さまざまな機能の衰えや免疫力が低下している場合は、十分に注意しながら与えましょう。ただ、無理に与える必要はないため、必要な場合はドックフードにトッピングする程度にしておきましょう。
下痢や嘔吐などの症状が見られた場合は、すぐにキャベツを与えるのをやめて医師の診断を受けることをおすすめします。
犬に生のキャベツを与えても大丈夫!与える際は柔らかい葉を中心に与えましょう!
キャベツは生の状態だと固く、犬にとっては消化しにくいものです。私たち人間が食べやすくて美味しそうな葉を選ぶのと同じように、犬にも少し柔らかめの葉の部分を与えてあげてください。
特に芯の部分は、野菜を食べ慣れていない愛犬にとってはのどに詰まらせる危険性もあるため、食べても問題ない部分ですが、与えるのを控えた方がいいでしょう。さらに、外葉は固いだけでなく農薬が残っている可能性があり、農薬は洗っても落ちないことがあります。
現在は、日本の基準をクリアした農薬のみ使用されていますが、必ずしも体に悪影響が起きないとは言い切れません。農薬が多くついている可能性のある外葉1~2枚は取り除いてから、内側の柔らかい葉を与えてください。
キャベツを茹でて与えるのもおすすめ!
キャベツの固さが得意でない愛犬には、茹でて与えることをおすすめします。
実際、キャベツを加熱すると多くのビタミンが失われていくため、取りこぼしのないように栄養素を摂取するためには生のまま与える方がいいでしょう。
しかし、茹で汁と一緒に与えれば溶けだしたビタミンを一緒に補うことができ、さらに水分補給にもなります。老犬は水分不足になりやすいため、ドックフードにキャベツと一緒に茹で汁をかけると嗜好性アップも期待できます。
キャベツの食べ過ぎは犬の結石の原因に!
カルシウムに含まれるシュウ酸は、体内でカルシウムと結びつき結晶化し、最終的に結石になります。膀胱や尿道に結石ができれば排尿システムに支障が生じ、尿毒症や急性腎不全、高カリウム症などになる恐れがあります。
特にミニチュアシュナウザー、ミニチュアプードル、シーズーに比較的現れやすい症状のため、与えすぎには注意が必要です。
犬にキャベツを毎日あげても大丈夫?
犬にキャベツを毎日与えても大丈夫か気になりますよね。結論からいうと、1日の必要摂取カロリーの範囲内を守っていれば、キャベツは毎日犬に与えても大丈夫です。愛犬の毎日の食事へトッピングしたり、おやつがわりにしてもよいかもしれません。
ただ、犬のキャベツの食べ過ぎは下痢などにもつながりますので、1日の量を計算し適度な量を与えるようにしましょう。
こんな時は⽝に⾷べさせないこと
アレルギー持ちの愛犬には与えてはいけません。
また、キャベツに対してアレルギー反応を示すかどうか分からない場合は、少量ずつ与えましょう。
嘔吐や下痢などの症状が現れた場合は、すぐに与えるのをやめて様子を見ましょう。
なかなか症状が治まらないときは、すぐに獣医師の診断を受けることをおすすめします。
キャベツを使った犬の手作りご飯レシピ「豚肉のみぞれ味噌スープ」
ここでキャベツを使った犬の手作りご飯レシピをご紹介します。とっても簡単にできる「豚肉のみぞれ味噌スープ」レシピです。
豚肉のみぞれ味噌スープ ※成犬(体重5kg前後)の1食分 |
|
---|---|
豚肉(赤身) | 30g |
豚レバー | 20g |
大根 | 30g |
なす | 15g |
にんじん | 10g |
キャベツ | 30g |
しいたけ | 1/2個(10g) |
炊いたごはん | 30g |
味噌 | 0.3~0.5g |
大葉(あれば) | 1/2枚 |
体重5キロの成犬(避妊去勢済)の1食分を想定した量です。
作り方
- 【STEP 1】材料をカットします。豚肉と豚レバーはひとくちサイズ、キャベツは1センチ四方、なすは5ミリ~1センチ角、にんじんとしいたけ、大葉は細かいみじん切りにします。大根はおろしておきます。
- 【STEP 2】なすはカットした後、しばらく水にさらします。あまり長時間さらすと、大事な栄養素が抜けてしまいますので、5分ほどでザルにあげておきます。
- 【STEP 3】鍋に水を200~300cc(お好みでOK)入れて火にかけ、軽く沸騰したら豚肉を入れます。
- 【STEP 4】続いて、野菜としいたけを入れて煮立たせ、ごはんとレバーも入れて全体に火が通るまで煮込みます。(全体に火が通ればよいので、入れる順番はあまりに気にしなくてもOK!)
- 【STEP 5】味噌を溶き入れて、なじませたら、火を止め、大根おろしを入れてさっと混ぜます。
- 【STEP 6】器によそい、大葉をちらして完成です。
- レバーが無い場合は、赤身肉50gでも構いません。
- お味噌は入れなくても作れます。
- ごはんはお好みの穀類をお使いください。(撮影では、はとむぎ入り白米を使用)
今回はほんのちょっぴりですがお味噌を使いました。塩分が気になる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は塩分=ナトリウムは、手作りごはんで不足しがちな栄養素のひとつです。もちろん摂りすぎは厳禁ですが、お味噌にはおなかの調子を整え、解毒のはたらきもあります。ただし、持病等でナトリウムの摂取制限がある場合や、与えるのが心配な場合は入れないでお作り下さいね。
まとめ
キャベツはビタミンや食物繊維が豊富で栄養価の高い野菜なので、犬に与えても大丈夫です。
しかし、葉は固くて食べにくいため、特に子犬や老犬には小さく刻んで少量ずつ与えましょう。
成犬であっても、上手く消化できない可能性もあるため、その場合はキャベツを茹でて汁ごと与えるなど工夫してみてください。
与えすぎは下痢や消化不良、尿結石の恐れがあるため、無理に与える必要はありません。
現在服用している薬があったりアレルギーを持っていたりする場合は、獣医師に相談することをおすすめします。
犬に食材を与える際の注意点
その食材が犬に与えて良いものかどうかを調べましょう。
食材には以下の4つのパターンがあります。食材を与える際にはそれがどれにあたるかを把握する必要があります。
01.中毒・アレルギーを起こす絶対に与えてはいけない食べ物。
犬に与えると「テオブロミン」という成分が、嘔吐や下痢などの中毒症状を引き起こすチョコレート、「アリルプロピルジスルフィド」という成分が、貧血症状や下痢、嘔吐を引き起こすねぎや玉ねぎ。それ以外にもぶどう・レーズンや、アボカド、マカダミアナッツ・クルミ、キシリトールなど、食材の中には犬に与えると重篤な症状を引き起こすものがあります。
犬に手作りご飯や食材トッピングなどをする際は必ずこの犬に与えてはいけない食材を把握しておくようにしましょう。下記の記事でも詳しく解説しておりますので、参考にしてみてください。
02.与える際に注意が必要な食べ物
食材の中には基本的には与えても大丈夫ですが、与え方によっては注意が必要なものがあります。例えばじゃがいも。じゃがいもは犬に与えても大丈夫ですが、じゃがいもの芽や皮には「ソラニン」「チャコニン」という毒素が含まれていますので、与える際には芽や皮をしっかり取り除く必要があります。また、豚肉や刺身なども犬に与えて良い食材ですが、生の豚肉を食べると細菌やウイルスに感染してしまうリスクがありますし、人間用として処理された刺身は犬に与えても大丈夫ですが、食中毒などの危険性があるため、なるべく加熱してから与える方が良いでしょう。
それ以外にも、魚を与える際は骨をとる、野菜・果物を与える際は種やヘタを取り除くなど、食べられる食材の中にも与え方によって注意が必要な食べ物もあります。
03.人用に加工された食べ物
たとえば、その食材自体は食べさせられるものであったとしても、ジュースや缶詰、ドライフルーツ、ジャーキーなど人用に加工されたものは、油や調味料、糖分などが多く含まれており、犬に与えない方が良いものがほとんどです。食材は与えて大丈夫なものでも、与える前には人用に加工されたものではないか確かめるようにしましょう。
04.健康な成犬に与えても大丈夫な食べ物
犬に与えても大丈夫な食べ物もあります。ただし、子犬や老犬に与える際には小さく刻んだり、茹でて柔らかくして与えてあげましょう。また持病のある犬については特に注意が必要です。新しい食材を与える前にはかかりつけの獣医師さんに相談してから与えるようにしましょう。また、元気な成犬でも与える量については注意が必要です。どんな食べ物も食べ過ぎには注意しましょう。適度な量を愛犬に合わせて少しずつ与えてあげるようにしましょう。
フードに食材をトッピングする際の注意点
いつものフードに食材をトッピングしている飼い主さんも多いのではないでしょうか?トッピングがうまく活用することで足りない栄養素を補えたり、愛犬のフードの食いつきを高めることができます。ただし、与える際には下記のことに注意が必要です。注意すべき食材や栄養バランス、摂取量に十分注意しながら、上手にバランスの良い食事を心がけましょう!
処理やサイズなど与え方に注意を。
特にトッピングする際には、愛犬が喉に詰まらせないよう食べやすい大きさにカットして与えるようにしましょう。固い野菜などは茹でて柔らかくしてかけてあげたり、すりおろしてあげるのもおすすめです。また果物や野菜をトッピングする際には、皮や芯、種やヘタをしっかり取り除いてからあげましょう。特に種や芯には、犬が中毒を引き起こす成分が含まれる場合があるのでしっかりした下処理が大切です。
フードと合わせたカロリーバランスを考える。
フードに混ぜて、トッピングする場合のトッピングの適正量は多くても1日の摂取カロリーの10%までといわれています。
愛犬に与えているフードのカロリーや栄養素を調べ、愛犬の体重と年齢などに合わせ1日の栄養・カロリーがトッピングと合わせてバランスよくなるように調整することが大切です。心配な場合は与えている量とトッピングの内容をかかりつけ動物病院の先生に相談してみましょう。
初めて与える食材は少しずつ
どんな食材でも犬によってはアレルギーを起こす可能性があります。初めて与える食材の場合は少量を与え体調の変化がないかを見るようにしましょう。特に持病のある犬については特に注意が必要です。新しい食材を与える前にはかかりつけの獣医師さんに与えて大丈夫か相談してから与えるようにしましょう。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。