ココを掘るワケ!年齢に合わせて選ぶ犬用ベッド?
寝室・寝具ブランド「エムール」が手がける犬用3Dベッド「neDOGko(ねどっこ)」の魅力は、サイズやカラーの展開が豊富なところだけではありません。犬の年代に合わせた工夫が詰まったベッドになっているのです。
具体的にはどのような工夫、世代ごとの違いがあるのでしょうか。「neDOGko」の企画・開発を担当されたエムール経営企画室室長の沢田裕さんに、3Dベッドの特徴と開発秘話を伺いました。
良い眠りを考え続ける会社、エムールさんについて
エムールでは、人の寝具や睡眠環境を整える事業を行っているのですよね?
はい。2006年に「睡眠」をテーマに創業し、日本の職人さんがつくる寝具をECサイトを通じて届ける事業を行ってきました。現在は「眠りで世界の人を元気にする」というビジョンを掲げ、寝具だけでなく家具も含めて快適な寝室を叶える事業や、睡眠に関する知識を提供する睡眠教育の事業も行っています。
その中で、なぜ人ではなく犬用の寝具を扱い始めたのでしょう?
成人からベビー、シニアとターゲットを広げていく中で、もっと人の定義を広く考えた時に、ペットと一緒に暮らす飼い主さんが出てきました。飼い主さんにとってペットは子どもも同然の存在ですよね。そこから、まずはワンちゃんの睡眠に関する取り組みができるのではないかと考えたんです。
neDOGko(ねどっこ)開発のきっかけ
犬用の寝具開発となると、飼い主さんの声も重要になりますよね?
実は、私自身が小さな頃からワンちゃんと一緒に暮らしているんです。地元にいる頃は寝床のことまで深く考えず、外でオーガニックに過ごさせていたのですが、東京に出てきてワンちゃんを迎えた際に、もっとゆっくり寝かせてあげたいと感じたんですよね。当時はワンちゃんの寝具というと、すぐにヘタってしまうようなクッションしかなかったので。
寝具メーカーに勤め、人間工学を参考にしながら日々進化する人の寝具を目の当たりにしているので、なぜワンちゃんの寝具の開発は進まないんだろうと感じたことも大きかったです。
沢田さん自身の経験も、neDOGko開発のきっかけのひとつだったのですね。
そうですね。当時の日本の市場には、自分のワンコにプレゼントしたいベッドがなかった。海外から輸入すればいいものもありましたが、費用がかさむしハードルも高い。これらの課題があったので、それなら自分たちでつくればいいのではないかと考えました。
neDOGkoのモデルとしても登場している沢田さんの愛犬のせせりちゃん。neDOGkoには飼い主としてのこだわりや愛情が詰まっています。
neDOGko(ねどっこ)ができるまで
当時、寝具メーカーで犬の睡眠にフォーカスしているところは少なかったですか?
ありとあらゆる商品をリサーチしてみると、寝具メーカーや家具メーカーでワンコ用ベッドを出しているところもあったのですが、サイズや質感があまり練られていない印象を受けたんです。ワンちゃんの心地よさは、もっと追求できるのではないかと。
社内で10~20年にわたって寝具に携わってきたメンバーに向けて、「ワンコはこう寝るんです」と投げかけながら開発していきました。メンバーも「こういう素材がある」「こういうつくり方もできる」と提案してくれて、プロトタイプができていったんです。
その頃から「年代に合わせて選ぶ」という構想はあったのですか?
コンセプトとしてはありました。親が子どもの年代や体格に合わせたものを与えるのと同じように、飼い主さんもワンちゃんの年代に合うものを求めていると感じましたし、私もそうしたいと思っていたので、年代ごとに提案できるベッドを開発しようと考えました。
想像だけではつくれないので、ワンちゃんを飼っているおうちにお邪魔して、各年代のワンちゃんの生活行動や習性を観察しながら、開発を進めました。飼い主さんにもワンちゃんの睡眠に関する困りごとをヒアリングして、必要な機能や要素をベッドに落とし込んでいきました。
観察や研究の末に、現在のneDOGkoが完成したのですね。
neDOGkoのここがスゴイ!を深掘り
neDOGkoは3つのタイプが用意されていますが、それぞれの特徴を教えてください。
年代別に「パピー&ハイシニア」「成犬」「シニア」と3つに分け、それぞれに必要な機能を備えたベッドを用意しています。主な違いは、ワンちゃんが寝る部分に敷く底材です。
パピー&ハイシニア犬向けベッド
底材に無膜ウレタンを使用することで適度な弾力のある触感になり、足腰の筋肉が成長しきっていないパピーでも比較的ラクに出入りできるようになっています。
無膜ウレタンは通気性がよく、手軽に水洗いできるため、トイレトレーニング中や吐き戻しのあるパピーのいる家庭でもお手入れがしやすいという特徴も。
寝たきりの状態のシニア犬にも、無膜ウレタンの底材はおすすめです。弾力性がありながらやわらかいため、床ずれが起きにくくなっています。
成犬向けベッド
高密度・高反発ウレタンの上に薄手の巻き綿を重ねることで、保温性や通気性を高めながらも、適度なやわらかさを実現。ウレタンは人が座っても底づきしない密度で、耐久性も高いため、成犬の間はヘタらずに使い続けられるクオリティに仕上がっています。
シニア犬向けベッド
底材に反発力の高い3Dファイバーを使用し、あえて硬い触感にすることで、足腰の筋力が衰え始めて不安定なシニア犬でも足が埋もれずに立ち上がりやすくなっています。
寝ている間も沈み込みが少なく、一部に負荷がかかることがないため、脱臼などのリスクが減る構造です。3Dファイバーも簡単に水洗いができます。
3D設計
年代ごとに底材が変わりますが、カバーやベッドのふちの枕部分は全年代共通です。体の一部がどこかしらに触れていると安心して眠れるというワンちゃんの特性を考慮し、もたれかかれるような枕を取り入れました。
neDOGkoの底材は、人の寝具でも使われているものですか?
はい、人の寝具用素材を用いています。寝具メーカーであり、寝具の生産工場とのつながりがあるからこそできることだと感じています。
成犬タイプで使用している高密度・高反発ウレタンは、人が寝ても通常で5年、最低でも3年は使用できるものなので、ワンちゃんであれば成犬の間は問題なく使っていただけると思います。
「パピー&ハイシニア」「シニア」の底材が水洗いできるところも、飼い主さんにとってはうれしいポイントですよね。
パピーやシニア犬だと、ベッドの上でトイレしてしまうことや吐いてしまうことがありますよね。すぐに水洗いできるものであれば、神経質になりすぎず、気軽に使えるのではないかと考えています。洗ったり乾かしたりする手間をなるべく省けるように、neDOGkoは底材、枕、カバーと分解できるようになっています。
底材はヘタっていないけれど、カバーが摩耗してしまった、シミができてしまったという場合は、カバーだけ買い替えていただくことも可能です。高いクオリティのものをリーズナブルに、無理せず使い続けていただきたいですね。
ベッドを変えた直後は、ワンコが寝てくれないということもありそうですが?
「寝てくれない」という声はゼロではありません。ただ、ワンちゃんの特性を考慮してふちを枕にするなどの工夫を施したこともあり、「すぐに使ってくれた」という声をより多くいただいています。
「デザインがかわいい」というよりは「いい環境で寝てほしい」という理由で、neDOGkoを選んでくださる飼い主さんが多い印象です。販売内訳を見ると成犬タイプとシニアタイプが半々くらい。シニア犬のベッドとして利用してくださる飼い主さんが多いところも、機能性が評価されている証拠かなと感じています。
ワンコがシニア期に入ると、睡眠をより意識しますもんね。ちなみに、neDOGkoを利用する犬種の傾向はあったりしますか?
日本で飼われている犬種の分布と大体同じかなと思います。ひとつ特徴的な部分を上げると、neDOGkoはXLサイズも用意しているので、大型犬の飼い主さんから評価いただくことが多いです。大型犬でも底づきしない底材や耐久性の高いカバーが、満足度につながっているのではないかと思います。
寝たきりのワンコでも使えるベッドがあるのも、ありがたいなと。
neDOGkoを発売してから、飼い主さんから介護利用に関する声をいただくことが多かったので、寝たきりのワンちゃん向けの介護用ベッドも開発しました。
寝たきりだと床ずれや関節の固まり、酔いなどが生じやすくなるので、ホットドッグのようにワンちゃんを包み、伏せの姿勢をサポートできるベッドをつくりました。伏せができると、ごはんも食べやすくなるんですよね。
もうひとつ、脚が曲げられないワンちゃんのために、E字型で四肢を挟み立位姿勢をキープできるベッドも開発しました。ウレタンで姿勢を補助しつつ、ワンちゃんの体に触れる部分は綿を入れてやわらかく仕上げました。
介護まで手が届いているとは!?ラクな姿勢がキープされるとごはんも与えやすいし、ワンちゃんの負担も減りますよね。
ワンコnowa編集部が本音で聞いてみた!
エムールが培ってきた寝室・寝具ブランドとしての土台があるからこそ、今の価格が実現しています。社内に研究メンバーや寝具のプロフェッショナルがいますし、私たちがやりたいことに応えてくれる生産工場とのつながりもあるので、人の寝具の延長線上で開発を行うことができ、価格を抑えられています。
また、エムールでは、確実にお客様に届く広告だけに絞って宣伝コストを抑えた分、よりよい素材を使用し、いいものをリーズナブルに届けることも心がけています。
ワンちゃんはベッドを噛んだり掘ったりしてしまうので、耐久性は重視した点です。肌触りがいい綿100%で、かつ耐久性が上がるように厚手のオックス生地を使用しています。
執拗に噛んでしまう、掘ってしまう子だと破れてしまうこともありますが、噛む・掘るという行為が一般的なレベルであれば、問題なく使っていただけます。ユーザーさんから「うちの暴れん坊ワンコでも大丈夫でした」という声もいただいています。
ただ、生地が厚手な分、洗濯した際に乾きづらいという欠点はあります。お手入れはやや大変だと思いますが、耐久性やワンちゃんの寝心地を意識し、ワンちゃん最優先で開発しました。
耐久性を高めるために織目の詰まったオックス生地を使用した結果、ワンちゃんの毛がついても取れやすくなっています。織目が詰まっていると毛が生地の中に入りにくいので、コロコロなどでの掃除で取れやすくなるのです。
抜け毛が少ないトイプードルなどを飼っているユーザーさんからは、「ふわふわ触感のカバーもほしい」という声をいただいているので、触感の異なるカバーも開発中です。
このアイテムを通じて広げたい“wa”は?
neDOGkoの寝心地に関するアイデアや、年代ごとにフィットする寝具が異なる点は、人にも当てはまることです。ワンちゃんに高品質のベッドを用意してあげるように、飼い主さん自身もよりよい睡眠のための投資を考えてみてほしいと思います。
飼い主さん自身が健康でないと、ワンちゃんの健康を支えることはできません。お互いを大事にして、人もワンちゃんも睡眠を見つめ直し、健康の“wa”を広げてほしいですね。
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取材をおえて
人の寝具メーカーがつくっているワンコ用ベッドと聞き、こだわりが詰まっていることは感じていましたが、発案者の沢田さんはじめエムールの皆さんのワンコへの愛情もたっぷり詰まっていました。
また、実際にベッドを触ってみると触感が世代ごとにまったく異なり、睡眠時間や寝姿勢、筋力などに応じて変えられていることを実感しました。
話を聞けば聞くほど、neDOGkoのファンになってしまう。そんな取材でした。