卵とは、にわとりから産み落とされた卵を指し、卵殻と卵白と卵黄で構成させています。
私たち人間、さらに日本人にとっては親しみのある食材で、季節問わず手に入れられるからこそ、毎日、または毎朝1個は食べている人が多いでしょう。
ただし、鮮度が落ちやすい特徴を持つことから、卵かけご飯や納豆に入れるなど、生卵として食べる場合はなるべく早く消費する必要があります。
消費期限が切れた卵やサルモネラ菌に汚染された卵を食べると食中毒になる危険性が高いですが、はたして新鮮な卵であれば犬に与えても大丈夫なのでしょうか。
ANSWER 基本的に卵は愛犬に食べさせても大丈夫です。
卵は完全栄養食といわれるほど、犬にとって必要な栄養素が豊富に含まれているので、犬にあげても大丈夫な食材です。
しかし、卵と一括りにいっても調理法はさまざまで、目玉焼きやゆで卵、生卵があります。
人間と同じように新鮮な卵を選んで食べさせることはもちろんのこと、与え方や与える量に注意しなければいけません。
この記事では、人間の卵の食べ方とはどのように区別して犬に与えるべきか、卵の栄養素や成分も交えながら紹介します。
タンパク質
卵1個につき卵白4.4g、卵黄2.9g含まれているタンパク質は皮膚や筋肉を作り、エネルギー源になることから、犬にとって必要不可欠な栄養素です。
タンパク質の栄養価を科学的に示す指標としてアミノ酸スコアがあります。必須アミノ酸が必要とされる量を満たしている状態が100であり、卵はこのアミノ酸スコアが100なのです。
脂質
卵白には脂質が含まれておらず、卵黄には約5.5gの脂質が含まれています。
脂質はタンパク質や炭水化物の2倍以上のエネルギー源を供給でき、その他にも内臓保護や体温調整を行い、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収を促進します。
ビタミンA
脂溶性ビタミンであるビタミンAは、皮膚や粘膜、目、骨の健康を維持するのに役立ちます。
欠乏すると食欲不振や成長不良を引き起こしますが、体内に吸収された余剰なビタミンAは肝臓に蓄積されるため、欠乏よりも過剰に注意が必要です。
ビタミンB2
ビタミンB2はエネルギー代謝において補酵素として働きかけてスムーズな代謝を行います。
欠乏するとエネルギー産生量が低下し、体の調整に不具合が生じるため、健康的な体の維持に欠かせない栄養素です。その他にも脂質代謝や皮膚や角膜の保護に役立ちます。
卵を犬が食べた際の犬への効果・影響
犬にとって必要な栄養素が豊富に含まれていることから完全栄養食といわれており、少量摂取するだけでエネルギー補給ができます。
特に、食欲が落ちた老犬に質の良いタンパク質源として与えるには効果的でしょう。
犬に与えてよい卵の量は?
小型犬の場合 | 約41g(約0.8個分) |
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中型犬の場合 | 約80g(約1.6個分) |
大型犬の場合 | 約80g(約1.6個分) |
子犬の場合 | 消化管の機能や構造が未熟な場合は、特に生卵を与えるのは控える。 与える場合は少量ずつ。 |
老犬の場合 | 腎臓病や消化管が弱っている犬の場合は与えない。 与える場合は少量ずつ。 |
犬に卵を与える際の注意点
卵のおすすめの与え方
生卵はなるべく卵黄だけ与える
卵白に含まれるアビジンというタンパク質は、ビタミンB群の1つであるビオチンの吸収を妨げます。
ビオチンは皮膚や被毛の健康に必要不可欠なビタミンなので、大量にアビジンを摂取するとビオチン欠乏症になり、皮膚炎や湿疹などの症状が出る可能性があります。
アビジンは加熱をすれば活性が失われるので、ゆで卵や目玉焼きなど白身を加熱してから与えたり、生卵を食べさせる際はなるべく卵黄だけを与えたりするなど工夫しましょう。
加工品はカロリーオーバーに注意
そもそも卵は脂質が豊富に含まれているため、加工品だとさらに脂質や糖質が増え、1日に必要なカロリーをオーバーする可能性があります。
卵豆腐やプリンなどの商品は、砂糖以外にも酒やみりんなどの調味料が含まれているので、与えるのは控えましょう。
犬用のお菓子であれば、カロリー計算されているためそれほど神経質になる必要はありませんが、肥満気味や持病がある愛犬には注意し、不安であれば獣医師に相談することをおすすめします。
まずは少量ずつ与えよう
大量に与えるとアレルギー反応を起こす危険性があるため、初めて卵を食べさせる場合は少量ずつ与えてください。
タンパク質や脂質が豊富に含まれているため、大量に食べると肥満につながる可能性があります。
栄養価が高いからといってご飯のメインとして与えるのは避け、あくまでもおやつやドックフードのトッピングとして食べさせましょう。
健康な犬であれば、毎日のドッグフードで栄養は足りているため、無理に食べさせる必要はありません。
また、卵の殻にもカルシウムといった栄養素が含まれていますが、口の中やのどを傷つける危険性があるため、なるべく与えない方がいいでしょう。
卵は調理法が大事
愛犬が卵を気に入ったのであれば、1日の適切な摂取量を守れば問題ありません。
しかし、人間が卵を食べる時と同じように、塩や油などの調味料を使用してはいけません。
余分な味付けが加わることによって、ドッグフードで足りていた栄養バランスが崩れる可能性があります。
茹でたり焼いたり、愛犬の好みに合わせて調理するといいでしょう。
ただし、まるごと与えるとのどに詰まらせる危険性があるため、細かく刻んで冷ましてから与えてください。
こんな時は犬に卵を食べさせないこと
アレルギー持ちの愛犬は、卵に対してもアレルギー反応を示す可能性が高いため、与えるのは控えましょう。
もしも体を痒がったり下痢や嘔吐をしたりした場合は、直ちに与えるのをやめて、それでも症状が続くようであれば獣医師の診断を受けてください。
また、食事からリンの摂取が多いと腎臓に負荷がかかります。
リンはタンパク質を多く含む食品、つまり卵に多く含まれているため、腎臓病の愛犬には与えてはいけません。人間が卵を食べて食中毒を引き起こすように、犬にとっても鮮度の落ちた卵は危険です。
加熱すれば大丈夫と過信せずに、摂取量を守ってまずは少しずつ与えてみてください。
まとめ
卵は総合栄養食といわれるほど栄養価の高い食べ物なので、犬に与えても大丈夫です。
しかし、卵白に含まれる成分がビタミンBの吸収を妨ぐため、生の場合は卵黄だけ食べさせ、なるべく加熱して与えたほうがいいでしょう。
アレルギー反応を示す可能性もあるため、1日の摂取量に気を付けて与えてみてください。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。